国家資格であるキャリアコンサルタントは合格率が比較的高く、働きながらでも取得できます。
とはいっても、学科試験の範囲は広く、実技試験も課されるため効率のいい勉強や学習は必須。
この記事ではキャリアコンサルタント試験を研究し続けている筆者が効率のいい勉強法や優先して学習すべきポイントを紹介したいと思います。
目次
効率のいい勉強法を試験形式ごとに紹介
キャリアコンサルタント試験は以下のように学科試験と実技試験に分かれています。
(受験資格も必要で、キャリアコンサルタント養成講座へ通って受験資格を得る人が大半です。)
学科試験 | 実技試験 | |
---|---|---|
試験内容 | 四肢択一50問 | ロールプレイ、口頭試問、論述 |
合格基準 | 70%以上 | 総合60%以上、各評価区分で40%以上 |
第14回試験(2020年3月実施)合格率 | 67.2% | 66% |
参考サイト
https://www.jcda-careerex.org/information/requirements.html
https://www.career-shiken.org/about/
https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000625910.pdf
ここからはこれら試験内容ごとに勉強法を紹介していきたいと思います。
学科試験の勉強法
まずは四肢択一である学科試験の対策と勉強法についてです。重要なのは以下の3点です。
- 過去問を確認する
- 頻出分野を優先的に勉強する
- 自分に合った勉強法を確立する
過去問を確認する
過去問は直近の3回分、試験実施団体である日本キャリア開発協会(以降JCDA)とキャリアコンサルティング協議会(以降CC協議会)の公式サイトに掲載されています。
まずは解いてみて、どのような問題が出るのか確認してみるのがいいでしょう。もっと前の過去問を解いてみるのもおすすめです。
頻出分野を優先的に勉強する
どのような問題が出ているか感覚をつかめたら、次は優先順位をつけて出題分野ごとに勉強していきましょう。
厚生労働省が定めるキャリアコンサルタント養成講座のカリキュラム(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consultant01.html)にそって試験を分析したところ、頻出ランキングは以下のようになりました。
- キャリアに関する理論
- カウンセリングの技能・知識
- 人事管理及び労務管理の知識
- 労働関係法令及び社会保障制度の知識
- 職業能力の開発の知識
- 自己理解の支援
- 労働市場の知識
- 仕事理解の支援
1位の「キャリアに関する理論」、2位の「カウンセリングの技能・知識」については人名と理論や心理療法を結びつけて理解、暗記しておくことが非常に重要です。
4位の「労働関係法令及び社会保障制度の知識」では労働基準法、男女雇用機会均等法、労働契約法などの法律が頻出。
5位の「自己理解の支援」、8位の「仕事理解の支援」では職業レディネス・テスト(VRT)、GATB厚生労働省編一般職業適性検査、VPI職業興味検査といった検査ツールが頻出となります。
常識を踏まえれば正答できる問題もありますが、まずはこれらの暗記が必要な分野を優先的に勉強していくといいでしょう。
なお、2020年度から試験の出題範囲が改定されました。(参照:https://www.jcda-careerex.org/files/requirements/66file_15876275291.pdf)現時点でまだ新試験は実施されていませんが、「詳細な知識を有すること」が求められる分野は今の試験でも頻出であり、大きな変更はないと考えられます。
自分に合った勉強法を確立する
そして、自分に合った勉強法を確立することも大切です。
そのなかでまず考えたいのは養成講座の授業をどのように生かしていくかということ。
学科試験に詳しいベテランの先生が担当するとは限らないので、自分であらかじめ予習をしてから授業で確認するという流れもいいでしょう。授業中に暗記を進めるというイメージです。
あとは養成講座のテキスト以外に参考書籍もできれば用意してきましょう。
『キャリアコンサルティング 理論と実際』(著:木村 周)『新版 キャリアの心理学』(著:渡辺 三枝子)はキャリアコンサルタント試験の出典元にもなっており、特におすすめです。
暗記に関してはいろいろな方法を自分で試してみましょう。たとえば次のような方法があげられます。
- ひたすら書いて覚える
- 単語帳を使う
- 仲間に説明する
- 仲間と問題を出し合う
- 重要項目を音声に録音し、通勤時間・作業時間などに再生し勉強する
すき間時間などを使って、コツコツ勉強していくといいですね。
ロールプレイ(実技試験)の勉強法
ロールプレイとは実際の相談場面を想定して、相談者役にキャリアコンサルティングを行うというもの。
そのやりとりを試験官によって採点されることになります。
このロールプレイの対策はキャリアコンサルタント養成講座のなかでも行われますが、さらに仲間同士で練習を行う人も多くいます。
会議室を借りたり、カラオケルームを使ったりと練習場所は人によってさまざま。
スマートフォンなどを使って、録音・録画して振り返るのもおすすめです。
ロールプレイでは次のようなことを意識しましょう。
- 相談者の性別や年齢、相談内容などさまざまなパターンを練習しておく
- キャリアコンサルタントとしての常識的なふるまい、態度、受け答えを大切にする
- 「この相談者は何を大事に生きていきたいのだろう・・・」などと意識し相談者の価値観を尊重すたうえで傾聴する
- 一方的にアドバイスはせず「はい・いいえ」では答えられない「開かれた質問」を中心とする
- 各団体の評価区分を意識する
このうち評価区分は以下のように試験実施団体によって少し異なります。
- JCDA:「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」
- CC協議会:「態度」「展開」「自己評価」
とはいっても評価区分は大まかなものなので、団体によって対策を大きくかえる必要はありません。
これらの項目をなるべくクリアできるよう心がけておけばいいでしょう。
口頭試問対策(実技試験)
口頭試問とはロールプレイに関する試験官からの質問に答えるというもの。
2020年3月時点ではきかれる質問は以下のようにだいたい決まっています。
- ロールプレイでできたこと、できなかったことは?
- 相談者の一番訴えたかったこと(主訴)は?
- キャリアコンサルタントからみた相談者の問題点は何か?
- 今後どう展開支援していくか?
- 今後キャリアコンサルタントの資格をどのように活かしていきたいか?
これらの質問についてはキャリアコンサルティングの基礎を意識したうえで、自分の型を用意しておくといいでしょう。
もちろんこれら以外の質問がなされる可能性もゼロではありません。
たとえば「あのときあのようなことを言っていたけど、どういうことですか?」といった少し突っ込んだ質問が来る可能性もあります。
シミュレーションが大事だという点はロールプレイと同じなので、仲間たちといっしょに練習を重ねるといいでしょう。
論述試験(実技試験)の勉強法
論述試験は学科試験ではなく実技試験の位置づけなので、ロールプレイの延長と捉えましょう。
問題文にある相談事例を読み取り、キャリアコンサルタントとしての常識をふまえて記述することが大前提です。
気をつけたいのはJCDAとCC協議会で問題形式が異なるという点。
それぞれの公式サイトに直近の3回分過去問がアップされているので、まず確認しておくことから始めましょう。
模範解答は発表されていませんが、試験である以上なるべく点数を得られるように文章化していくことが求められます。
具体的には行をなるべく埋める、根拠を示す、基本的なキーワードを織り交ぜるといった点です。
時間を意識したうえでの書く練習ももちろん行いましょう。
キャリアコンサルタント資格を得るのにどのくらいの期間が必要か
さいごにキャリアコンサルタント資格を得るのにどのぐらい期間が必要かについて触れたいと思います。
結論からいうと、2ヶ月〜半年ほどかけて行われるキャリアコンサルタント養成講座に通っている期間中だけ勉強して合格を果たす人が多いです。
「養成講座に通っている間だけ試験勉強する」と決めておくと、仕事やプライベートとの調整もしやすいはず。
一発で合格できるようコツコツ勉強していきましょう。
キャリアコンサルタント試験は働きながらでも合格できる
ここまで、キャリアコンサルタント試験の勉強法や重要なポイントについて紹介してきました。
キャリアコンサルタント試験は国家資格にしては合格率が高く、働きながらでも十分合格できます。
この記事がこれからキャリアコンサルタント試験を受けようと考えている方の参考になれば幸いです。
参考
JCDA試験要項https://www.jcda-careerex.org/information/requirements.html
CC協議会受験概要https://www.career-shiken.org/about/
キャリアコンサルタントになりたい方へ(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consultant01.html学科試験対策で参考:みんなで合格☆キャリアコンサルタント試験https://www.career-consultant.info/
実技試験対策で参考:キャリアコンサルタント(キャリコン)試験対策講座(多田塾) https://e-4clover.com/