部下と上司の関係を築くのは、仕事上必要不可欠です。
部下からの信頼は、上司にとって仕事のやりがいにもつながります。仕事もよりスムーズに進むでしょう。
一方で、部下との関係に悩んでいる人も多いようです。世代が異なる場合が多いためか、その世代間のギャップで頭を抱えることもあります。
部下と上司は一見かけ離れた存在のようにも見えますが、最終的にはどちらも人と人です。
基本的なコミュニケーションがとれていなければ、部下から信頼されることもむずかしいでしょう。
ここでは、信頼される上司と信頼されない上司の違いや、上司が気を付けたい習慣、良好なコミュニケーションの取り方をご紹介します!
目次
部下にとって上司とはどういう存在か
部下にとって上司はどんな存在なのかということを考えたことはありますか?また、あなたにとって自分の上司はどんな存在だったでしょうか。
部下にとって信頼したくなる上司というのは、自分の仕事や年齢を重ねていくうえで“こんな風に仕事をしたい”“自分の人生の参考にしたい”と思える上司です。
そこには自然と敬意が生まれているはずです。
そして信頼できる上司というのは、部下に安心感を与えています。
これまでしたことのない仕事や次々にぶつかる自分の課題に悩むなかで、上司の存在が支えになるのです。
あなたは今、信頼してきた自分の上司の姿に近づいていますか。
自分が信頼してきた上司と、あなたの部下の信頼したくなる上司像は必ずしも同じとは限りません。
しかし、敬意を払えるかという点においては、働く姿や人柄にいくつかの共通点があると思います。
上司という立場から部下へ、なにを伝えていけるのかということもあわせて考えてみたいですね。
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信頼される上司と信頼を失う上司の違い
信頼される上司と信頼されない上司には、当然ですがいくつかの違いがみられます。
どんな上司が信頼を得て、どんな上司が信頼を失うのでしょうか。それぞれの特徴の一例を挙げていきます。
信頼される上司の特徴
部下に意見を聞く
部下に考える時間をつくる上司は、たとえ時間がかかったとしても部下の意見を聞こうとします。
長い目で見たときに、発想する力や自らの意見を発言し相手に伝える力が身に付くからです。
部下の意見を否定しない
他人の発言やしたことに対して、“受け取る”ことができるというのは、上司と部下の関係に限らずコミュニケーションにおいて大切なことです。
上司と部下も人と人なので、意見や考え方は当然異なります。コミュニケーションはその違いを受け止めるところから始まります。
部下の意見を受け取れる上司の姿は、部下の目にもしっかりと映っています。
「ありがとう」「お疲れさま」を伝える
「ありがとう」「お疲れさま」「助かったよ」といった気持ちを伝えることは、相手が部下であっても他の人とのコミュニケーションと同じように大切なことです。
立場の違いがあるからこそ、感謝の気持ちを伝えることが今後の関係にもつながってゆくのです。
何気ない言葉かもしれませんが、伝えられていないことも多いです。
部下は上司のこういった言葉のあるなしで、信頼できる人かどうかを判断しています。
信頼されない上司
部下の意見を聞こうとしない
部下の意見を聞くこともしない上司もいます。
確かに、あまり慣れていない部下に意見を求めても仕事の進み具合に時間がかかってしまうだけかもしれません。
慣れていない、意見も未熟である、というのが部下です。だから上司という存在が必要なのです。
部下は上司の対応の仕方を細かく観察しています。
自分の話を聞くことすらしない上司には、なかなか信頼を寄せることはできないでしょう。
部下の仕事に対して常に否定的
部下の仕事に対して否定的な言葉ばかりを口にするのは、部下にとっては自分自身の存在まで否定されているかのように聞こえている場合があります。
「どうせだめだろう」というような先入観で部下を見るのは危険です。
前回よりも改善されたところや伸びしろがある部分にも目が向けられない上司は、部下も仕事に対しての意欲を失ってしまいます。
部下の状況を把握せずに指示を出す
状況を把握しようともせずに、仕事の指示だけをする上司もいます。
上司は全体の様子を広い視野で把握しておく必要があります。
経験を重ねている上司だからできることです。
部下の状況を把握せずに指示だけを出すとどうなるのか。
部下は膨大な量の仕事を抱えることになり、作業効率も上がらなくなるのです。
部下の目には、“全体が見えていないのに指示だけを出す身勝手な上司”として映ってしまいます。
上司が気を付けたいNG習慣
普段何気なくしている習慣が、部下からの信頼を失うきっかけになっています。
部下は上司の様々な面を見ています。
もちろん、なんでもできる完璧な人間になる必要はありません。
部下と上司の関係においても、基本的なコミュニケーションがとれているかどうかが、部下からの信頼につながります。
自分が部下だったらどう思うかを意識しながら、上司が気を付けたいNG習慣を見ていきましょう。
NG習慣
部下に対していつも否定的
上記の信頼されない上司の項目でも書きましたが、部下に対してだけでなく、他の人に対しても否定的なことばかりを口にしてはいませんか?
ストレスや不満が溜まっていると、つい否定的なことばかりをこぼしてしまうことはありますが、メリハリが必要です。
否定的なことに目が向いてしまいがちな人は、まずはどんな些細なことでもよいので、良いことを探す癖をつけることも大切です。
部下にとって上司の言葉は、良くも悪くも大きな影響を与えています。
部下の誤りを指摘しない
否定的なことばかりを言うのと、部下の誤りを指摘するのは似ているようで全く異なります。
上司の役割のなかには、部下の誤りを指摘してどう改善していくかということも含まれるのです。
部下の仕事に対して褒めるばかりで改善点を伝えないのは、部下の可能性を潰してしまっていることと一緒です。
褒めるところは伝える、誤りは訂正し部下の成長につなげる。そのメリハリが大切なのです。
部下の意見を聞こうとしない
こちらも先程すこし解説しましたが、部下の意見を聞くことでどんないい影響があるのでしょうか。
意見を聞くということは、相手の存在をしっかりと確認できているということです。
意見を聞こうとしないのは、部下の存在を無視しているということになります。
部下が未熟だからこそ、上司は現時点での部下の意見をしっかりと聞いておくことが大切です。
その意見のなかに、部下の長所や短所も隠れています。
部下を育てるのであれば、部下のことを知る必要があります。
部下からの報告に返事を返さない
部下からのメールの返信を怠ってはいませんか?
上司からのレスポンスがない場合、部下は不安になります。
必要な報告なのかしなくてもいい報告なのかも分らなくなってしまいます。
報告は仕事をするうえでも基本的なことですが、必要なレスポンスに手を抜かないことも大切なことです。
メールというツールを利用するからこそ、今一度気を付けたいことでもあります。
部下に仕事を任せない
上司には、部下を後ろから支える役割もあります。
部下にはまだ分からないから任せないのではなく、まだ分からないからこそ上司がフォローして部下に任せることが、部下の成長にもなります。
任せないというのは、信頼してないとも捉えることができます。
実際にそう思っていなくても、なかなか自分に仕事を任せてくれない上司に対して、部下は不信感を覚えるでしょう。
部下とこまめに会話をしようとしない
部下との何気ない会話のなかには、部下のことを知る要素がたくさん詰まっています。
相手を知ることで、得意なことや苦手なことが見えてきます。
それは後輩の仕事のやり方にも表れているでしょう。
コミュニケーションの基本は、相手を知ろうとすることです。
またこまめに会話をすることで、緊張感もほぐすことができます。
部下と上司の関係も、人と人とのコミュニケーション
部下も上司も、仕事上での立場がありますが、基本的には人と人です。
信頼される関係を築くには、基本的なコミュニケーションがとれていることが欠かせません。
基本的なコミュニケーションは、自分ではできていると思っていても、相手には伝わっていないこともあります。
どちらか一方の思いが強くても、関係は成り立ちません。
まずはお互いが基本的なことをしっかり伝え行動できているかということが重要です。
部下だから、上司だからということだけで判断せず、自分から行動を変えてみましょう。コミュニケーションは、まず“自分から”なのです。
コミュニケーションをとるうえで大切なこと
コミュニケーションの基本的なことはしっかりとできていますか?
- 挨拶をする
- 返事をする
- 傾聴を心掛ける
- 敬意を持つ
- 相手に関心を持つ
- 自分から行動する
など、これらはどんな人間関係においても基本になります。そして信頼される関係づくりの土台にもなります。
家族や友人との関係でも忘れてしまいがちなことですが、上司と部下という仕事上の立場が絡んでくる場合も、こういった基本的なことがおざなりになってしまいがちです。
部下から信頼される上司でありたいのであれば、まずは基本的なことをしっかりと抑えましょう。
自分がされたくないことは相手もされたくない
仕事上の立場があると、ついその立場で判断してしまうことがあるかもしれませんが、部下も上司も働く場所が同じいというだけで、それぞれの人生があり、生活がある、ひとりの人間です。
自分がされたくないことは、基本的に相手もされたくないでしょう。
ですが、自分がされてためになったと思うことが、相手にとってもためになるとは限りません。単なる押し付けになってしまいます。
部下が上司に求めていることを、上司が全てかなえる必要もないのではないかと思います。
部下は自分の近くにいる“先輩”たちから、自分が仕事をしていくうえで参考にしたい所を見つけてゆく姿勢が必要です。
目の前にいる部下にとって、上司である自分はどんなことを伝えられるのかを考えながら、部下と真摯に関わることが何よりも部下を思う気持ちになるのだと思います。
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部下を育てるために
上司という立場である以上、部下を育てる必要があります。どんなことを心掛けて部下と関わればよいのでしょうか。
部下の長所と短所を知る
部下の長所と短所は、部下が仕事でどんな風に力を発揮することができるのかを考える貴重な材料になります。
そのためには前述したように、普段から何気ない会話をしておくことが大切です。
部下が持っている力を伸ばす
部下の長所と短所が、その会社のどのポジションで存分に発揮できるのかを考えることも上司の役割だと思います。
部下が本来持っている力やこれから伸びていきそうな部分を、普段の仕事のなかから見つけてゆく必要があります。
「待つ」
普段、「待つ」ことができていますか?部下は仕事に慣れていない分、仕事の対処方法や考えを出すことに時間がかかることもあるかと思います。
仕事のことだけを考えると、慣れている上司が手を出す方が効率も良いですが、必要なときには部下の判断をじっと待つことも大切です。
部下にも、信頼しているということが伝わりやすくなるでしょう。
理想の部下像を押し付けない
部下を思うがあまり、こんな風に育ってほしいというような、自分自身の理想の部下像を押し付けることはあまり良いこととは言えません。
部下には部下のなりたい自分があるかもしれません。
部下の気持ちを押しつぶさずに、部下の力をどう伸ばしていくのかということを考えていく必要があります。
上司だからと言って完璧でいる必要はない
上司が、部下のお手本にならなければと常に完璧でいる必要はありません。
人との信頼関係が築かれていくときに、相手の苦手な部分を見たことでぐっと距離が縮まった経験はありませんか?
上司という立場にいても、苦手なことやミスをすることはあります。
上司が部下を信頼している姿勢でいれば、それは部下からの信頼を失うことにはつながりません。むしろ人間味を感じて緊張感がほぐれる場合もあるのです。
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まとめ
部下からの信頼関係を築くのにはとても時間がかかりますが、信頼を失ってしまうのは一瞬です。
だからこそ、日々の部下との関わり方が大切です。
上司の立場にいる人に限ったことではなく、部下である人も、これまでの自分の行動を振り返りながら、まずは自分からコミュニケーションを工夫してみましょう!