テレビなどでプロ棋士の対局が放送されていたり、藤井聡太棋士がデビュー戦から無敗の29連勝を成し遂げたこともあり、「平均年収ってどれぐらい?」と気になっている方は多いのではないでしょうか?
この記事ではプロ棋士の平均年収と年収の内訳を解説します。
プロ棋士になる方法や年収を上げる方法などもご紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
プロ棋士の平均年収はどれぐらい?
プロ棋士の平均年収は650万円〜800万円と言われています。
日本の平均年収は450万円と言われているため、平均よりは高いです。
しかしプロ野球選手やプロサッカー選手に比べると平均年収は低く、プロ野球選手は3,500万円〜4,000万円で、プロサッカー選手は2,000万円〜2,200万円と言われています。
プロ棋士の平均年収はプロの世界では低いですが、1億円近い年収を稼ぐ方も存在します。
トッププロの年収ランキング
プロ棋士の平均年収は650万円〜800万円と言われているのですが、メディアなどでも取り上げられるトッププロの年収は平均を大きく上回ります。
トッププロの年収は下記の通りです。
賞金金額 | 棋士 | |
---|---|---|
1位 | 7,157万円 | 豊島将之名人 |
2位 | 6,984万円 | 渡辺明三冠 |
3位 | 6,514万円 | 渡辺明三冠 |
4位 | 4,678万円 | 永瀬拓矢二冠 |
5位 | 3,999万円 | 羽生善治九段 |
6位 | 3,687万円 | 佐藤天彦九段 |
7位 | 3,209万円 | 木村一基王位 |
8位 | 2,178万円 | 久保利明九段 |
9位 | 2,108万円 | 藤井聡太七段 |
10位 | 1,868万円 | 斎藤慎太郎七段 |
上記の金額は対局料と獲得賞金年収です。
そのため講演会やメディアへの出演料などは含まれていません。
対局以外の収入も加算すると、年収は1億円近い数字になると思います。
【2021年最新版】日本の年収の中央値は240~456万円!中央値と平均は何が違う?
プロ棋士の年収の内訳
プロ棋士の年収は大きく「対局料」「賞金」「将棋教室・指導」「メディアの出演料」4つに分けられます。
年収の大部分を占めるのは対局料と賞金ですが、将棋教室やメディアの出演料で年収を上げている方も存在します。
プロ棋士の年収の内訳を詳しくご紹介します。
対局料
対局料とは、対局することでもらえるお金です。
対局料は公式に発表されていないのですが、名人戦では名人に1,050万円、挑戦者に450万円と言われています。
以前はプロ棋士に対して基本給が支払われていたのですが、現在はリーグ戦で保証されている対局数によって支払われる対局料が代わりになっています。
勝てば勝つほど対局できるため、強いプロ棋士は多くの対局料をもらうことができる仕組みです。
賞金
賞金は言葉の通りで、対局に勝つことでもらえるお金です。
将棋には大きく8つのタイトルがあり、そのタイトル戦を勝ち抜くと高額な賞金がもらえます。
タイトルの賞金は下記の通りです。
竜王戦 | 4400万円 |
---|---|
名人戦 | 2,000~2,500万円 |
叡王戦 | 2,000~2,200万円 |
王位戦 | 1,000~1,200万円 |
王座戦 | 700~1,000万円 |
棋王戦 | 700~1,000万円 |
王将戦 | 400~500万円 |
棋聖戦 | 650~750万円 |
タイトル戦の賞金は竜王戦以外は公表されていません。
そのため竜王戦以外は優勝されたプロ棋士の獲得賞金から推測された金額です。
上記のタイトル以外にも高額賞金がもらえるものはあり、「朝日杯将棋オープン戦」が700~1,000万円、「新人王戦」が200~250万円と言われています。
将棋教室・将棋の指導
対局料や賞金で十分な年収がもらえないプロ棋士は将棋教室や将棋イベントに参加して指導することでお金をもらいます。
将棋教室は規模によって異なりますが、月収10万円程度が相場だと言われていて、指導は1回あたり3万円〜4万円が相場だと言われています。
平均年収を下回る方の内訳は、将棋教室や指導が年収の多くを占めています。
メディアの出演料
トッププロといわれる棋士になると、メディアへ出演することでお金をもらえます。
テレビ番組や講演会に呼ばれるプロ棋士になると、年収は1,000万円を超えているでしょう。
メディアの出演料は年収の一部分かもしれませんが、内訳の1つです。
プロ棋士として年収を上げる方法
プロ棋士として年収を上げる方法は大きなタイトルで勝ち抜くことです。
大きなタイトルで優勝することができれば、上記でお伝えした賞金を獲得できます。
さらに対局で勝ち続けると対局料も上がりますし、対局する回数も増えます。
またプロ棋士としての知名度も高まるため、メディアへの出演依頼や将棋教室での単価も高くなります。
しかし、プロ棋士の中で年収が1,000万円を超えているのは、約1割程度と言われています。
プロ棋士として年収を上げることは難しく、相当な努力が必要になると思います。
プロ棋士になるためには?
将棋をしている人口は約500万人と言われているのですが、プロ棋士は約150人ほどしかおらず、プロ野球選手やプロサッカー選手よりもなることが難しいです。
そんなプロ棋士になるためには、どうすれば良いのでしょうか?
1,000万円以上の年収も夢ではないプロ棋士になるための方法をご紹介します。
①日本将棋連盟「奨励会」に入会
プロ棋士になるためには、まず日本将棋連盟の「奨励会」に入会する必要があるのですが、簡単なものではありません。
入会するためには試験に合格する必要があり、合格率は30%〜35%と言われています。
さらに受験するためにはプロ棋士からの推薦をもらうか、プロ棋士の弟子になる必要があります。
また満19歳以下しか試験を受けることができません。
これほど奨励会に入会することは難しく、実際に約170名しか在籍していません。
奨励会に入会する方の多くは小学生〜中学生で高校生の受験者は少ないです。
②奨励会で勝ち抜く
奨励会に入会することでプロ棋士になれるわけではありません。
奨励会に入会すると6級から始まり、それそれのクラスで規定以上の成績を上げるとランクアップします。
奨励会では三段までランクアップすることが可能で、四段からプロ棋士と言われます。
四段になるためには三段だけで行われるリーグ戦で上位2人までに入る必要があります。
リーグ戦は半年に1回行われるため、1年間で4人しかプロ棋士になれません。
そして26歳までに四段になることができなければ、奨励会は退会となってしまいます。
例外でプロ棋士になれることもある
プロ棋士は奨励会に入会するルート以外でも目指せます。
しかし、これまでに2名しかいないため異例の方法です。
異例の方法でプロ棋士になるためには、アマチュアの大会で活躍して「プロアマ交流戦」でプロ棋士を相手に好成績を残す必要があります。
そしてプロ棋士になるため日本将棋連盟に嘆願書を提出します。
その嘆願書が認められると、プロ編入試験を受けられます。
実際に異例の方法でプロ棋士になった「瀬川晶司棋士」は試験で勝ち抜きプロ棋士になりました。
プロ編入試験を受けられる条件などは定められていませんが、圧倒的な実力と実績が必要です。
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平均年収の高いプロ棋士ならではの辛いこと
プロ棋士の年収は日本の平均よりも高く、年収1,000万円以上を目指せる職業です。
「将棋をするだけで平均よりも多い年収をもらえていいな…」と思われる方は多いかもしれませんが、プロ棋士にはプロ棋士ならではの辛いことがあります。
プロ棋士ならではの辛いことをいくつかご紹介します。
対局で勝てないと年収が上がらない
上記でもお伝えしましたがプロ棋士の年収は対局料と賞金で大部分が決まります。
多くの対局をしてタイトル戦でも優勝できれば年収は必然的に高くなりますが、対局で勝てない場合は平均年収を下回ります。
実際に対局で勝てないプロ棋士の年収は300万円〜400万円と言われていて、日本の平均年収よりも低くなります。
プロ棋士は夢のある職業なのですが、実力がなければ年収は安定しない辛さがあります。
勝てないとアルバイト・将棋教室で忙しい
勝つことができるプロ棋士は対局だけで年収が1,000万円を超えます。
しかし勝てないプロ棋士はアルバイトや将棋教室を頻繁に行う必要があり、対局しかしていないプロ棋士よりも忙しい日々を過ごします。
プロ棋士はプロになってもアルバイトや将棋教室で忙しい日々を過ごす覚悟が必要です。
そして忙しい日々を過ごしても、年収は300万円〜400万円と言われています。
体への負担が大きい
プロ棋士は長時間、座布団に座ったまま対局するため肩や腰が痛くなりやすいです。
年齢が若いうちは辛いと感じるほどではないと思うのですが、年齢を重ねるごとに体の不調を感じるプロ棋士が増えます。
正座の姿勢は血行不良になりやすく、体への負担は大きいです。
トッププロの羽生善治棋士もスポーツ選手がなる「アキレス腱の炎症」を抱えています。
肩や腰以外にも目に疲労を感じる方も多く、体への負担が大きいことはプロ棋士ならではの辛さです。
プロ棋士になることは難しいが「夢」がある
この記事ではプロ棋士の年収についてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
プロ棋士の平均年収は650万円〜800万円と言われていて、日本の平均年収よりも200万円〜300万円高いです。
さらに年収1,000万円以上のプロ棋士も存在します。
プロ棋士になることは極めて難しいですが、2019年の最高獲得賞金は「7,157万円」と夢のある職業です。