薬剤師にも接客なしの仕事はあります。
薬剤師の業務の多くは接客スキルが求められ、患者とのコミュニケーションが必須です。
病院や調剤薬局、ドラッグストアでは薬剤師の服薬指導が必要な場面が多く、接客が避けられません。
薬剤師によっては「接客が苦手」というコミュ障の人もいるので、仕事を苦痛に感じてしまうことがあるのではないでしょうか。
今回は、接客なしの仕事で薬剤師資格が生かせるものと、転職するときのポイントをまとめました。
接客やコミュニケーションに悩んでいる薬剤師におすすめの内容です。
薬剤師で接客なしの仕事10選
薬剤師のスキルが発揮できる、接客なしの仕事をまとめました。
病院や調剤業務だけではなく、さまざまな仕事内容を集めたので、コミュニケーションに不安がある薬剤師はチェックしましょう。
医薬品・化粧品工場や倉庫の品質管理
医薬品や化粧品工場や倉庫の品質管理職は、接客業務がありません。
仕事に接客スキルは必要ないので、社内で連携が取れれば問題はないでしょう。
薬品の成分分析機械を使って品質管理を行い、工場の稼働を問題なく調整する仕事です。
ただし、実際に分析機械を動かす仕事は、工場や倉庫のパートや派遣の従業員が行います。
薬剤師は品質データを確認して指示を出したり、データ処理を行ったりする業務を担当します。
品質管理は製薬会社から化粧品メーカーまで幅広い業種で募集を行なっているので、求人数も期待できる仕事です。
医薬品卸の管理薬剤師
医薬品卸の管理薬剤師は、医薬品の販売物流に関わる仕事です。
薬剤師は医薬品の在庫管理や、販売に関する問い合わせ対応を担当をします。
医薬品卸は各支店ごとに薬剤師の配置が法律で決められていますが、都心では求人数が多いとは言えません。
一方で、地方の企業は募集が多い傾向で、管理薬剤師として正社員で勤務できる可能性があります。
接客スキルは必要ありませんが、医療関係者から電話で問い合わせがきた場合は対応しなくてはいけません。
企業の電話応対に問題がなければ、医薬品卸の薬剤師として活躍できる人材といえます。
調剤薬局の調剤専門職
規模の大きい調剤薬局であれば、接客なしで正社員として働ける可能性があります。
薬剤師として働く場合の勤務形態を交渉することで、調剤業務に専念できるでしょう。
内勤での調剤業務に特化した求人募集も見られるため、接客やコミュニケーションに不安がある薬剤師はチェックしてください。
調剤業務では、薬のピックアップだけでなく粉薬の一包化や水剤の調整などがあります。
調剤だけに専念することで投薬指導は他の薬剤師が担当できるため、高い接客スキルは求められないでしょう。
大病院の派遣薬剤師
大きな病院で働く派遣薬剤師は、病棟業務でも患者と接する機会がほとんどありません。
病棟での業務は正社員が行い、派遣薬剤師が薬の指導をすることはないでしょう。
病床数が多い大病院は仕事の区分がはっきりと分けられているため、調剤業務に専念できる可能性があります。
老人介護保険施設
介護老人保健施設いわゆる老健は、接客やコミュニケーションに自信がない薬剤師にとって狙い目の仕事です。
薬剤師が調剤した薬は施設の従業員に渡すので、接客スキルは求められません。
まれに患者さんと話すこともありますが、接客というほどの丁寧な対応は必要ないでしょう。
ただし、受け取る処方箋には一包化の指示が多いため、調剤は注意が必要です。
病院のDI業務担当
DI業務は医薬品の情報を管理する仕事で、臨床試験や副作用のデータをまとめるスキルが必要です。
病院のDI担当は患者さんと話すことがなく、パソコンを使ってデータの作成や管理を行います。
ほかの薬剤師や医師と話すことはありますが、高い接客スキルやコミュニケーション能力は求められません。
ただし、医薬品メーカーのDI業務は一般の人からの問い合わせに対応しなくてはならないので、転職のときに注意が必要です。
メディカルライター
メディカルライターは正しい医療情報を資料にして発信する仕事です。
MR(薬品会社の営業担当者)が使う資料を作ったり、患者さん用のリーフレットや論文を分かりやすくまとめたり、文章に関わるスキルが求められるでしょう。
医療や医薬品の論文は英語で書かれているので、語学力が必要です。
患者さんと接することはありませんが、医薬品メーカーとの打ち合わせや電話対応があります。
医薬品にかかわる文献の翻訳
薬剤師のスキルがあって英語が得意な人は、医薬品に関わる文献の翻訳をおすすめします。
医薬品会社のコールセンターの対応内容を英語に翻訳したり、治験に関するドキュメントを英文にしたり、人と関わらずに仕事ができます。
ただし高い語学力が必須なので、英会話の基礎的な能力だけでは仕事をするのが難しいでしょう。
薬剤師スキルが生かせるWebライター
Webライターは自宅で受注して、自分のぺ-スで仕事を進められます。
薬剤師の資格があると受注しやすくなる執筆の仕事もあるため、まずは副業から試してみても良いでしょう。
薬剤師資格と文章力があれば、ほかのライターが書いた記事の監修が行える可能性があります。
研究補助業務
研究補助業務は医薬品やワクチンを開発するために、マウスや培養した細胞を解析したり、データ整理や実験の計画書を作ったりする仕事です。
接客業務は無く、高いレベルの対人スキルやコミュニケーション能力も求められないでしょう。
ただし求人の募集には、臨床試験や研究の経験者といった条件が設定されています。
使ったことのある実験道具や機器にも細かい条件がある場合も多いため、転職の際はよくチェックしてください。
薬剤師が接客なしの仕事を探す方法
薬剤師が接客なしの仕事を探す方法を、くわしく紹介します。
人と関わらない仕事を探すためには、覚えておきたいコツがあるので注意してください。
薬剤師転職サイトで接客なしの仕事を探す
接客なしの薬剤師の仕事は、専門性が高くメジャーではない業務が多い傾向です。
取りこぼさずに求人をチェックするためには、転職サイトを活用してください。
登録後は担当のキャリアコンサルタントが付くので、薬剤師のスキルを伝えて接客について悩みを相談しましょう。
コンサルタントと共有すると、コミュニケーション能力に不安があっても、マッチする条件の仕事が見つけやすくなります。
自分だけで探すよりも効率良く、薬剤師で接客なしの仕事が見つけられるでしょう。
薬剤師にこだわらないで接客なしの仕事を探す
薬剤師の免許を持っているからといって、仕事選びの視野が狭くなっていませんか。
接客が多い薬剤師の仕事は、対人スキルとコミュニケーション能力が求められがちな業務です。
接客なしの仕事がしたい薬剤師は、資格に関係のない業種もチェックすると、転職先の幅が広げられるでしょう。
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薬剤師が接客なしの仕事に転職するポイント
薬剤師が先客なしの仕事に就くポイントには、以下の5つがあります。
- 志望動機は明確でポジティブな理由にする
- 年収が下がる場合に注意
- 求められるスキルを把握する
- 企業の情報取集は徹底する
- なるべく早く転職の準備をする
志望動機は明確でポジティブな理由にする
転職の志望動機は、明確でポジティブな理由を伝えましょう。
接客やコミュニケーション能力に自信がないからといって、悩みをそのまま転職先に話す必要はありません。
なぜ薬剤師のスキルを活かした仕事に就きたいのか、どうしてその企業に応募したのか、ポジティブな言葉でまとめてください。
退職理由についても、自分から志望動機に書いたり面接で話す必要はありません。
面接の際に退職理由を聞かれた場合に「さらなるスキルアップを目指して退職しました」といった明るい印象のものを答えましょう。
年収が下がる場合に注意
新しい業務への転職後は未経験者としてスタートするため、薬剤師のスキルがあっても年収が下がる可能性があります。
とくに病院やドラッグストアで勤務していた薬剤師は、接客なしの仕事についた場合、収入にギャップを感じることがあるようです。
仕事内容によっては100万円ほど年収がダウンすることもあるため、転職は給与条件に注意してください。
求められるスキルを把握する
転職では、企業から求められるスキルの把握が大切です。
自分のスキルを求められる能力にからめてアピールすると、採用に一歩近づけます。
例えば医薬品管理のスキルが求められる仕事では「服薬指導や薬品在庫管理の経験が業務に活かせる」というように効率的なアピールが可能です。
具体的な仕事内容を確認して、どんなことに貢献できるかまとめてください。
企業の情報取集は徹底する
転職先の企業の情報収集は、徹底しましょう。
どんな人材が求められるのか、求人の募集要項や企業の公式ホームページから読み取れます。
そのほかにも、基本的な福利厚生だけでなく、残業や休日出勤はどれくらいか、出張や転勤はないか、長く働ける企業か確認しましょう。
なるべく早く転職の準備をする
未経験から新しい仕事に転職する場合は、ポテンシャルのある若手層が有利です。
30代以上になると即戦力が求められることが多いため、未経験者の場合は書類審査に通らない可能性があります。
スムーズに進めるためにも、20代のうちにできるだけ早く転職活動をスタートしましょう。
薬剤師で接客なしの求人は少ない
薬剤師で接客なしの仕事は多数ありますが、求人数自体は少ない傾向です。
薬剤師資格が必要な研究職を例にすると、正社員よりも派遣社員の募集が多く採用人数も限られています。
専門性が求められる仕事は、薬剤師の国家資格だけではなくデータ解析や分析などの高いスキルが必須なため、採用されやすいとはいえません。
ドラッグストアや調剤薬局は接客が必須
ドラッグストアや調剤薬局は接客が必須です。
接客業の分類に入る仕事内容のため、人と関わらないことは難しいでしょう。
ドラッグストアでも第一類医薬品やOTC販売は、薬剤師の説明が必須です。
調剤薬局は服薬指導も仕事の範囲内なので、患者に対して薬の説明が求められます。
ドラッグストアや調剤薬局の接客に悩みがあったり疲れたりした薬剤師は、接客なしの仕事を探すことをおすすめします。
薬剤師で接客なしの仕事は専門スキルが必須
薬剤師で接客なしの仕事は複数ありますが、実際に調べると求人数が少ない傾向です。
高収入を目指す転職には高いスキルが求められる可能性があり、経験者が優遇される求人が多くみられました。
接客なしの仕事に就きたい薬剤師は、どんなことに悩んでいるか整理して、異業種を含めて転職先を探しましょう。