大企業・大手企業から転職する場合、書類選考や面接で有利になるのか考えた人もいるのではないでしょうか?
資本金・知名度・従業員数などすべての規模が大きく、高収入と安定が約束されているのが大企業です。
しかし大企業ならではのデメリットやしがらみもあるため、中小企業やベンチャー企業に転職する人も少なくありません。
「大企業からの転職は採用担当者も一目置いてくれるのか?」
「転職するならどんな風にアピールしたらいいの?」
ここでは、そんな疑問に応えていきたいと思います。
大企業に勤務しながら転職を検討中の人は、自分のどこが武器になるのか、採用する企業がどんなことに期待するのかを把握して転職に臨みましょう。
また大企業への転職を検討している方は、こちらの記事も参考にしてください。
目次
大企業の職歴があれば転職は有利になる!
人事側に立った目線で考えると、大企業の選考を通過したことと、大企業で一定期間の経験を積んでいるのはプラスに働きます。
大企業は業界内でもパイオニア的な存在であったり、プロジェクト規模も大きかったりするので、採用する側はこれまでのノウハウを活かして活躍できるのではないかと考えるのです。
またネームバリューもありますので、企業担当者の目に留まりやすくなります。
大企業からの転職でよくある理由
大企業からの転職でよくある理由は以下の通りです。
単純に残業がきつい!
大企業は福利厚生が整っているものの、中には残業が必須になる企業もあります。
新卒でせっかく大企業に入社したものの、毎日残業続きで嫌になってしまったという方もいますよね。
働き始めたころは仕事を覚えるのに精いっぱいで、心身ともに疲れてしまうこともあります。
疲れは人を追い詰めることもあります。
「今こんな働いて何になるのかな…」と思い、転職を思い立つ方も多いです。
仕事が決まっていて自分が成長できているかわからない
大企業ほど年功序列制度が固まっている傾向にあります。
仕事が決まっていて自分が成長できているかわからないため、先行きが不安になることも多いです。
下積みの作業を振られることもありますが、若いうちにキャリアを積んでおきたいと考えている人にとっては、窮屈に感じられるでしょう。
やりたいことじゃなかった
大企業に入社したものの、やりたい職業ではなかったとの声も多いです。
せっかく今後一生続けていく職業であれば、自分のやりたいことで稼いでいきたいとだれしも思いますよね。
やりたいことを目指して、大企業を離れてやりがいを求めて転職を選ぶ方も多いのです。
大手企業からの転職が有利になる理由
大企業から転職する際に採用側はどんなところを見ているのか、どこに期待しているのか、詳しく見ていきましょう。
厳しい競争に勝った人材だからいい人材である可能性が高い
大企業や大手企業の採用においては、応募する人数も中小企業とは桁違いです。
少し古いデータですが、2016年版の就職四季報で一番人気だった「株式会社明治」の倍率は、2750倍でした。
2750人応募しても一人しか採用されないとなると、2016年度に新卒で入社した社員は優秀だと思いませんか?
もちろん年代によって人気度や倍率は変わっていくので一概には言えませんが、明治のように人気の高い大企業で働いている人の凄さが理解できると思います。
中小企業では携われない大きなプロジェクトの実績が作れる
大企業は資源や人材も十分に確保されているため、大規模なプロジェクトに携わることができます。
メディアを賑わせるようなイベント、世界的な建築物などは、主に大企業が絡んでいることが多いですよね。
ビッグプロジェクトは売上や経済効果も高く、そのためのスキルやノウハウを身につけている大企業出身者は、採用側にとって喉から手がでるほど欲しい人材でしょう。
新しい人材を招くなら、自社にはないスキルを持った優秀な転職者を雇いたいというのが、採用する側の本音です。
大企業出身の優秀な人材を取り入れることで、自社の商品・サービスの向上に役立てたり、業務の効率化を図ったりするなど多くのメリットが期待できるのです。
組織に対する理解が深いと評価される
中小企業と比べると、大企業は「経営企画・人事・財務経理・営業・技術部・物流」などのさまざまな組織から会社が形成されています。
また一つの部署もいくつかの課やグループに分かれ、本部長・部長・課長・係長などの役職クラスがあり、役職に応じて裁量や決裁権を持つことになります。
この知識と経験は、大企業に対してサービスを提案しようというときに非常に役立ちます。
あの会社の意思決定権を持っているのは誰で、そこに話をもっていくには誰を抑えておく必要があるのかというのは、大企業を経験していないと対応できません。
研修制度が整っているから第二新卒も人気
大企業であるほど時間や予算をしっかりと取って、新人研修を充実させています。
事務職でも1ヶ月〜2ヶ月程度の研修があり、営業職であれば3ヶ月ほどの研修期間が用意されているでしょう。
メーカーの技術職に至っては、1年間という長いスパンで研修を行なっている世界的な大企業も存在します。
仕事をせずとも毎月の給料を支払えるのは、大企業ならではの資金力です。
人材育成を徹底して行い、将来を担う人材に育て上げるのも、企業にとって大切な役目だと理解しているからです。
大企業出身者であれば十分な研修を受けているので、採用側も再度研修にコストをかける必要がないと判断します。
そのためすぐに即戦力として活躍できることが期待できるのです。
大企業からの転職で不利になるケース
大企業からの転職はメリットだけではありません。
以下のような理由で、大企業出身という経歴が不利になることもありますので、志望動機や退職理由をしっかりと考え転職に挑む必要があります。
ベンチャー企業では社風に合わないと判断される可能性がある
ベンチャー企業は結果に対しての評価が厳しい会社が多く、競争力や高い自己管理能力が求められます。
大企業であればネームバリューで仕事ができていたということも考えられるため、個人としての力量を評価されないこともあるようです。
また社長との距離が近いこともベンチャー企業の特徴ですが、社長が合わないと判断すると採用には至りません。
多くのベンチャー企業は社長のカリスマ性や個性が反映されていて、それが企業風土として出ています。
企業風土に合わないと、仮に入社できたとしても続けることが難しく感じてしまうでしょう。
業務の幅が狭いと判断される可能性がある
大手企業は分業化されているため、業務範囲が狭く深い知識や専門性が得られます。
それだけを考えるとメリットであるように思われますが、大企業を離れるとできる仕事の範囲が狭いと判断されるケースもあるようです。
転職先が同じような大企業であればいいかもしれませんが、中小企業やベンチャー企業では幅広い知識が求められることになります。
大企業から転職した人は業務に関して広い知識がないので、経験不足が指摘されるケースも少なくありません。
前職の待遇が良すぎるとコスト面から避けられる可能性がある
転職先の賃金を決定する際には、前職の年収を参考に提示されるケースが多いです。
大企業の収入は平均以上であり、賞与も3ヶ月、3.5ヶ月分もらっている人もいます。
しかし中小企業は、大企業のような給与を支払えません。
そうなると、あなたと同じくらいの経験年数を積んだ中小企業出身の応募者を採用してしまう可能性もあるのです。
厚生労働省による30代前半の男性を対象にしたデータによれば、企業規模でこれだけ月収が異なります。
大企業 | 平均月収31万8,400円 |
---|---|
中企業 | 平均月収27万4,000円 |
小企業 | 平均月収26万5,400円 |
大企業と中小企業でも、月々の給与に4万円以上も差があることが分かります。
これに家賃手当や社宅などの福利厚生も加えれば、大企業がどれだけ人件費にコストをかけているかが理解できるでしょう。
大企業からの転職を考えている人は、これだけのものを手放すことになってしまうということをもう一度よく考え、決断を下したほうがいいかもしれません。
参考:厚生労働省「平成29年賃金構造基本統計調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2017/dl/13.pdf¥
異職種・異業種への転職は経験を活貸せない
現在いる職種を活かさずに、異職種・異業種への転職を検討している方もいるでしょう。
自分の幅を広げたいからとチャレンジするのもいいのですが、基本的に転職では経験値を活かすものです。
職種や業種が異なると、転職先にアピール出来るものがなく、せっかくの大企業での経験をアピール出来なくなってしまいます。
異職種・異業種への転職ではなく、可能であれば競合他社への転職を検討してみて下さい。
大企業よりも条件のいい求人が見つかるチャンス
一般的には大企業のほうが給料が高いと考えられていますが、それは勤続年数を重ねた結果の生涯年収の話です。
実はあまり知られていない中小企業でも、大企業で働く同じ年齢の人よりも稼げることjもあるんで鵜s。
また中小企業の中には、大手企業よりも柔軟な考え方を持った人もいます。
特にベンチャー企業では、事業の立ち上げや企業運営に若くして携われるチャンスもあります。
大企業よりも条件のいい求人が見つかるチャンスですので、機会を逃すのはもったいないでしょう。
また大手企業に勤めていた経験を買われて、条件を交渉することも可能です。
ベンチャー企業への転職を検討しているなら、以下の記事をさんこうにしてみてください。
ベンチャー転職におすすめの転職サイト・エージェントランキング【2021年】
結果を重視されることもある
中小企業やベンチャー企業へ大企業から転職する際は、結果を残していく気があるかを重要視されます。
今後の企業の発展のために貢献してもらいたいために、採用をしている企業もあります。
大企業から転職するときの注意点
大企業から転職するときの注意点は以下の通りです。
- 元の企業に戻れない
- 収入が下がる
以下で解説していきます。
元の企業に戻れない
一度大企業から転職してしまうと、二度と元の企業に戻れない可能性があります。
大企業はいろんな人からの人気を集めていますので、欠員が出るとすぐに求人を出して補填することも。
「やっぱ俺にはあそこしかない」と大手企業に戻ろうとしても、戻れないこともざらにあるのです。
「お前が戻ってくるの待ってるからな」は信用してはいけません。
収入が下がる
一定のポストにいたりインセンティブで給与を増やしていた方は、大企業から離れることで収入が下がる可能性があります。
大企業の役職手当やインセンティブは、中小企業よりも高いことが多いです。
転職先によっては、一時的に収入が下がる恐れがありますので、注意が必要です。
大企業からの転職でアピールすべきポイントは?
「自分は大企業出身だ」という上から目線の応募者も稀にいます。
このようにプライドが高い人は、面接でも言葉の端々にそう感じられるような言葉が出てきます。
もちろん面接官はそのような態度を見逃しませんから、こんなタイプの応募者は不採用になるでしょう。
大企業出身者はどのような態度で面接に臨んだらいいのか、アピールして欲しいポイントをご紹介します。
謙虚さをアピールすることが重要
まず必ずもっておいて欲しいのが「謙虚な気持ち」です。
大企業での勤務経験はあなたの誇りかもしれませんが、転職すれば新人となるわけですので、「教えて下さい」という控えめな気持ちを持って転職に臨みましょう。
面接では、「これまでの経験を活かしながらも御社の色に染まっていきたい」というようなニュアンスも効果的。
自分が培ってきた経験とスキルを、その企業で存分に発揮したいという思いを強く伝えるようにして下さい。
退職理由はチャレンジ精神など前向きに答える
面接で聞かれるであろう退職理由ですが、採用担当者は「どうして大企業を辞めたの?」という疑問を持っています。
そこで大企業のしがらみなどを話すのはNG。
後ろ向きな理由では、「うちに入社しても何かしら嫌なところを見つけて辞めるのでは?」と思われてしまいます。
退職理由をどう答えるかによって採用の合否が左右しますので、面接官が「期待できる」と判断するような前向きな退職理由を述べましょう。
大企業からの転職は有利だが謙虚な気持ちと前向きな志望動機が必要
大企業の選考に通過した事実は転職で有利に働きます。
さらに業界をリードするような企業で経験を積んだことも、評価されるケースがほとんどです。
しかし採用する側にとっては、大企業出身者ということをマイナスに捉えるケースもあるので油断できません。
面接においては、大企業に勤めていた経験を鼻にかけるようなことは絶対にしないよう注意して下さい。
「新しい会社で一からスタートするんだ!」という謙虚な気持ちと前向きな姿勢を持って、転職に挑みましょう。