データサイエンティストがやめとけと言われる理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
実際にやめとけと言われるような仕事内容なのか、データサイエンティストについてくわしく解説します。
未経験者がデータサイエンティストになるためのポイントも紹介するので、データ分析や統計の仕事に興味のある人におすすめの内容です。
目次
データサイエンティストはやめとけと言われる仕事?
データサイエンティストは、やめとけと言われるほどおすすめされない仕事なのでしょうか。
データサイエンティストについて知るために、まずは仕事内容を確認しましょう。
データを解析してビジネスの課題を解決する仕事
データサイエンティストは、シンプルに言うとデータを解析してビジネスの課題を解決する仕事です。
データを集めて分析することで企業が抱える問題を発見し、解決策を検討し計画を立案します。
企業が持つビッグデータを活用した事業の策定や、意思決定のためにデータの活用が求められる昨今では、重要な仕事です。
データを使って合理的な判断を行う、企業のサポート役といえるでしょう。
課題の洗い出しや目標の決定、仮説立案などコンサルタントの職務も担当します。
データアナリストと混同されがちな仕事ですが、データサイエンティストの方が広い分野を担当する職種です。
「やめとけ」という見解はさまざま
「データサイエンティストはやめとけ」という意見もありますが、人によって受け取り方は様々です。
向いていない人に対しておすすめしない仕事はたくさんありますし、適性がなければデータサイエンティストとして活躍することは難しいでしょう。
「やめとけ」と言われる理由で考えられるものはいくつかありますが、そういった意見があるからといってデータサイエンティストを諦めることはありません。
データサイエンティストがやめとけと言われる7つの理由
データサイエンティストがやめとけと言われる理由には、以下の7つがあります。
- 向いていないと仕事が大変・きつい
- データサイエンティストは技術習得が難しい
- 責任が重いと感じる人もいる
- 将来性を不安視する声がある
- 複数のタスク管理が必須
- 文系だと転職や就職が難しい可能性がある
- ビジネス思考が重要なため
それぞれのポイントをまとめたので、チェックしましょう。
1.向いていないと仕事が大変・きつい
データサイエンティストは、数字やデータへの理解が必須です。
そもそも、そういった分野に興味がなければ、データサイエンティストは向いていないでしょう。
パソコンを使ったデスクワークが中心の業務内容のため、基本的なIT技術がなければ仕事で活躍することも難しい傾向です。
知的能力や最新の技術を使って仕事をすることも多く、体よりも頭を使う業務内容といえます。
専門性が高い一方で人手不足が顕著な職種のため、仕事量も多いと考えられるでしょう。
2.技術習得が難しい
データサイエンティストは、最低限のスキルとして以下の分野の知識が求められます。
- 数学
- 統計学
- 論理学
- プログラミング
- AI(人工知能)
数学の分野では微分積分・回帰分析など、理系大学レベルの知識は必須で、習得は難しい傾向です。
ビッグデータを読み解いて企業の経営に活用することは、簡単な業務ではありません。
3.責任が重いと感じる人もいる
データサイエンティストの担当分野は、企業の経営に関する仕事です。
企業から完璧なデータを期待され、細かいミスでも結果に影響するため命取りになります。
経営にかかわる仕事がプレッシャーになってしまうデータサイエンティストは、少なくありません。
そのほかに、データサイエンティストの歴史は長くないため、企業によっては業務の範囲がはっきりとしないことがあるでしょう。
本来担当する仕事以外の業務も任せられる可能性があります。
4.将来性を不安視する声がある
高い需要があるデータサイエンティストですが、技術の発展によって将来性を疑問視する人もいるようです。
データサイエンティストの仕事の大部分は、現在は学習データの準備やモデルの構築です。
これらは技術の発展により自動化が可能なため、新技術の導入によってデータサイエンティストの仕事がなくなることが懸念されています。
すでに、データを分析・解析するBIツールが作られ、クラウド技術も向上しています。
仕事がシステムやツールでカバーできるという観点があるため、データサイエンティストの将来性は確かなものとは言い切れません。
その一方で、経営への提案や企業の問題を見つける業務など、人の手でしか対応できない仕事があることも事実です。
5.複数のタスク管理が必須
データサイエンティストは一人当たりの業務量が多い傾向で、複数の仕事を求められる可能性があります。
ビッグデータを分析するためには、新規プロジェクトの立ち上げや業務内容の改善なども必須です。
データサイエンティストはデータの解析や計画立案だけではなく、付帯する業務も多い仕事と考えましょう。
ひとりで全て担当しなくてはいけないこともあるので、複数のタスク管理は必須です。
業務量の多さがつらいと感じるデータサイエンティストもいるでしょう。
6.文系だと転職や就職が難しい可能性がある
文系からデータサイエンティストになるためには、厳しい条件をクリアする必要があります。
確率や統計、微分積分、行列、回帰分析などのスキルは、理系の大学で習う内容です。
プログラミングやITに関わる専門用語も覚えなくてはならないため、未経験からの転職や就職はハードルが高いでしょう。
新しい用語や技術も次々と生まれる業界なので、スキルの勉強を常に行わなくてはなりません。
7.ビジネス思考が重要な仕事だから
データサイエンティストは、ビジネス的な視点を求められます。
エンジニアの技術に関する知識だけでなく、経営や利益に関わる理解も必須です。
会社を取り巻く状況への判断が適切ではなく、消費者視点で見ることができない場合は、仕事での活躍は難しいでしょう。
ビジネス的な考えに向いていない人は「データサイエンティストはやめとけ」と判断される可能性があります。
年収や将来性はある?
データサイエンティストはやめとけと言われる理由だけでなく、年収や将来性も確認しましょう。
昨今は需要があるデータ解析や分析の仕事ですが、数十年後も活躍できる職種でしょうか。
年収や将来性が気になる人はチェックしてください。
年収は約530万円
厚生労働省が発表した令和3年賃金構造基本統計調査によると、データサイエンティストの平均年収は531.9万円です。(参考:職業情報提供サイト(日本版O-NET))
エンジニアの平均年収と比べると、データサイエンティストの方が高い水準です。
正社員として働くよりもフリーランスの方が稼ぎやすい傾向があるため、1,000万円以上の年収を目指すことも不可能ではありません。
データやAIのプロとして将来性がある
データサイエンティストはデータ分析の解析における分野では、将来は専用のツールが代替する可能性があります。
ただし、データをビジネスに落とし込んだり経営を改善する企画の提案は、人間の手でなくてはできません。
データサイエンティストとしてデータやAIを活用するための実績を積めば、数十年後も需要はなくなる可能性が少ないでしょう。
仕事につくメリットは大きい
データサイエンティストは一概にやめとけと言われる仕事ではなく、個人のスキルによって結果が左右されます。
高い能力があればメリットは大きいでしょう。
データサイエンティストになるメリットをまとめました。
活躍できる業界の幅が広い
さまざまな業界で活躍できることは、データサイエンティストのメリットです。
顧客データや業務の自動化などにビッグデータが活用できるため、データサイエンスを扱える人材の需要は高いでしょう。
不動産や金融、製造業、広告など、さまざまな業界で活躍が期待できます。
データサイエンティストは、自分にマッチする職場や業界が探しやすいことも特徴です。
上流工程の仕事を担当できる
データサイエンティストは、ビジネスの上流工程に携われるメリットがあります。
経営者に近い視点で、企業の戦略立案や業務の改善などが担当できるでしょう。
解決が難しい課題は試行錯誤の末に結果が出るため、仕事のやりがいにもつながる可能性が高いです。
経営に近い分野の仕事は緊張感がありますが、責任が大きい業務のため評価もされやすい傾向があります。
需要が高く転職がしやすい
データサイエンティストは人材不足が問題になっている職種のため、仕事に困ることは考えられません。
そのうえ、仕事で代わりになる人材も見つけにくい傾向です。
その一方で、専門性が高く企業からの需要がある職種なので、転職のハードルは高いとは言えません。
世界的に見るとIT化が遅れている日本では、データサイエンティストのスキルが求められるため転職しやすい仕事と言えますといえます。
実績を積めば独立しやすい
データサイエンティストとして企業の課題解決の実績があれば個人でも活躍できるでしょう。
企業はフリーランス向けの案件も多数あるため、独立後も高い単価で仕事ができて高収入が期待できます。
稼ぎやすいだけでなく自由な働き方ができることは、フリーランスならではの特徴です。
フリーランスはライフワークバランスを取りやすく、プライベートで趣味を楽しんだり、家族との時間を楽しんだり、自分らしく働けます。
データサイエンティストの体験談を紹介
データサイエンティストやめとけと言われる理由には具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
データサイエンティストとして活躍をしている人や、仕事に就いて後悔した人の体験談をまとめました。
良い体験談
しっかり評価してもらえる会社に転職できたので、平均以上の年収がもらえている。
AIやIoTの業務実績があるから、データサイエンティストとして給料のベースが高い。
スキルアップを続けていけば、待遇も向上が見込める。
やめとけという体験談
高い年収設定のためプレッシャーがつらい。
新しい技術が常に求められるので、休みの日を返上して勉強しなくてはならない。
得意な人や好きな人には向いているけど、自分は責任感を感じてしまう。
AIの汎用化が進んで、特出したスキルが無ければ活躍できない可能性がある。
プラスアルファで覚える知識が必要。
成果が求められて高い年収が設定されているけれど、全体的に高年収な企業でないと仕事しづらい。
データ解析の仕事に向いている人の特徴
データサイエンティストはやめとけと言われる理由には、個人のスキルや知識が影響します。
転職を目指す前に自分がデータサイエンティストに向いているか、適性をチェックしてください。
エンジニアスキルがある人
データサイエンティストはエンジニアの知識やスキルが必須です。
まずは、AI(人工知能)の仕組みや、データ解析に使用するBIツールの使い方を理解してください。
プログラミング言語は、最低スキルとしてPythonやR言語で機械学習の分野で活躍できるレベルを習得しましょう。
プログラミングスキルを使って、集めたデータを整理し読みとくための、データ加工も行います。
数学や分析に強い適性がある
データサイエンティストは数学や統計学を使ってデータ分析を行います。
数字や計算に対する意欲がなければデータサイエンティストとしての活躍は難しいでしょう。
一般論や自分の経験による先入観を持たずに、データを見る能力も必須です。
データサイエンスへの深い理解がない人に成果を報告するためには、情報の可視化にかかわるスキルも求められます。
ビジネススキルがある人
ビジネススキルがなければ、企業が持つ課題の解決が不可能です。
以下のビジネススキルは特に重要と考えてください。
課題のヒアリングをするための傾聴力やコミュニケーション能力
経営層や上層部・クライアントに企画を提案するためのプレゼンテーション能力
データサイエンスを管理するためのマネジメントスキル
計画を進めるための交渉力
ビジネスパーソンとして能力を身につけるためには時間と経験がいります。
専門的なスキルと同様に、ビジネスに関するスキルを身につけてください。
IT知識がある人
データサイエンティストはITや情報処理の知識がなくては仕事ができません。
IT全般の知識で、データサイエンスに活用するものの一例は以下のとおりです。
- データベースの知識
- 大量なデータを処理する能力
- ソフトウェアのスキル
データの処理に関してはビッグデータに関するオープンソース群の知識が必須です。
オープンソース群には、Hadoopを中心に、Hive、HBase、pigなどのスキルがあります。
ビッグデータは非常に容量が大きく単純なデータではないので、適した技術が求められるでしょう。
コミュニケーション能力がある人
課題解決のためには企業が何に悩んでいるか引き出すための、コミュニケーション能力が必須です。
業務で結果を評価してもらうためには、仕事についての話しやすさも求められるでしょう。
データサイエンティストは、企業が活躍する分野の経営についてくわしくなければ、成果を出すことが難しい傾向です。
不明なことがあった場合に、相手に尋ねられる自主的な能力も重要です。
データ分析が好きでデスクワークに抵抗がないというだけでは、データサイエンティストとして実績を積むことは難しいと考えてください。
データサイエンティストへのニーズを紹介
データサイエンティストは「やめとけ」と早い段階で判断できる仕事ではなく、専門的なスキルに需要があります。
業界でのニーズは高い傾向で、ジャンルに特化した能力を磨けば転職でも困ることはないでしょう。
とくに、以下の業界では、データサイエンティストの人材を求めている会社が多くあります。
IT・Web業界
IT・Webの仕事は、サービス開発やマーケティングにおいてデータサイエンティストの人材を求めている企業が多い傾向です。
BtoCとして消費者向けのサービスを提供する企業の場合、ユーザーの動向やニーズを調査するためにはデータ分析のスキルは必須でしょう。
多数のアクティブユーザーを抱えるWebサービス企業は、売上や利益を高めるための政策にユーザーの動向分析が必要です。
データや行動履歴の分析スキルは、高度なものが求められるためデータサイエンティストを積極採用している可能性があります。
製造業
製造業は、生産管理の業務で数値やデータが蓄積される仕事です。
品質や効率、コストに関する多様なデータを分析すれば、改善や問題点を洗い出し解決に導ける可能性があるでしょう。
データサイエンティストの高度なスキルが必要なため、今後も活躍が期待できる業界です。
金融や保険業界
金融商品や保険商品は、収益性やリスクを統計データから分析して販売しています。
新商品の開発や既存の商品を最適化するために、データサイエンティストの能力が欠かせません。
金融や保険に理解があり、データサイエンスの高いスキルを持った人材は需要が高い傾向です。
データサイエンティストに未経験からなる方法
データサイエンティストになりたい人は、統計学や数学について知識がある人ではないでしょうか。
ただし、未経験の場合は企業でデータサイエンスに携わった実績がないため、就職や転職のハードルは高いと考えましょう。
未経験からデータサイエンティストを目指すためのポイントには、以下のものがあります。
- 関連分野の仕事で実績を積む
- 必要な知識を身につける
- 転職でエージェントを活用する
関連分野の仕事で実績を積む
実務で学んだ知識を使うためには、関連性の高い職種についてスキルを身に付けることが重要です。
未経験者がいきなりデータサイエンティストとして活躍することは難しいため、関連分野の仕事で実績を積みましょう。
データサイエンス未経験者には、以下の関連分野がおすすめです。
- AIエンジニア
- データエンジニア
- プログラマー
データサイエンスで使用されるPythonは、アプリやWeb開発に使われるプログラミング言語です。
Pythonを使用する副業向けのハードルの低い案件を受ければ、今の仕事と並行して知識が身につけられるでしょう。
未経験者がデータサイエンティストになるためには、まずはエンジニアやプログラマーに転職することも視野に入れてください。
必要な知識を身につける
データサイエンティストは統計学、数学、プログラミングなど、知識が幅広く求められる仕事です。
データサイエンティストとして仕事に就くためには、十分な知識が必要と考えてください。
未経験者は、ウェブサイトやプログラミングスクールを活用して学習を進めると効率的です。
とくに、プログラミングについては独学でも不可能な勉強内容ではありませんが、まずは自分が何を学ぶべきかの選定を行いましょう。
転職でエージェントを活用する
データサイエンティストのような専門職に就くためには、転職エージェントの利用をおすすめします。
データサイエンティストに関わる仕事は多数の業種で募集がありますが、ITに特化したエージェントを活用すると安心です。
IT職を中心に仕事が探せるエージェントであれば、フリーランスや副業向けの案件も紹介してもらえる可能性が高いでしょう。
【IT・WEB業界】絶対登録すべきおすすめ転職サイトランキング【口コミで比較】
実務未経験者にもおすすめの資格を紹介
データサイエンティストにおすすめの資格をまとめました。
とくに以下の3つは未経験者も挑戦しやすい勉強内容のため、気になる人はチェックしてください。
- ディープラーニング検定
- OSS-DB技術者
- 統計検定
資格を持っていると、業務で使用するスキルについて理解をしている証拠になります。
勉強を進めるとデータサイエンスの知識が深まるため、積極的な資格取得をおすすめします。
ディープラーニング検定
AIや機械学習に関する知識を証明できる試験です。
なかでもE資格はエンジニア向けの能力が示せるため、データサイエンティストの転職や就職に有利です。
ディープラーニング検定にはジェネラリスト検定(G検定)という、ビジネス職向けの資格がありますが、E資格を優先的に取得しましょう。
OSS-DB技術者
OSS-DB技術者(オープンソースオープンソースデータベース技術者)認定試験は、合格するとデータベース管理システム「SQL」の技術力を証明できる試験です。
試験は2つのレベルがあるので、自分にあったものからチャレンジしてください。
- データベースの設計・開発・導入や運用の能力を示せる「Silver」
- 大規模システムの設計・開発・導入・運用・コンサルティング能力を示せる「Gold」
基本的な知識やスキルを証明する資格のため、難易度は非常に高いわけではありません。
統計検定
統計に関する知識や活用力を証明できる資格です。
試験内容によってレベルが分かれているので、データサイエンティストとしての実力をアピールするためには以下の受験をおすすめします。
- データサイエンス発展(DS発展)
- データサイエンス応用(DS応用)
- データサイエンスエキスパート(DSエキスパート)
データサイエンス基礎は大学入試レベルのため、発展や応用の試験合格を目指しましょう。
データサイエンティストはやめとけと言われる仕事ではない
ここまでデータサイエンティストについて解説しましたが、結論としてやめとけといわれるような仕事ではありません。
ただし、高いスキルが求められ専門性がある業務内容のため、適性がなければ活躍は難しいでしょう。
分析手法やAIについて深い知識を求められ、最新のスキルを得るためには常に勉強が必要です。