大学中退者の中には、履歴書の書き方について悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
平成26年に発表された文部科学省の調査によると、年間でおよそ8万人が大学を中退しているという結果が出ています。
この記事を書いている筆者も、大学を中退しています。
就職活動を行う中で悩むことも多く、自分と周りと比べて劣等感を感じていた時期もありました。
この記事では、大学中退者や大学中退を考えている人へ向けて、就職活動には欠かせない履歴書の書き方について解説していきます。
自分の進路で悩んでいる方や、大学を中退した自分に自信が持てないと感じている人にとって、次へ進む何かのきっかけになれば幸いです。
目次
大学中退後の最終学歴は高卒になる
まずは、大学を中退している場合の最終学歴の正しい捉え方を確認しておきましょう。
「最終学歴」とは、“これまでの学歴の中で最も高い教育機関の卒業歴”を指します。
最終学歴は一番最後に卒業した学校ではない、という点に注意が必要です。
卒業をしていない中退の場合は、それを学歴として認めることができません。
そのため、高等学校を卒業した後に大学に入学し中退した場合の最終学歴は高卒になります。
高等学校を卒業後に大学を中退し、専門学校などを卒業した場合の最終学歴は専門学校卒ということになります。
履歴書には時系列に沿って学歴を記入するため、一番最後に卒業した学校が最終学歴だと考えてしまいがちですが、重要なポイントは学校の「水準」です。
これまでに卒業をした教育機関の中で、教育水準の一番高いものが最終学歴となることを覚えておきましょう。
大学中退を履歴書に書かなくてもいいの?
「中退しているから学歴にはならないのではないか…」
「中退と書けばイメージが悪くなってしまうのでは…」
中退を良いイメージとして捉えられることはなかなか難しいということもあり、そのことを履歴書に書きたくないと思っている人も多いかもしれません。
そもそも大学中退は、履歴書に必ず書かなければならない経歴なのでしょうか。詳しく解説していきます。
大学中退を書かないと学歴詐称になることも
履歴書というのは、就職活動の中でもかなり重要な書類のひとつです。
正式な書類のため、事実ではないことを書けば、それは学歴詐称になってしまいます。
大学中退を書くことよりも、書かないことや書き換えることの方がイメージダウンになってしまいます。
何よりも信頼性を失ってしまう行動だということを頭に入れておく必要があります。
これから一緒に長く働いてゆく人を決める時に、相手に信頼性を感じるかどうかという点は、人を採用するうえでかなり重要なポイントになります。
採用する側は、履歴書を通して“あなた”について知りたいと思っています。
どのような時期に、何を考え、どんな判断をしてきた人物なのか。
履歴書からは、経歴だけではなくその人の価値観や考え方を知るうえでも必要な材料になるのです。
もし学歴詐称した場合、そのことが入社後に明らかになってしまえば、減給や降格、懲戒処分、解雇なども十分にあり得ます。
嘘を書いても良いことは何もありません。正直に書くことは自分のためでもあるのです。
書かないと高校卒業からの期間を怪しまれる
履歴書に大学中退を書かない場合、高校卒業から大学を中退するまでの間に空白の期間が生まれてしまいます。
その履歴書をぱっと見た人にとっては、「高校を卒業した後はどうしていたのだろう…?」と不安を感じてしまうでしょう。
履歴書はこれまでの自分の経歴を書くものですが、それに目を通すのはこれまで面識のなかった人です。
見た人がどう感じるのかということを考えながら、自分の経歴は正直に書くようにしましょう。
中退の理由は書く必要はない
大学中退と書く必要はありますが、その理由まで履歴書に書く必要はありません。
では、履歴書にはどのように書けば良いのでしょうか。
ネガティブな理由は採用担当者に悪印象
中退した理由は人によってさまざまですが、社会的に見ても大学中退はネガティブなイメージを持たれやすい傾向があるかと思います。
具体的な理由を伝えても、相手にはやはりネガティブな印象を残してしまう場合が多いです。
採用する側は、
「どうして辞めたのだろう」
「この会社に入って続けられるのだろうか」
「またすぐに辞めてしまうのでは…」
といった疑問や不安を感じています。大学を中退したという事実は正確に伝えたうえで重要なのは、その理由の伝え方です。
もちろん嘘をつくということではなく、中退後の自分や今自分が努力していることを素直に伝えることが大切です。
“採用担当者が履歴書を見てどう感じるだろうか”という視点を持つことがポイントのひとつになります。
中退していることが良くない、ということでは決してありません。
ネガティブに捉えられてしまいがちなことだけをそのまま伝えるのではなく、ポジティブな要素(今の自分)をしっかりと見てもらうことが何よりも大切です。
経済的理由などのやむを得ない理由は「一身上の都合」
履歴書に中退理由を書く場合は、「経済的な事情により退学」「進路志望変更のため退学」「」「一身上の都合により退学」といった書き方が無難です。
あえて理由を書かない場合でも、面接では必ず中退理由を聞かれると思って準備をしておいた方が良いでしょう。
履歴書に理由を書いてあっても、その話題に触れられることもあります。
落ち着いて面接にも臨むためにも、一貫性のある返答ができるようにしておくことが大切です。
大学中退者の履歴書の書き方の例を紹介!
では実際に、大学中退者はどのように履歴書を書いたら良いのでしょうか。
書き方の例をご紹介していきます。
➀中退理由を書かない場合
年 月 | 学歴・職歴 |
---|---|
平成◯◯年 | ◯◯高等学校 卒業 |
平成◯◯年 | ◯◯大学〇〇学部〇〇学科 入学 |
平成◯◯年 | ◯◯大学〇〇学部〇〇学科 中途退学 |
以上 |
②中退理由を書く場合(経済的な事情があり退学した場合)
年 月 | 学歴・職歴 |
---|---|
平成◯◯年 | ◯◯高等学校 卒業 |
平成◯◯年 | ◯◯大学〇〇学部〇〇学科 入学 |
平成◯◯年 | ◯◯大学〇〇学部〇〇学科 中途退学 家庭の経済的な事情のため退学 |
以上 |
「中退」という言葉は略語のため、書類では「中途退学」と書くのが正解です。
間違えやすいので注意しましょう。
大学中退後の最終学歴は就職で不利になるの?
大学中退者にとって、その経歴が就職の際に不利になってしまうのではないかと、心配になっている人も多いのではないでしょうか。
中退者の就職は厳しいということは否めませんが、前述したように、ネガティブなこともポジティブに変換することで、就職の可能性は大きく広がります。
最終学歴=高卒なので大手企業への就職は不利
大手企業の多くは応募資格が大卒であることが多く、中途採用の枠も少ないため、高卒の大学中退者にとっては不利になってしまうこともあります。
ですが絶対に就職できないということではありません。
大学中退者でも大手企業で活躍している人は大勢います。
今後の人生の中で、何がきっかけになるかは誰にも分かりません。
中退したことよりも、中退した後に自分が何を考えどう行動したのかということが大切です。
将来のイメージやビジョンを明確に持っている人、自分自身の考え方や価値観の土台がしっかりとあるうえで発言できる人などは、経歴関係なくどこで働くにしても重要な人材となります。
有名大学中退だと良い印象を与えることもある
大学を中退していても、通っていた大学が有名大学だった場合には時に良い印象を相手に与えることもあります。
退学をしていても、相応の知識や能力があると相手に受け取ってもらえることもあるからです。
しかしこれも受け取る人によってさまざまです。
どんな有名大学に通っていた経歴があるとしても、中退ということに対してあまり良くないイメージを持つ人もいれば、それだけで判断しない人もいます。
経歴はあくまでもその人を知るうえでの判断材料であって、それがすべてではありません。
通っていた大学がどこであっても、その経験から何を学んだのかが大切なのです。
一般論やイメージだけで判断するのではなく、“今の自分”を見てくれる企業や人は、これから先もあなたの支えとなってくれるはずです。
大学中退したら人生終わりじゃない!中退後に就職を成功させる方法を解説
大学中退後に就職活動を進める注意点
大学中退後の就職活動は孤独な作業になってしまいがちです。
就職に関する情報が得られず、学校からのバックアップもなくなってしまうからです。
中退してからの就職活動は、想像以上に難しく険しい道のりになることを前提に、できる対策を十分にして臨むようにしましょう!
中退後の空白期間何をしていたか説明できるようにする
大学中退者にとってかなりネックとなることのひとつに、中退してからの生活の仕方が挙げられます。
その先の目的が決まっている人もいれば、やむを得ない事情ですぐに活動できない人、どう過ごしたら良いのか分からないという人などさまざまかと思います。
就職活動の面接では、中退した理由とともに中退後の空白の期間に何をしていたのかということも必ず聞かれると考えておいた方が良いでしょう。
この場合も正直かつ簡潔に伝えることを心掛けましょう。
面接時間も限られているため、事実に基づいた必要な情報を分かりやすく伝えることがポイントです。
今の自分を知ってもらうためには、何をしながらどんなことを考えてきたのかということを採用担当者に伝える必要があります。
伝え方もネガティブな内容だけにならないように最後はポジティブな内容で絞めると、相手が受け取る不安要素が少なくなり、安心感をもってもらえることにつながります。
ただ伝えるのではなく、相手の受け取り方を想像しながら説明の仕方を工夫することが大切です。
中退理由を説明できるようにしておく
履歴書に中退理由を書いてある場合でも、面接の場でその理由を聞かせる可能性は高いです。
面接の場は書類に書いてあることを改めて確認する場でもあるからです。
中退後の空白期間の説明と同様に、事実を簡潔に伝えることを心掛けましょう。
理由によっては、入社してからも企業の配慮が必要な場合もあります。
例えば家族の介護や自身の体調不良がきっかけの場合は、仕事の仕方を相談しながら決めてゆく必要も出てくるからです。
そのためには、今の自分の状況や状態を理解し、どんな配慮が必要なのかということを整理しておく必要があります。
一人で就職を進めようとしない
大学を中退すると、在学している時よりも就職に関する情報を得ることが難しくなってしまいます。
卒業者(卒業予定の人)と中退者では、就職に向けての対策の仕方も変わってきます。
これまであったバックアップがなくなってしまうため、孤独になりやすく、それが引き金となりなかなか就職に気持ちが向かなくなるケースも多いのです。
中退していてもしていなくても、就職活動を一人で進めるのはかなり難しい作業になります。
一人で抱え込まず、人の力を借りながら自分の将来について考えましょう。
人の力を借りることで視野も広がり、新たな道が開ける場合もあります。
大学中退したら就職は難しいってホント?中退後の進路と就活対策を紹介
最終学歴が不安な大学中退者でも利用できる就職サイト2選
大学中退者にとっても心強い就職サイトをご紹介します。
さまざまなケースに対応した就職の情報を得ることができるため、上手に利用しながら自分の将来について考えていきましょう。
ハタラクティブ
ハタラクティブは、利用者のうち3人に2人は正社員未経験から就職しているという実績を持っており、一人一人に合った企業を相談しながら紹介してくれます。
利用者の年齢層も10代~30代以上と幅広く、学歴も様々です。
ハタラクティブに集まっている求人は経歴ではなく人柄を重視してる企業が多いという点も特徴です。
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DYM就職
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登録が完了した後は、書類選考や面接のサポートも充実しているので、転職に不安を感じている方でも安心です、
IT企業から人材サービスまで、業界も幅広いため興味のある分野を選んでチャレンジできるのも大きなメリットでしょう。
未経験でもOKの求人もありますので、大学を中退後求人を探しているならぜひ利用してほしい転職サービスです。
最終学歴を正直に伝えて中退でも就活を成功させよう
大学中退者にとって就職活動は不安なことだらけです。周りと比べて落ち込むこともあるかもしれません。
中退していることで自分を卑下する必要はありません。
大切なことは、自分が納得して決めたかどうかということです。
それは後々、自分の背中を後押ししてくれる経験となります。
他人の持つイメージはあくまでも他人のイメージであり一般論です。
経歴ではなく“自分”を見てくれる人を大切にして、これからの人生を歩んでいきましょう!