ある日突然、部下に辞表をだされ慌ててしまったという経験はありますか?
「どうして相談してくれなかったの?」と問い詰めたいところですが、それまでに出されていた黄色信号を見落としていたのかもしれません。
会社を辞めそうなシグナルはいくつかの特徴があり、それを把握していれば突然の不幸に見舞われるリスクを待避できます。
上司は退職予備軍をいち早く見つけだし、優秀な人材が辞めることを阻止していきましょう。
目次
部下がみせる会社を辞めるときの8つの兆候
上司にとっては「予兆もなくいきなり!」と感じてしまうことも、当事者にとっては長い間悩み抜いた結果であることを忘れないでください。
部下が会社を辞めると決断するまでには、いくつかの兆候があります。
それを見逃さずに事前に察知し対処することが、優秀な人材を流出させないポイントです。
格好や髪型が変わる
いつも派手なネクタイにカラフルなシャツを着ていた部下が、白シャツに紺色のネクタイを締めていると要注意。
面接や転職エージェントとの打ち合わせが入っているのかもしれません。
反対に普段はきちんとした格好をしているのに、髭を剃らずに会社に来たり、だらしない格好になったりするのも危険信号です。
自分の意見を発言しない
いつもであれば会議の席で自分の意見やアイデアを積極的にだしていく社員が、発言をしなくなるのも注意が必要です。
「もうすぐ辞めるから発言を控えよう」「今後のことはどうだっていい」などと考えているのかもしれません。
上司とのコミュニケーションが減る
会社を辞めようかと悩んでいるとき、もしくは退職を決意したとき、部下は上司を避ける傾向があります。
とくに優秀な部下であれば、これまで上司に意見を求めたり相談したりと対話が多かったはずです。
「そういえば最近あいつと話していないな」と気付いたときには、もう手遅れかもしれません。
自席にいない時間が増える
自席でPCに向かって作業に没頭していた社員が、席にいない時間が増えたというのは、転職活動をしている証拠かもしれません。
転職活動をはじめると、転職エージェントとの連絡や、転職先からの面接のスケジュール調整などで席を外す機会が増えます。
特定の同僚とつるむ
退職について悩んだときに相談しやすいのは、仲のいい同期や同じ部署の仲間です。
自分の状況や辞めたい気持ちを理解してもらいやすく、転職先についても相談しやすいという点が挙げられます。
退職の悩みは大勢に打ち明けないため、いつも大勢でランチや飲みに行っていた部下が、周りと距離を置くようになると要注意です。
特定の人とつるみだしたら退職の相談をしている可能性があることを肝に銘じましょう。
仕事を置いて帰るようになる
責任感が強く、与えられたタスクはきちんとこなしていた部下が、仕事を残して帰るようになると危険です。
また有給は最低限しか取らなかったのに、何の前触れもなく1週間の長期休暇を取ったりするのも、退職を決意したからかもしれません。
部下に熱心に指導する
一緒に仕事をしていた部下に、退職を伝えず引き継ぎをはじめるのも、辞めるとき兆候のひとつです。
普段から仕事に真面目に取り組んでいる部下ほど、自分が会社を辞めた後に残された仲間が大変な思いをすることが理解できます。
そのため退職を宣言するよりも前から、周りに迷惑をかけないよう少しずつ引き継ぎを始めるのです。
顔つきが変わる
今までは常に考えごとをしているような顔をしていた部下が、ある日を境にスッキリとした表情で出社するようになったら退職を決意した後かもしれません。
また転職先がようやく決まった後で安堵しているということもあります。
普段は穏やかな顔の社員がむずかしい表情をするようになったときは、まだ退職を悩んでいる時期かもしれません。
このときであれば引き止めることは可能ですが、肩の荷が降りたようなサッパリとした顔であれば、決意はすでに固まっています。
会社を辞めようと思う理由とは?
どんな状況であれ、会社を辞めようと思ったきっかけがあるはずです。
育児や介護、体調不良などの物理的にどうしようもない状況を除いて、部下が会社を辞めようと思う動機を探っていきます。
評価に対する不満
上司の皆さん、部下の評価は平等に行っていますか?
人数が多ければ多いほど、一人一人の頑張りを適切に評価することは難しくなっていきます。
評価に関しては「自分はもっと結果を残しているはずだ」と声を上げて言いづらいため、不満が溜まってしまうのです。
そうなると自分をもっと評価してくれそうな会社に転職しようという気持ちから、退職という結果を招いてしまいます。
仕事がつまらなくなる
部下が会社を辞める一番の原因がこの理由で、やりがいや達成感を得られなくなることで退職を選択してしまいます。
自分のやりたいことができない、何年も同じ業務をやっているとなると、仕事を辞めたいという気持ちが芽生えますよね。
部署の転属なども言い出しにくいような環境であればなおさら、転職を選んだ方が手っ取り早いと思ってしまいます。
とくに仕事に熱心な部下ほど「活躍したい」という気持ちがあるので、優秀な人材ほど会社を辞めていくのはそういう理由からです。
仕事量が多すぎて精神的な負担になっている
人材不足が原因で、一人一人に対する仕事のウエイトが大きくなっていることも、退社の原因になります。
周りがみんな大変であればまだ良いのですが、特定の人物のみに負荷がかかると「どうして自分ばかりが」と不満を感じてしまいます。
仕事が早い人が4時間でやることを、遅い人は8時間かけてやります。
そのため効率よく終わらせても余計な仕事を振られることがあり、仕事ができる人にとっては不利になってしまうのです。
人間関係の悩み
どんなに仲がいい会社であっても、人と人とが関われば摩擦が生じたりトラブルが起きたりします。
また社内恋愛などで精神的にもツライ思いを経験し、転職先が決まらずに辞めてしまう人もいるでしょう。
人間関係の悩みは男性よりも女性に起きやすい傾向があります。
同期や上司にも悩みを打ち明けづらい20代の若手が、電話1本で「退職します」というのもこのパターンです。
上司と合わない
表面上は親しくしていても、実は部下に嫌われているという上司は少なからずいます。
頻繁に意見がぶつかる、上司の意見に逆らうなどの部下はやる気に満ち溢れている証拠ですので問題ありません。
何も話しかけてこない、目を合わせるのを避けているという部下がいれば注意してみてみましょう。
気にかけて話しかけることで解決することもあるので、上司は積極的にコミュニケーションをとるよう心掛けてください。
無能な上司を見極める5つの特徴!こんな上司の言うことは聞くな!
キャリアパスがイメージできない
働いていて具体的なキャリアパスがイメージできないと、将来に不安を感じるようになります。
淡々と仕事をこなしているだけだったり、業務に目的が見いだせないときなど、段々と不安で押しつぶされるようになります。
キャリアパスがイメージできないと、精神的負担が生じて会社に出社するのもつらくなっていきます。
仕事に対して具体的な目標を作れないと、会社から部下が離れてしまう原因になります。
成長機会がない
成長機会がないと感じた場合も、部下が退職を考える原因の一つです。
他の人は成長の機会が与えられているのにも関わらず、自分だけ機会が与えられないなど、自分ではどうにもできないことがほとんどです。
現在の会社で成長機会がないと、他の会社に移動して自分の求めるキャリアを築けるように転職活動を始めてしまう可能性もあります。
部下に退職を伝えられたときにやってはいけないNGな言動
部下に退職願いを渡されたとき、会社を辞めますと伝えられたとき、上司であるあなたがやってはいけない言動があります。
退職するときのやりとりは、部下を通じて部署内に広まるということを肝に銘じておきましょう。
自分の都合で話さない
一番悪い例が、「こんな忙しい時期なのに辞められたら困る」です。
これはあなたの都合や会社の都合であって、退職者には関係ありません。
そもそも退職という事態を招いてしまったのは会社にも責任があるので、自分都合ではなく相手の立場になって話を聞いてあげるのが正しい対応方法です。
待遇を変えない
「給料をあげるから退職しないで」というのも NGです。
もしこれで残ってくれたとしても、しばらくするとまた退職をチラつかせてくるでしょう。
その度に給与を上げ待遇を変えていたら、他の社員も同じようなことをし始めます。
待遇を変えずに残ってもらう方法を探っていきましょう。
オープンスペースで退職の話をしない
退職についての話し合いを、会社のオープンスペースですることは絶対にやってはいけません。
すでに退職が周知されていて引継ぎなどの話し合いは別ですが、「どうして辞めたいと思ったの?」などの質問を、周りの目を気にせずに話すことは止めましょう。
他の人に聞かれたくない話なのに、配慮をしないまま退職の話をしてしまうと、確定していない話まで噂で回ってしまいます。
退職関連の話題は会議室や個室など幣された空間で実施することをおすすめします。
優秀な部下を引き止める方法
戦力が減ることで会社が受けるダメージは計り知れません。
優秀な人材の退職を阻止するため、引き止めるときの方法を紹介します。
辞めないで欲しいと素直にいう
良くない例として挙げられるのは、退職を言い渡され動揺しつつも、冷静を装って対処することです。
あっさりと辞職を認めてしまうと周りの部下にもそれが伝わり、大切に思われていないと勘違いさせてしまう恐れがあります。
驚いたのであればその感情をストレートに表し、「退職を考えているなんて気づかなった。悩みがあるのであれば話を聞きたい」と誠心誠意の対応をしましょう。
あまりしつこく引き止めるのも良くありませんので、引き際は用心してください。
キャリアパスについて話し合って明確な目標を提示する
部下と一回よく話し合って、キャリアパスについてどんな理想を描いているかを確認しましょう。
部下が求めている目標を理解せずに、会社の方針にのみ沿ってキャリアを決めてしまうと、マッチしないまま転職されてしまう可能性があります。
キャリアパスについてしっかりと話し合ってお互い腹落ちするまで話合って、丁度いい落としどころを見つけてみてください。
他部署への転属を提案する
辞めたいという気持ちが固まって動きそうにないのであれば、他部署へ移動させることを提案するのもひとつの手です。
可能であれば違うビル、違うフロアなどにしてあげるといいでしょう。
部署が違えば上司や周りの環境も変わるので、違う会社に転職したような気分が味わえます。
部下がやってみたかったセクションであれば、退職を思い止まってくれるかもしれません。
優秀な部下を手放さないためにできる対応方法
部下が会社を辞めそうな雰囲気になっているにも関わらず、そのまま何もせずに放置するのはNGです。
適切な対応方法を取らないと、離職につながってしまうこともあります。
相手の状況に合わせて、以下の対処法を取ってみてください。
- 定期的に声がけをする
- 長期的に働くメリットを提示する
- 働きやすい環境を作る
以下で詳しく解説していきます。
定期的に声がけをする
会社を辞めそうな部下がいる場合は、定期的に声がけをすることも大切です。
部下が仕事や会社から心がはなれている原因として、上層部とのコミュニケーション不足が挙げられます。
忙しいからとコミュニケーションを取らなかったり、これまで話していたのに会話する機会を意図的に減らすなど、接点が少なくなっていると不満も生じやすいです。
定期的に声がけをすることで、帰属意識を回復させられる可能性もあります。
長期的に働くメリットを提示する
優秀な部下を手放さないためにも、自社で長期的に働くメリットを提示することも大切です。
今の気持ちでは仕事に対して前向きになれていないこともあるでしょう。
会社で長期的に働くビジョンが上手く描けていないこともあるので、部下のニーズに合わせた長期的に働くメリットを提示しましょう。
納得してもらえるようであれば、会社に残る選択を取ってもらえることもあります。
働きやすい環境を作る
働きやすい環境を作ることも、部下を引き留めるうえで重要です。
今の職場に対して働きづらさを感じている場合、仕事に対して魅力を持っていてくれていても、残る選択をしてくれないこともあります。
働きやすい環境を整備して、仕事に対して前向きに行動してもらえるようにしましょう。
部下を笑顔で見送った後は同じ過ちを繰り返さない
引き止めることができなかったときは、部下の今後の成長を願い笑顔で送り出してあげましょう。
もしかすると転職先で今の職場の良さに気付き、戻ってきてくれるかもしれません。
そして次は同じような過ちを犯さないよう、普段から部下の動向をチェックして積極的に声をかけていきましょう。
辞表を出されたときのあなたの対応でその後のイメージも決まるということに注意し、上司の役目を果たしていってください。