薬剤師1年目で転職を考えている方に共通する不安は「1年目で辞めるのは転職に不利ではないのか」ということ。
新卒で入社した会社はとりあえず3年と言われていますが、薬剤師も例外ではありません。
薬剤師1年でも転職できる!というサイトも多くありますが、はっきり言ってしまうと「薬剤師1年目での転職は不利」です。
しかし、人間関係や労働環境があまりに劣悪だと転職を考えたくなりますよね。
ここでは薬剤師1年目で転職するときに注意すべき点と転職に適した時期をご紹介していきます。
目次
薬剤師1年目で転職しない方が良い3つの理由
一般的に薬剤師は難関国家資格であるため、資格さえあれば転職できると思われがちです。
しかしさすがに社会人1年目で転職してしまうと、今後のキャリアに影が差してしまう可能性があるのです。
薬剤師1年目で転職しない方が良い理由は、以下の通りです。
- 他の同期と年収に差が生まれる
- 早期離職による担当者からの印象悪化
- すぐに辞める思考が身につく
以下で詳しく解説していきます。
他の同期と年収に差が生まれる
薬剤師が1年目で離職してしまうことで、他の同期と年収に差が生まれる可能性があります。
一度離職してしまうと、キャリアはリセットされてしまいます。
しかし他の同期は仕事を続けていますから、着実にキャリアを積んでいくことになります。
離職する期間によっても異なりますが、他の同期が実務経験を積んでいく中で置いていかれる可能性があるのは捨てきれないでしょう。
早期離職による担当者からの印象悪化
薬剤師が1年目でやめてしまうと、早期離職による採用担当者からの印象悪化も捨てきれません。
最近では転職活動で自分のキャリアを切り開いていく思考が一般的ですが、やはりある程度在籍して能力を伸ばすことも重要です。
入社1年で離職してしまうことで、入社後の環境の変化に対応出来なかったと判断されてしまう可能性もあるのです。
すべての採用担当者が同じ思考に行きつくわけではありませんが、やはり短期間でやめてしまうと耐え性がないと判断されてしまう原因にもなりかねません。
すぐに辞める思考が身につく
薬剤師を1年目で退職してしまうことで、すぐに辞める思考が身につく恐れもあります。
学生時代のアルバイトでは、気軽に辞められるため次々職場を転々とすることも多いです。
しかし社会人ともなると、学生としてではな一人の大人として見られることになります。
大人として目の前のことから逃げてしまう、すぐに辞める思考が身についていると、その後も嫌なことがあれば転々として逃げる思考が身についてしまうのです。
一度辞め癖がついてしまうと、元に戻すのは非常に難しいです。
1年目の薬剤師によくある転職理由
人間関係が辛い
薬剤師が人間関係で悩むことはよくあることです。
理由は女性多い職場で業界であること、職場が閉鎖的で決まった人としか関わらないことがあげられます。
新卒で経験もないのに質問しても教えてくれず、邪魔扱いをされて悩んでいる薬剤師も少なくありません。
人間関係に悩んで、仕事のミスが増えて、また使えないと言われてミスする・・。という悪循環に陥ってしまいます。
労働環境が辛い
残業に関しての不満をかかえる薬剤師は多いです。
「求人には残業なしと書いてあったのに、毎日残業している・・」ことも珍しくありません。
さらにひどい会社は残業代が支給されないことろも・・。
また、休憩が少ないことも転職を考えた理由にあがっています。
一般的な企業では、休憩時間は60分以上確保するように言われていますが、忙しい店舗は30分ほどしか休憩がないところもあるようです。
給与が低い
薬剤師は薬科大に通うために借りた奨学金を返さなければいけない人も多いです。
給料が少なくては、奨学金どころか日々の生活で手一杯という方も多いでしょう。
特に多額の奨学金を借りている人は、月に何万も返還しなければなりませんよね。
それをカバーできるだけの収入が欲しい!と転職活動を始める人も多いようです。
勤務時間が不規則
24時間のドラッグストアや土日も開局している薬局・深夜勤務のある病院などは慣れないシフトに戸惑ったり、昼夜逆転で体調を崩してしまったりという薬剤師もいます。
場合によっては他の薬剤師やパートの方の穴を埋めるために、勤務時間外労働を強いられることもあります。
正社員として店舗運営に滞りが出ないことを最優先に動かなければならないため、日常生活にまで仕事が食い込んでしまう可能性があるのです。
接客で疲れた
ドラッグストアや調剤薬局の業務では、日常的に患者さんやお客さんと接する機会があります。
中には対応のいいお客さんもいますが、もちろん態度の悪いお客さんもいます。
怒鳴られてしまったり、せっかく誠心誠意対応しているのにもかかわらず、嫌な対応を取られて精神が疲弊してしまうこともあるのです。
せっかく資格を取ったのに接客業と変わらない仕事に悩まされて、転職を決意する薬剤師1年目は意外と多いのです。
仕事を教えてくれる人がいない
薬剤師1年目が早期離職をしてしまう理由の一つに、仕事を教えてくれる人がいないことも挙げられます。
薬剤師が新卒として入社できる企業や薬局の中には、店舗や部署での教育体制が構築されていないことがあります。
仕事を教えてくれる先輩がいなかったり、教育マニュアルが作られておらずその場その場で対応荒れることもあります。
仕事をせっかく覚えたいのにもかかわらず、職場での対応がしっかり用意されていないばかりに疎外感を感じてしまうこともあります。
1年目ならなおさら職場に慣れるために仕事を早く覚えたいですから、教えてもらえる環境が整備されていないと、仕事に対する熱意を喪失してしまいます。
薬剤師1年目でも不利にならない場合とは
基本的に薬剤師1年目での転職は不利ですが、やむを得ない事情の場合面接官も気にしない場合もあります。
会社の業績が著しく悪化した
薬局の閉局した場合はもちろんですが事業縮小によるリストラ・勤務条件変更になったなどの転職をやむを得ない事情の場合は1年目での転職は不利になりません。
業績の悪化は社員一人でどうにかなるものではありませんし、会社の上層部の責任です。
会社の業績が著しく悪化した場合に離職すると、会社都合の退職として扱われ、転職時に響くことは少ないでしょう。
パートナーの転勤
配偶者の転勤にともない転職をやむを得ない事情として面接官が見てくれる場合もあります。
ただし「また転勤が理由で退職するのではないか」という不安を面接官に与えてしまうこともあります。
面接時には、転勤の可能性の有無、どのくらい働けるのかを伝えるようにしましょう。
やむを得ない疾患による退職
薬剤師1年目で入社した後に、大きな病気などやむをえない疾患によって退職した場合も、不利にならない可能性があります。
日常生活でどれだけ気を付けていても、防ぎようのない病気は存在します。
長期間入院するために職場を離れて入院生活をしている場合、採用担当者側も責めることはできません。
病気によって1年目でやめてしまった経験がある場合、しっかりと理由を伝えてみると、採用担当者も理解を示してくれる可能性があります。
薬剤師1年目で転職を判断する5つの項目
「職場を1年で辞めた」という事実だけで、たとえあなたが優秀な人材でも書類で落とされて面接までいけない可能性もあるのです。
転職理由はどうであれ、「1年で転職したという事実」は履歴書に一生残ってしまいます。
以下の項目をよく考えて転職するべきかを考えてみましょう。
環境を変えれば解決されるか
1年目の薬剤師で本当に転職すべきか判断する際には、環境を変えれば解決される問題かをチェックしてみてください。
例えば人間関係で悩んでいるのであれば、他の部署や店舗への異動を打診してみることも一つの手です。
また上司や先輩と合わないと感じているのであれば、メンターの変更を依頼することもできそうです。
周囲からの対応を変えたいのであれば、自分がなぜそんな対応をされるのかを考えて、改善してみることも重要です。
時間がたてば解決されない?
今職場で抱えている悩みが、時間がたてば解決される可能性もあります。
職場に対して疎外感を感じているようであれば、仕事に慣れてくれば段々と順応できるようになっていきます。
新卒入社後は何かと不安に感じることが多いでしょうが、仕事に専念することで解決されることもあるかもしれません。
自分のスキルアップにつながるか
薬剤師1年目が転職を検討する際は、転職することで自分のスキルアップにつながるかも確認しておくといいでしょう。
環境を変えて心機一転取り組もうとしても、自分にスキルアップの意思がなければ意味がありません。
また現在の職場で学びきれることが本当にないのかも、チェックしておきましょう。
社会人1年目はまだ吸収力の高い年代ですから、今の職場で学べることはないかを探して周囲を見渡してみてください。
現時点で学びきれることを集中して得てから、それを武器に転職する方が良いでしょう。
自分自身で解決できそうなことはない?
スキルが問題の場合、自分のスキルを磨けば解決されないか考えてみてください。
自分で努力してもどうにもできなかった場合、面接官にも説明しやすいですが、何もしないで転職すると「困難な状況を自分で解決する努力をしなかったのか」と思われてしまいます。
スキルを学ぶ機会がないなら、自分で出来ることから勉強をしてみるのもいいでしょう。
解決できる方法を見出して行動した姿勢があれば、前進力のある人材だと判断してもらうこともできるかもしれません。
マイナス感情の多い転職か
とにかく職場が嫌だ、とにかく変えたいなどマイナス感情の多い転職の場合、一旦思いとどまった方が良いでしょう。
嫌な思いが先行して、重要なことが見えていない可能性があるためです。
一旦落ち着いて、転職をしたいと感じた経緯をしっかりと見つめ直してみてください。
マイナス感情の多い転職の場合、条件を良く判断できずに転職先を決めることになってしまいます。
可能な限り1年目の転職は避けよう
1年目の転職と2年目の転職は大きく違います。
2年目の転職は3年勤務しての転職よりは評価は落ちますが、1年目の転職に比べたら「1年は続いたんだな」と思ってもらえます。
あなたが何となく転職を迷っている状態ならば、4月までは勤務することおすすめします。
転職に失敗してしまう1年目の薬剤師の特徴
みなさんと同様に、現在の職場環境から離れようと転職活動を始める1年目の薬剤師は多くいます。
しかし中には転職活動に失敗してしまい、また短期間で再転職を行うことになってしまう方も少なくありません。
転職に失敗してしまう1年目の薬剤師の特徴は以下の2つです。
- 年収だけ見て福利厚生を気にしない
- 現場の情報収集が足りない
以下で詳しく解説します。
年収だけ見て福利厚生を気にしない
転職をするにあたって、年収は非常に大きなポイントです。
収入が高ければ高いほど生活が楽になりますが、それだけに注目して転職活動を行ってしまうと、福利厚生や労働条件などもっと身近な大切なことを見逃してしまう可能性があります。
年収が良い職場を見つけたけれど、働き始めてから想像していた職場とは違うように感じてしまいます。
そうするとミスマッチに繋がり、再度転職活動を行う羽目になりますので、目先の欲にとらわれないようにしましょう。
現場の情報収集が足りない
実際に働く職場の情報取集が足りないために、1年目での薬剤師転職に失敗してしまう方もいます。
薬剤師専門の転職サイトを利用すると、基本的には転職先の見学を行うことができます。
しかし、この見学を面倒くさがって転職先を実際に見ないで決めてしまうことで、入職後のミスマッチにつながるケースもあるのです。
しっかりと事前に情報収集をしておくことが重要になるのです。
1年目で転職したいなら気を付けたい5つのこと
1年目の転職が不利なことは説明しましたが、無理をしろと言いたいのではありません。
特に、人間関係や労働環境で精神的・体力的に限界なら思い切って辞めてしまうことも手です。
精神的にまいってしまうと、社会復帰できるまでに時間がかかります。体や心を壊してしまっては元も子もありませんね。
どうしても転職したい!と思ったら気を付けてほしいポイントが5つあります。
転職理由を明確にする
転職先とのミスマッチを防ぐために転職理由を明確にしましょう。
1年未満の転職が続くと、転職癖がある人と思われてしまいます。
何より、転職活動は大変になるので次は成功させたいですよね。
ブランクをあけない
ブランクがあると転職は圧倒的に不利になってしまいます。
「とりあえず今の職場を退職して、少しゆっくりしてから転職活動をしたい」という方もいらっしゃるかもしれませんが、面接官はブランクがある応募者を敬遠しがちです。
面接官はブランクがあると「体調を壊して休んでいたのかな」「精神的な問題で休んでいたのか」と思ってしまいます。
出産や育児などやむを得ない事情がある場合は大丈夫ですが、特別な事情がない場合は空白期間を作らないようにしましょう。
今の職場で半年休んでから転職を考えることも避けましょう。面接官は休職であっても職務履歴の空白期間が嫌がります。
またブランクを作ると自分自身が焦ってしまい、職場選びで失敗してしまう可能性もあります。
会社側にも自分にもメリットはありませんので、空白期間は作らないようにしましょう。
退職を申し出るのは3か月前までに
労働基準法では退職届を出してから2週間以内ならば退職を認められることになっています。しかし職場を円満に退職するなら3か月前に申し出ることがベストです。
新たな求人を再開して採用するのには1か月以上かかります。できるだけ職場に負担がかからないように、早めに申し出ましょう。
ボーナスをちゃんと貰えるかどうか確認しよう
ボーナスをもらった後の退職者は多いため上司に早めに退職時期を申し出ることはもちろん大切ですが、そもそもボーナスがもらえるかどうかも確認しましょう。
できれば口約束ではなく書面での確認がとれると、覆る可能性がありません。
転職を焦って1つの内定だけで転職を終えない
1年目で転職活動をするとなると、早く内定を獲得して安心したいがために、1社内定を獲得した時点で転職活動をやめてしまう人がいます。
薬剤師1年目で転職する場合はその後のキャリアや昇進、昇給や職場の人間関係などを考慮して職場を選ぶ必要があります。
早く転職したいからといって、内定獲得したという事実だけにとらわれずに、いくつか内定を獲得できるまで転職活動を続けるようにしましょう。
内定獲得目安は4~5社がベストです。
1年目の薬剤師が転職に適切な時期とは
求人が多い1~3月
1年で求人が最も多い時期は1~3月です。
1月:12月のボーナスをもらった後に転職する人が多い
3月:中途入社は4月入社を狙った求人が多い
7~9月も夏のボーナスが出た後の退職者が多く求人はありますが、1~3月の求人より少なめです。
1~3月を狙った方が、好条件の求人が出やすいでしょう。
注意!求人が多い時期はライバルも多い
求人数が多いということは、当然ライバルが多く競争率が上がります。
ポイントは求人が増える1~3月の前から転職サイトに登録することです。
具体的には、11月から1月の間に動いておくことが重要です。
コンサルタントに自分にあった求人を紹介してもらう、転職理由を考えておくなど早めに行動の行動を心がけましょう。
特に転職理由は面接官や採用担当者から受ける印象を左右しますので、時間をかけて考えることが重要になります。
薬剤師1年目におすすめの転職先
薬剤師1年目におすすめの転職先を「成長機会」にフォーカスしておすすめします。
おすすめの職場は
- 病院薬剤師
- 大手薬局チェーン
です。
病院薬剤師に転職
新卒薬剤師に人気の病院薬剤師は、薬剤師1年目の転職先にもおすすめです。成長機会で考えると、若手は急性期病院が病院勤務がよいでしょう。
カルテを直に見ることができるため、自分の仕事の意義を見出せますし、調剤薬剤師では扱わない薬剤を扱えるためやりがいも感じられるでしょう。
また、大きい病院は研修制度が整っていることも多いです。
注意!仕事はハードなわりに年収は低いと感じられることもあります。
病院の方は職員の気が強いことも多く人間関係が大変な職場もあるようです。
大手薬局チェーンに転職する
調剤薬局は3~5店舗のところもありますが、ここでおすすめするのは50店舗以上の大型チェーンです。
大手チェーンなので勉強機会も豊富ですし福利厚生も充実しています。
注意!勉強の機会はありますが、勉強についていくのは簡単ではありません。
しかしキャリアも考えると大手薬局チェーンは有利でしょう。
企業薬剤師はあきらめたほうが無難
薬剤師資格を持っている人が誰もが憧れる企業薬剤師ですが、薬剤師1年目が転職するのは控えることをおすすめします。
企業薬剤師は主に新卒から採用されますので、実務経験が少ない1年目での転職先としては向かないでしょう。
また、求人数も少ないですので、求人が出たとしても応募が集中してしまうことも考えられます。
働きやすさを重視して転職先を探したいなら?
成長ではなく、人間関係や働きやすさを重視して職場を探したい方は探し方が大切です。
面接や職場見学をして雰囲気を見る
働きやすい環境かを1番感じることができるのは「自分で体感する」ことだと思います。
職場の人がどんな雰囲気か、環境や設備は整っているかを自分の肌で体感することができます。
また、面接時にストレス耐性をやたら聞いてくる会社は要注意です。
離職率が高くストレスフルな環境のため、応募者が耐えられそうかを見ている可能性があります。
転職サイトに登録する
直接職場を見に行けない場合や、自力で求人を見つけることが難しい場合もあるでしょう。その場合転職サイトを使ってみることをおすすめします。
コンサルトに希望する条件を伝えれば、求人を探してくれるだけでなく、一般には公開されていない非公開の求人を見ることもできます。
また求人に載っていない情報も、コンサルタントが直接職場に足を運んで調査してくれるため、人間関係や労働環境も知ることができます。
履歴書の書き方や、面接の練習をしてくれるため、1人での転職活動が不安な方にも嬉しいですね。
マイナビ薬剤師の口コミ・評判からみるメリット・デメリットを徹底解説!
また薬剤師のおすすめの転職サイト・エージェントは、こちらの記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
薬剤師1年目の転職で注意したいこと
- 薬剤師1年目の転職は不利なので可能な限り、4月まで働いてみる
- 困難な時は、転職してもOK。「ブランクを空けないこと」と「転職に適した時期に転職すること」に注意する
- 成長を求める場合は病院薬剤師や大手チェーンがおすすめ
- 人間関係や労働環境を重視するなら、病院見学や転職サイトの利用し情報を集める
現在、第二新卒を募集する企業は増え、若手ならではのポテンシャルや成長の可能性を重視してくれる企業もあります。
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