「派遣社員なのに新しく来た正社員を教育することになったけど、これってアリ?」
「教育は正社員の仕事じゃないの?」
こんな風に、派遣なのに人材の教育を指示されることに疑問を持った方もいることでしょう。
この記事では、派遣社員が正社員を教育しても良いのかと、派遣法を踏まえた派遣の業務範囲について解説していきます。
正社員を教育をするよう指示されたときの対処法についても紹介していますので、ぜひ目を通してみてください。
目次
派遣が業務外の教育をするのは違法
社員の教育は、基本的には派遣社員の業務範囲外です。
派遣社員は正社員と違い、大きな責任の伴う仕事を行いません。
しかし、人材の教育は紛れもない責任重大の業務です。
企業としては派遣に教育を任せれば正社員が本業に集中できますから、コストも抑えられて効率的だと思うでしょう。
ただ派遣法的にはアウトですので、相手が正社員であろうと派遣社員であろうと、派遣が人材を教育する行為自体が違法ということになります。
社員を教育してほしいという契約の場合は例外
事前の契約書などに「新人の教育をしてほしい」のような内容が記載されているなら、派遣でも業務範囲内ということになります。
ただしこのようなケースはほとんどありませんので、基本的に人材の教育は派遣の業務外という認識で大丈夫でしょう。
派遣社員の業務範囲としてはどこまで教えてもいい?
人材の教育は派遣の業務外ということはお伝えしましたね。
ただ、もちろん新人さんからの質問に答えてはいけなということではありません。
明確な機銃というものはありませんが、感覚としては5分程度質問に受け答えする程度なら大丈夫です。
メインの指導者になるのではなく、一従業員として助け合うイメージであれば問題ないでしょう。
派遣社員なのに正社員の教育をしている場合の対処法は?
もし、派遣社員なのに正社員の教育を任されてしまった特はどのように対応したらいいのか。
その対処法についても見ていきましょう。
- 派遣会社から派遣先に注意してもらう
- 派遣先を変更してもらう
派遣会社から派遣先に注意してもらう
まずは派遣元である派遣会社に相談しましょう。
派遣社員が直接現場の社員に指摘するよりも、派遣元から派遣先の担当者に伝えてもらう方が効果的です。
従業員からの不満ではなく、上からの業務指示として現場に伝わるため、状況が改善されやすいのですね。
ただもしその場で指摘したい場合は、十分に言葉を選んで「派遣ですが正社員の指導をしても良いのでしょうか?」のように柔らかく伝えるようにしましょう。
派遣先を変更してもらう
派遣先に指摘しても状況が改善されない場合は、派遣会社に相談して就業先を変更してもらうのも一つの方法です。
本来、派遣社員が人材教育の負担を負う必要はありません。
派遣法にも違反する行為ですので、十分異動を要求できる材料になるでしょう。
納得できない状況が続くようなら、遠慮せず派遣元の担当者に相談してください。
派遣社員なのに正社員の教育を指示されたときの注意点
現場で「これは私の仕事ではありません」と強く指摘してしまうと、現場でのあなたの立場を悪くしてしまう可能性があります。
管理職ならともかく、現場の一社員が派遣法について詳しく把握している方が珍しいです。
こちらが正しいとしても、現場では「面倒な仕事をしたくて難癖付けている人」と思われてしまう可能性があるのですね。
そうなれば、もし教育をしなくて良くなっても本人の印象が悪くなってしまい、居心地が悪くなることも。
そうならないためにも、出来れば派遣会社から派遣先の責任者に伝えてもらえるよう相談するのが良いでしょう。
派遣社員が正社員に仕事を教えることになる原因・理由
では派遣社員が正社員を教えるような状況はなぜ起こってしまうのでしょう。
その主な原因・理由を3つ解説します。
- 企業が派遣法をよく把握していない
- 業務外だと知りながら教育を指示している
- 新人の正社員は派遣社員の後任の可能性が高い
では順番に見ていきましょう。
企業が派遣法をよく把握していない
派遣が正社員を教える状況が生まれる原因の一つは、企業が派遣法についてよく把握していないことです。
同じ従業員としてひとくくりに考え、正社員と同じ仕事を振っても問題ないと誤認識しているのですね。
規模の大きくない中小企業や、ベンチャー企業等の若い会社によくあるケースです。
またこういった企業は人材が豊富ではないことが多く、悪気はなくても派遣に業務外の仕事を任せざるを得ない状況が発生しやすいです。
多少であれば現場の空気を読んで教育をした方が、円満に業務を進めやすいでしょう。
業務外だと知りながら教育を指示している
企業には派遣法に関する十分な知識があるものの、そのうえで派遣社員に正社員を教えさせていることもあります。
新人の教育は労力の必要な業務ですから、派遣社員に任せて自社の正社員を本業に集中させたいという考えがあるのですね。
派遣先の立場が強い場合によくあるケースで、この場合派遣元に相談してもなかなか改善されなかったり、派遣元もあまり強く言い出せなかったりします。
派遣法を知らないふりをして派遣社員に負担の大きい仕事を割り振るのは悪質とも言えます。
派遣社員を受け入れる体制が今後開戦していく見込みも薄いため、派遣先を変えてもらうか契約更新をせずに別の派遣先を探しても良いでしょう。
新人の正社員は派遣社員の後任の可能性が高い
派遣社員と同じポジションに新しく入る正社員は、実は派遣社員の後任として配置される人である可能性が高いです。
つまり派遣社員は自分の後任を教えることになり、正社員が独り立ちしたら契約終了ということに。
業務外の仕事を振られている上にその後契約を切られる可能性が高いということですから、不満が大きいのも無理はありません。
単に増員という可能性もありますから一概には言えませんが、そんなに業務も忙しくないのに正社員がやってきた時は、派遣と入れ替えるつもりかもしれません。
正社員を教える派遣社員の本音
正社員を教えることになった派遣社員が、実際に抱える不満や本音についてみていきましょう。
- 後任の教育をさせることに納得いかない
- 手間と時間のかかることを派遣に押し付けている
- 派遣法を理解していない企業に不信感
後任の教育をさせることに納得いかない
自分の担当業務と業務範囲が同じだからと、新しく来た正社員さんの指導を指示されました。
でもこの正社員さんはほぼ間違いなく私の後任です。
わざわざ増員するほど余裕がないわけでもないのに新しい人が来たということは、入れ替えるつもりなんだと思いました。
なのにその教育を私にやらせるのは、どう考えてもひどいのではと思ってしまいます。
今の仕事が気に入っていたのもあり、落ち込んでしまいます。
手間と時間のかかることを派遣に押し付けている
派遣社員は立場が弱く、強く言えないことを利用しているように感じます。
ネットで調べると誰かを教育するのは派遣の仕事の範囲ではないとありました。
本来は正社員がやるべき仕事を、大変だからと派遣に押し付けているのかなと思ってしまいます。正社員と違いずっとこの会社にいるわけではないので、正社員に負担をかけないためにという考えなのかもしれませんね。
派遣法を理解していない企業に不信感
派遣先に悪気はないように感じますが、派遣法をあまり理解しないまま派遣を受け入れていることに不安があります。
この先も正社員のような負担の大きい仕事を任せられると、割に合わないと感じてしまいますね。
トラブルは避けたいので一応指示されたことは対応していますが、契約を更新するかはよく考えたいと思います。
担当者に相談しやすいおすすめの派遣会社
派遣社員なのに正社員を教えることになる等、派遣先で直接指摘しにくいことがあった時、気軽に相談できる派遣元に担当者がいれば心強いですよね。
担当者のサポートが手厚いおすすめの派遣会社を3社紹介しますので、参考にしてみてください。
- スタッフサービス
- テンプスタッフ
- リクルートスタッフィング
スタッフサービス
業界トップクラスのシェアを誇るスタッフサービス。
就業後も担当者が逐一気にかけてくれる丁寧なサポート体制にも定評があります。
レスポンスも早く、相談事に対して迅速に行動に移し対応してくれます。
抜群の知名度も安心材料の一つで、大手だからこその安定感が魅力の派遣会社です。
テンプスタッフ
テンプスタッフは、登録スタッフの満足度が高いことで知られる派遣会社です。
コーディネーターさんは就業後も定期的にフォローしてくれますよ。
また福利厚生も充実していて、登録スタッフが安心して働ける環境づくりに力を入れています。
就業先での悩みや相談事も、改善されるよう手を尽くしてくれるでしょう。
リクルートスタッフィング
人材サービスの大手であるリクルートが運営する派遣会社が、リクルートスタッフィングですね。
大手ならではの安定感と、蓄積したノウハウを活かして登録スタッフのサポートを行います。
質の高いコーディネーターさんが揃っているので、就業先での不満や心配事も遠慮なく相談することができますよ。
不満や相談事を気軽に相談できる派遣会社を選ぶことも重要
派遣社員が正社員を教育しても良いのか、派遣法を踏まえた派遣の業務範囲、そして正社員を教育をするよう指示されたときの対処法について解説しました。
基本的に正社員を教えることは派遣社員の業務範囲外ですが、それを指摘するべきか、多少空気を読んで従うべきか判断に迷うこともあるでしょう。
そんな時は一度、派遣会社の担当者に相談してみてください。
少なくとも、業務外の事をさせられているという事実は伝えておいた方がいいですからね。
もし派遣会社の担当が相談しにくい人だった場合、担当者を変えてもらうか思い切って派遣会社を変えるのも方法です。
紹介したいくつかの派遣会社の情報も参考にして、働きやすい環境づくりに役立てていただけたらと思います。