会社には必ず「役職」が定められています。
役職とは、会社における役割や任務、ポジションを表した呼び名のことで、「社長・部長・課長」などが挙げられます。
企業規模が大きくなればなるほど、役職が細かく定められていて、「課長と係長の違いがわからない」と悩まれることがあるのではないでしょうか?
この記事では、課長と係長の違いについて解説します。
それぞれに求められることなどもご紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
そもそも課長と係長とは?
課長と係長の違いを把握するには、課長と係長について理解を深めることが大切です。
課長と係長について詳しくご紹介するので、下記から参考にしてみてください。
課長とは?
課長とは、1つの課を取りまとめる管理職のことを指します。
「課」は企業における組織区分の1つであり、一般的には「部」の下に置かれています。
例えば、「製造部」の下に「製造管理課」があるということです。
この「課」に当てはまるチームをまとめる役割を担っているのが、課長になります。
また、課長に下にあたるのが「係長」で、1つ上にあたるのが「次長」です。
一般的に課長からは「管理職」という扱いになるので、経営視点で物事を考えることが求められます。
係長とは?
係長とは、係のリーダーを担う役職のことを指します。
「係」は企業における組織区分の1つであり、一般的には「課」の下に置かれています。
課の下になるチームのリーダーなので、「課長」の管理下に「係長」がいるということです。
また、係長の下の役職は「主任」になり、主任→係長→課長という順になっています。
係長は管理職には当てはまらないので、現場視点で物事を考えることが多いです。
管理職に当てはまらないということから、若手社員でも目指すことができ、企業によっては20代で目指すことが可能です。
課長と係長の違い
課長と係長には、さまざまな違いがあります。
課長・係長を目指すうえでは、それぞれの違いを把握することが大切です。
それぞれの違いを4つご紹介するので、下記から参考にしてみてください。
業務内容
課長と係長は立場が異なることから、業務内容に違いがあります。
それぞれの業務内容は下記の通りです。
「課長」
管理職という扱いになることから、現場業務をおこなうことはなくなり、人の配置や業務の進め方、仕事が円滑に進むような管理業務が主な業務内容になります。
「係長」
「係のリーダー」という立場になるので、現場業務をしながら、部下の育成やチームを牽引することが主な業務内容になります。
課長と係長の業務内容における大きな違いは、「現場業務があるか」ということです。
係長は現場業務をおこないますが、課長は管理業務に専念します。
「管理する立場になりたい」という方は、課長まで昇進する必要があります。
年収
上記でお伝えした通り、課長からは管理職になるので、「年収」に大きな違いがあります。
厚生労働省が発表した「役職別の賃金」では、課長と係長に「約200万円」の違いが生じています。
企業によって年収の差は違いますが、課長と係長で少なくても100万円以上の差は生じると考えられます。
ただし、月給に大きな違いはなく、賞与(ボーナス)で違いが生じています。
係長よりも課長の方が基本給は高いのですが、管理職になることで残業代が支給されなくなり、月給に違いが生じにくくなっています。
そのため、「課長になれば、月給も高くなる」という考え方には注意が必要で、「賞与が高くなる」と考えることが大切です。
自分で判断できる範囲
課長は1つの課をまとめる管理職になることから、職務権限が与えられるようになります。
管理職の権限範囲は企業によって異なりますが、課の目標を達成するために必要なことであれば、独自の判断を下すことが可能です。
課の状況を確認しながら、業務内容や配置を独自の判断で変更することが可能で、現場を仕切ることができます。
何度もお伝えした通り、係長は管理職に当てはまらないので、自分で判断できる範囲が狭いです。
すべての判断を課長に委ねる必要はないですが、独自の判断で業務内容や配置を変更することはできません。
あくまで係長はチームを牽引する立場になるので、自分で判断できる範囲が限られています。
物事を考えるときの視点
課長と係長には、「どの視点で物事を考えるか」ということに違いがあります。
基本的に管理職にあたる役職は「経営者側」に近い視点で物事を考える必要があり、課長になると「全社会議」に出席します。
課長以上の役職を務めている方が参加する会議に出席することで、自ずと経営視点で物事を考えるになります。
一方で、係長は現場でチームを牽引することが役割の1つになっているため、経営者側の視点ではなく、現場視点で物事を考えるケースが多いです。
係長が経営者側の視点で物事を考えてしまうと、チームを牽引することができなくなり、1つの係すらまとめることができなくなります。
係長は役職の1つになるのですが、現場視点で物事を考えることが大切です。
課長に求められること
課長と係長にはそれぞれ立場が違うので、求められることにも違いがあります。
課長に昇進するには、課長に求められることを理解することが大切です。
課長に求められることをいくつかご紹介するので、下記から参考にしてみてください。
成果をあげる
課長には、まとめている「課」の成果をあげることが求められます。
成果をあげることができなければ、「課長としての役割を果たすことができていない」と判断されてしまいます。
課長はまとめている課で目標達成できるように、業務内容や配置の変更をします。
また、係長とコミュニケーションを取る機会を増やして、目標達成できるように係長を管理することも大切です。
課長は現場業務はおこなわないので、係長の存在がとても大切になり、係長とは意思疎通できている状態を作り上げる必要があります。
チームを強化すること
課長は成果をあげることだけではなく、チームを強化することも求められます。
課長に求められる「強化」とは、チームとしての強化ということになります。
個人の能力値を高くするのではなく、チームとしての能力値を高くすることが求められるということです。
チームを強化するには、係長の存在や、メンバー同士のコミュニケーション、共通の目標達成意識などが大切になります。
課長が指示をせずに目標を達成できるようなチームを作り上げることができれば、求められている以上の役割を果たせていると考えられます。
係長に求められること
係長には課長と違うことが求められます。
係長に求められることをいくつかご紹介するので、下記から参考にしてみてください。
チームを牽引できる実績
何度もお伝えした通り、係長は現場でチームを牽引する必要があるので、現場社員としての実績が求められます。
係長になることで、チームに属している一般社員からの見られ方や、期待度が大きく変わるので、圧倒的な実績を残す必要があります。
ただし、係長はチームを管理する業務も担うため、現場業務だけに専念できるわけではありません。
現場業務をしながら管理業務をしなければいけないので、仕事の優先順位をつけることが大切です。
係長にはチームを牽引できるほどの実績が求められます。
部下の育成
係長に求められることとして、「部下の育成」が挙げられます。
部下の育成をしなければ、係長がまとめているチームの目標を達成ができません。
また、係長は「次なる係長を生み出す」という役割も担っているため、部下を育成する必要があります。
部下を育成できれば、チームが目標達成できる可能性は高くなり、係長としての役割を果たすことができます。
係長から課長に昇進するには?
課長に昇進するには、係長として実績を残す必要があります。
例えば、係長として定められた目標を2年連続で達成できれば、「この人は係長以上のスキルを身に付いている」と判断されて、課長に昇進できます。
係長として実績を残せていない方が、課長としての役割を果たすことは難しいため、まずは係長として実績を残すことが大切です。
また、経営視点で物事を考える必要があります。
上記でお伝えした通り、課長からは管理職になり、経営視点で物事を考えることが求められるので、係長のときから「経営視点で物事を考えられる」ということをアピールすることが大切です。
係長のときに経営視点で物事を考える必要はないのですが、「考えることができる」ということは管理職の方々に理解してもらうようにしてください。
課長から係長に降職することはある?
課長から係長に降職することはあります。
課長としての役割を果たせなければ、係長に降職させられる可能性が考えられます。
また、配置転換で課長から降職することがあります。
配置転換で降職した場合は、成績不振という理由ではなく、新しく覚えなければいけないことが多いことから、降職させられると考えられます。
ただし、課長から管理職の扱いになるので、降職させられる可能性は極めて低いです。
上記でお伝えした通り、課長から「全社会議」に出席するようになるので、会社からの信頼度は高くなります。
ある程度の実績を残せていれば、降職することはありません。
課長と係長にはさまざまな違いがある
この記事では、課長と係長の違いについてお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
課長と係長にはさまざまな違いがあります。
課長と係長で最も違うことは、「管理職になるのか」ということです。
課長は管理職になりますが、係長は管理職にはなりません。管理職になることで、残業代は支給されなくなり、経営者に近い視点で物事を考えることが求められます。
他にも、「業務内容・年収・権限」などに違いがあります。
この記事でお伝えした内容を参考にして、課長と係長の違いを理解しましょう。