大学を中退した場合、その後の進路はどうなるんだろう…と不安に思う人はたくさんいるかと思います。
大学中退を経験した人に話を聞きたいけど周りにはいない、なんて場合は孤独や焦りすら感じますよね。
そこで今回は、大学を中退した人や中退しようか迷っている人に向けて、大学中退者のその後の進路と中退後に正社員就職を成功させるコツをご紹介します。
是非参考にして、今後の人生を前向きに考えていただきたいです。
目次
大学中退は人生終わり?
現在の大学・短大進学率は約58%(2019年度 文部科学省)に上ります。
中学高校と進学するのが当たり前となった現在では、ほどんどの人が大学に進学して卒業後に就職を考えるのではないでしょうか。
「大学中退」にはネガティブなイメージがありますし、自分だけ大学中退となれば周囲の人と違う生き方になってしまう、と不安になりますよね。では大学を卒業できなかった場合、本当に「人生が終わる」のでしょうか。
大学中退後の就職が厳しいと言われる理由
大学中退後の就職が厳しいと言われる理由はどのようなものがあるのでしょうか。
例えば、「経歴にブランクが出来てしまう」ことや「大学中退後の進路の幅が狭くなる」ことがあげられます。
大学中退後のことを何も考えずに中退してしまうと、まず今後のことを考える期間が必要になります。
そのため多かれ少なかれ必ず空白期間が生まれてしまい、就職の際に印象が悪くなってしまいます。また就職活動の際は、大学中退が原因となって応募できない求人があります。
そして就職面接の際には大学中退理由を聞かれるため、きちんと対策しないと面接官にマイナスな印象をあたえてしまい、就職に苦労する場合もあるでしょう。
大学を中退しても就職はできる
では、大学中退後に就職はできるのでしょうか?結論から言うと、就職は可能です。
雇用形態はアルバイトや派遣ではなく、正社員で就職することもできます。現在は企業の人材不足が深刻化しており、2019年10月時点で、全国の正社員有効求人倍率は1.15倍となっています。
(ハローワーク情報サイト)これは、求職者1人に対して正社員として就職できる求人が1つ以上あることを示しています。
仕事を選ばなければ就職するのは難しくないでしょう。以上により、「大学を中退したらもう就職できない」なんてことはないので、前向きに就職活動を行いましょう。
注意!中退からブランクが開くと就職が難しくなる
大学を中退してからやりたいことを見つけるために、一度フリーターとして働き始める方もいることでしょう。
中退からフリーターやニートなど、就職活動を始めるまでに時間が空いてしまうと、就職の際に不利に働くことがあります。
企業としても、仕事に意欲的な人を採用したいと考えますから、フリーターやニートとしての期間があると「その間何をしていたのか?」「働く気がなかったのか?」と疑問を抱きます。
何か問題のある人ではないかと無用な勘繰りをされてしまうこともあるので、注意が必要です。
ニートやフリーターとしている期間に、明確な理由があれば問題ありませんが、特に何も理由がない場合は就職活動で不利に働く可能性があるのです。
大学中退後の主な進路
では、実際に大学を中退した人はどのような進路を選択しているのでしょうか。主な進路をご紹介します。
アルバイトや派遣をはじめる
大学中退後に最も気軽にはじめられるのがアルバイトや派遣です。
「特にやることは決まっていないけど、生活のためにすぐお金を稼ぐ必要がある」ような人が始めるようです。
安定した生活とは言えませんが、時給を選んで働けば生活に困ることはないでしょう。
また、自分に合わせた働き方が可能なため、正社員で働く人よりも自分の時間を確保することもできます。
ただし、派遣の場合は即戦力を求められる場合が多いため、スキルが必要です。
正社員就職をする
正社員はアルバイトに比べて就職が難しい場合が多いですが、その分給料も良いですし、福利厚生も充実しています。
また採用した企業側も、アルバイトよりは正社員の育成に力を入れるため、スキルや経験を身に着けたい人は正社員を目指す傾向にあります。
再び進学する
中退した大学では学べなかった分野について、改めて勉強したいと考える方は、大学や専門学校へ進学し直すようです。
その場合、ストレートで大学に進学し卒業した人よりも就職まで時間がかかってしまうのが欠点となります。
もちろん人一倍努力すれば、再進学という選択で得られるものは多いでしょう。また、この方法なら卒業後の就職活動での苦労も軽減できます。
起業
大学での勉強よりも優先してやりたい事業が出来た場合、大学中退後は就職等ではなく起業する人もいるようです。
起業のためには資金やビジネス知識、優秀な人材等必要なものがたくさんありますが、その要件を満たせば大学中退者でも成功できます。自分の実力ならできると考えている人にはおすすめです。
公務員
公務員試験の受験資格には年齢制限はありますが、学歴に条件がない場合があるので、大学を中退しても受験することができるものもあります。
公務員試験には「高卒程度」と「大卒程度」試験があり、これは受験者に要求する能力の目安であるため、大学中退者はどちらも受験することができます。
公務員は安定した職業で残業も少ないため、就職先としても非常に優良です。
しかし近年では公務員の求人数が減少傾向にあるため、公務員を目指す場合はきちんとした対策が必要になります。
大学中退後に就職活動を始めるタイミングは?
大学中退を検討している今、就職する気があってもいつから活動を始めるべきかわからないですよね。
中退を決めている期間まで時間が空いているのなら、大学中退する前に就職活動を始めるのが無難です。
大学中退は親にも「うちの子将来どうする気なんだろう…」と不安を抱かせてしまうこともあります。
大学中退の了承を得るためにも、中退前に就職活動を行っておきましょう。
ただし中退前に忙しくてうまく時間が捻出できない場合は、中退後に就職活動を行うこともやむをえません。
就職活動期間中の生活費のあてを作っておいたり、場合によってはアルバイトと並行しながら活動を行う必要があります。
20代ならポテンシャル採用を狙って正社員を目指そう
人材不足の企業が多く、正社員の有効求人倍率が1を超えている現在なら、求職者全員に正社員への道があります。
また、企業の採用は20代ならポテンシャルを加味した評価をする場合も多々あります。
はじめから正社員になるのは無理と諦めず、若いうちに正社員の就職活動をはじめることをおすすめします。
就職活動における大学中退と大卒の違い
大学中退者は就職の際に大卒者とは異なる点がいくつかあります。正社員として就職を目指すために知っておくべきことをご紹介します。
最終学歴は高卒扱い
大学を中退して就職活動を行った場合、最終学歴は高校卒業扱いとなります。
そのため、大卒を条件としている会社の求人には応募できません。
求人の中には学歴の条件がないものもたくさんあるので、焦らずじっくり探しましょう。
求人応募は新卒?中途?
大学を中退した場合、就職活動は中途採用の募集枠に絞って応募することになります。
新卒採用の募集枠では応募できません。中途採用枠は経験やスキルが求められたり、募集人数自体が少なかったりするため、自分の条件に合った求人を探すのに苦労することもありそうです。
大学中退後のおすすめ職種
大学を中退したために、就職の際応募できる求人に限りはありますが、大学中退後に就職成功した人はたくさんいます。
自信を持って就職活動を行うために、ここでは大学を中退した人が就職しやすい職種はどんなものかをいくつかご紹介します。
サービス職
大学中退者が最も多く就職している職種です。サービス職には飲食や衛生、医療・福祉、娯楽など、幅広い業種から就職先を選べます。
文字どおり、利用者にサービスを提供する仕事なので、細やかな気配りや対応力がある人が向いている職種です。
人物重視で評価する企業が多いため、学歴等の制限も少ないですが、離職者が多い職種でもあるため、注意が必要です。
販売職
大学中退者が多く就職している職種です。販売職に関しても家電やアパレル、スーパー等幅広い業種から就職先を選ぶことができます。
接客業に抵抗のない人や、人との会話を楽しめる人に向いています。
学歴や経験を問われることが少ないため、未経験でもチャレンジしやすく、自分の好きな商品を販売する会社を選ぶ人が多いようです。
経験を積めば管理職にステップアップも可能ですし、ノルマ等もあるためモチベーションも維持しやすいでしょう。
しかし、立ち仕事が多かったり、勤務日時が不規則になりやすかったりと仕事を続ける上で大変な点もあります。
営業職
営業職は、未経験から就職する人が多い職種です。学歴等の制限がほとんどありませんが、普通自動車運転免許が必要な場合があります。
新規開拓営業やルート営業等、営業方法が会社によって違うことも多いので、自分に合った営業方法を採用しているところを探しましょう。
ノルマを迫られるため大変だといわれる職種ですが、頑張った分が給料に反映される会社も多いので、やりがいを感じる人も多いでしょう。
また、営業職で学べるコミュニケーション能力は他の職種でも活かせるスキルとなるといわれています。
ITエンジニア
ITエンジニアは未経験者でも採用されやすく、技術があれば学歴は関係ないとする社風の会社が多いです。
またIT業界は人材不足になりがちな業種であるため、未経験での求人募集が多くあります。 技術系職種の中でも評価されやすい職種ですが、人材不足のためか残業が長時間になりやすいというデメリットもあります。
大学中退者が正社員になるための就職対策方法
大学中退した人が就職するためにはやはりきちんとした対策が必要です。
大卒者とは対策方法も異なるため、ここでは大学中退者のための正社員就職の方法を具体的にご紹介します。
求人探しの方法
大学中退の場合、応募できる求人には制限があります。主に学歴条件が高卒可で、中途採用の募集があるところに応募します。
これは、大卒者に比べるとかなり求人数が少なくなり、インターネットで自力で探すと苦労します。
必要があればハローワークや転職エージェントを利用し、プロに相談しながら進めましょう。
既卒で就業未経験でも転職エージェントは利用できる?就職エージェントを利用すべき?
書類審査のポイント
大学中退者は高卒扱いにはなりますが、履歴書では大学中退と記入する規則があります。
もちろん、大学中退は良い印象を与えることはありませんが、企業の中には大学進学自体を評価してくれるところもあるので、履歴書は正直に記入しましょう。
また、履歴書の中に大学中退の理由を書く欄があれば記入した方が良いでしょう。
やむを得ない事情で大学を中退した場合には、理由を書くことで大学中退がマイナスになることを防ぎます。
面接対策で評価アップ
就職活動の面接ではほとんどの場合、大学中退の理由を聞かれるでしょう。大学中退者に対する面接官の印象は基本的に良くありません。
そのためどんな理由であっても、大学を中退したことについては反省し、現在は働くための努力をしている、と誠実に話すに方が良い印象を与えるでしょう。
また、話に説得力を持たせるためにも、資格取得等の努力をしてアピールすることが大切です。
大学中退の理由の他にも、学生時代に取り組んでいたことや学校生活がどんなものだったか等、きちんと対策をして答えられるようにしておきましょう。
合わせて志望動機や入社後にやりたいこと等、通常の面接内容の対策も行いましょう。
面接の際には身だしなみを整え、マナーを守ることも重要です。面接官に少しでも良い印象を与えられるよう、繰り返し練習しましょう。
フリーターから正社員採用を勝ち取るための志望動機・自己PRの書き方
資格を取得してアピールポイントを増やす
中退前に就職で役立つ資格を取得して、企業に対するアピールポイントを増やすことも検討してみましょう。
資格を取得することで、企業からの評価が上がる可能性もあります。
行きたい業界で求められる資格を事前に確認しておきましょう。
また、通信制の大学に通い、大卒資格を取得することも検討しておくと、より就職先の幅が広がるのではないでしょうか。
ただし就活で評価される資格は、いずれも取得までに時間を要するものばかりです。
資格を就職で生かしたいと考えているなら、一定期間の勉強時間が必要になります。
中退するまでの休学して、資格取得の勉強時間に充てることも検討してみてください。
まとめ
大学中退した人のその後について詳しく調べましたが、結論としては、大学中退くらいでは人生は終わったりしないということが分かりました。
大学中退後にどんな進路を歩むとしても、まずは大学を中退したという事実をしっかり受け止めて、前向きに今後のことを考えましょう。
中退を考え始めたタイミングで、親を説得するためにも就職活動を始めておくのも一つの手です。
資格取得して有利に進めたいのであれば、事前に資格取得のための勉強期間を設けてみましょう。
今回の記事が大学を中退した方や中退を迷っている方の参考になれば幸いです。