営業職への転職時には必ず見る「残業時間」
営業職のイメージは、朝早く出勤して準備し、夜遅くまでお客様のところに伺うという考えが一般的です。
残業時間は、仕事ができるサラリーマンならあって当然という風潮があり、現在でもその風潮は残っています。
今回は、転職を希望している人にとって営業職は本当に残業が多いのかを紹介していきます。
また、平均残業時間や残業時間が多い業界なども合わせて説明していきます。
目次
営業職で残業が多くなる4つの原因
営業職は花形部署といわれている一方で、残業が多い職種として知られています。
営業職で残業が多くなる原因は、以下の通りです。
- 勤務時間内は営業・外回りで忙しいから
- クライアントとの会食や打ち合わせが多いから
- クライアントに合わせた行動が求められるから
- ノルマが設定されているから
以下で詳しく解説していきます。
勤務時間内は営業・外回りで忙しいから
営業は基本的に勤務時間中は企業を巡って外回りをしています。
そのため勤務時間中は外回りで忙しく、自社に戻ることも少ないのが現状。
勤務時間内に細かい事務作業を対応する時間がないので、勤務時間の終了後に残って作業を片付けようとすることが多いのです。
必然的に勤務時間外の作業が増えてしまうので、残業をせざるを得ないという人が多いのです。
クライアントとの会食や打ち合わせが多いから
クライアントとの関係性維持や情報を聞き出すために、会食や打ち合わせが多くなってしまうことも多いです。
会食は夜にセッティングされることが多く、会食でバリューを出すために事前準備をしたり、夜遅くまでクライアントと話すことも多々あります。
また打ち合わせで社外に行く際には、資料の準備や移動にかかる時間でほかの作業ができる業務時間が減ってしまうことも。
準備の時間や実施後のフィードバックに時間を取られてしまうため、その他の作業を圧迫してしまうことも多いのです。
クライアントに合わせた行動が求められるから
業務の種類にもよりますがクライアントに合わせた行動が求められるシーンもあります。
納期の調整や修正、緊急の打ち合わせや先方都合による打ち合わせのリスケ等、臨機応変に対応する必要があります。
そのため優先度を都度調整して行動変化をする必要があるのです。
クライアントに合わせた行動が求められる以上、自分の作業の優先度が下がってしまい、別途時間を取って対応することになるのです。
ノルマが設定されているから
販売する商品によっては、毎月数字で具体的なノルマが設定されていることも多いです。
ノルマの達成のために頭も体もフル稼働して対応していくことになるので、自ずと無理をしてしまうことが多いです。
設定されているノルマをクリアするために、残業をしてプラスアルファの行動をとることも。
時間を使って自分のためになる行動を突き詰めていった結果、残業時間が増えることも多数あるのです。
営業職が残業を減らすための効率的な働き方のコツ
営業として働いていて残業が多くなると、やはり私生活にも影響が出てきます。
小手先の方法ではありますが、残業時時間を減らすために下記の対応を取ってみることをおすすめします。
- スキマ時間を活用して事務作業を進める
- 優先順位をつけて作業を進める
- 一人だけで作業を進めない
- マルチタスクとシングルタスクを使い分ける
以下で詳しく解説していきます。
スキマ時間を活用して事務作業を進める
業務が効率化できていると感じても、意外とスキマ時間は存在するものです。
業務間でだらけている時間があったり、クライアントとの打ち合わせで待ち時間が生じる等、突き詰めてみれば活用できる時間はあります。
会社のプライバシー方針を遵守したうえで、スキマ時間を活用して事務作業を進めることをおすすめします。
優先順位をつけて作業を進める
業務が多くパンクしているのであれば、優先順位をつけて作業を進めることも大切です。
臨機応変に対応しなければならないのは当然ですが、一度整理してみると無駄な作業を優先して対応していることもあります。
いったん対応している作業の優先度を確認して、優先順位をつけて作業を進めることが大切です。
優先順位を都度付けなおして作業をすることで、作業の効率化を図ることができます。
一人だけで作業を進めない
一人だけで作業を進めないことも大切。
「自分がやらなければ」と思い込んでいるだけで、実は他の人でもできる作業や他の人がやるべき作業であることもよくあります。
一旦その作業が本当に自分ひとりでやるべきなのか、複数人でやった方が効率がいいのかを確認して、一人だけで作業を進めない姿勢を取ることが大切です。
自分で作業を抱え込んでしまうと、段々と首が回らなくなってしまいますので注意が必要です。
マルチタスクとシングルタスクを使い分ける
マルチタスクとシングルタスクを使い分けるのもポイント。
マルチタスクとは一つの作業を進めている間に他の作業を進めることを指します。
電話をしながら情報収集をしたり、同時に二つのことを対応することで効率的に行動できるタスク化方法です。
一方でシングルタスクは、その名の通り一つの作業に集中して対応することを指します。
現在抱えている作業でシングルタスクとマルチタスクどちらに配分できるか、どれを並行して対応すれば早いかを整理するだけで、少しは作業の負担を軽減できます。
「営業職には残業がつきもの」という考え方は古い?!
過去の労働環境の残業事情
残業は本来、企業が課している作業量が業務時間内に終了せず、残って作業することです。
業務量と稼働時間がミスマッチしているときに生じる問題です。
ですが業務の期限などもあり、やむを得ず残ることをさせています。
これが残業です。
ですが、一昔前までは遅くまで残業している人材は、有能だという風潮になっていました。
それは、残業をしないといけないぐらいの仕事量を会社から頼られている、有能だから仕事を振られていると勘違いしていたからです。
いわゆる「やりがい」を与えられていると勘違いしていました。
そこに企業が目を付け、「やりがい」と称して、多くの仕事を従業員に振るようにしたことで残業事情が悪い方向に加速しました。
また残業は、金額が法律で時間外労働として定められており、通常賃金の1.25倍の金額を支払わなくてはなりません。
ですが、企業側が大義名分として得た「やりがい」や「上司からの命令」を都合よく受け取り、金額を支払わなかったりするサービス残業が横行しました。
その結果、労働環境の悪化につながったと言われています。
近年の営業職の残業事情
残業は、どの業種でも起きていましたが、営業職は大きく影響を受けていました。
取引先や顧客対応などは、営業担当が引き受けているため、希望や要求があれば営業時間外でも対応することが一般的になっています。
そのため、会社に通勤してから取引先へ行くタイプの移動手段から、取引先に直接行き、そのまま帰宅する「直行直帰」という仕組みも登場し、出来る限り残業をしなくて済む工夫も打ち出されてきました。
ですが、営業職だからこそ、求められる売り上げのノルマや顧客情報管理などもしながら、新規開拓、リピーター対応、アフターサービスなども引き受けるようになり、仕事量が増大しました。
結果、残業をしないと、どんどん未来の自分に負担を押し付けるような状態になり、残業が加速していきました。
営業職の平均残業時間
営業職は世の中の仕事の7割を占めています。
そのため、その中でも残業時間が多い人と少ない人の差が二極化していることも事実です。
ですが、営業職の中でも法人向けの業種の残業時間平均は、55.94時間/月となっています。
これは、企業評価サイトのVOKERSに記載されている職種別残業時間ランキングが導き出しています。
月22日出社した場合は、一日当たり3時間弱の残業をしているということになります。
ほとんどの会社が、9時から18時までの業務とすると、21時まで残業していることになります。
また、これは企業評価サイトに載っている比較的大きな企業についての平均時間が多いため、ブラック企業と呼ばれるところの残業時間は3時間弱をはるかに超える残業を課せられているところもあります。
法律上の残業時間の目安は?
法律上では、月の時間外労働は上限が決まっています。
1か月で45時間を超える場合は問題がある計算になります。
先ほどの平均残業時間と比較すると10時間オーバーしているため、法律違反を犯しているという事実がここで浮き彫りになります。
本来は、上限を超える場合は行政から指摘が入ったり、内部監査などの事実確認が労務署から連絡が来たりしますが、残業環境が終息していないことからも日本に根強く残っている悪い風習といえます。
日本での残業の大きな理由は「世間体」ってホント?
日本では残業があることに違和感が感じられませんが、世界からみると残業をしている状況は異様に映るようです。
残業=自主的に行うことが一般的ですが、世界に目を向けてみると実は残業に対して罰則を設けている国もあるほど。
ではなぜ日本ではこんなに残業が多いのか、実は日本人の性質にある「世間体」がかかわっているといわれています。
以下で詳細に解説していきます。
残業は罰則が基本の世界と日本の違い
日本に住む外国人労働者が、残業の光景を見て驚く話を聞いたことがあると思います。
世界では、残業は厳しい罰則が経営者に課せられます。
ここではドイツを例に出しますが、ドイツでは、組織ぐるみで長時間労働が確認された際には、刑事事件になる可能性があります。
最悪の場合、有罪判決が出て、経営者は「前科」という厳しいレッテルを張られてしまいます。
人として非常にリスクが高いため、残業などの労働環境には常に最適解を提示しています。
日本人らしい特徴を逆手に取った残業事情
日本でも悪質な残業事情は問題になりますが、刑事事件になることはほとんどありません。
そのため、経営者が一時的に残業をしない命令をしても、期間が空けば残業が復活することが多いです。
また、経営者が意図的に、長時間労働をしなくても残業をさせる環境も存在します。
それは、世間体や周囲の人の影響です。
日本人は周囲と同じ動きをしたがる傾向にあります。
ベクトルを向けやすいため、良いほうへ導ければ、営業成績や業務効率向上などに役立ちます。
しかし、悪いほうへ導くことも可能です。
他の人が一生懸命業務をしている中、自分だけ帰ることは気まずいと思わせ残業させたりします。
本来の業務が終わっていない場合は、仕事の振り方を上司も改めなければいけませんが、遅い人の業務をサポートするという風潮も根強いため、周囲の状況で終わっていない場合は手伝って残業するという意識を定着させてしまったことも残業事情を深刻化させた要因の一つといえます。
営業職で残業が多い業界
世界の70%の人が取り組んでいる営業職。
この中でも業界によって残業時間は大きく異なります。
残業が多い職種として多くあげられるのは、広告営業、小売営業、不動産営業の3つが挙げられます。
残業が多い背景には「知識の収集」と「準備期間」
残業が多い職種として挙げた3つには共通点が存在します。知識の収集と準備期間です。
① 知識の収集
営業は取引先に、サービスや物の提案をした際に「特徴・優位性・顧客便益・証拠」を提示して必要だと思った場合は取引が成立になります。
その際、営業する側がサービスや物に対して知識や特徴などを知らない状況では、良い商材も売ることができません。
そのため、営業する際のマナーはもちろんですが、商材についての知識や取引先の特徴や求めている需要、提案力などのさまざまな要因が知識として必要です。
つまり、知らないでは営業として問題になるため、勉強をしなければいけないということです。
営業時間外に勉強したりするため、残業するようになっています。
② 準備期間
営業する際に、知識が必要なのと同時に取引先に理解してもらう資料が必要になります。データや紙でもよいですが、相手に伝える資料は常に最新の情報や実績、数値データなどのあらゆる分析をしなくてはなりません。
その情報を相手に伝えるための資料の準備も営業職としての義務なので、業務に組み込まれます。
ですが、本来の業務中では時間を取ることができないこともあり、残業をして準備をしています。
管理者が仕事を的確に振れない事情
残業は、仕事の能力が低い人がするものと思っている人がいますが、実は大きな間違いです。
それは、管理者が仕事を適切に振り分けたり、能力の見極めができていなかったりするからこそ起こりえる事情があります。
規模の小さい企業でしたら、業務が多くなるのは人材の少なさが影響しますが、比較的大きな企業では、管理者の仕事の振り方一つで残業時間を発生させないこともできます。
「良い選手が良い監督になれるという訳ではない」というスポーツの世界の共通見解があります。
営業者としては能力があっても、管理者能力はないということは一般的にあり得ます。
そのため、どの人材に仕事をどれだけ与えるかを見極める技量が必要なのですが、その企業内で上がってきた人は、過去の自分がされてきた上司からの対応をそのまま実践している人が多いです。
本人は問題なくこなしてきましたが、別の人にとっては合わない可能性も十分あります。
つまり、常に変化や見極めが必要なため、管理者がアンテナを張り、状況の改善に努めようとしない限りは、残業が多い業界の環境改善は難しいといえます。
残業が少ない優良な営業職を見つけるポイントを3つ紹介
営業職の残業は少なくなったとはいえ、いまだに根強く残っています。
ですが、表面上、残業はありませんと掲げていても、実際には残業している企業も珍しくありません。
ここでは、残業が少ない優良企業の見分け方を3つのポイントとして紹介します。
①応募時に条件がいくつかある
条件というとよくないイメージがあります。
えり好みしているという風にとらえられそうですが、実は、学歴不問、未経験者歓迎などの文言の方が深刻です。
つまりは、誰でもよいので来てほしいということになります。
誰でもいいからこそ、消耗品として従業員を見ていることが多く、離職率も高くなっています。
また、人を増やして業務を遂行したいという面があるため、人を残業させたりして何とか体裁を整えようとするため、優良でない企業が多いです。
条件があり厳しいかもしれませんが、良い環境で仕事をするためには自身にもある程度の能力が要求されることは頭の片隅に入れておくとよいです。
②インターネット情報を活用
今は、情報がインターネットに多く配布されています。
企業を辞めた人が書いている口コミや、掲示板などで情報が多く存在するため調べるのは有効です。
企業に入社したすべての人が優良企業だと思わないからこそ、やめた人もいるため優良企業でも悪い口コミは存在します。
ですが、ブラック企業のようにたくさん書かれたりすることはありません。
すべての情報が真実ではないですが、参考にする際には有力なツールになります。
③営業時間以外の説明会に足を運ぶ
営業時間以外の説明会は転職者向けのため、企業が本来業務をしている時間ではないはずです。
ですが、説明会に行ってみたら、担当者以外が営業時間外に残業している姿を見ることがあります。
この状況で残業がないと担当者から言われても説得力はありませんし、職場環境が把握できます。
説明会に行くことを重要なポイントではありません。
説明会に行くことで状況や環境、実際の業務時間を確認するために利用することを意識することで優良企業を見つけやすくなります。
残業を少なくするためには…
残業を少なくする方法の一つとして、仕事を分類分けする必要があります。
分類分けの種類としては以下の4つです。
- 重要であり、期限が短い仕事(締め切りのある仕事・クレーム処理等)
- 重要ではないが、期限が短い仕事(突然の来訪、突然の電話等)
- 重要であり、期限は長い仕事(人間関係作り・自己啓発や勉強等)
- 重要ではないし、期限も長い仕事(必要以上の休憩・待ち時間等)
まずは、自分の仕事をこの4つに分類することから始めましょう。
そして分析していきます。
① の仕事が多い人は、タスクマネジメントに失敗してしまっている人です。
期限が来る前にやれるようにタスクを見直す必要があります。
② の仕事が多い人は、仕事に追われているが、充実感は得られていないのではないでしょうか?ここも極力減らしていくほうが良いでしょう。
③ の仕事が多い人は、タスクマネジメントがうまくいっている可能性が高いです。あとはここの比率を高めていけば、タイムマネジメントもうまくいきます。
④ の仕事が多い人は、無駄が多すぎます。今一度、自分が行っている仕事を見直す方が良いでしょう。
要するに、①・②・④の仕事を減らし、③の仕事を増やしていくということです。
そうすることで、仕事にもやりがいを見出しながら、急ぐ必要がないので、残業も必要なくなるのです。
残業自体が悪いわけでなく、あくまでも仕事のバランスが大切
残業は、しなければならない環境もあります。
繁忙期や急な顧客対応など、企業の信頼を勝ち取るために頑張るときもあります。
ですが、常時、仕事が回らないぐらいの業量や休日返上での仕事は、効率が悪く、意味がありません。
営業職としてはやるべきことがたくさんあり、残業をしなければならない環境がくるかもしれませんが、その際は、直属の上司にまずは相談し、解決策や業務の効率化を図る仕組みを一緒に考えてもらうことが大切です。
この記事によって、企業を見極める力を付けて頂ければと思います。