会社をやめる方法に悩んでいるそこのあなた。
この記事では、円満退社のコツをくわしく紹介します。
どのように退職を切り出せば引き止められないのか、周囲に迷惑がかからないのか、丁寧に解説するのでチェックしてください。
退職の手順や、トラブルの対処法についてもわかりやすくまとめました。
会社をやめる4つの手順を紹介
会社をやめる手順は、以下の通りです。
- 退職計画を立てる|3ヶ月~半年前
- 退職を伝える|2ヶ月前
- 退職願・退職届を提出|1ヶ月前
- 引継ぎと有給の消化|1ヶ月前~当日
退職のアクションは、遅くても3ヶ月前から始めることが重要です。
各段階に時期の紹介がありますが、退職は企業の規則によって適している期間が異なります。
紹介例は、あくまで目安と考えてください。
1.退職計画を立てる|3ヶ月~半年前
半年から3ヶ月前には、退職の計画を具体的に立てましょう。
最初に就業規則を確認し、会社をやめる日に向けて逆算してスケジュールを考えてください。
会社をやめる際の申告について期日が決められている場合でも、余裕を持って行動すると迷惑がかかりにくいです。
退職で不利になるのを避けるために、就業規則の確認を徹底しましょう。
会社をやめる際でも、守るべき規則やルールに従って動くことが重要です。
2.退職を伝える|2ヶ月前
上司に退職を伝える場合は、就業規則で決まっている期日の2ヶ月前に相談しましょう。
直属の上司に相談するときは「お時間よろしいでしょうか」といった勤務時間内の申請が必要です。
話し合いの場を設けることで、退職の交渉がきちんと進められるでしょう。
転職先が決まっている場合でも企業名を言う必要はありません。
トラブルを避けるために、ネガティブな意見や転職先の情報は話さないことをおすすめします。
3.退職願・退職届を提出|1ヶ月前
退職願・退職届は退職希望日の1ヶ月前には提出しましょう。
法律上では、退職届に関しては退職希望日の2週間前に提出する必要がありますが、就業規則によって異なります。
退職の意思を伝える「退職願」の提出後に、退職を届け出るための書類である「退職届」を受理してもらいましょう。
「退職願」は、直属の上司への提出が必要です。
ただし「退職届」は企業ごとに提出先が異なるので、上司に確認してください。
4.引継ぎと有給の消化|1ヶ月前~当日
退職が決まった後は、業務の引き継ぎを行いましょう。
自分が担当していた業務を新しい担当者に引き継ぐために、マニュアルの作成や顧客リストの準備が必要です。
トラブルの対処についても、具体的な方法を伝えると後任者が困りにくくなります。
後任が決まっている場合は退職の2週間ほど前から一緒に業務を行うことで、疑問点が解決できるでしょう。
社外や社内関係者のあいさつは、後任の社員を連れて手土産を持参すると相手に安心感が与えられます。
有給消化は引き継ぎと挨拶回りが完了してから、申請を行なってください。
退職日までを逆算し、有給休暇を消化できるようにプランを組むことがベストです。
最終出社日は机やロッカーをきれいにし、会社の備品やカードキーなどを返却しましょう。
円満に退職するための7つのコツ
会社を円満にやめる方法は、覚えておきたいコツがあります。
退職日の工夫や周囲への配慮を忘れてしまうと、仕事をやめるときに不利になる可能性があるので注意しましょう。
退職に関わるポイントを、くわしくまとめました。
退職年月日によって退職金がかわることに注意
書類に記載する退職年月日は、希望日として自分で設定できます。
ただし、退職年月日によって退職金やボーナス、社会保険料の金額が異なるので注意が必要です。
それぞれの項目と注意点をまとめました。
退職金
退職金は、会社の就業規則通りに受け取れます。
あと数ヶ月待てば退職金の金額が上がるといった可能性も考えられるため、就業規則を確認しましょう。
ただし、勤務年数や企業によっては退職金制度自体がないことがあるので、注意してください。
ボーナス・賞与
ボーナスを受け取りたい人は、振り込まれた後に退職願を提出しなくてはなりません。
ボーナスを受け取った後に会社をやめる場合、支給規定をチェックしましょう。
賞与算定期間や受け取れるタイミングを確認し、ベストな時期を見計らってください。
社会保険料
社会保険は退職日の翌日が、資格喪失日です。
月末に退職した場合は保険料の支払い期間が増えますが、受給期間も比例して加算されます。
月初から月末の前日に退職すれば、その月の社会保険料は徴収されません。
しかし、保険を切り替える必要があり、国民年金と国民健康保険の支払は必須です。
月末に退職する場合は、その月の社会保険料を納めていることになります。
ただし、退職した月の翌月分の社会保険料も徴収されます。
どのタイミングが自分にとってメリットが大きいのか、よく考えてください。
退職手続きで必要な事項をリストにする
退職手続きで必要な事項をリストにすると管理がラクにできます。
会社から受け取るものと企業に返却するものは、自分が必要なものや持っているものと照らし合わせてリストアップしてください。
退職のときに受け取るもの
退職の時に受け取るものは以下の通りです
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
転職先が決まっている人は、新しい企業に離職票以外の書類を提出してください。
新しい仕事が決まっていない人は、雇用保険被保険者証以外の書類を行政やハローワークに提出します。
その他にも、転職先が決まっていない場合は、国民年金と国民健康保険に加入しなくてはなりません。
加入には以下の書類が必要なので、企業から受け取りましょう。
- 退職証明書
- 健康保険・厚生年金被保険者資格喪失証明書
退職のときに会社に返すもの
退職の時に会社に返すものは以下の通りです。
- 健康保険証
- 社員証やカードキーなどの身分証明書
- 自分の名刺や取引先の名刺
- 書類やデータ
- 経費で購入した物品
- 制服や作業着 など
書類やデータは、自分で作ったものも会社に返却してください。
制服や作業着などはクリーニングに出して、ビニールがかかった状態で会社に返しましょう。
会社で使っていたアカウントは、パスワードやIDを変えずに企業からの指示を待ってください。
公的手続きをチェックする
転職先が決まっていない状態で会社をやめる人は、保険・年金・税金に関わる手続きが必要です。
自分で加入の申請をしなくてはならないので、ポイントを確認しましょう。
雇用保険(失業保険)
会社を辞めた人は雇用保険(失業保険)を受け取る資格があります。
以下の条件をすべて満たしていれば、失業保険が受けられるでしょう。
- 失業状態でハローワークに求職の申し込みをしていて就職できる能力がある人
- 退職日以前の2年間に通算12ヶ月以上の雇用保険加入期間がある
- 特定受給資格者または特定理由離職者は、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合
失業保険の給付手続きは、住んでいる地域の管轄のハローワークで行います。
失業保険には待機期間があるため、離職票が交付されたらなるべく早く提出してください。
準備するものは以下の通りです。
- 雇用保険被保険者証
- 雇用保険被保険者離職票1、2
- 運転免許証やマイナンバーカードといった身分証明書
- 印鑑
- 本人名義の普通預金通帳又はキャッシュカード
- 最近撮影した、縦3センチ×横2.4センチの顔写真 2枚
失業保険はハローワークに申し込んだ後に、7日間の待機期間があります。
雇用保険受給説明会に出席後、一週間程度で初めて寄付されるのですぐに受け取れるわけではありません。
失業保険の給付額は、退職理由や退職前の半年分の賃金を平均した額によって異なります。
健康保険
退職後の健康保険の対応は、いずれかの方法があります。
概要 | 提出日 | 提出先 | 準備する書類など | |
---|---|---|---|---|
それまで加入していた健康保険の任意継続保険者制度を利用 | 在職中と同じ保険を継続できる 退職前の被保険者期間が2ヶ月以上あれば最長2年利用可能 |
退職してから20日以内 | 住所地を管轄する健康保険組合 任意継続被保険者資格取得申出書 |
退職日が確認できる書類 被保険者のマイナンバーを記載した本人確認書類貼付台紙 |
国民保険に加入 | 市区町村による健康保険 算出方法は自治体によって決まっている |
退職してから14日以内 | 国民健康保険の窓口 国民健康保険組合の場合は加入されている国民健康保険組合か各都道府県の窓口 |
健康保険資格喪失書 退職証明書 雇用保険の離職票 運転免許証マイナンバーカードなどの身分証明書 世帯主の印鑑 |
家族の扶養に入る | 年収130万円未満の場合要件を満たすことで家族の被扶養者になれる 要件として家族が健康保険の被保険者になっていることと、扶養者は被扶養者の年収の倍以上の収入が必要 |
できるだけ早いタイミング | 家族の勤務先 | 源泉徴収書 退職証明書か離職票の写し 失業保険や年金を受給している場合は事業金額がわかるものの写し被保険者と別姓の場合は家族全員の住民票 ※企業により指定 |
年金
20歳~60歳までの日本国民は国民年金の被保険者です。
失業中は年金について給与からの天引きがないため、国民年金に加入して支払わなくてはなりません。
会社在職中は第2号被保険者でしたが、失業すると第1号か第3号の被保険者になります。
提出日 | 提出先 | 準備する書類など | |
---|---|---|---|
第1号被保険者への変更 | 退職日の翌日から14日以内 | 住所地の市区役所または町村役場 | 基礎年金番号通知書か年金手帳等の基礎年金番号を明らかにできる書類 |
第3号被保険者への変更 | 事実発生から5日以内 | 家族の勤務先 | 健康保険 被扶養者(異動)届 国民年金第3号被保険者関係届 被扶養者の戸籍謄(抄)本または住民票の写し(被保険者が世帯主で、被扶養者と同一世帯である場合に限る) 退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写し |
税金(住民税・所得税)
税金は住民税と所得税それぞれ手続きが異なります。
住民税については以下の通りです。
退職月 | 支払い方法 |
---|---|
6月~12月 | 本人が自分で納付 転職先に特別徴収税額を引き継ぐ 最後の給料から差し引く |
1月~5月 | 最後に支給される給与から一括して天引きされる |
所得税は1年の総収入を想定し、月割で源泉徴収されます。
そのため退職後に一か月以上給料をもらっていない失業期間があれば、所得税を多く納めていると判断できます。
手続きは年内の再就職によって異なるので注意が必要です。
再就職 | 対応方法 | 準備するもの |
---|---|---|
1年以内に再就職した | 再就職先の会社で年末調整 | 以前の会社の源泉徴収票 生命保険や医療費といった各種控除証明書 |
再就職が決まったが、転職先で年末調整ができなかった
2年以内に再就職できなかった |
管轄の税務署にて確定申請 ※マイナンバーカードとスマートフォンがあればインターネットにて確定申告可能 |
確定申告書 指定年度の源泉徴収票 生命保険や医療費といった各種控除証明書 印鑑 |
前向きな退職理由を用意する
退職は前向きな理由を話すことで、円満に今の職場を辞められる可能性がアップします。
これまでの経験を生かしてキャリアアップに挑戦したい、学生時代からの夢だった職業に就きたい、などポジティブな理由を伝えましょう。
会社や職場に不満を持っていても、退職時に伝えることはおすすめしません。
意見や改善を尋ねられた場合も、一身上の都合として処理することが円満退職につながる秘訣です。
自分の成長のために新しい環境に飛び込むといったポジティブな理由を、簡潔に伝えましょう。
転職先を早めに決める
会社をやめるよりも先に、新しい仕事を決めましょう。
転職先を探している人は、職場が決まった後に退職について上司に相談することが重要です。
その他にも、転職活動について周囲にバレてしまうと、職場に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。
転職できなかった場合のリスクも高いので、新しい仕事を探していることがばれないようにしてください。
退職は繁忙期を避ける
退職時期は仕事の繁忙期を避けて、タイミングを見計らって行いましょう。
仕事が慌ただしくなる時期を避けることで、円満な退職につなげられます。
繁忙期中に退職が認められても、仕事を辞めた後に連絡が来たり不備が起こったりする可能性があります。
仕事をやめるときは慌ただしい時期が終わった直後に、引き継ぎを始められるスケジュールがベストです。
繁忙期前や忙しい時期の最中は、企業に迷惑がかかるので退職や転職は避けてください。
退職は直接会って話すことが基本
退職について相談する場合は、対面で会って話すことが基本です。
上司に時間をもらって、仕事に差し支えの無い範囲で簡潔に伝えましょう。
はっきりしない言葉は避けて、退職の意思が固まっていることを話してください。
引き止めるために改善や異動を提案されても、その場でしっかりと断る対応が重要です。
退職を電話で伝える場合の注意点
どうしても会社に出社できず、電話で退職を伝えたい人もいるのではないでしょうか。
電話で会社をやめることを伝える場合は、自分がマナー違反であることを前提に謝罪から入ることが重要です。
引き止めにあった場合も退職の意思をきちんと伝えましょう。
電話での連絡を謝る
会社をやめるときに電話で連絡をする場合、初めに謝罪から入りましょう。
対面での相談が基本という事を理解し、電話での連絡を上司に謝ることが重要です。
現状を話せる範囲で伝えたうえで、退職について相談してください。
万が一、出社を求められた場合は、できるかぎり対応しましょう。
退職の意思をきちんと伝える
退職について電話をする際は、会社をやめる意思をきちんと伝えてください。
退職理由は「一身上の都合」で問題ありません。
理由を尋ねられた場合でも「一身上の都合でご迷惑をおかけします、申し訳ございません」といったように簡潔に答えれば構いません。
ウソや余計な退職理由を話すことで、自分に不利な条件になる可能性があるので注意してください。
仕事をやめるときにトラブルが起きたら
会社をやめる時にトラブルが起きたり、必要以上の引き止めにあったりする可能性があるでしょう。
- 自己都合で退職するのに退職日を決められてしまう
- 有給消化が認められない
- 退職金制度が適用されない
- 退職を伝えたら「損害賠償を起こす」と言われた
- 退職を認めてくれない
以上のことがあった場合は、まず初めに行政機関に相談しましょう。
弁護士に頼んで裁判を起こすと、転職先に迷惑がかかったり費用が嵩んでしまう可能性があるので最終手段と考えてください。
労働基準監督署に相談する
労働基準監督署は、会社を指導する行政機関です。
退職について問題が起きた場合は、まずは企業の管轄の労働基準監督署へ相談してください。
出勤記録や社内規定などをあらかじめ用意し、相談に必要な資料をそろえましょう。
まずは労働基準監督署に電話で相談し、対応してもらえる内容か確認を取ることが重要です。
管轄の労働局に相談する
労働局は労働基準監督署の上部機関で、会社の指導に加え問題解決を図る場所の提供を行っています。
企業に指導勧告を行うだけでなく、対応が悪質な場合は法律的な解決の相談に乗ってくれるでしょう。
そのほかにも、適切な対応方法についてアドバイスが受けられるので、行政への相談を視野に入れることをおすすめします。
会社の相談窓口や労働組合に話す
会社の相談窓口や労働組合があれば、退職について直接相談してもいいでしょう。
上司に掛け合っても認めてもらえなかったことや、有給の消化について相談してください。
社内規定を事前に印刷したり、わかりやすくまとめた資料を持参して伝えれば、適切な対応をとってもらえる可能性があります。
退職はきちんと準備すれば難しくない
会社をやめる方法は、きちんと準備して順番を守れば難しくありません。
転職を考えている人は、新しい仕事が決まってから退職を今の職場に伝えましょう。
有給消化は労働者の権利なので、遠慮せずに申請してください。
退職が認められない場合の最終手段は、内容証明郵便を利用して、退職届を企業宛に提出する方法があります。