介護業界では慢性的な人手不足で、少子高齢化の影響で今後もますます需要が高まる職種です。
年齢や引きこもっていた年数によっても異なりますが、引きこもりであった人が正社員として就職するのは、とても難易度が高くなります。
介護業界では人材不足のこともあり、無資格や未経験者でも積極的に採用し、幅広い就職者に対して窓口を広く設けています。
今回は引きこもりであった方が、介護業界で働く際のメリットやデメリットを紹介していきます。
目次
引きこもり経験者が介護職に向いている点
ここでは引きこもり経験者が介護職で働く場合の様々なメリットを紹介していきます。
人材不足から採用されやすい
厚生労働省では介護業界は2025年には約34万人、以降は毎年約6万人ずつ介護職が不足していくという推測が発表されています。
ここまで人材不足が目立っている業界は介護業界だけと言っても過言ではありません。
介護労働安定センターが実施した介護施設アンケートではおよそ、約7割の施設が「介護職不足」を感じており、その1番の理由が「採用が困難」との回答が得られています。
採用が困難である主な理由として「同業他社との人材獲得競争が激しい」「他業種と比べて給料が低い」という点が挙げられています。
ここでのポイントは「人材獲得競争が激しい」というところです。
7割近くの施設が人手不足を感じて求人を出しているものの、業界への応募数が少ないために人材獲得競争が行われてしまいます。
こうした背景があり介護業界では学歴や職歴、保持資格などの要件を定めずに求人を出している施設が数多くあるのが特徴です。
これは引きこもりの方も例外ではなく、充分に採用候補に挙がるということです。
人材不足ってことはそんなに待遇が悪いの?
給料の低さや離職率の高さなどが指摘されていますが、国は2009年より「介護職員処遇改善加算」というものを設け、介護職の給料を底上げするような政策をしています。
これにより少しずつではありますが、介護職の離職率は年々減少傾向になります。
例として厚生労働省が発表した2007年の介護職離職率は21.6%に対して、全産業平均の離職率は15.4%。
2018年には介護職離職率は15.4%に対して、全産業平均の離職率は14.6%。
ここでわかるのが、2009年より始まった介護職の給料を底上げする政策が徐々に形になって表れてきているということです。
政策が開始される前は、介護職の離職率は全業界でもトップレベルだったのですが、現在では全産業の離職率とほぼ変わらないレベルにまで落ち着いています。
しかし、これで終わりというわけではありません。
今後も介護職員処遇改善加算を増やす形で継続し、資格取得支援制度も充実させる方向でいます。
これほど国からの強力なバックアップを得ている業界は介護業界だけといっても良いでしょう。
資格なし・職歴なしでも働ける求人が多い
介護業界では人手不足の理由から、無資格や未経験者、職歴等も関係なく幅広い窓口で求人を出しているのが最大の特徴です。
そこに引きこもりであったかどうかは、関係ありません。
更に介護職で働く魅力は努力次第でキャリアアップや、働きながら資格を取得して給料アップを目指すことが比較的容易であるということです。
具体的には現場で経験を積むことによって、ユニット(フロア)リーダーや施設長になるといった基本的なルートが主流となるでしょう。
その他にも、現場で経験を積むことで「福祉用具専門相談員」といって福祉用具取り扱いのプロになることで利用者様にあった福祉用具の選定やメンテナンスを行う仕事もあります。
この場合の特徴としては現場を離れることで、肉体的負担を軽減できることや今後の国の介護方針として「なるべく在宅で利用者様の面倒をみる」という介護感とマッチしているところです。
(※福祉用具は施設でも使うが、在宅で介護を受ける利用者様にも提供は今後多くなるため)
後述する資格を含め、介護業界ではキャリアップや給料アップのチャンスはいくらでもあり、「引きこもりだったから」という目で評価が変わることはありません。
もちろん、学歴も見た目も関係ありません。
学歴や職歴等関係なく、様々なステップアップの道を用意しているのは介護業界だけといっても過言ではないでしょう。
資格なしでも介護職に転職できる?すぐに取得できるおすすめの資格は?
資格取得の難易度も比較的易しい
介護職で働く魅力の一つは、資格の取得難易度が比較的易しいところでもあります。
ここでは介護職として働くうえで、基本的な資格をいくつか紹介します。
1、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)
介護に必要な基礎的な知識や技術を計130時間にわたって、身に付ける講習を受けます。
※受講資格はありません。
受講期間はおよそ1か月~3か月程度、受講料は5万円~15万円程度とスクール毎によって大きく異なるのが特徴でしょう。
ポイントとしては施設で「資格取得支援制度」として一部、もしくは全部の費用を負担してくれるところも数多くあるということです。
そのため、就職する施設選びで迷う場合にはこうした制度を設けている施設を狙うのも良いでしょう。
2、介護職員実務者研修
介護職員初任者研修よりワンランク上の資格です。
計450時間(初任者研修を受けた場合は320時間)をかけて、介護に関する知識や技術をより深く学んでいくことになります。※受講資格はありません
基本的な学習期間は2か月~6か月ほどであり、費用も10万円~20万円程度と叙任者研修と同じようにスクールによって大きく異なります。
しかし、こちらの研修に関しても施設が「資格取得支援制度」として費用を負担してくれる場合もあるので事前に確認を取ると良いでしょう。
この研修で最大の特徴は「介護福祉士」の受験資格の一部になっていることと、「サービス提供責任者」になれることが挙げられます。
もちろん施設によって資格手当を給付するところも多くあります。
3、介護福祉士
介護職に関する最高峰の資格です。
受験資格は「介護実務者研修」の修了と「実務経験3年」となります。
介護福祉士の資格も生涯有効であり、施設としても一般の介護スタッフよりも介護福祉士を採用したいという思いが強いため、一生モノの資格と言っても良いでしょう。
この資格をもっていれば現場での昇進や、資格手当による大幅な給料の増加も見込めます。
このように介護に関する資格は学歴不要であり、人生のやり直しが出来るということが大きな特徴と言えるでしょう。
引きこもり経験者が介護職に向いていない点
ここでは引きこもり経験者が介護職で働く場合、どのような不安要素があるかとその解決方法をご紹介します。
体力的な負担が大きい
介護職は主にシフト制での採用が主流で、早番や遅番、夜勤など様々な時間帯で業務を行う必要が出てきます。
慣れない間は生活リズムが崩れやすく、体の不自由な方の介助を行うため負担を感じる人も多くいます。
引きこもっていた方は基本的に基礎体力が少ないことから、負担に感じるかもしれませんが、場合によってはシフトを考慮してくれる施設もあります。
例えば、早起きが慣れないあいだは出勤時間が遅い「遅番」の勤務を中心にシフトを作ってもらうということもできるので、相談してみるのも良いでしょう。
利用者・同僚とのコミュニケーションが必要
引きこもっていた方の最大の難所と言っても良いでしょう。
利用者様への介助時やスタッフ間での申し送り時、会議など他の職業と比べて介護はコミュニケーション能力を求められる場面が多くあります。
コミュニケーション能力はすぐにどうにかなるものではないため、初めは苦労するかもしれません。
介護職で働いている人は仕事柄、気の長い人が多く優しい方がたくさん働いています。
他の業界ではキビキビ、テキパキと仕事をしないとすぐに怒られたり怒鳴られたりということが多くありますが、介護業界では人材不足である点からも比較的ゆとりをもって面倒を見てくれます。
こうしたことからも、介護業界は引きこもりにとってはとても働きやすい環境と言えるでしょう。
いきなり働くのが不安なら介護ボランティア・バイトがおすすめ
引きこもりであった方がいきなり、正社員として就職するのにはとても勇気がいることと思います
コミュニケーション能力を身に付けたり、介護職の雰囲気を掴むために初めはボランティアやアルバイトから入ってみるのも一つの手でしょう。
ボランティアの場合は1日だけの単発が主流になります。
内容としては他の利用者様とお話をしたりシーツ交換や配膳などの雑務が中心であり、介護を任されることはありません。
中には「スケッター」という介護専門の「有料ボランティア」の方法もあります。
アルバイトの場合には正社員よりもシフトの融通が利くというのが最大のメリットでしょう。
引きこもりであり生活率リズムが夜型になったために「夜勤中心」であったり、出勤時間の遅い「遅番のみ」というようなことも可能です。
業務柄一日3,4時間勤務や週2,3日勤務など、多様な条件での応募も可能となっているのが介護職アルバイトの特徴でしょう。
介護資格取得支援のある介護職転職サイト
ここでは引きこもりだった方が、介護職で就職をするためにおススメの求人(転職)サイトを紹介します。
かいご畑
かいご畑は東京や神奈川など関東首都圏や大阪、名古屋を中心とした介護求人が豊富にあります。
派遣やアルバイトの取り扱いが主流であり、そのこともあって学歴や職歴不問、未経験者も大歓迎という求人案件が多数あります。
引きこもりであった方がアルバイトや派遣から少しずつ介護に慣れていきたいと考えている場合に、とてもマッチしているでしょう。
大きなメリットとしては派遣社員として働く場合には初任者、実務者研修などの講義を無料で受けられることでしょう。
合計すると10万円~20万円近くもの費用を負担してくれる上に、その資格はとても有用性が高いものですので人生をやり直す大きなチャンスを与えてくれます
担当の相談員もおり、シフト調整を行ってくれたり事前に希望の施設見学も行えるのが特徴でしょう。
介護求人ナビ
介護求人ナビで最大の特徴は日本全国の求人情報が豊富であるということです。
基本的に他のサイトは関東や関西などの首都圏の中心が基本ですが、介護求人ナビは全国に豊富な求人案件を抱えているため、どの地域からの応募にも対応できるということでしょう。
他の求人サイトでは個別に担当者が付くということが一般的になりつつありますが、介護求人ナビはそのようなことがなく、「担当者はいらない、自分で決めたい」という人には非常におすすめです。
更にこのサイト上では実際に職場へ面接に行った方たちが、その職場の雰囲気や面接の内容等を細かく記載しています。
そのため、他の利用者の生の声が記載されていることが大きな特徴でしょう。
引きこもりの方は初めの一歩で担当者がついてしまうことで、大きなストレスを感じる方もいるかもしれません。
このサイトの場合には豊富な案件やリアルな就職情報などが集約されているため、自分のペースで就職活動をしたいという方にはとてもおススメです。
まとめ
人材不足による雇用促進や国からの強力なバックアップ、現場で働き続けるための必要な資格取得や職場の環境は非常に充実しています。
それに一度就職してしまえば、介護業界内での転職は悪く見られることはあまりありません。
むしろ手に職を付けることによって、その後の多くのキャリアップのための転職や就職の安定にもつながってくるでしょう。
このように引きこもりの方でも学歴や職歴も不要であり、努力次第でいくらでもキャリアップできるのは介護業界だけと言っても過言ではないでしょう。
初めの一歩を踏み出すことは非常に勇気のいることです。
それでもぜひ、その勇気を介護業界へと向けてみてください。
あなたにとって大きなプラスになることは間違いないでしょう。