学校の授業内容や受験について興味がある人にとって塾講師は魅力的な職種であり、転職先として候補に挙げる人もいるでしょう。
塾講師になるためにはどのような資格を取得する必要があるのでしょうか。
教育を専門とする仕事だからこそハードルが高いのではないかと思われる傾向がありますが、その実態を確認しておくことが大切です。
教育を担う職種としてどの程度の年収があるのかについても把握しておくと転職する魅力が見えてきます。
目次
塾講師に必要な資格
塾講師は教育職の一つなので何らかの資格が必要だと考えられてしまいがちですが、実は塾講師になるのに資格は必要ありません。
アルバイトで大学生が働いている場合もあり、特に学歴も必要というわけではないのです。
しかし、就職するときには四年制の大学を卒業していることがよく求められています。
また、求人では教員免許を持っている人を優遇する傾向もあるので取得しておくのが良いでしょう。
学習塾講師検定を受けることも奨励されるようになってきています。
必要な資格を取得する方法
学士
正社員になるのに必要になることが多い資格は大学の学士です。
四年制大学に入学し、その大学のカリキュラムに従って単位を取得していけば学士は取得できます。
教員免許
塾講師への転職を有利にするために教員免許を取得しようと考えたら、取得する単位を少し考えなければなりません。
教職課程を修了する必要があるため、それに必要な単位を取得した上で教育実習にも行くことが必須です。
教育学部を選ぶと広い科目で教員免許を取得できるようになります。
学習塾講師検定
学習塾講師検定制度では集団指導1級、2級、3級の資格がありますが、どちらも筆記試験と実技試験に合格すれば資格を取得できるという仕組みです。
18歳以上なら誰でも受験できるようになっています。
塾講師の仕事内容
塾講師の仕事は塾で生徒に対して講義を行うことです。
塾での指導内容として典型的なのは授業のフォローアップであり、小学生の指導であれば国語、算数、理科、社会が一般的です。
英語の授業を行うこともあります。中学生の場合には国語、数学、理科、社会、英語の五教科の指導を行い、高校生になるとさらに科目数が増えていくのが通例です。
現場によって一科目だけ担当する場合もあれば、複数の科目の講義をすることもあります。
一方、授業をするだけでなく生徒の質問に答える業務がある現場も少なくありません。
生徒が勉強していてわからなかったことを相談室で答えることになります。
また、塾によっては教材の作成も塾講師の仕事になり、プリントやテスト、指導用の教材などを作った上で講義に臨んだり、その教材を他の塾講師に渡して授業をしてもらったりするのが基本です。
この他にも雑用と一括りにされてしまう業務はたくさんあります。
生徒だけでなく保護者にも対応することになる場合も多く、面談を定期的に行う現場もあります。
また生徒を集めるためにチラシ配りなどを行ったり、受験生を応援するために受験日には学校の近くまで足を運んだりといった業務があるのが一般的です。
塾講師の仕事はきつい?
塾講師として働く大変さを感じるかどうかはケースバイケースであり、同じことを教えるだけでルーチン化できるから楽に働けるという理由で塾講師をしているという人もいます。
しかし、大変な部分を見てみるとかなりの数があるのも確かです。
塾講師の仕事はタイムスケジュールからすると変則的になりやすいため、それが負担に感じられる人もいます。
夕方以降、夜遅くまでが主な勤務時間となるので夜型のスケジュールで仕事をすることになるのが基本です。
仕事のリズムが変わるわけではないので、うまく生活リズムを合わせられる人の場合には問題になりません。
一方、生徒とのコミュニケーションがつらく感じられる人もいます。
生徒には高い学習意欲を持っている人もいれば、両親に強制されて通っている人もいて、同じように対応することはできません。
臨機応変に個々の生徒に対応していくのがきついと感じる人もいるのは確かですが、うまく生徒たちとの適切な距離を作れるようになるとあまり気にならなくなるでしょう。
塾講師の年収事情
塾講師の平均年収は450万円程度になっています。
これには各種手当と賞与を含んでいるので、月収としては25万円程度です。
賞与が年間で一ヶ月分から四ヶ月分程度支払われる現場が多く、その多さによって年収が左右されている面もあります。
ただし、塾講師の年収は格差が大きく、年収が200万円に届かないような人から、1000万円近い人まで様々です。
塾としては生徒の成績を上げられる講師を探して抱えておきたいというのが本音であり、そのような優秀な講師については名前を出して宣伝広告にも使っています。
このような有名塾講師になると給料は飛躍的に上がり、さらに大手で働いていると十分に給与を出せる資金力があるので800万円程度までは上がることがよくあるのです。
また、一般的な集団指導塾と個人指導塾では年収に差があることも知られています。
通常は集団指導の方が給与が高く、一クラスの人数が多い講義を担当できると手当がつくというシステムになっている現場もあります。
優秀で実績がある塾講師ほど大勢の受講者のいるクラスを担当することになりやすいため、結局は有名塾講師になることが年収を上げるのに必要になっているのが実情です。
これ以外の手当について塾講師について特徴的なのが、残業手当や休日出勤手当がかなり多い現場が大半を占めていることでしょう。
講義を行うだけでなく、その指導内容についての記録を付けたり、生徒のフォローアップをしたりしていると必然的に残業が増えていきます。
また土日も授業を行うことになるので、休日出勤手当などといった形で手当が付けられることがほとんどです。
この他にも住居手当や扶養手当などの一般的な手当は多くの職場で支給されています。
そのため、基本給で見ると月収は少なめであっても、手当がたくさん積み上げられることによって年収が高くなっているという塾講師も多く、必死になって働くほど稼げるというのが現場の実情なのです。
塾講師の主な勤務先
塾講師の勤務先は学習指導塾になります。
学習指導塾と一括りにされてしまうのが一般的ですが、分類してみるとかなりの種類があるのが現状です。
指導する生徒については小学校への就学前、小学生、中学生、高校生、大学生、浪人生といった枠組みがあり、それぞれに特化した塾もいくつかをカバーしている塾もあります。
また、授業のフォローアップだけをしている塾もあれば、受験指導に特化している塾もあるので指導内容によって分類することも可能です。
授業形式についても集団指導と個別指導の二つのパターンがあり、両方を選べる仕組みになっている塾もあります。
そのため、多種多様なシステムで運営されている学習指導塾から職場を選ぶことが可能です。
また、塾講師は副業をしていることもあり、家庭教師で稼いでいる人もしばしばいます。
家庭教師の派遣会社に登録しているか、個人契約で働いているのが一般的です。
有名塾講師になると参考書や問題集の執筆をすることもあります。
塾講師への転職は難しい?
塾講師への転職は一般的には難しい傾向があります。
今までのキャリアが学校教師や幼稚園教諭、家庭教師などのように教育に関わるものだった人の場合には、学習塾も受け入れてくれる傾向があるのは確かです。
また、学歴があって若い状況であれば受け入れ体制がよく整っています。
学習塾側の考え方としては早期に正社員になってもらい、社内で成長していってもらうことにより優秀な塾講師として台頭してもらうという場合が多いからです。
正社員に比べるとアルバイトの方がハードルが低く、大学生の間にアルバイトをしていた人がそのまま正社員に登用されるというケースもあります。
そのため、正社員への転職が難しかったときには、まずはアルバイトから始めて見るのも良い方法です。
特に夏期講習や冬期講習、受験直前講習といった時期には人材確保がよく行われるので、キャリアがない人でも採用される可能性があります。
そこで活躍できれば正社員になれると期待できるのです。
塾講師へ転職した人たちの口コミ・評判
塾講師への転職におすすめの転職サイト
塾講師ステーション
塾講師ステーションは塾に関連する転職先を斡旋する特化型の転職エージェントであり、塾講師になりたい人にはうってつけです。
全国エリアで大手から中小まで広く塾とのつながりを持っています。
主に扱っているのはアルバイトの求人ですが、正社員の募集もかなりの数があるので転職の際に困ることはないでしょう。
今まで教育業界で働いてきた人の場合にはスカウトメールを利用して、塾からのオファーを待つこともできます。
在職中であっても募集をかけられるので、ブランクなしで転職したい人にとって有用なシステムです。
希望に応じて正社員以外にも契約社員を選べたり、塾講師の周辺業務を担う仕事を探したりすることもできるので、広く塾に関わる仕事を探せるのが魅力でしょう。