大学を中退した人は、企業から内定をもらったタイミングや二次面接が通過したタイミングで、「大学を中退した証明書が必要」といわれることがあります。
大学に在籍していたことを証明するには、退学証明書を提出するのが一般的です。
企業によっては、成績証明書や高校の卒業証明を指定されるケースもあります。
ここで問題なのが、本人は退学したつもりだけど退学手続きが完了していない場合。
まだ在籍している、もしくは除籍扱いになっていることも考えられますので、すぐに退学手続きに取り掛かりましょう。
大学中退者が就職したときに必要になる証明書について、詳しく説明していきます。
目次
大学中退後の就職時には学歴の証明書を求められることがある
大学を中退した後に就職した場合、企業側から大学に在籍したことを証明するための書類を求められることがあります。
その際に提出するのが「退学証明書」と呼ばれる書類です。
在学の事実を確認するため
大学を中退すると最終学歴は「高卒」になりますので、内定をもらった企業に「最終学歴を証明する書類を提出してください」と言われた場合は、高校の卒業証明書を提出することになります。
しかし企業によっては大学に在籍したことを証明するよう求めるところもあるため、大学に依頼し退学証明書を発行してもらう必要があります。
公務員への就職だと提出する可能性が高い
一般企業で退学証明書が求められる確率は1〜2割程度ですが、公務員への就職の場合は高い確率で必要です。
「大学を中退したことが就職に不利になるのでは?」と不安になるかもしれませんが、心配いりません。
公務員試験には学歴や職歴が影響されないよう、公務員法という法律があります。
公務員法では、「学歴や性別、身分で採用を判断してはならない」という決まりがあり、どんな人も平等に扱われます。
大学中退後に学歴を証明できる書類5つ
ここでは、大学中退を証明する書類にはどんな種類があるのかを説明していきます。
退学証明書
退学証明書は多くの大学で取り扱っており、窓口や郵送などで対応しています。
大学が遠方で出向くのが面倒であれば、大学のホームページから申請書をダウンロードして、必要事項を記入し送付します。
急いでいて直接大学へ出向く場合は、キャンパス内にある証明書自動発行機から発行して利用します。
発行手数料は数百円です。
最寄りのコンビニで受け取れる、「コンビニエンスストア発行サービス」を取り扱っている大学もあります。
また大学によっては、英文での証明書も発行可能です。
在学証明書
退学手続きが完了していない場合は、退学証明書が発行できません。
まだ大学に在籍していることになっているため、在学証明書を発行してもらいましょう。
退学手続きが正式に完了したら、改めて退学証明書を提出することになります。
企業側には、手続きに少し時間がかかるということを伝えておきましょう。
成績証明書(単位取得証明書)
成績証明書には、大学での成績や取得単位数が示されています。
成績に自信がない人は、提出することに抵抗があるかもしれませんが、これも退学証明書が発行できないときの代替えとして用意することがほとんどです。
成績証明書を見せたくない人は、早めに退学手続きにかかりましょう。
企業によっては、内定前の段階で提出を求めるケースもあります。
これは履歴書に虚偽がないかを確認するための手段としても活用されています。
除籍証明書
除籍とは、学費の未納や何らかの問題を起こした場合に、大学から籍を奪われてしまうことを指します。
除籍されてしまっても、大学によっては除籍証明書を発行してくれるところもあり、退学証明書の代わりになります。
しかしどんな理由で除籍になったのかを企業側に疑われるため、除籍証明書の提出はあまり好ましくありません。
退学手続きをせずに放置していた場合も除籍扱いとなるので、早めに退学の手続きを完了させましょう。
高校の卒業証明書
卒業証明書は、高校を卒業したという証明書で、卒業式にもらえる卒業証書とは異なるので注意して下さい。
卒業証明書を渡していない学校もあるため、手元にない場合は母校に問い合わせてみましょう。
高校が遠方にあれば郵送してもらうことになりますが、時間がかかるようであれば、卒業証書が有効かもしれません。
万が一、高校が廃校や閉校になってしまった場合は、所在地の管轄をしている教育委員会に問い合わせてみましょう。
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大学中退後の学歴証明書発行手続きの注意点
大学を中退してから何年も経っている人や、退学の手続きをしたのか記憶があいまいな人は注意が必要です。
退学後の期間が空いていると発行に時間がかかる
大学によっては証明書の発行に2週間近くかかるケースがあります。
また記載した申請書に不備があったり、身分証がすぐに用意できなかったりといった場合は、さらに時間を要します。
証明書がないと、企業側も入社手続きに進めないため、できるだけ余裕を持った事前準備が必要です。
提出を求められたら期限を聞いておき、「大学が遠方なので時間がかかります」など一言伝えておきましょう。
除籍や抹消処分の場合は証明書が受け取れない
一口に退学と言っても、自分から辞める「中退」、大学から辞めさせられる「除籍」、大学に通っていたことを無効にされる「抹籍」の3パターンがあります。
自ら退学したのであれば退学してから時間が経過していても、証明書を発行してもらえる可能性が高いので問題ありません。
しかし抹消は、在籍していたこと自体を無効にされてしまうため、発行してもらえないケースがほとんど。
そうなると、大学にいたという事実が証明できないため、どうしようもありません。
公務員への就職は、証明書の提出を要求されることが多いため、気になる方は試験前に大学へ問い合わせてみましょう。
企業によって求める証明書が異なる
基本的に大学中退者であれば、退学証明書を求められるのが一般的です。
しかし企業によって一概にいえませんので、臨機応変な対応が必要です。
最終学歴を求められたときも、「最後に在籍していた学校」なのか、「在籍していた学校のなかでも上位のものか」を判断しなくてはなりません。
大学中退者の採用に慣れていない企業もあるため、人事もしくは採用担当者にしっかりと確認をしてから進めましょう。
退学手続きをしていないと受け取れない証明もある
退学手続きが完了していないと、証明書が受け取れないことがあります。
在籍もしくは除籍扱いになっていることが多く、大学に行っていない期間も学費は発生するので要注意です。
除籍扱いになってしまうと、証明書が受け取れない可能性も。
そうなる前に急いで退学の手続きを済ませましょう。
証明書を提出して学歴詐称がバレたらどうなる?
大学中退者の中には、中退ということを隠すために大学に行っていないことにしたり、中退した時期を誤魔化したりする人もいるようです。
その場合、企業側にバレるとどのような処置がされるのでしょうか?
求人の応募要件によっては解雇の可能性も
応募要項に「大学卒業見込み、もしくは卒業者」と記載されている企業に、大卒と詐称して入社した場合、学歴詐称で解雇になるケースがあります。
また大学を卒業しているのに高卒と偽って入社していても、同じように処分されてしまうケースがあるので、とくに公務員志望の人は要注意です。
2018年に神戸市職員が大卒を高卒と称して高卒程度試験を受け、懲戒免職になったことが話題になりました。
「大卒だからいいのでは?」と思うかもしれませんが、公務員は国民の信頼に応えるという義務があるため厳しく罰せられます。
解雇がなくとも居づらくなる
証明書の提出を求められなかったとしても、同じ大学出身者が入社してきたり、知り合いがいたりしてバレてしまうケースも否定できません。
公にバレなかったとしても、噂が広まり会社に居づらくなってしまいます。
たった一度でも嘘がバレると誰からも信頼されなくなり、仕事を任せてもらえず孤立してしまう可能性も。
「就職で不利になるかも」と思っても、履歴書にはしっかり中退の経歴を記載しておきましょう。
大学中退後はスムーズに手続きして就職先に証明書を提出しよう
大学を中退したら、スムーズに退学手続きを済ませましょう。
そのまま放置しておくと除籍扱いになり、あとあと面倒です。
また内定前に証明書を求められ、除籍扱いになっていることが会社に知られて採用に至らないケースも考えられます。
この記事を読んで手続きがまだだったという人は、すぐに大学へ連絡を取り手続きを行うようにしましょう。
また就活を始めた際には、すぐに証明書が提出できるよう、発行までにどのくらいの時間がかかるかを調べておくのがオススメです。