子どもたちの憧れの職業に学校の先生がありますが、大人になってもなりたいと考えている方もいます。
先生になるには、必ず教員免許が必要になります。
教職課程を大学で専攻している方は、どのようにしたら教員免許が取得できるか分かるでしょうが、そうでない場合は知らない方が多いのではないでしょうか。
ここでは、転職して高校の先生になりたい方に向けて、高校教員免許資格の取得方法やどのような仕事をするのか・平均年収などについて詳しくご紹介します。
目次
高校教師に必要な資格
高校教師になるには、教員免許状が必要です。
教育課程のある大学で取得できる高校教諭1種免許状と、大学院に進学して取得できる高校教諭専修免許状があります。
小学校や中学校の教員免許には2種免許状がありますが、高校はないのが違いです。
高校では、教員免許資格は数学や美術・国語などそれぞれの教科ごとに分かれているので、事前にどの教科の資格が欲しいのかを決めておくことが大切です。
教育課程を修了し教員免許状を取得後、公立高校の場合は各都道府県で毎年実施される教員採用候補者試験、私立高校の場合はそれぞれの学校の教員採用試験に合格すれば高校教師になれます。
必要な資格を取得する方法
教員免許状
高校時代に高校の教師を目指す場合は、一般的に教職課程がある大学などに進学をします。
教育学部だけが教員免許を取得できるのではなく、それぞれの学部で免許を取得できます。
例えば、経済学部なら、中学校・高校の社会の教員免許、文学部なら国語の教員免許など、それぞれの大学・学部によって取得できる免許が決まっています。
入学後に自分の学部が教員免許状を取得できると知り、とりあえず教職課程を受講したという方もいます。
次に、教員免許がない社会人が資格を取得する方法は以下の3つの方法があります。
- 免許が取得できる大学に入学する
- 通信大学で資格を取得する方法
- 特別免許状を取得する方法
社会人として働いている方が高校教師になるには、教員免許が取得できる大学に改めて入学することです。
もし大学を一度卒業しているなら2年次や3年次に編入することも可能なので、ハードルは少し低くなると言えます。
ただ、社会人入学は人数枠が少なく、時間や金銭的な面でも余裕が必要となります。
教員免許を通信制で取得できる大学があります。高校教諭1種免許が取得できる大学は、2018年時点で千葉県に1校・東京都に3校・京都府に1校あります。
高校教諭専修免許が取得できる大学は、東京都に1校・京都府に1校あります。
学部さえ合えばどの大学を選んでも免許は取得できますが、スクーリングがあるので自分が住んでいる地域から利便性の良い場所にある大学を選ぶというのも一つの方法です。
教員免許は教職課程の単位をとることで取得できるのが一般的ですが、各都道府県単位で教員免許を持っていない社会人でも、優れた知識や経験があれば免許状が授与される特別免許状があります。
この制度は、学校教育の活性化や多様化を目的に設けられており、文部科学大臣が認めた高等学校を卒業しない者には授与されません。
(教育職員免許法5条)また、効力として、その免許状が授与された都道府県のみで有効で、都道府県教育委員会が実施する教員職員検定に合格しないといけません。(教育職員免許法9条)
高校教師の仕事内容
高校教師は、ただ生徒に勉強を教えるだけでなく、その仕事内容はさまざまなものがあります。
高校教師の仕事で最も分かりやすいのが、授業の組み立てです。
年度初めには、1年間の授業を学習指導要領に沿って組み立てなければいけません。
また授業ごとに必要であれば練習問題を作成したり、学期ごとには中間テストや期末テストの問題作りがあります。
専門性も中学校と比較すると高くなり、教科書の内容が改定されて変わることもあるので、常にアンテナを張りながら専門知識を磨くことが求められます。
教師は人間を相手にするので、コミュニケーションも大切な仕事の一つになります。
特に高校生は思春期の多感な時期なので、生徒の状態や気持ちを正しく把握しなければいけません。
悩みを抱えているなら、原因がどのようなことかを探り、必要であれば問題を解決する適切な助言や指導をすることになります。
生徒だけでなく親とのコミュニケーションも重要
コミュニケーションは生徒だけでなく、親との関りでも必要です。
生活の中で気になる点や抱えている悩みなど、親を交えて面談する機会があります。
解決しなければいけない問題は生徒一人一人で違うということを常に頭において接する必要があります。
進路指導も生徒の将来を大きく左右するので、教育機関だけでなくさまざまな職種の情報を集め、知識を豊かにしておくことが大切です。生徒がすでに決めている進路に、必要ならば大人目線で違う選択肢を促すこともあります。
高校にはいろいろな部活動があり、教師は顧問を務めなければいけません。
経験が無くてもスタッフだけでなんとかするという学校も少なくないので、気の進まない部活動を任されることもあります。
また、練習試合などで土曜や日曜も出かけなければいけないこともあります。
学校には、運動会や文化祭・修学旅行など、一年を通じて学期ごとにイベントがあります。
生徒の自主性を大切にしながら、裏方として土台作りをするのも重要な仕事です。
その他にも、春休みや夏休みなどの長期休暇の際には模擬授業をしたり、非行を未然に防ぐために繁華街などを見回ることもあります。
高校教師の仕事はきつい?
高校教師は、ある程度年齢が高い子どもたちと接するので、小学校や中学校の生徒と比較すると楽と思われがちです。
確かに、授業も自分が担当する教科の時間だけでよいので、その点は負担が少ないと言えます。
ただ高校の授業は専門性が高く、とても難しいです。
授業を行うのに分かりやすい展開を考えなければいけないし、生徒の質問に的確に回答するには内容を熟知しておく必要があります。
特に、進学校だったり、中には先生の教え方にクレームをつける親もいるので、気が抜けないのがきついと感じる教師も少なくありません。
また生徒が言うことを聞かなかったり問題ばかり起こして、対応に追われることも大変さを感じる教師が多いです。
指導をするために親を交えて面談をすると、逆に先生の指導が悪いからなど理不尽なことを言われたり無理な要求を突き付けられても、立場上その場を耐え忍ぶしかありません。
部活動も、平日は夜遅くまで残ることがほとんどで、盛んな学校では土日も活動しなければいけないので、きつい仕事と考えている先生が多いです。
高校教師の年収事情
公立高校の場合
高校教師でも公立の場合公務員なので、給与は地方自治体の各ホームページに公開されています。
初任給はおよそ20万円ほどで、大学を卒業した一般のサラリーマンよりも低い傾向にありますが、公立高校教諭の平均年収は45歳を例にすると約740万円と高いです。
これは、公務員が年功序列の給与体系を採用しており、年齢が高い教員が多数在職していることが年収を底上げしている結果です。
ボーナスは年2回で、給与の約4.5ヵ月分が支給されます。
若い間は給与が少ないですが、勤続年数が経過すると共に右肩上がりに増えていきます。
待遇も公務員なので安定しており、産休や育休・退職金などの福利厚生もしっかりとしています。
一般の企業のようにノルマもないので安心して勤められますが、部活動などで遅くまで残っていても職業柄残業手当はもらえません。
また、年収は高い傾向にあり魅力ですが、景気を反映して上がったり下がったりすることもあります。
私立高校の場合
私立高校は、公立高校と比べて学校の数が多いです。
それぞれの学校の経営状態によって、年収や待遇に差が大きいのが特徴です。
ただ一般的に公立高校の給与に準じることになっているので、公立と私立の給与はあまり違いがありません。
相違点として、公立高校は時間外手当が付かないのに対して、私立高校は部活動などの時間外手当がもらえるので、公立並みに給与が支給されている私立高校で部活動を顧問すると、公立よりも給与が高くなる可能性は大きいです。
学校の規模と給与
公務員の給与規定に沿った公立高校の給与は学校の規模に影響されませんが、私立高校では学校の規模が大きくなるにしたがって給与が高くなる傾向にあります。
学校規模が10人から99人までの平均年収は約620万円で、規模が100人から999人では約660万円・規模が1000人を超えると約780万円に上がっています。
高校教師の主な勤務先
高校教師として勤務していたけれど、何かしらの事情で転職を考えることもあるかも知れません。そのような時、どのような勤務先があるでしょう。
実際に中途採用で高校教諭のキャリアを活かして働ける求人は、学習塾などの教育系の職業があります。
塾の中でも、教室の運営を行う教室長や、生徒の学習指導に携わる塾講師などいろいろとあります。
また、塾以外にも教育サービスの企画などを提供する企業にも転職が可能です。
これらの職業は、コミュニケーション能力は必須で、それに加えて教室長ならマネジメントやリーダーシップ、塾講師なら指導力やプレゼンテーションのスキルなどが大切になります。
教育商品の営業では、商品の魅力を伝える能力や目標の数字を達成する姿勢などが求められます。
高校教諭を経験していることで、教育に関わる企業には良い評価を受けることが多く、転職は比較的しやすい傾向にあります。
ただ民間企業への転職は、成績を上げることを意識することが気を付けたいポイントです。
高校教師への転職は難しい?
高校教師になるには、公立でも私立でも採用試験に合格しなければいけません。
公立高校のケースを見てみると、平成23年から27年の間で、高校教師採用試験の受験者数はほぼ3万7000人ほどとなっています。
採用倍率も7.2倍で年々低下していますが、決して簡単に合格できる数ではありません。
平成27年度の採用試験合格者全体で、新卒者と既卒者の占める割合は新卒者が29%・既卒者が71%で、圧倒的に既卒者の割合が多く試験に合格することが難しいことが分かります。
ただ採用者数は団塊世代の教員の退職問題などがあり、平成20年頃から急速に増加しています。
公立高校の採用試験の内容は、一般教養・教職教養と専門教科で、合格のボーダーラインは正確には発表されていませんが、7割程度正解していると良いと言われています。
採用試験を一度も受けていない場合は、過去問を徹底的に解きながら受験する都道府県の傾向を掴んでいくことが大切です。
私立高校の採用試験は、それぞれの学校で独自問題を作成しているので、過去問を入手できればしっかりと解いておきましょう。
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高校教師へ転職した人たちの口コミ・評判
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