激務や薄給など、何かと仕事の大変さにスポットライトが当たりがちな介護職。
社会的に意義のある仕事にも関わらず、様々な問題から離職者が多いのが実情です。
介護の仕事に就いている人たちは、みんなどんな理由で転職しようと思っているのでしょうか。周りの実情を知ることで、あなた自身の悩みや転職理由と、ぜひ照らし合わせてみてください。
そして今回は転職理由だけでなく、介護職を辞めたいと思ったときの対処法についてもご紹介します。
収入問題や将来への不安を解決する方法や、転職を決意した場合の会社への伝え方などについても解説していきます。
目次
介護職を辞めたいと思った理由ランキング
介護職を離れていく人たちは、どんな理由で退職を決意したのでしょうか。
今回は退職理由の上位4つをご紹介します。ご自身の現状と比べてみてください。
1 結婚や育児で生活環境が大きく変わった
最も多いのは、生活環境の変化です。
学校を卒業してせっかく介護職についたものの、結婚や育児などを理由に、どうしても退職しなければならないケースがやはり多くなっています。
介護職は圧倒的に女性が多く、約80%が女性です。小規模事業者が多いことから、育児と並行して仕事をするための時短勤務や保育サービスなどの福利厚生が整っていないことがほとんどで、退職を余儀なくされる方が多いのが実情です。
実際の退職者の声
2 職場の運営方針
次いで多いのが、職場の運営方針とのギャップを理由に退職する方です。
特に多いのは、利益重視の経営側と入居者重視の現場側との意見のズレや、理念などに関しての考え方の違いです。
利益を考えるあまり、現場で働いてくれるスタッフや入居者の気持ちをないがしろにする会社があるのが実情。そうした施設は、やはり離職率が高いようです。
実際の退職者の声
3 セクハラ・いじめ・人間関係の悪化
人間関係の問題は、介護の現場では多いようです。
スタッフによるいじめやセクハラ、運営側・経営側によるパワハラまがいの発言もあります。
実際の退職者の声
4 利用者とのトラブル
利用者とのトラブルも退職の原因で多く、残念ながらセクハラやモラハラなどの声も上がっています。
介護職として働いている方であれば、ご自身の周りで耳にしたこともあるのではないでしょうか。
ちなみに利用者やその家族からセクハラやパワハラ、モラハラなどのハラスメントを受けたことがある方は、全体の70%以上にのぼるとも言われています。
実際の退職者の声
介護職を「辞めたい」と思ったときの対処法
退職するのは個人の自由です。大変なことが多い介護の仕事を辞めたいと思う人も多いでしょうし、別の業界に移ったほうが良いケースもたくさんあると思います。
ですが、無計画に辞めるのは、次の仕事や生活のことなどを考えるとハイリスクです。そこで、辞めたいと思ったときに考えていただきたいポイントを4つご紹介します。
収入が問題ならキャリアアップを目指す
介護職の平均年収は330万円といわれ、他の職種と比べても低い水準です。
収入を理由に転職を考える方も多いと思いますが、別職種に未経験から挑戦するとなれば、さらに給与が下がる可能性もあります。
年収を上げる近道は、同じ介護業界でのキャリアアップです。資格を取得したり、役職に就いたりと、介護業界内でも給与を上げる方法はあります。
介護福祉士の資格があれば一気に収入が増える
最も一般的なのは、介護福祉士へのキャリアアップでしょう。介護福祉士の資格を取得するだけで月収は平均4.8万円ほどUPし、年収にして約60万円近い上昇が見込めます。
無資格から介護福祉士の資格を取得するには、介護現場での勤務経験と実務者研修の資格が必要です。実務者研修自体は資格講座で誰でも受けることができますし、会社によっては実務者研修を取得するだけで手当が支給されるケースもあります。介護福祉士を目指していない方でもぜひ取得しておくべきです。
今の職場が嫌なのか、介護職が嫌なのか考える
「仕事がイヤだから、介護職を辞める!」と思う前に、なぜ嫌なのかをもう一度考えてみましょう。
職場の雰囲気や方針が嫌なのか、介護の仕事そのものが嫌なのか。もし職場が嫌なのであれば他の施設に転職することで解消できるかもしれませんし、介護職が嫌なのであれば別の業界に転職するほうがいい場合もあります。
自分が何に不満を感じていて、転職によって何を改善したいと思っているのか。退職を検討する前に、まずは自己分析をしてみましょう。
転職を検討して求人を探してみる
色々と考えた上でやはり転職をしようと思ったら、実際に求人を探してみましょう。
自分の思い描く職場があるのか、今よりも待遇が良い会社があるのか、キャリアアップできそうな仕事はあるのか。本当に転職先を探すつもりで求人を見てみると、意外と良い求人に出会えたりもします。
求人の探し方は色々とありますが、求人サイトやエージェントなどの転職サイトが求人数も多くておすすめです。
転職サイトに登録してコンサルタントに相談してみる
興味を持てる求人がありそうなら、実際に転職サイトに登録してみましょう。介護職の求人数や転職活動のしやすさを考えると、オススメは『転職エージェント』です。
転職エージェントに登録すると、専任のコンサルタントが担当についてくれます。希望に合った求人探しや履歴書・職務経歴書の作成サポート、面接の練習、面接日程の調整、条件交渉など様々な面であなたの転職活動をサポートしてくれる、心強いパートナーです。
ちなみに介護職専門の転職エージェントもたくさんあります。コンサルタントも介護職に精通しているだけあり、キャリアプランや仕事探しの相談などにも乗ってもらえます。
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転職を決意しても退職理由をそのまま伝えるのは危険
いざ転職を決意したら、いよいよ面接に挑んでいきます。面接では「なぜ前職を退職したのですか?」と退職理由を聞かれることも多いでしょう。その際に、退職の決め手になった不満などをそのまま伝えるのは危険です。
「給料が安くて…」
「人間関係が悪かったので、ほかの施設に移りたかった」
「入居者やその家族からのパワハラが嫌だった」
確かに、そういった不満が退職につながっているのかもしれません。しかし後ろ向きな退職理由をそのまま伝えてしまうと、選考を担当する人事や経営者の心象は悪くなるばかりです。
好印象を与える転職理由の伝え方
では面接の場でどんな転職理由の伝え方をすれば、好印象に受け取ってもらえるのでしょうか。言い方の事例と一緒に紹介しますので、ぜひご自身の転職理由と照らし合わせて活用してください。
介護の仕事は続けたいことを伝える
理由があって退職してしまっても、介護の仕事は続けたいという熱意を伝えることは大切です。
色々な事情があって会社を辞めるのは仕方がありません。大切なのは、その理由をきちんと説明し、次の会社へのモチベーションに変えることです。
悪印象を与える伝え方
好印象を与える伝え方
前の職場をあまり悪く言わない
誰かのことを悪く言うような方は、どんな会社でも信頼されません。
退職理由を説明する際にどうしても前職の悪い部分を言わなければならないこともあると思いますが、伝える際は言い方に充分配慮し、ポジティブな話で終わるように心がけましょう。
悪印象を与える伝え方
好印象を与える伝え方
キャリアアップへの意欲を見せる
採用するなら、仕事に対して前向きに取り組んでくれる人を選びたいのが企業の本音です。
面接の場では、キャリアアップしたいという意欲を伝えましょう。
悪印象を与える伝え方
好印象を与える伝え方
介護職の転職で理想的な志望動機の書き方!採用担当者の心を掴むコツ
辞めたいと思ったら心と身体の黄色信号です
この記事を読んでいるということは、少なからず今の仕事や職場を「辞めたい」と思っているのだと思います。
少しでも退職を考えてしまった時点で、心や身体には黄色信号が灯っていると思ってください。自分では気づかないうちに不満やストレスが少しずつ大きくなっているのかもしれません。
仕事は、心と身体の健康があってこそ。無理をしてまで続ける必要はありません。「周りに迷惑が掛かってしまう」「会社に申し訳ない」そんな風に思ってしまう方もいると思いますが、自分自身より大切な仕事などありません。
「辞めたい」と思ったら、休職や退職、そして転職を考えてみてください。今よりもっと前向きに、笑顔で働ける場所が、きっとあるはずです。