急速に進む高齢化に伴い、介護業界では労働者不足が問題視されています。
しかし介護職というと、どうしてもマイナスイメージがあり、なかなか人材不足問題を解決できない事業所は多く存在します。
今回はそんな介護業界の労働環境改善に尽力している、「公益財団法人 介護労働安定センター」をご紹介!
介護労働安定センターの活動内容や、介護業界が抱える問題点を取材させていただきました。
目次
介護労働安定センターってどんな活動をしている?
介護労働安定センターはどんな活動をしているのですか?
「私たち介護労働安定センターでは、大きく2つの支援活動を行っています。1つは人材不足・人事管理・人材育成に悩む事業所からの相談に対応しています。もう1つは、人材育成のための介護研修も実施しています。」
そういった支援は無料で受けられますか?
「国から指定を受けた公益財団法人ですから、厚生労働省の事業として実施する部分については、事業所様からの相談も無料で対応しています。」
それは経営が厳しい中小規模の事業所にもありがたいですね!
「そうですね。基本的に大手の介護事業所であれば、自社内で人材育成も行えますが、中小規模の事業所ではそうはいきません。実際に相談をいただくのも、地域密着型で経営されている中小規模の事業所が多いですね。」
直接介護業界で働く方と接する機会もあるのですか?
「もちろん研修を通して、実際に介護業界で働く方と接する機会もあります。またハローワークの求職者を対象に、半年間の研修を行い、地域の事業所へ就職支援も行っています。昨年ですと全国47支部で約1500人の求職者が研修を受け、その内90%以上が就職しています。
90%もですか!でも、介護業界は離職が多いという話を聞きますが…。
「たしかに、介護職って離職率が高いイメージがありますが、実際には飲食業界などと比べると、けっして高くはないんです。」
現在、介護業界が抱えている問題点とは?
それでは、どうして介護業界は人材不足に悩まされているのでしょうか?
「一番大きいのが、日本企業の景気が上向いてきたことで、求職者自体が減っているという問題です。そのため介護職に限らず、多くの業界で慢性的に人手不足に悩まされています。」
なるほど。その中でも、やはり介護職というとハードルが高いと感じる人が多いようですが。
「そうですね。実際に介護職として働く人に聞いても、自分のスキルや知識に不安を覚えるという声は多いです。介護職は医療分野に近い仕事もあり、責任の重さを痛感してしまう人は多いです。未経験の方であればなおさらですよね。」
確かにそうですね。しかし事業所でも人手不足なので研修にまで手が回らないのですね。
「はい、もちろん事業所にもよりますが、研修が十分でなく不安を抱えたままですと、仕事への負担も大きくなるので、労働者への負担は大きくなってしまいます。こういった悪循環をいかに解消するのか、今後の介護業界の大きな問題だと思います。」
介護職で働く人が今後取るべき行動とは?
では、今介護職として頑張っている人たちは、どんな行動を取るべきだと思いますか?
「介護職は資格体系がはっきりしているのも特徴です。国家資格は一つに絞られており、今後進むべきキャリアは明確です。
しかしどうしても日頃の業務に追われ、研修へ行けない状況の人が多いと思います。
また国家資格である介護福祉士の資格を取得するには、研修にプラスして一定の勤務期間も必要で、今すぐに…というわけにはいきません。
しかし、資格に関係なくても、短時間でも参加できる研修もたくさんありますので、ぜひ足を運んでいただきたいです。自分の知識やスキルが積み重なっていくことで、仕事への自信につながっていくと思います」
確かに不安を覚えながら仕事をするのは精神的にも本当にきついですよね。
「そうですね。高齢化が進む日本では、介護業界は確実に需要が見込まれる大きな業界です。安定性も高いと思います。自信を持って働ける人が増えていけば、介護職のイメージもだんだんと変わっていくのでは無いかと思います。」
介護労働安定センターが目指す今後の介護業界とは?
最後に、介護労働安定センターが目指す今後の介護業界を教えてください。
「介護職は、これまで、キツイとか賃金が安いといったイメージが先行していました。しかし、実際の現場はどんどん変わっていて、賃金も上がっていますし、先進的な機器も導入されて、働きやすくなっています。今後はもっと介護職のイメージを変えて、憧れと自信を持って働ける環境にしたいと考えています。
介護職というと、利用者さまの日常に関わる様々な介助をするといった画一的なイメージしかありません。
しかし一口に介護職と言っても、働き方は様々です。
施設もいろいろな形態がありますし、ご自宅を訪問する訪問介護や、利用者が通う通所介護もあって、仕事内容もずいぶんと違います。また、介護職以外にも、送迎や調理の仕事、事務職、システム関係を担う人など、介護業界での働き方は様々です。
限られた人が働く業界ではなく、いろいろな人が活躍できる業界であること。また今後確実に需要の高まる成長産業であることを、支援活動を通して周知していきたいと思います。」
以上となります。今回はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
「とんでもないです。一緒に介護業界を盛り上げていきましょう」
介護業界の実態をもっと知りたい人は?
今回お話をうかがった介護労働安定センターの公式サイトでは、介護労働実態調査など、介護業界のリアルな数字を調査したレポートも掲載されています。
介護業界に興味を持っている方は、ぜひこういった情報も参考にしてみてください。
また現在、人材に関する悩みを抱えていらっしゃる事業所様は、ぜひ一度介護労働安定センターへ相談してみてください。
最後に、今回お忙しい中、取材に協力いただいた介護労働安定センターの野村様、総務部総務課の皆様、本当にありがとうございました。
今後も転職サイト比較Plusでは、転職を考えている方におすすめのサービスを紹介するのはもちろん、あらゆる業界の人材に関わる問題の解決に尽力してまいります。