「3年ルール」という派遣法をご存知ですか?
派遣社員として働いている人、これから派遣社員になろうと考えている人は、ぜひ理解しておいてほしい派遣法です。
聞いたことがあるけどイマイチ理解できてないという方は、派遣の新しい働き方を学ぶチャンスです。
3年が経った頃に「どうしよう!」とならないためにも、今、派遣法の3年ルールについてしっかりとした知識を身につけておきましょう。
目次
派遣で働くには「3年ルール」を理解しよう
3年ルールは、雇用が不安定な派遣社員の「雇用安定」と「キャリアアップ」を図るために、国が考えた対策です。
2015年に施行された労働者派遣法の改定で、事務用機器操作や秘書、ソフトウェア開発などの業務において「3年ルール」という制度が設けられました。
どのような内容になっているのか、ここで詳しく説明していきます。
派遣が同じ事業所で働ける期間は3年まで
まず3年ルールというのは、「同じ会社の同じ組織において、派遣社員は3年以上働くことができない」という法律です。
これまで専門26業務(現在は28業務)と呼ばれる職種に関しては、派遣期間の制限はありませんでした。
しかし改定によって3年ルールが適用されたことにより、長く勤めていた派遣先企業を辞めざるを得なかったベテラン派遣社員が大勢いたようです。
派遣会社を変更しても同じ企業は3年まで
3年の期間が経ってしまい、「派遣先を変わりたくない」と派遣会社を移籍した場合でも、3年ルールは適用されてしまいます。
例えば、2年間働いたのちに派遣先を変えても、以前勤めていた企業で働ける期間は1年間しか残っていません。
ただし、同じ派遣先でも部署が変わる場合、3年が経っても働き続けることが可能です。
所属する課が違うと業務内容が異なるとみなされるため、3年ルールは適用されません。
そのほかにも、下記に当てはまる人は3年ルール対象外です。
- 派遣会社の無期雇用派遣として勤務している
- 60歳を過ぎた派遣社員
派遣の3年ルールで得られる2つのメリット
国はどうして「3年ルール」という法律を作ったのでしょうか?
そこには、派遣社員にとって以下のようなメリットがあるからだと考えられます。
有期で働くことで採用してもらえる企業に出会えるかも
これまで同じ派遣先で、10年以上に渡って派遣社員として働いてきた人も大勢いることでしょう。
しかし3年間という有期雇用で働くことで、4年目以降は正社員や契約社員として働ける可能性がでてきます。
「いつかは正社員になれるかも」と期待しながら働き続けてきた派遣社員も、3年間というリミットがあることで気持ちの整理がつきやすくなり、精神的な負担も少ないでしょう。
3年で有期雇用を企業側に検討される可能性がある
3年間勤めたのちに、企業側が「働き続けてほしい」と思えば、直接雇用される可能性があります。
またあなたが同じ派遣先での就業を望む場合は、派遣元が派遣先へ直接雇用を打診することが義務付けられているのです。
自分からは「正社員になりたい」と言い出しにくい人にとっては、3年ルールのおかげで正社員になれるチャンスが得られることになります。
ただし派遣先は必ず雇用しなくてはならないというルールはないため、普段からの勤務態度に注意しておきましょう。
「会社をよく休みがち」「業務上のミスが多い」という人は、3年も経たずに契約終了になってしまうので要注意です。
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派遣の3年ルールで得る3つのデメリット
3年ルールによるメリットは、直接雇用が望めることですが、そうならなかった場合はどうなるのでしょうか?
3年ルールによって派遣社員が感じるであろう、デメリットを解説します。
契約が切れるたびに仕事を探さなければならない
2015年以前のルールでは、派遣先の居心地がよければ何年でも働き続けることができました。
もちろん企業側が延長してくれることが前提ですが、5年目、10年目という派遣社員もざらでした。
しかし3年ルールが適用されると、契約期間の終了とともに新しい派遣先へ変わらなくてはいけません。
仕事探しも大変ですが、一から新しい会社のルールやシステムを覚えることも一苦労です。
20代、30代であれば仕事も覚えやすく需要も多いですが、年齢を重ねるごとに仕事探しが困難になり、時給が下がる恐れも考えられます。
仮にあなたが30歳だとしたら、60歳までに10社も会社を変わらなくてはいけない計算になります。
「ずっと派遣社員として働きたい」と思っている人にとっては、面倒なルールでしかありません。
無期雇用に切り替わる前に契約を切られる可能性も
そろそろ3年が経つという頃に、契約を切られてしまうケースがあります。
「正社員にしてしまうと簡単に解雇できない」と考える企業も多いため、派遣社員は職を転々としなくてはなりません。
企業側は安いコストで雇える派遣社員を、コストのかかる正社員にすること自体、リスクと捉えてしまうことが多いようです。
3年以上働けても正社員と同じ待遇とは限らない
3年の契約が完了して無事に無期雇用派遣になれたとしても、正社員と同じ待遇になるわけではありません。
あくまでも「有期雇用」が「無期雇用」になったというだけで、業務内容や待遇は変わらないケースがあります。
しかし無期雇用に対する考え方は、派遣先の企業によってさまざまです。
なかには、正社員と同等の待遇が与えられるケースもありますので、事前に確認しておくことをオススメします。
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派遣が同じ企業で3年以上働き続けられる3つのケース
派遣先企業がどんなに働きやすくても、3年が経つと契約終了です。
しかし、3年経っても働き続けられるケースが3つだけあります。
①無期雇用派遣として雇われる
無期雇用派遣とは、派遣会社と期間の定めがない契約を結んだ派遣社員のことを指します。
契約期間の終了とともに、常に新しい職場を紹介してもらえるため、雇用の不安がありません。
また無期雇用派遣の最大のメリットは、仕事がないときでも安定した収入が得られることです。
登録型派遣と呼ばれる一般的な派遣社員は、働いた分の時給しか給与として差し出されることがありませんが、無期雇用派遣はそこが異なります。
無期雇用派遣になると3年ルールは適応されず、4年目以降も同じ事業所で働き続けることが可能です。
②企業に直接雇ってもらう
理想的なのが、企業側に正社員として雇ってもらえるパターンです。
福利厚生や給与などの待遇も、他の正社員と同様に受けられます。
正社員として採用されるには、企業側に「ずっと一緒に働きたい」「戦力になる」と思ってもらえることが大切です。
しかし派遣社員の中には、「派遣」という働き方が好きな人もいるため、オファーを断る人もいます。
断ったからといって、派遣会社が次の派遣先を紹介しないということはありませんので安心して下さい。
もしそのような会社があれば、派遣会社を移ることをオススメします。
③企業の別部署で働く
前述したとおり、同じ企業でも所属先が変わると3年ルールは適応されません。
総務部から営業部へ、経理部から秘書課へ、と部署を移動することで、3年以上働けます。
また3年ルールには「クーリング期間」と呼ばれる制度があり、3年間に空白期間が「3ヶ月と1日」あることで、派遣期間のカウントがリセットされます。
つまり、2年半働いたあとに3ヶ月と1日のクーリング期間を経て元の職場に戻り、そこからまた3年間働き続けられるという仕組みです。
しかし空白の3ヶ月間は収入も不安定になりますし、同じ職場で働ける保証もありません。
また派遣会社を変えても、契約期間はリセットされませんので注意しましょう。
派遣として3年ルールを超えて働き続けるためのポイント
3年ルールの存在があるとは言え、派遣として3年以上同じ企業で働くことができないわけではありません。
前述した3年以上働き続けられるケースを見てもわかるように、可能性はあるのです。
そしてその可能性を掴むためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
派遣として3年以上働き続けるためのポイントは、以下のとおりです。
- 自分に合った求人を見つける
- 報連相を怠らない
- 職場内でのコミュニケーションを活発に取る
- 真面目に勤務する
- 派遣元の営業担当者と仲良くする
これらの5つのことを気にかけるだけで、3年以上働ける確率がぐんと上がります。
同じ会社で3年以上働きたいという人は、これらのポイントを押さえておくことをおすすめします。
自分に合った求人を見つける
自分に合った求人でないと、3年以上働くことはまずできないでしょう。
自分に合った職場で働くことが、派遣の3年ルールを乗り越えるためには重要です。
そのためには、派遣される前の段階から、求人票にしっかり目を通しておくことが重要です。
自分の長所を活かすことができる職場に派遣されれば、3年以上働ける可能性も上がってきます。
報連相を怠らない
報連相を怠らないことも、派遣として3年以上働き続けるためには必要です。
報連相とは、「報告・連絡・相談」のことであり、職場におけるコミュニケーションの一丁目一番地です。
報連相がしっかりとできている人は、仕事ができる印象を与えることができます。
そのため、派遣先から良い評価をもらうためには、報連相を怠らないことが重要なのです。
職場内でのコミュニケーションを活発に取る
職場でのコミュニケーションを活発に取ることも、派遣の3年ルールを乗り越えるために必要なポイントです。
派遣が3年以上同じ会社で働くためには、派遣先の社員との良い関係を作ることが必要不可欠です。
コミュニケーションを積極的に取ることで自分を知ってもらうことができる上、相手や会社について深く知ることもできます。
また、コミュニケーションを活発にできる人は、仕事ができる人であるという評価を受けやすくなります。
派遣先の企業からの良い評価を受けるためにも、職場内でのコミュニケーションを活発に取ることが必要です。
真面目に勤務する
真面目に勤務することも、派遣が3年ルールを乗り越えるために必要です。
3年以上同じ職場にいるためには、職場からの評価を得られなければ意味がありません。
そのため、真面目に勤務することは当たり前なのです。
職場での評価を落とさないためにも、真面目な態度で勤務することを忘れないようにしましょう。
派遣元の営業担当者と仲良くなる
派遣元の営業担当者と仲良くなることも、派遣が3年ルールを乗り越えるために必要なポイントです。
派遣元の営業担当と仲良くしておくと、業務における相談がしやすくなります。
派遣先で不都合が合った場合、営業担当者が守ってくれることもあります。
そのため、職場の人と接するときと同じように、派遣元の営業担当と良い関係を築くことをおすすめします。
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派遣の3年ルールを理解して無期雇用を目指そう
無期雇用というと、以前は正社員のみの特権でした。
しかしルールが変わり、派遣社員でも無期雇用派遣として働くことができるようになりました。
派遣社員は「いつまで働き続けられるか」という雇用の不安定さが叫ばれていますが、無期雇用になるとこの問題を払拭できます。
これからの派遣社員は、3年ルールをしっかりと理解し、3年後の自分をイメージしておくことが大切です。
そうなると、派遣会社選びも非常に重要になってくるため、事前のリサーチを忘れず安定した雇用を目指しましょう。