会計士が転職で事業会社に入るためには、覚えておきたい注意点があります。
会計士の転職活動には成功するためのコツがあるので、事前に確認しましょう。
「会計士から転職で事業会社に入社したい」という人向けに、ポイントをまとめました。
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目次
会計士が転職で事業会社に入社するときの注意点
会計士が転職で事業会社に入社する時は、気をつけておきたい点がいくつかあります。
働き方が変わったり、会計士としての業務の他に担当する仕事が増えたり、人によっては思ったように働けない可能性がでます。
会計士が転職で事業会社に入社する時に、注意することをまとめました。
働き方が大きく変わる可能性がある
会計士が転職する場合はこれまでの仕事と比べて、働き方が大きく変わる可能性があります。
事業会社は毎日同じオフィスに出社し、自分のデスクに座り仕事するのが一般的です。
事業会社では自由なスタイルの働き方はほぼ見られず、決まった時間でオフィスで勤務し、フレックスタイム制の勤務にも制限が多数あります。
監査法人で働いていた会計士の中には、事業会社は制限のある働き方で息苦しいと感じる人もいるようです。
働き方が合わない場合は、転職してもすぐに新しい仕事を探してしまう原因になるでしょう。
仕事内容についても、転職後にルーティンワーク化したと感じる会計士もいるため、事業会社の仕事は自分に合っているかよく考えてください。
同僚に会計士がいないことも
事業会社では、業務を担当する同僚の会計士がいないことを前提と考えましょう。
周囲に尋ねられる人がいないときは、急なトラブルが起きた場合の対処法は自分で考えなくてはなりません。
人によっては仕事の苦労ややりがいなどを周囲と共感できないことが、ストレスになる場合も考えられます。
仕事で説明が必要になった場合は、他の社員に背景や前提の確認から始めなくてはなりません。
自分以外の会計士がいない職場では、税務・財務関係の仕事はミスの予防もひとりで行うことが基本です。
ローテーション異動や一般異動の可能性がある
事業会社に勤めたからといって、入社時と同じ仕事が退職までできるとは限りません。
事業会社にはローテーション異動や一般異動などの制度があり、それが適用されるポジションの場合は仕事の内容が変わります。
例えば、転職時に経理部に配属された場合でも、総務部や品質管理といった他の部署に移動するケースが考えられるでしょう。
会社の規模によっては、本社経理部から支店経理部や工場経理部などへの転勤も考えられます。
財務税務以外の業務の掛け持ちを求められる場合がある
中小事業会社によく見られる傾向ですが、会計士として雇われた場合でも税務や財務以外の仕事を求められる可能性があります。
例えば、来客があった場合の対応や、パソコンを使用しての事務仕事など、会社の規模が小さいほど、担当する仕事の種類が増えるため注意してください。
会計士としてスキルを発揮したい場合は、内部監査や経営企画などに転職することをおすすめします。
年収は下がる場合が多い
監査法人や投資銀行から一般事業会社への転職は、年収が下がるおそれがあります。
事業会社の年収は昇給率を確認したり、自分で5年10年後のモデルケースを計算したり、納得できる金額を考えてください。
年収が下がること前提で動き、転職後に困らないように金銭面を準備しましょう。
会計士の転職で事業会社に求められる職種一覧
の転職で、会計士が事業会社から求められる職種には以下のものがあります。
経理・財務 | 入出金の記録や財務諸表の制作 金融機関からの資金調達 運用計画や監査法人対応など |
---|---|
内部監査 | 社内の不正の不祥事の防止 業務効率化 |
経営企画 | 中期経営企画や予算策定 事業戦略の立案、M&Aに関する仕事 国際財務報告基準(IFRS)の導入 |
IPO(新規上場)準備 | 新規株式上場の準備やサポート 事業計画策定、株式の整理、内部統率の構築 |
IR関連業務 | 株主や投資家向けに広報する仕事 財政状態や経営成績のIR情報管理など |
会計士の転職は、財務や税務に関わるスキルだけでなく法令に関わる知識があった方が有利です。
会計士が転職で事業会社に入るための5つのポイント
会計士が転職で事業会社に入るためのポイントには、以下の5つがあります。
- 転職する企業・業界研究をして理解を深める
- パソコン・ITスキルを磨いておく
- M&Aの知識を付けておく
- 法律知識を再確認する
- コミュニケーション能力を含めた総合力を鍛える
それぞれの項目について自分はどんなことに気をつければいいか、チェックしましょう。
1.転職する企業・業界研究をして理解を深める
会計士の転職で事業会社に入りたい場合は、企業や業界の情報を研究し、必要とされる人材の理想像を考えましょう。
企業規模にも注目すると入社後のギャップが防げるため、転職先が業界でどれくらいのレベルか確認してください。
事業の内容にかかわらず、会社から求められることは利益貢献が第一だと考えましょう。
会計士の資格があっても、仕事の理解や事業に関わる姿勢が見られなければ、転職は成功しません。
2.パソコン・ITスキルを磨く
パソコンやITスキルは、さまざまなジャンルの事業会社から求められます。
キーボード入力はもちろんExcelやWordの基本的な操作についても、転職前に確認してください。
経理の仕事を例にすると、業務はほとんどパソコンで行います。
そのため、入力スピードが遅かったりパソコンを使った事務処理能力が身についていないと、転職は非常に難しいです。
ITスキルを磨いておけば業務効率化につながるため、転職前に取得しておきましょう。
3.M&Aの知識を付ける
事業継承の手段の一つであるM&Aは、会社や事業を譲渡するための方法です。
後継者不足が広がる昨今では、会計士の転職成功につながるスキルと言えます。
M&Aを成功させるためには条件交渉や契約書の作成など、広い範囲での知識と高いスキルが必要です。
税務・財務に強い会計士にM&Aの対応を求める中小企業もあるため、知識をつけておけば転職で有利でしょう。
4.法律知識を再確認する
事業会社で働くときは、法律知識をブラッシュアップ・整理しておく事をおすすめします。
企業担当の弁護士と話す場合は、基礎的な知識がないと話の理解ができず、相手の力を引き出せない恐れがあります。
請求書や契約書の作成を任せられた場合も、法令に関わる内容のため知識不足では不完全な書類になってしまうでしょう。
5.コミュニケーション能力を含めた総合力は必須
コミュニケーション能力や、社会人としてのビジネスマナーや適応力は転職で必須です。
相手の意図を組み、自分が言いたいことを要約して伝えることで、コミュニケーション能力を証明できます。
例えば、会計士がよく使う専門用語を、自分以外の社員に伝える場合はわかりやすく説明するといった工夫をしましょう。
新しい会社で活躍するための適応力があれば、転職先の職場になじむことも簡単でしょう。
公認会計士として高いスキルを持っていても、転職先では「新入り」と言う意識で働いてください。
これまで経験した仕事の知識を発揮するだけでなく、転職先の社風に従う協調性を持ちましょう。
会計士が転職で事業会社に入るメリット
会計士が転職先に事業会社を選ぶメリットには、仕事と生活に関わる効果があります。
事業会社に入るメリットを、くわしく紹介するので確認しましょう。
ワークライフバランスがとりやすい
事業会社は、仕事のスケジュールが立てやすく時間外勤務や残業が少ないことが特徴です。
労務管理の徹底が企業価値につながるため、事業会社には定時までの勤務を推奨しているところもあります。
とくに忙しい監査法人から転職した場合は、ワークライフバランスがとりやすいメリットがあります。
福利厚生が充実している
福利厚生が充実していることは、事業会社のメリットです。
住宅手当や扶養手当の他、医療費補助や保育料補助など、会社によって福利厚生が決まっています。
社員として長く安定して働くために、会社にどんな福利厚生があるかチェックすることも重要ですね。
比較的多い退職金が期待できる
退職金制度は勤務先によって異なりますが、事業会社は監査法人と比べて多い額がもらえると考えられます。
退職金は、一般的には基本給と勤続年数と給付率を掛けた金額です。
事業会社では基本給や給付率が勤続年数に応じてアップする可能性があり、結果として退職金が多くもらえる可能性があります。
一方で、監査法人は同じ職位のままでいると、退職金が積み上がることはありません。
事業の成長に貢献できる
仕事で貢献で事業の成長に大きく関わると、モチベーションややりがいにつながります。
ベンチャー企業や中小企業の場合は自分の力が企業の利益に大きく反映されるため、やりがいを感じやすい傾向にあります。
これまで培った会計士としてのスキルがフルに発揮できるため、会社で頼りになる存在として活躍できる可能性が望めるでしょう。
管理職として活躍できる
会計士がこれまで経験した仕事やポジションによっては、転職先の事業会社で管理職として活躍できる可能性があります。
マネジメント能力が重視されますが、監査法人での主査といったインチャージ経験があれば転職に有利です。
転職では、インチャージ経験を絡めて自己PRを行ってください。
会計士が転職で事業会社に入るために企業研究は欠かせない
公認会計士が事業会社に転職する際は、事業や企業の研究を欠かしてはいけません。
転職は、これまでの経験に加え人間的な総合力が試されると考えましょう。
財務や税務に関わるスキルのほかに、法令に関する知識も確認しておけば転職が有利に進みます。