「年収と手取りは違う」ということは耳にする機会は多いと思いますが、実際どのような違いがあるか理解している人は少ないのではないでしょうか?
この記事では年収と手取りの違いと手取りを簡単に計算する方法をわかりやすく解説します。
この記事を読むと年収と手取りの違いを知ることできるため、違いがわからない方は参考にしてみてください。
目次
年収と手取りの違いとは?
上記でもお伝えしたように年収と手取りは違います。
年収が500万円と表記されていても、1年間で500万円が手元にあるわけではありません。
違いは、支給された総支給金額と実際に手元にある金額です。
税金や保険料が差し引かれる前の給与が「年収」で、実際に手元にあるお金が「手取り」です。
そして違いを詳しく理解するためには、会社から支払われるお金と控除されるお金を知る必要があります。
支払われるお金と控除されるお金について詳しくご紹介します。
会社から支払われるお金
会社から支払われるお金を理解することで、違いをより詳しく理解できます。
会社から支払われるお金は下記の通りです。
基本給:給与の基本となるお金で手当や賞与などは含まれません。
時間外手当:法定労働時間を超えた際に発生するお金で「残業代」とも言われます。時間外手当では通常賃金の125%を支払う義務があります。
家族手当:扶養している家族に応じて会社が生活を支援する目的で支給するお金です。
資格手当:業務に活かせる資格を取得した従業員に対し企業が支給するお金です。取得している資格によって支給される金額は異なります。
役職手当:役職に応じて支給するお金で役職によって一定金額が支払われます。
住宅手当:住宅に関連する補助をするために支給されるお金です。
インセンティブ:目標達成など成果を上げた社員に対して支給されるお金です。
賞与:基本給に加えて支払われるお金で「ボーナス」と言われることが多いです。
以上の給与や手当が合計された金額が「年収」として支払われます。
交通手当は実費支給となるため、年収には入りません。
会社から控除されるお金
上記でお伝えした年収から控除されたお金が「手取り」です。
そのため会社から控除されるお金を理解することで、違いを明確に把握できると思います。
会社から控除されるお金は下記の通りです。
- 健康保険料
- 雇用保険料
- 所得税
- 住民税
健康保険料
健康保険料:健康保険に加入するために控除されるお金です。
医療に関連するサービスや原則として自己負担を3割で治療を受けられたり、怪我や病気で働ける状態で亡くなった場合に手当金を受け取れます。
金額は年収と加入している保険組合によって異なりますが、会社と分割して控除されます。
厚生年金保険:厚生年金に加入するために控除されるお金です。
厚生年金保険ではなく「国民年金保険」という種類もあるのですが、会社員の場合は厚生年金保険に加入することが多いです。
決められた期間中に保険料を支払うことで、65歳になったときに年金を受け取れます。
健康保険料と同様に年収によって金額は異なります。
雇用保険料
雇用保険料:雇用保険に加入するために控除されるお金です。
決められた期間、雇用保険に加入していることで仕事を失った際に手当金を受け取れます。
金額は年収と勤めている企業によって異なります。
所得税
所得税:所得がある人が収める税金で、所得が多ければ多いほど金額は大きくなります。
住民税
住民税:1月1日に所在する住所地から課税されて支払うお金です。前年の1月1日から12月31日までの所得によって支払う金額が決まります。
年収から上記の控除されるお金を差し引いたお金が「手取り」です。
会社から支払われるお金と控除されるお金を理解できれば、年収と手取りの違いもより理解できると思います。
違いを「ある程度の理解で良い」という方は、支給された総支給金額と実際に手元にある金額と覚えておきましょう。
【2021年最新版】日本の年収の中央値は240~456万円!中央値と平均は何が違う?
手取りを簡単に計算する方法
年収と手取りは違いは少し複雑でしたが、手取りは簡単に計算できます。
基本的に手取りは年収の80%になると言われているため、ある程度の手取りは年収に0.8を掛けることで計算することが可能です。
例えば、年収が300万円の場合は「300万円×0.8=240万円」になります。年収400万円〜1,000万円の手取りは下記の通りです。
年収 | 手取り |
---|---|
400万円 | 320万円 |
500万円 | 400万円 |
600万円 | 480万円 |
700万円 | 560万円 |
800万円 | 640万円 |
900万円 | 720万円 |
1,000万円 | 800万円 |
年収だけではなく月収も同じく「月収×0.8」で計算できます。
上記のようにある程度の手取りは簡単に計算することが可能なのですが、控除される金額などは年収によって変動するため1円単位まではっきりと見出すためには複雑な計算が必要です。
30代で手取り20万円はやばい?気になる平均年収と収入アップのコツ
手取りを計算してくれるツールがおすすめ
上記でお伝えしたように年収から手取りは簡単に計算することが可能なのですが、計算してくれるツールも存在します。
年収・勤務地・扶養人数などを入力するだけで計算してくれて、上記の計算方法よりも正確な手取りを見出してくれます。
ただし1円単位まで正確に計算してくれる保証はありませんので、あくまで参考程度にしてください。
Googleなど検索エンジンで「手取り計算ツール」と検索すると、さまざまなツールが出てきます。
そして計算しやすいツールを利用してみてください。
年収と手取りの使い分け
年収と手取りの違いは理解しても、「使い分けが難しい」と感じている方は多いと思います。
「年収を聞かれているの?手取りを聞かれているの?」と悩むことがあると思うので、使い分けを「友人・結婚・同窓会・転職活動」3通りに分けてご紹介します。
友人と会話する場合
友人と会話する場合は年収と手取り、どちらを使っても正解で「使い分ける」という意識をしていなくても問題はないと思います。
さらに、友人と会話する場合は「年収が〇〇円」「手取りが〇〇円」と金額を伝える前に、年収なのか手取りなのかを伝えると使い分けは不必要です。
ただし手取りの方が生々しい金額になってしまうため、あまり親しくない友人には年収を使うことをおすすめします。
結婚する場合
結婚すると一緒に生活をしていくためお互いの給与を確認し合うと思います。
その場合は「手取り」を使うようにしてください。
結婚において大切なことは実際に使えるお金です。
年収が高くても手取りが少ないと、生活できません。
そして相手に年収を伝えると、実際に使えるお金を知ったときに「少ないな…」と感じてしまうことが多いです。
そのため初めから手取りを伝えるようにしてください。
同窓会の場合
社会人になると中学・高校の同窓会に参加する機会が増えると思います。
同窓会には社会人になってもつながりがある友人から関係性の薄い方まで参加していると思うのですが、つながりのある友人には上記でお伝えしたようにどちらを使用しても問題ないです。
注意が必要なのは同窓会でしか会わない関係性の薄い方です。
関係性の薄い方に給与を聞かれるということはネットビジネスの勧誘などが考えられるため、年収も手取りも誤魔化すことをおすすめします。
年収と手取りを使い分けるだけではなく、「言わない」という選択肢も持っておくことが大切です。
転職する場合
転職する場合は年収を伝えるようにしてください。
基本的に就職・転職する際の給与は全て年収で記載されているため、「給与=年収」という認識が浸透しています。
そのため手取りを伝えてしまうと、相手とのすれ違いが生じます。
転職において給与はとても大切な項目だと思います。
すれ違いを生じさせないためにも、転職する際は年収を使うようにしてください。
転職活動をする際は年収と手取りの違いに注意が必要
年収と手取りの使い分けで最も注意しなければいけないのが、転職活動です。
いくつかの注意点をおさえておかなければ、希望通りに転職できません。
転職する際は下記の注意点をおさえるようにしてください。
求人には手取りではなく年収が掲載されている
1つ目の注意点が「求人には年収が掲載されている」ということです。
上記でもお伝えしましたが、転職する際の求人には「年収」が掲載されています。
そのため「年収650万円」と掲載されていても、650万円が手取りではありません。
求人の手取りを知りたい方は、掲載されている年収に0.8を掛けてください。
転職業界において求人に掲載されているのは、「年収」という認識が浸透しているので注意してください。
希望給与額は年収を伝える
2つ目の注意点が「希望給与額は年収を伝える」ということです。
転職する際は企業側に転職者側が希望する給与を伝えられるのですが、その場合も年収で伝えるようにしてください。
もし手取りで400万円欲しいと考えている場合は、500万円を希望する必要があります。
希望する給与額を手取りで伝えてしまうと転職後に条件の違いが生じるため、注意してください。
前職の給与額は年収を伝える
3つ目の注意点が「前職の給与額は年収を伝える」ということです。
何度もお伝えしていますが転職業界では「給与=年収」という認識になるため、前職の給与額は年収で伝えるようにしてください。
前職の年収によって転職後の給与が決められることもあるため、注意してください。
年収と手取りの違いを理解しよう
この記事では年収と手取りの違いをお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
「年収」は支給された総支給金額で、「手取り」は実際に手元にあるお金です。
そして手取りは年収に0.8を掛けることで簡単に計算できます。
また簡単に計算できるツールもあるので、利用してみてください。
年収と手取りを違いを理解して、TPOに沿った使い分けをしましょう。