何らかの事情で大学を中退した人は、「高卒」という肩書で仕事を探さなくてはなりません。
面接では中退した理由を根掘り葉掘り聞かれるため、就職活動がイヤになり、アルバイト生活を続けてしまう方も多いようです。
しかし中退者であっても正社員として就職に成功している人は数多くいることから、面接対策などをしっかりと行っていれば、中退がネックになることはありません。
この記事では中退者でも正社員になりやすい職業や、面接対策についても解説していますので、非正規社員でなく正社員としての道を切り開いていって欲しいと思います。
目次
2012年の大学中退者はおよそ8万人
文部科学省の調査によれば、2012年に大学、高等専門学校を中途退学や休学した学生は79,311人にも及びます。
退学の要因としては「経済的理由」が全体の2割を占め、2008年の調査と比べると6.4%も上回る結果になっています。
大学に寄せられる授業料免除や奨学金などの経済的な相談も「相談件数が増加している」と回答した大学は71.3%になりました。
大学で学んでいける学力はあるものの、家庭の事情などで高い授業料が払えなくなり、止むを得ず退学を選択する学生が多いことが分かります。
大学を中退してやりたいこと1位は就職
独立行政法人労働政策研究・研修機構が行なった、「大学を中退した直後にやりたと思ったこと」についての調査結果をランキングで紹介します。
順位 | 中退してやりたいと思ったこと | 割合 |
---|---|---|
1位 | 正社員として就職したい | 47.1% |
2位 | アルバイトをしたい | 20.7% |
3位 | 何も考えていなかった | 18.3% |
4位 | 他の学校への進学 | 13.5% |
5位 | 在学中からのアルバイトを継続 | 12.0% |
退学理由とも直結していますが、半数近い中退者が大学を辞めて正社員と働くことを希望しています。
またアルバイトをしたい、在学中からのアルバイトを継続するという割合が合わせて32%と、全体の3割以上になる点もポイントです。
彼らはほとんどフルタイムに近い状況で働いているようで、就活をする時間もなく、正社員として働くチャンスを自ら逃しているようにも思えます。
しかし中退後の就職活動において困難に直面したり、不利益を感じたりすることが原因で、アルバイトを継続することを選択せざるを得ない状況だったことも推測されます。
大学中退者の仕事探しが困難な理由
経済的な理由が原因で学校を辞め、就職することを選択したはいいが、思うように就職活動が進まないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
ここでは、中退者の就職が難しくなる理由を深掘りします。
中途採用枠になる
中退者が求人の応募をするときには「新卒採用枠」ではなく「中途採用枠」になります。
多くの中途採用者は企業で実務経験をしているため、実務経験がない中退者は応募する時点で不利になるのです。
高卒扱いになるため求人数が絞られる
大学受験をして受かっているにもかかわらず中退してしまうと、最終学歴が「高卒」になります。
大手企業や人気の職業は応募資格に「大卒」を掲げていることが多く、高卒になると応募できる求人の幅が一気に狭くなります。
履歴書で落とされてしまう
大学を途中で辞めているという時点で、「入社してもすぐに辞められるのではないか」と思われ、書類選考が通らないケースがあります。
面接まで行ければ、人柄や能力を見出してもらえる可能性は上がりますが、書類の段階で落とされてしまってはアピールすることすらできません。
大学中退でも正社員を狙える6つの職業
採用において不利になってしまう大学中退者でも、正社員を狙えるおすすめの職業があります。
WEBデザイナー
WEBデザイナーとは、名前の通り企業や個人のWEBサイトのデザインを手がける仕事です。
資格もありませんので、パソコンが得意であれば独学で学ぶこともできます。
今はどんな小さなお店でも自社でサイトを運営している時代ですので、需要も高く専門的なスキルが身につくため、転職もしやすいというメリットがあります。
一通りの仕事ができるようになると、少ない資金で独立することも可能です。
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プログラマー
プログラマーとは、プログラミング言語を用いてシステムやソフトウェアを作る仕事です。
企業のシステムやアプリはもちろん、私たちが日常で利用しているショッピングサイトやスマホゲームなども全てプログラマーの仕事で、活躍の場は多岐に渡ります。
20代プログラマーの平均年収は395万円ほどで、とくに高いわけではありませんが、ニーズがあるため仕事がなくなる心配がありません。
子供が好きという方であれば、プログラマーのスキルを磨き、小学生を対象としたプログラミングスクールで講師として活躍することもできます。
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営業職
学歴・職歴を問わない職業としてよく挙げられるのが営業職です。
採用のハードルが低い分、入社してからは数字に追われ毎日大変というイメージが強い職種でもあります。
営業職は向き不向きが大きく分かれるため、自分が営業に向いているかを判断して応募することが大切です。
ここに営業が向いている人の特徴を挙げますので、ご自身とマッチするかをチェックしてみてください。
- 人と接することが好き
- 人の話をよく聞く
- マメな性格である
- 好奇心が旺盛
- 失敗しても引きづらない
- フットワークが軽い
- プレッシャーに強い
5つ以上当てはまれば、営業職い向いている確率が高いです。
4つ以下の場合は、就職しても続けることが困難かもしれません。
SE(システムエンジニア)
システムエンジニアの仕事は、クライアントからヒアリングした要件をもとにシステム設計を行うことです。
「プログラマーとどこが違うの?」と思われる方も多いと思うので、下記で仕事の流れを説明します。
仕事内容 | 担当 |
---|---|
顧客からのヒアリング | システムエンジニア |
システム設計 | システムエンジニア |
システム開発 | プログラマー |
動作テスト | プログラマー |
納品 | システムエンジニア |
稼働後のサポート | システムエンジニア |
システムを構築するためにはSEとPGの協力が必要で、プログラマーはエンジニアの指示のもとで仕事をする流れになっています。
そのため収入もエンジニアの方が50万〜100万円ほど上がります。
エンジニアは卓上作業もありますが、顧客とのやりとりがプログラマーよりも多いのが特徴です。
そのためコミュニケーションスキルやマネジメント能力、ITに関する幅広い知識が求められます。
事務職
事務といっても、一般事務や営業事務、貿易事務などさまざまな仕事内容があります。
基本的にデスクワークがメインで、外出や顧客との直接のやり取りは少ないのも特徴です。
マニュアルがあるため仕事も覚えやすく、難しい作業はほとんどありません。
特別なスキルが不要な分、正社員での採用枠が少なく、派遣社員やアルバイトなどの雇用形態が多くみられます。
公務員
公務員の試験を受けるのに学歴は関係ないため、大学を中退していても試験に合格すれば公務員として働くことができます。
公務員のメリットは豊富にあり、収入が安定していること、倒産するリスクが少ないことなどが挙げられます。
安定した環境でマイペースに働いていきたいという方に向いている職業です。
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大学中退者が就職した仕事はサービス業が3割
ある調査では、大学中退者の約3割がサービス職や販売職についていると発表されています。
働ける職場が多く、常に募集を行っているというのも就職しやすい理由のひとつです。
参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構(大学等中退者の就労と意識に関する研究)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0138.pdf
サービス業・販売職をオススメしない理由
就職のハードルが低い、お洒落な仕事が多いという点でも人気のサービス業ですが、今後のキャリアアップや転職を考えるとあまりオススメできません。
その理由は、サービス業で培ったスキルや経験が他の分野では活かせないことや、体力を使う仕事が多く年齢を重ねたときに続けることが困難になるケースが多いためです。
採用されるのは大手企業が多く待遇も悪くはありませんが、世間が休んでいるときに働かなくてはならない、正社員よりもアルバイトの人数が多いため働くメンバーの意識が低い点などもオススメできない理由です。
大学中退でも就職を成功させる方法
履歴書をみたときから、企業側がもっとも知りたがっているのが「大学を中退した理由」です。
大学中退者が転職を成功させるには、ここをどう説明できるかが大きなウエイトを占めます。
回答に困らない面接対策をする
まず面接官は中退者に対してマイナスのイメージを抱いていることを覚悟しておきましょう。
そして必ずされる質問を把握しておき、きちんとした回答ができるよう下準備をすることが大切です。
予測される質問
- どうして大学を中退したのか
- 中退してからは何をやっていたか
- 中退したことをどう思っているか
- 今後のキャリアについて
- 中退から学んだこと
経済的な理由であれば、正直に伝えても問題ありません。
親の介護や自身の病気などが原因の場合は、現状は解決し、問題なく働くことができるというのを伝えてください。
「周りに馴染めなかった」「学業についていけなかった」などのマイナスな発言は控え、中退したことで学んだことを仕事に活かしていきたいというポジティブな意見に変換するよう心掛けましょう。
中退に関する履歴書の書き方
中退という事実を伝えたくない場合でも、履歴書には「〇〇大学 中退」と書くようにしましょう。
採用担当者によっては、大学に合格できたことをプラスに考えてくれることもあります。
また中退してからの期間が長すぎるのも、面接官に悪いイメージを与えてしまいがちです。
出来るだけ空白期間を開けず、早めに就職活動をするようにしましょう。
アルバイトで結果を残す
先述したとおり、大学中退の場合は「中途採用枠」での募集になるため、ライバルは社会人経験がある中途採用者です。
彼らと戦って勝ち残るためには、アルバイト先で結果を残すしかありません。
アルバイトでも数十人規模の職場であれば、シフト管理やマネジメントなどの業務もあると思います。
そこで店長やマネージャー候補として働き結果を残せば、立派な実務経験としてアピールすることができます。
資格をとることも有効ですが、企業は資格よりも実務経験を求めていることが多いため、資格の勉強だけをしていたというよりも、アルバイトを通して人を動かすスキルや業務の効率化に取り組んだという実績の方が有利に働きます。
大学中退でもあなたには十分な魅力がある
「大学中退なんて、いい仕事にはつけない」と嘆いているのであれば、今すぐに考えを改めましょう。
あなたは大変な受験戦争に勝ち残った実績や、大金を積んでも手に入れられない「若さ」という武器を持っています。
戦略を立てて臨めば、希望の仕事につくことだって十分に可能です。
周りの友人から情報を集めたり、転職サービスを活用したりしながら自分が何をやりたいかを見極め、就職活動を始めていきましょう。
派遣社員や契約社員でなく、正社員としての道を目指そう
手っ取り早く仕事を始めるには、非正規社員での採用がスムーズです。
しかし大学に合格した実績があれば、まずは正社員を目指して頑張ってみませんか?
面接官に鋭いツッコミを受けたり、厳しい意見を言われたりして苦労することもあると思いますが、就活では途中で諦めることなく、最後まで全力で頑張って欲しいと思います。