自分の好きな分野の勉強に打ち込めるところが大学教授という職業の大きな魅力です。
興味のある研究をしながら所得を得ることができる大学教授に憧れる人もいるかもしれません。
しかし、大学教授になるためのハードルは非常に高く、その職に就くことは容易ではありません。
そして、仕事内容を充実させるためには、研究者としての能力はもちろん、大学運営にかかる業務を手際よくこなしていく必要があります。
以下から、大学教授になるために必要な資格と大学教授の仕事内容、大学教授の年収事情などについて見ていきます。
目次
大学教授に必要な資格
大学教授になるための基準として、大学設置基準という法令の第14条が参考になります。
そこでは、大学教授になろうとしている者は大学で教育を行う上で相応しい能力を有していることが求められるという旨が記されています。
大学院で博士課程を修了していることは、大学教授が特定の分野について卓越した知見を有している証明です。
博士課程を修了すると博士号を取得することができますが、博士号は教員免許や弁護士資格のような国家資格ではありません。
大学教授で博士号を持っている人は多くいますが、自分が専門とする分野についての実績が豊富にあれば博士課程を修了していなくても大学教授になることはできます。
博士論文の執筆が済んでいなくても、大学で教えることのできる実力が認められて大学教授になっている人もいます。
また、数々の受賞歴がある小説家やトップレベルの企業経営者、著名な芸能人や政治家が大学教授になっている例も珍しくありません。
必要な資格を取得する方法
大学教授になるためには絶対に必要であるというわけではないのですが、一般的には、大学教授になることを望む人は大学院の博士課程に進み、博士論文を執筆して、博士号を取得します。
博士課程に進むためには、大学院で修士課程を修了しておく必要があります。
修士課程は2年間あり、博士課程は3年間ありますので、早ければ大学院へ入って5年間で大学教授への道を歩み始めることになります。
もっとも、修士課程や博士課程へ進んでも思っていたように研究が進まないことや、研究のために海外へ留学する必要に迫られることも往々にしてありますので、そのような場合は休学することもできます。
個々の大学にある学則にもよりますが、多くの大学では修士課程で上限2年の休学期間が、博士課程で上限3年の休学期間が認められています。
また、博士課程を修了するために必要な単位は取得したが、博士論文を書くことができずに大学院を途中で退学してしまう人も少なくありません。
しかし、博士課程を修了することができずに退学した人に対しても、後から博士論文を作成して提出することは認められています。
大学によっては、社会人として企業に勤めながら博士課程に在籍することを認めているところもあります。
大学教授の仕事内容
大学教授としてキャリアアップするためには、自分の研究に打ち込んで成果をあげることが必須です。
大学教授の研究が世間から注目されるほど大学のブランドも上がります。
しかし、研究者としての手腕を発揮する以外にも、大学教授は様々な面で大学の運営を支えることが求められます。
学生に知識を授けて後進の研究者を育てることは大学教員の任務です。
実りある講義をするために大学教員は綿密な授業計画を立案して講義概要(シラバス)を執筆します。
講義概要には講義で使用される教科書等も記載され、講義の内容が細かく記されます。
学期末になると、大学教授は講義を受け終わった学生に対してレポートや試験を課し、求められる水準の学力に達しているかどうかを評価します。
ゼミや研究室を持っている大学教授は学術論文を執筆できるように学生を指導します。
また、大学教授はそれぞれの講義を見学に行くことや定期的な研究会を通して、講義の質を向上・改善するように取り組むことが望まれます。
もちろん、日常の学生との交流もおろそかにしてはならず、学生の進路相談に乗ることなども重要です。
さらに、学部や研究科で設けられている教授会への参加はもちろん、学内イベントなどの企画や授業カリキュラム策定のための会議への出席も求められます。
大学教授の仕事はきつい?
大学教授の研究には、基本的にノルマというものはないので、大学側から早く研究成果を出すように急がされることはあまりありません。
一方で、研究という名目があれば、大学のお金で書籍を購入することはもちろん、資料集めや発表のために海外へ出張することも比較的自由にできます。
さらに、大学教授になれば個別の研究室があてがわれるので、自分だけのスペースで研究をすることができます。
マイペースを貫くことができて人目を気にしなくてもいいというのは、普通の会社員では考えられない大きな魅力です。
しかし、大学教授の仕事は研究だけではありません。
学生に教育を施し大学運営にかかる業務に携わることも大学教授の大切な仕事です。
授業準備や会議への出席などは研究とは直接関係のないことですが、大学教授はそれらの仕事をこなしながら研究を進めていくことが求められます。
大学教授にとって頭を悩ませるのは、研究に充てる時間をいかに捻出するかということです。
研究以外の雑務をできるだけ器用にこなしていくことが大学教授の課題になります。
雑務に時間がかかるほど、大学教授の仕事はきつくなると考えられます。
大学教授の年収事情
勤務先の大学が国公立であるか私立であるか、大学の知名度が高いか低いかなどによって大学教授の年収は変わってきます。
一般的には、国公立よりも私立の大学教授の方が収入が多く、ブランド力が強く学生数の多い大学に勤める教授は全国的に認知度の低い大学に勤める教授よりも高給取りであると考えることができます。
また、大学教授の年齢によっても収入は異なります。
基本的には若手の大学教授は年配の教授よりも収入が低くなります。
ただし、若いうちから研究で目覚ましい実績をあげていて、専門分野については老教授にも引けを取らない知見があると学界から認められている人物ならば、年齢に関係なく大学から高給で優遇されることを期待できます。
世間に名が知れていて学生に人気のある教授を確保しておくことは、大学経営に関わる問題でもあります。
知名度の高い大学教授は出版や講演で稼ぎを増やすこともできます。
大学教授によって収入はまちまちなのですが、普通の会社員よりも所得が多いことがほとんどです。
大学教授の平均的な年収は1100万円ほどで月収は70万円ほど、そして年間の賞与として300万円ほどつきます。
しかし、大学教授の地位に就いている人の年齢は40歳を超えていることがほとんどであり、大学教授が高収入である背景には、それまでに学費などで高額な費用を払っているということを留意する必要があります。
そして、大学教授は裁量労働制で仕事をしていくことになりますので、残業代などの手当てがつくことは基本的にはないという点にも注意しなくてはなりません。
研究や講義の準備、または学内のイベントを準備するために大学へ遅くまで残って仕事をしたとしても、それが収入に反映されることはありません。
大学教授は講義のある日やその他大学での打ち合わせがある日など以外は出勤することを義務付けられていませんが、暇ができれば研究に時間を費やすことが求められます。
極端な場合は休む暇なく研究に追われるということもありえますが、そのことはもちろん収入とは関係がありません。
大学教授の主な勤務先
大学教授の勤務する大学としては、国公立か私立の大学および大学院、または短大のいずれかになります。
大学の学部と大学院の研究科は一つの組織になっていることが多いので、多くの大学教授は学部生と大学院生の両方を指導することになります。
またキャンパスの中にある研究センターへ大学教授として勤務する人もいます。
大学教授の勤務先は大学のキャンパス内に限りません。
深い見識のある大学教授は民間の研究所や公的な調査機関でも働き口があります。
有名な大学教授であれば、テレビ番組にコメンテーターとしてレギュラー出演することや、カルチャーセンターなどで定期的な講演会を催すこともできます。
文筆業も大学教授の主要な仕事の一つであり、大学で教鞭を執りながら大手出版社から学術書や新書を数多く出している教授も少なくありません。
専門分野で第一人者と目される大学教授の中には、企業の相談役として手腕を発揮する人も、国の政策に関わる顧問として活躍する人もいます。
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大学教授への転職は難しい?
“大学教授になるためには、大学院の博士課程を修了してからも研究者としてのキャリアを積んでいくことが必要です。
運が良ければ博士号取得後すぐに常勤講師や准教授のポストがあります。
しかし、多くの人は博士課程修了後はポストドクターとして研究助手や非常勤の講師をすることになります。
常勤講師や助教授の仕事にありつけた後は、論文を多く発表して研究者としての実績を残し、勤務先の大学で教授のポストが空く機会や他の大学から大学教授としてヘッドハンティングされる機会をうかがいます。
教授職に就くチャンスが到来して、教授会の推薦を得ることができたら、晴れて大学教授になることができます。
上記のように、大学教授になるためには長い期間をかけてキャリアを構築していくことが求められ、虎視眈々と大学教授になる機会が来るのを待つ必要があります。
仕事を辞めて一から研究者の世界に入り、すんなりと大学教授になれるということはまずありませんので、大学教授への転職は非常にハードルが高いものです。
ただし、社会人として働く中で培った実績が評価されて、客員教授として大学へ迎えられるという例はあります。
いずれにせよ、大学教授への転職を視野に入れているのならば、できるだけ若いうちから専門分野を決めてその道を極めようとする姿勢が重要です。
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