会社を退職することで「失業保険」を受け取ることが可能です。
しかし「転職する」という自己都合で退職した場合は、「失業保険はもらえるのかな?」と疑問に感じている方は多いのではないでしょうか?
この記事では自己都合の失業保険について解説します。
会社を退職してから転職を始めるべきなのかもご紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
失業保険とは?
そもそも失業保険とは、会社を退職したことで受け取ることができる手当のことを指します。
正式には「雇用保険」と言われる公的保険制度の一種で、退職前の勤務先で雇用保険に加入している必要があります。
受け取ることができるのは、退職理由・雇用保険の加入期間・年齢・給与など条件によって1人1人異なります。
特に退職理由によって受け取ることができる失業保険が異なるので、自己都合と会社都合について詳しくご紹介します。
自己都合と会社都合の違い
失業保険は大きく自己都合と会社都合に分けられます。
一般的に多くの退職が自己都合に該当します。
自分が希望する企業に転職することは自己都合になり、結婚や介護が理由で退職する場合も自己都合です。
会社都合は経営破綻や経営状況の悪化に伴う人件費削減によって、一方的に労働契約を解除されることを指します。
また何かのハラスメント被害を受けた場合などに、自分の意志に反して退職を余儀なくされたケースも該当します。
そして退職理由によって「支給されるまでの期間・支給日数・最大総支給額」が異なります。3つの違いは下記の通りです。
(※下記の表は「20代・年収400万円・勤続年数5年と仮定する)
自己都合
支給されるまでの期間:7日+2カ月後
支給日数:90日
最大総支給額:54万9,900円
会社都合
支給されるまでの期間:7日後
支給日数:120日
最大総支給額:73万3,200円
このように退職理由によってさまざまなことが異なります。
自己都合で失業保険を受け取るメリット
転職を理由で退職した場合は自己都合に該当します。
自己都合のメリットは、退職理由を記載する必要がないということです。
「一身上の都合」と記載すれば、退職した理由を問われることなく失業保険を受け取れます。
会社都合の場合は深く退職理由を追及されるため、一身上の都合で済ませられることは自己都合のメリットになるでしょう。
自己都合退職で失業保険を受け取る条件は?受け取るまでの手順と注意点を解説
自己都合で失業保険を受け取るデメリット
自己都合のメリットは1つだけでしたが、デメリットは大きく3つあります。
退職してから転職を始めようと考えている方は、下記でお伝えするデメリットをしっかり把握することをおすすめします。
失業保険を受け取れるまでの期間が長い
自己都合の失業保険では、受け取れるまでの期間が長いです。
失業保険を受け取るためには「ハローワーク」へ申請する必要があり、申請してから7日間の待機期間があります。
自己都合の場合は7日間に加えて、2カ月間の待機期間が設けられます。
そのため最速でも申請してから2カ月と7日後に受け取るということになります。
待機期間が長くなってしまうため、転職中の生活費を失業保険で補うことはできません。
2カ月後には転職先が決まっていることも考えられるため、受け取らずに終わる可能性も考えられます。
失業保険を受け取れる期間が短い
自己都合の失業保険では、受け取れる期間が短いです。
上記でもお伝えしたように自己都合では90日間、会社都合では120日間になり、約1カ月の違いがあります。
1日あたりに受け取れる支給額は平均6,000円になるため、1カ月で約18万円の違いが生じます。
この違いは自己都合のデメリットになるでしょう。
最大で受け取れる総支給額が少ない
自己都合の失業保険では、最大で受け取れる総支給額が少ないです。
その理由は受け取れる期間が短いからです。
また年齢や給与によって1日あたりに受け取れる支給額は異なるため、90日間が経過するまでに最大支給額に到達してしまうかもしれません。
転職先はいつ決まるかわからないため、転職先が決まるまでに到達することも考えられます。
最大支給額が少ないことは、自己都合のデメリットになるでしょう。
特別理由離職者の場合は自己都合でも制限がない
自己都合は会社都合よりもデメリットが多いとお伝えしました。
しかし「特別理由離職者」に該当する場合は、会社都合同様の失業保険を受け取れます。
特別理由離職者に該当する退職理由は国が定めていて、下記の通りです。
- 契約社員などで有期の雇用契約が満了し、希望しても更新されなかった
- 両親の死亡や介護等、家庭の事情が急変した
- 病気や心身の障害など健康状態が悪化した
- 結婚や事業所の移転などの理由により通勤が困難になった
- 人員整理等による希望退職者の募集に応募した
- 配偶者や親族との別居を続けることが困難になった など
上記の理由に該当する場合は、ハローワークに申請するときにその旨を伝える必要があります。
退職するのではなく働きながらの転職がおすすめ
転職は自己都合になるため、2カ月と7日間の待機期間が設けられます。
その他にもデメリットがあるため、退職するのではなく働きながら転職活動を進めることをおすすめします。
働きながら転職活動を進めることで、「待機期間の生活費はどうしよう…」などと失業保険を気にする必要がなくなります。
実際に転職を成功させている7割以上の方が、働きながら転職活動を進めているため、無理に退職してから転職する必要はないです。
そして働きながら転職活動を進めることは他にもメリットがあります。
焦る気持ちを抑制できる
働きながら転職することで、焦る気持ちを抑制できます。
もし退職してしまうと、無職の状態で転職を行う必要があります。
その場合は「1日でも早く転職先を決めなくては…」と焦る気持ちが出てきます。
少しでも早く転職先を決めようとする気持ちは大切なのですが、焦ってしまうとミスマッチを起こしてしまい、転職したことを後悔してしまいます。
実際に転職を後悔している方の多くは、情報収集を怠り転職先を決めることに急いでしまっています。
転職を成功させるためにも、働きながら転職を行うことが大切です。
「転職しない」という選択肢を持てる
働きながら転職することで、「転職しない」という選択肢を持てます。
転職を考える理由は人間関係やキャリアアップなどさまざまあると思いますが、転職中に気持ちが変わることがあります。
もし転職中に昇進の話があると「転職しなくても良いか」と気持ちは変わると思います。
そのため転職中でも「転職しない」という選択肢を持っておくことは大切で、気持ちにも余裕が生まれます。
働きながら転職を成功させるコツ
失業保険の関係から働きながら転職することをおすすめしましたが、「働きながらでも成功するのかな…」と不安を感じている方は多いと思います。
そこで働きながらでも転職を成功させるコツをいくつかご紹介します。
せっかくの転職を成功させるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
即戦力で働けることをアピールする
中途採用で企業が求めるのは、即戦力で働ける人材です。
そのため即戦力で働けることをアピールすると、働きながらでも転職は成功します。
最も効果的なアピール方法が、今までの実績を具体的に伝えることです。
人事は面接の場だけで即戦力で働けるのか判断する必要があるため、具体的な成績を判断材料としています。
例えば、「営業部署50人の中で6カ月連続、制約数1位でした」とアピールできると、ほとんどの人事が「即戦力で働ける」と判断すると思います。
具体的な数字と直近の成績をアピールすると、より効果的です。
効率的に時間を使う
働きながら転職することは、転職に割ける時間が必然的に少なくなります。
その状況で転職を成功させるためには、効率的に時間を使うことが大切です。
例えば、通勤時間で求人を検索してみたり、入浴中に自己PRを考えてみたり、意外にも転職に割ける時間はあると思います。
しかし、睡眠時間は削らないようにしてください。
睡眠時間を削ってしまうと、仕事も転職もうまくいかないことが多いです。
今まで通りの睡眠時間で効率よく時間を使うことを意識してみてください。
転職エージェントを活用する
働きながら転職を成功させるためには、転職エージェントを活用することが大切です。
転職エージェントとは、無料で転職に関するサポートをしてくれるサービスです。
転職サイトとは異なるサービスで、求人紹介から面接対策、キャリアプランの形成まで転職に関することは幅広くサポートしてくれます。
またサイトに公開されない「非公開求人」にも応募できるようになるため、転職先の選択肢が広がります。
しかし国内に転職エージェントは数多くあるため、「どのサービスが良いんだろう?」と悩まれると思います。
転職エージェントに悩んだ場合は、下記のサービスを参考にしてみてください。
上記の転職エージェントは業界最大級の規模を誇るため、サービスの質や求人数には満足できると思います。
転職エージェントは併用することが可能なので、気になるものがあれば登録してみてください。
失業保険を自己都合で受け取ることはおすすめしない
この記事では自己都合の失業保険についてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
自己都合でも失業保険を受け取ることは可能なのですが、さまざまな条件が決められていて、会社都合よりもデメリットが多いです。
そのため転職を考えている方は、退職するのではなく働きながら転職することをおすすめします。
特に金銭面で不安を感じている方は、働きながらがおすすめです。
そして上記のコツを参考にして、働きながらでも希望通りの転職を成功させましょう。