契約社員として働いている人のなかには、「いつかは正社員になりたい」「社員と同じ量だけ働いているのに給与が違うなんて不満」と思っている人も多いでしょう。
企業としては正社員と契約社員の線引きをきちんとしているつもりでも、現場では正社員と同等の職務をこなしている契約社員の方も多いはず。
ここでは、上場企業で契約社員から正社員になった私の体験をもとに、正社員になる方法を紹介していきたいと思います。
男性はもちろん女性でも、出産や育児を経てからも仕事を続けたい場合は、早い段階で正社員になっておくことが大切です。
目次
契約社員が正社員になることは難しい?
契約社員として働いている人が正社員になりたいと思ったときは、転職するよりも同じ会社の正社員登用制度を利用して正社員になる方がオススメです。
正社員登用制度とは
正社員登用制度とは、契約社員やアルバイトなどの非正規社員から、正社員へ雇用形態が切り替わる制度です。
およそ半数の企業が正社員登用制度を利用していますが、なかには実績がない企業もあります。
制度があるからといって、100%正社員になれるわけではないということを自覚しておきましょう。
企業が契約社員を雇う理由
企業側が契約社員を雇う理由は「リスクヘッジ」です。
書類や面接だけでどんな人材かを見極めるのは困難なため、実際に働いてもらってから正社員に切り替えるかを判断します。
また正社員へのステップアップとして、派遣社員やアルバイトから契約社員に雇用を変える企業も数多くあります。
ただし業績が悪くなると、真っ先に切られるのが契約社員や派遣社員です。
契約社員は次の契約が更新されるかどうか、毎回不安にされされることになります。
ちなみに筆者が契約社員で働いていたときは、正直切られる心配はありませんでした。
私はIT業界で営業アシスタントとして勤務していましたが、とにかく忙しく人手不足で、入社した新卒社員や派遣社員も激務に耐えられず辞めていく人が多かったです。
企業によっては正社員になるための試験がある
契約社員から正社員へ切り替わるには、企業によっては役員面接や中途採用者と同等の試験を受けさせる企業もあります。
筆者の場合は、論文の提出やいくつかの試験、上司の推薦が必要でした。
中小企業や零細企業では、社長や役員がOKを出すだけで正社員になれるケースもあります。
しかし能力重視ではなく、偉い人に気に入られているかで平等性がないため、近年では一定の基準を設けて合否を判断していることが多いようです。
契約社員から正社員になるには日頃の仕事ぶりが重要
正社員になるためには、普段から真面目に業務に取り組んでいることが大前提です。
上司や周りのスタッフが頑張りを認めてくれない限り、コストのかかる正社員にしようと思いません。
業務で分からないことは積極的に聞き、困難なことにも立ち向かっていく姿勢を見せることが大切なポイントです。
筆者の会社では事業部や所属している課の業績も、正社員になるための要素のひとつでした。
業績がよくない企業では、正社員が増えるとコストがかかるため、よほどのスキルや実績がない限りはむずかしいかもしれません。
契約社員から正社員登用は可能?5年働いたら正社員になれるって本当?
何年経っても契約社員のままなら早々に見切りをつけよう
入社当時に「実際に働いてもらってから正社員になるかを判断します」などと言われ、何年も契約社員のまま働いている人はいませんか?
はっきり言って、それでは企業の思うツボで、損していることの方が多いかもしれません。
自分で期限を設定しておく
筆者の場合は契約期間2年を経て正社員になることができました。
しかし正社員になるまでは、周りの正社員以上に残業していた記憶があります。
たまたま忙しい部署に配属されてしまったのですが、正社員よりも圧倒的に不利な待遇に不満が溜まっていました。
正社員への試験は年に1度だけ、1回目は筆記試験の結果が悪く不合格でした。
その間もずっと仕事が忙しかったので、2回目の試験で落ちたら退職しようと決意して試験に挑みました。
運よく合格できたので退職しませんでしたが、同じ事業部には5回目の試験に落ちている契約社員もいたようです。
売り手市場の今が転職のチャンス
今の採用市場は売り手市場です。多くの業界が人手不足に悩んでいるため、数年前よりも高い確率で採用されます。
正社員という名の人参をぶら下げられて頑張っている契約社員の人も、今なら正社員として転職を成功させることができるかもしれません。
少なくとも、5年も契約社員のままという場合は、早々に見切りをつけて新しい職場を探す方が賢明だと思います。
契約社員としての経歴はキャリアになる?
転職活動をする上で、これまで契約社員として一生懸命働いてきた人は、「そこそこのキャリアがある」と思っているかもしれません。
しかし残念ながら、採用の場ではあまり評価されないことの方が多いようです。
契約社員は正社員ほど責任のある仕事を任せられないことが多いため、「私は正社員より働いていた」と言っても、採用側は認めてくれないでしょう。
その主張がマイナスになり、採用されないケースもあります。
契約社員の待遇は正社員に比べると劣る?
次に契約社員の待遇についてみていきます。
業務内容は正社員とさほど変わらない契約社員ですが、待遇では大きな差があるようです。
各種保険には加入できる?
契約社員であっても、厚生年金や社会保険への加入は可能です。
法律で定められているため、「契約社員なので保険はありません」などと面接で言われた場合、それは違法行為に当たります。
しかし勤務時間が通常の3/4未満の場合は、健康保険や厚生年金の加入が免除される場合がありますので、入社の際には人事にしっかりと確認することをオススメします。
有給が取得できる
契約社員も正社員と同じように、入社半年から有給休暇が発生します。
ただし勤務日数や時間が通常の社員と異なるときは、支給される日数が少なくなるケースもありますので注意して下さい。
正社員と比べて給与は低い
収入については企業の規定によるので一概には言えませんが、一般的には正社員よりも低いと言われています。
しかし一部では契約社員から正社員に切り替わった際に、基本給が少なくなる場合もあるようです。
ちなみに筆者も、正社員になったと同時に基本給が下がりビックリした経験があります。
しかし正社員は昇給制度があるため、年度が変わるときに給与が見直されますが、契約社員はなかなか昇給しません。
つまり最初の契約段階で希望に近い給与を約束してもらうことが大切になるのです。
ボーナスはもらえる?
賞与に関しても企業によって異なりますが、正社員と同額がもらえることはほぼないでしょう。
求人サイトでも契約社員は一律〇〇円などと記載されていることが多く、会社の業績が良くてもボーナスに反映されることは少ないようです。
契約社員にも退職金がある
ボーナスと同様で、企業によっては契約社員でも退職金制度が用意されているケースもあります。
また勤務年数によって支給されるかが決まることもあるようです。
しかし法律上では契約社員に退職金を払うことは義務付けられていないため、在籍中に長年活躍してくれたなどの功績がない限り、まとまった退職金をもらうことはないと覚悟しておきましょう。
契約社員は転職に不利?
あなたが正社員と同じ立場で何年間も働いてきた場合でも、採用側にとっては「正社員になれなかった人」としてみられてしまいます。
面接では「どうして契約社員だったのか」という点について質問されると思いますが、プライベートなことを理由にしておくといいでしょう。
最近ではワークライフバランスを重視して、契約社員の道を選んだと思われることも多いので、「正社員になれなかった人」ではなく、「あえて契約社員を選んだ」と思わせるのが得策です。
契約社員は第二新卒として転職できる?
新卒で契約社員として採用された人は、正社員に向けた転職活動で「第二新卒」として就活ができるか疑問ですよね。
結論からいうと、契約社員は第二新卒にはなりません。
「第二新卒=正社員としての経験がある若手」になるため、契約社員は既卒扱いになります。
しかし職歴がまったくない既卒よりも、社会経験のある既卒の方が面接でも有利です。
契約社員はできるだけ避けて、正社員として入社しよう
契約社員を経験した立場からいうと、契約社員としての入社は出来るだけ避けた方が無難です。
私は2年目で正社員になることができましたが、それは上司に恵まれたからだと思っています。
何年も社員試験を受けているのに正社員になれず、だからといって契約を切られない人は、「仕事はできるがコストをかけてまで正社員にしたくない」と思われているのだと思います。
今は正社員として採用されやすい絶好のチャンスです。
この機会にダラダラと契約社員として働かされているのであれば、正社員として転職活動をする方が正社員になれる可能性は上がります。
あなたを高く評価してくれる企業を見つけることを優先し、転職活動を行いましょう。