上司に食事に誘われてしまった。これは断るとどうなってしまうの?
ブス!といきなり職場の管理職に言われた。
手をいきなり握ろうとしたり、足を触ろうとして来る。
上司のPCのデスクトップが女性の裸の写真で、物凄く不愉快だ!
日本企業は基本的にはセクハラ大国なので、女性が働いていると日常的にセクハラが起こるといっても過言ではありません。
その辛い気持ち、よく分かります。
特に年配の管理職の方には、セクハラの意味が全く理解できていない方がたくさんいらっしゃいます。
今回はセクハラのトラブルに遭遇してしまった際に、どのように対処するのかを具体的に解説いたします。
少し長くなりますが、最後までお付き合いくださいね。
目次
見過ごしてない?実際にあったセクハラの具体例
セクハラには様々な類型がありますが、男性が女性に対して職務上の権力を背景にしたセクハラが最も多いケースとして報告されています。
無自覚なセクハラというものもあります。
実際にあった、具体例を挙げます。
とある営業所(仮に今回は、営業所Aとします。)で、男性の部長と課長と係長、そして女性の部下が5名いる部署がありました。
営業所Aでは、日常的にセクハラがあったわけではありませんでした。
営業所Aでは社内でも美人で有名なKさん(仮名です)という女性社員さんが事務処理をしてくれていました。
そして、ここからが問題の核心になるわけですが、管理職の男性陣が女性社員5名の中で、Kさんだけを食事に誘います。
Kさんには彼氏もいますし、いくら仕事上の付き合いとはいえ、なぜ自分だけが食事に呼ばれるのかを理解していませんでした。
相手が管理職なので、断るのも怖いので、毎回食事会に参加していました。
これが後にとんでもないトラブルを招きます。
上司に悪気がなくてもセクハラで退職に追い込んでしまう
人事考課をつける時期が来ました。
食事に誘われているKさんだけが、なんと人事考課では最高評価のS評価。
男性の部長、課長、係長の三人が付けた評価です。
人事考課がSになると、賞与がプラス10万円となります。それだけでなく、いきなり班長に昇格してしまいます。
Kさんの仕事内容は他の女性4名と特筆して変わるわけではありませんでした。
にも拘らず、食事に誘われなかった女性社員4名の評価はB評価とC評価です。
これはいくらなんでもおかしい、と人事考課表を見て、勘の鋭い人事部長が営業所Aの3人の男性管理職を本社に呼び出しました。
「なぜKさんだけが最高評価で、仕事内容が大きく変わらない他の女性社員4名がB評価とC評価なのか。理由を言え!」と人事部長が問いかけました。
「Kさんは美人だし、よく食事に付き合ってくれて、仕事も懸命にしてくれているからだ。本当にいい女だよ」
「本当にいい子なんだ!娘にしたいくらい!」
「いるだけで楽しい雰囲気になる子なんだよ!」
男性管理職3人が答えました。
このあたりで、人事部長が大声で管理職3人を叱りつけました。
「こんなことされたら、Kさんは会社に居づらくなる!そんなこともわからんのか!?バカも休み休みにしろ!」
その後、Kさんからも人事に相談がありました。
「他の女性社員からイジメられていて、退職したい。どうしたらよいかわからない。食事に誘われるのも苦痛で、もう嫌です。辛いです。辞めます!訴えます!」という内容の相談でした。
これが管理職の権力を後ろ盾にした、セクハラです。
本人に自覚がないだけに、タチが悪いのです。
確かに性的な要求などはしていませんが、美人だから、付き合いが良いからというだけで男性社員が特定の女性社員だけを食事に誘い、挙句にS評価をその美人の女性社員だけにつけるという始末です。
上司からの食事の誘いなので、Kさんは食事を断れません。
しかも、他の女性社員の人事考課は、Kさん以外を飲み会に誘ってもいないのに、「付き合いが悪いから」という理由だけでB評価やC評価にしてしまう。
女性社員ほど、男性社員からの目線や周囲の評価に敏感です。
Kさんがどれほど辛い思いをしたのかは想像を絶するものがあります。
発覚後の対処も大変
この事件、後程、会社の経営陣に耳にも当然入ることになり、男性管理職3名は全員半年間、減俸処分となりました。
人事部から、Kさんの同僚の女性社員には全員に事件の経緯について説明もしました。
しかし、Kさんは退職してしまいました。
退職時に、Kさんの退職金に200万円の上乗せ払いをして、訴訟は免れましたが、上場企業なので、ニュースになっていてもおかしくないレベルのセクハラでした。
汚い話ですが、退職金に上乗せした200万円は口止め料でした。
本当にお粗末な話ですが、上場している大企業であってもこのような話は枚挙にいとまがありません。
その度に、人事が暗躍して世間に出ないようにしているのが実情です。
これもセクハラです!妊娠したら、契約期間を減らされた!
妊娠が発覚した契約社員の方がいらっしゃいました。
おめでたいことで、これはハッピーな話で終わるべき出来事でした。
しかし、現場の課長のコンプライアンス意識のなさから、労働局が介入してくる事件に発展しました。
妊娠が分かったから、いままで1年間契約で契約更新をしてきたのに、契約期間を半分にしてしまったのです。
現場の課長なりの判断だったのかも知れませんが、そんな権限を現場の課長レベルに持たせるような会社はありません。
人事に相談することなく、勝手に契約期間を半分にしてしまいました。
女性契約社員のご主人様が、烈火のごとく怒り、労働局へ通報しました。
当然のことですが、妊娠を条件とした労働条件の悪化は法律では絶対に認められていません。
会社は労働局からの立ち入り検査を受け、契約期間を1年契約に戻すことで事なきを得ましたが、もしも妊娠した女性のご主人様が怒っていなければ女性契約社員の方は泣き寝入りするところでした。
このように人事ではなく現場が勝手に無断で契約更新をすることもあります。
必ず人事に相談するようにして下さい。
人に関する責任は、全て人事が最終決定権を持っています。
これは社会的に見ておかしい!ということに巻き込まれたら、人事に相談するようにして下さい。
そのために人事がいます。
事業所内で性行為に及ぶ…これも周囲に対するセクハラです。
これは女性側、男性側どちらにも非がありますが、会社内で性行為に及んだ場合には懲戒解雇になります。
最近のスマホのアプリのゲームサイトでは、チャット機能が搭載されており、その社員同士は、ゲーム内で連絡を取り合い、会社内で性行為に及んでいました。
他の従業員が目撃したので、それを人事部に報告されたいうことです。
周囲に対する悪影響には凄まじいものがありました。周囲に対するセクハラです。
セクハラにあったときはどうすべきか
セクハラにあったときには、まず、会社の人事または総務に話をするようにして下さい。
特にここがポイントですが、女性の人事部員または総務部員がいるなら、女性の社員に相談するようにして下さい!
男性の人事はセクハラに敏感ではありません。
大きなことになってからでないと動けないし、どう動いてよいかわからないのです。
女性の人事総務ならばこの手の話に敏感ですし、上手く人事を動かしてくれます。
男性の人事総務の社員よりも、女性の人事総務の社員の方が、セクハラに対するアンテナの感度が高いです。
退職の準備をする際の注意点
もうどうしてもセクハラが辛くなってしまい、会社に行くこと自体が辛くなってしまった場合でも、必ずセクハラの証拠を集めるようにして下さい。
具体的にはボイスレコーダー、セクハラをしている社員の名前やされた時間や行為などを手書きのメモ帳でも良いので、必ず記録するようにして下さい。
それがそのまま証拠になります。
セクハラの判定は、セクハラを受けた側の主観で決定します。あなたがセクハラだと思えばそれがそのままセクハラになります。
退職理由はどう説明すべきか
直属の上司に話しづらいし、セクハラは権力を背景にしたセクハラが非常に問題となっています。
上司がセクハラの主体になってしまうということも多いです。
つまり、上司には相談しにくいということになります。
退職理由は、正直に「セクハラにあった。このようなことをされては会社を続けることが出来ない」と信頼できる人に相談するようにして下さい。
その相談を受けた方が、人事に連絡を入れてくれて、最悪の事態を防いだということはたくさんあります。
悩んだ時に、「この人だけは信頼できる人だ」という人を作っておけば、不測の事態に巻き込まれたとしても安心です。
大企業などではコンプライアンス対策室などが設置されていますが、コンプライアンス対策室や人事総務そのものがない中小企業ではどのようにすれば良いのかが問題です。
このような場合には、労働基準監督署にまずは相談に行ってください。
全国の労働基準局の長には、セクハラに対して助言や指導を行う義務があります。
これを無視すると、会社は社名公表などの憂き目に遭うので、必ず問題解決に動きます。
最近では女性の労働基準監督官も活躍しております。
男性の労働基準監督官には相談しにくくても、女性の労働基準監督官であれば相談しやすいですよね。
特に女性の労働基準監督官は強いプレッシャーを企業に対してかけてくれます。
1人で悩みを抱え込まないで下さい。
必ず味方が現れます。
セクハラで退職をすると転職で不利になるのか
退職理由を問い合わせるような会社は、ほとんどありません。
私が8年間人事をしてきて、転職した社員が以前、転職前の会社でどのような仕事ぶりだったのかや退職理由は何だったのかを聞いてくるような会社は1社から2社でした。
8年間で1社から2社です。
本当にたまに「頼むから教えてください!」というような電話が入ることがありますが、答えることはあり得ません。
なお、そのような問い合わせが来てもいまは個人情報保護法があります。
答えた側が罪に問われます。
「個人情報保護法の関係でお答えすることができません。申し訳ないが、回答はご容赦ください」とまともな企業の人事部ならば答えます。
ほぼ99%、転職先にわかることはありません。
むしろ、そんな会社だったら入らなくてラッキーだった。とこう思った方が心の安定に役立ちます。
採用する社員の未来に期待して採用をするべき企業が、その転職希望者の過去のことを根掘り葉掘り知ろうとしようとするなど、言語道断の行為です。
全くをもって、信用に値しない会社がそのような行為に及びます。
採用とはその人を信用して、一緒に同じ会社で働きたい!という強い意志で行うものです。
社員の採用という重大な決断を他の会社に問い合わて、その答え次第で変えようなどどいう会社には、未来はありません。
慰謝料を請求することはできるか
慰謝料は請求可能です。むしろ、訴えられて会社の評判に傷を付けられるくらいならば、お金はいくらでも払うという経営者も多いので、ケースバイケースですが、200万円ほどは請求して、しっかり慰謝料を貰うようにして下さい。
但し、あまり大きな金額を受け取ると税金などが大きくかかってしまいます。
慰謝料は退職金に上乗せしてもらうようにして下さい。
退職金がない場合でも、退職金扱い(退職所得扱い)で支給してもらうようにしましょう。
勤続年数に応じて非課税限度額が決まっていますので、その非課税限度額まで請求するというのがベターです。
勤続20年以下の場合には、非課税限度額は、勤続1年につき40万円です。なお、1年6ヶ月などのように端数の月数がある場合には、端数月を1年としてカウントします。
1年6ヶ月勤務した場合には、2年の勤続扱いになりますので、40万円×2年=80万円まで非課税となります。
この限度額を目安に、請求をするようにして下さい。
セクハラで泣き寝入りすることのないように毅然とした態度で請求するようにして下さい。
正当な権利です。
セクハラで悩まれている方が、救われることをお祈りしております!