コンプライアンスを遵守していない会社は、残念ながらあります。
そのような会社に就職してしまうと、いち早く辞めて別の会社への転職が必要です。
コンプライアンスに違反している会社に長くいると、身体だけでなく精神的にも不調をきたしてしまい、長く休養が必要な状態になってしまうこともあります。
そこでこの記事では、コンプライアンス違反の会社を退職する時の注意点を中心に解説します。
目次
会社のコンプライアンス違反ってそもそも何?事例を紹介
「コンプライアンス遵守」という言葉を聞いたことがあっても、実際にコンプライアンスが何を指しているのか知らないまま過ごしていて、自分が勤める会社がコンプライアンス違反に触れていることに気づいていない人もいます。
コンプライアンス違反とは、正当な理由なく賃金の支払いがない。過労死するほどのサービス残業・セクハラ・雇用差別・脱税など、法律を守らない会社運営をしていることを指します。
コンプライアンス違反とわかっていても、違反になるような業務命令をしてくる上司・会社にしか利益がなくても従業員に指示に従わせるなど、ブラック企業とも呼ばれています。
ここでは実際のコンプライアンス違反事例を紹介します。
賃金の支払がない
コンプライアンス違反で多く聞かれるのが、サービス残業など働いた分の正当な賃金を受け取れないケースです。
また残業代だけでなく、悪質になると給与の支払いがされないこともあるようです。
残業代も含めきっちりと働いた分の給与を支払ってもらえないという、コンプライアンス違反をしているしている会社もまだまだ存在しています。
過労死
過労死になるほどの長時間労働が常習化している会社も、コンプライアンス違反です。
長時間のサービス残業をするように半ば強制のようなことを言い残業させて、労働協定で決められている労働時間を大幅にオーバーした結果、過労死やうつ病を発症する事件がありました。
法定労働時間を超える労働時間の会社は、法令違反となります。
セクハラ
セクハラやパワハラなどの言葉は、近年耳にするようになりましたが、これもハラスメントに対する対策を疎かにしていると安全配慮義務違反となります。
性的な発言・冗談を言う、性的な関係を強要する、必要なく身体に接触する、執拗にデートや食事に誘うなど、ひとえにセクハラと言ってもさまざまなことが抵触します。
セクハラは以下のように定義されています。
- 職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること
- 性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること
雇用差別
労働者の性別や国籍・社会的身分によって、賃金・労働時間・労働条件の差別をするのは禁止されています。
特に女性の給与が男性と比べて上がりにくい環境や、外国人労働者の賃金を低くするなど雇用差別を行っている会社もあります。
意図的でなくても、業務や選考過程で差別と捉えられてしまい問題になったケースも発生しています。
脱税
あってはならないことですが、会社が納めるべき税金を納めないコンプライアンス違反をしている会社もあります。
実際にはない経費を計上し、収める税金をごまかすことです。
また粉飾決済など実際の売上よりも多くを記載し、銀行融資を不正に受ける事例もありました。
粉飾決済後に不正融資を受けその後破産手続きをした社長は、融資金搾取容疑で逮捕されています。
コンプライアンス違反のある会社を辞めることは可能
さまざまな事例のコンプライアンス違反を紹介しました。どの事例においても、コンプライアンス違反が露呈すると、会社の信用が失墜するため会社にとって大きなダメージとなります。
しかし残念ながらコンプライアンス違反をしている会社は、まだあります。
このような会社はコンプライアンス違反を理由にやめることは可能です。
その際に違法な長時間残業に伴う賃金未払いなどの証拠があれば、支払い請求を行うことも可能です。
コンプライアンス違反のある会社を退職するときの注意点
コンプライアンス違反をする会社に長期間いると、心身共に疲弊してしまい転職する意欲もなくなってしまう人がいます。
そうならないようにするためには、コンプライアンス違反に気づいたらすぐに転職活動をすることをおすすめします。
ただそのような会社で退職しようとするときには、さまざまな注意点に気を付けなければいけません。
そこでここではコンプライアンス違反のある会社を退職するときの注意点を紹介します。
上司に引き止められる可能性がある
コンプライアンス違反をするような会社は、慢性的な人材不足となっていることも多いため、退職を申し出ると理不尽な理由をつけて退職させないようにしてきます。
中には、パワハラともとれる方法で退職を阻止させてくる会社もあります。
強い引き止めにあったとして退職意思は変わらないこと、必要とあればコンプライアンス違反について追及すると、引き留めもやむかもしれません。
コンプライアンス違反を上に指摘すると退職前に解雇になる可能性も
退職時にコンプライアンス違反を指摘すると、解雇扱いになる可能性もあります。
退職を申し出ても引き止めにあってコンプライアンス違反を指摘すると、会社側の怒りを買い自己都合ではなく解雇扱いにして退職金が支払わない会社もあります。
理由なく解雇は違反となるため、トラブルに発展したらすぐに弁護士等に相談しましょう。
転職先が決まる前に辞めない
コンプライアンス違反を会社がしていることに気づくと、すぐに辞めようと考える人もいますが、なるべく転職先を決めてから辞めるようにしましょう。
勢いで辞めてしまうと、なかなか転職先が決まらず空白期間ができてしまい転職に不利に働くこともあります。
もちろん長時間残業を強いるような会社にいると転職活動もままならないケースもありますが、なるべく空白期間を作らないように転職活動を進めてください。
転職時にコンプラ違反を面接先に伝えない
転職時には前職をなぜ退職したのかについてほぼ確実に聞かれます。
しかしなるべく面接先に伝えるのは辞めましょう。面接の場において、前の職場の悪口を言うのは良い印象を与えません。
またコンプラ違反をしていることを伝えると、噂がまわり前の会社の恨みを買うこともあるかもしれません。
なるべくそのことには触れず、転職理由を答えるようにしましょう。
仕事の引継ぎの準備をすすめておく
転職活動始めたら、なるべくスムーズに退職できるように仕事の引継ぎ準備を進めておきましょう。
引継ぎがうまくいかにと後任者も困ってしまい、退職後に連絡が来ることもあります。
そうなるとせっかく転職しても前職の業務に関わることになり、ストレスから開放されません。
誰が見てもわかるように資料や手順書を作るなど、万全の体制で退職を迎えられるように準備しておくと安心です。
競業避止業務の契約は違反しない
競業避止業務違反とは、入社時の誓約や就業規則に記載されていることがあるもので、競合する会社への転職や競合会社の設立の禁止を定めています。
これに違反すると退職金の制限や損害賠償の請求問題・競業行為の差し止め請求などの重い措置が取られることがあります。
この契約がされている場合は、違反とならないように注意して転職活動を行ってください。
会社から退職を止められたときの対処法
コンプライアンス違反をしている会社から、退職を強く引き止められてしまうとなかなかスムーズに物事が進まなくなってしまいます。
そうなってしまうとトラブルに発展してしまうこともあり、一人の力ではどうにもならないこともあります。
退職代行を利用する
自分で退職するのが難しい・困難になってしまうことが予想できる場合には、あらかじめ退職代行を利用するのも一つの方法です。
退職を会社に言い出しにくい・トラブルになってしまった場合に、労働者に代わって退職手続きを進めてくれるサービスです。
これを利用すれば自分では手続きしにくくても、会社の手続きができるメリットがあります。
労基に相談してみる
退職を会社から強く引き止められてしまった場合は、労働基準局に相談してみるのがおすすめです。
労基は働く人の管轄内の事業所が、労働関係法令を守って運用しているかを監督する機関です。
違法な残業や長時間労働・賃金未払い等があれば、指導や立ち入り調査を行ってくれます。
労基に違法な引き止めに遭っていることを相談すれば、行政指導等が入り解決することもあります。
コンプラ違反の企業を辞めるなら事前準備を徹底しておこう
コンプラ違反の企業をやめるときの注意点などを中心に解説しました。
コンプラ違反を行っている会社は残念ながら存在しています。
そのような会社にいると、心身共に疲弊してしまい過労死やうつ病発症など転職活動もままならない状態になってしまうこともあります。
コンプラ違反をしている会社は、何も言わずにすぐに退職するのが一番です。
またその際には事前準備を入念に行い、引き止められても強い意思を持ち、退職代行や労基を頼りながら退職をしてください。