外資系企業と聞くと、「高収入」「雇用が不安定」「英語のスキル」などいろいろ浮かんできますが、今回は外資系の経理職へ転職したい人に向けて情報を紹介したいと思います。
外資系企業の参入により、転職市場では「日系だけじゃなく外資系も視野に入れてみようかな」という人が増えてきつつあります。
外資系企業の経理の実態とはどんなものでしょうか?ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
外資系と日系企業の経理の違いとは
「外資系に転職すると仕事内容ってどんなふうに変わるのかな?」と思う経理経験者も多いですよね。
日系企業で培った経験はどのくらい活かせるのか、自分が外資系企業へ転職できるレベルの持ち主なのかも気になるところです。
会計基準の相違
日系企業は日本の会計基準に従って財務諸表を作成しています。
経理で決算業務を担当していた場合には、「損益計算書」や「賃借対照票」などを用いて作成していたと思います。
外資系企業は日本の会計ルールとは異なり、「米国会計基準」や「IFRS(国際会計基準)」、「J-IFRS」などを用いて経理業務を行うことになります。
通貨の相違
日本の通貨は「円」ですので、円で計算するのが一般的です。
一方、外資系企業では本国の通貨に合わせて換算することになりますので、業務をする上で為替の知識が必要になってきます。
経理では、毎日の為替ルートチェックや為替リスクの把握が求められます。
さらに為替レート変動によるリスクが存在するため、為替差損益の処理には注意しなくてはなりません。
決算期の相違
外資系企業の場合は、本国の親会社の決算期に合わせて連結決算をしなくてはなりません。
決算期が一致していれば問題ありませんが、違う場合もあります。
日本の会計基準では、親会社と子会社の決算期がずれていたとしても、そのズレが3ヶ月を超えなければ連結決算が可能です。
しかし国際会計基準においては、決算期を一致させる必要があり、日本にある外資系企業は親会社に合わせて仮決算を行わなくてはならないのです。
外資系企業への転職に必要なスキル・資格
外資系へ転職したい人は、以下の3つのスキルが備わっているかを基準に、転職を検討してみるのがオススメです。
経理としての実務経験
外資系企業では日系企業以上に「即戦力」が重視されます。
経理の知識はもちろん、業界の知識や実務経験が必須になっている求人が一般的なようです。
外資系企業で未経験を歓迎しているのは、主に派遣社員などの非正規社員で、正社員であれば3年〜5年程度の経験を求められるケースが多いでしょう。
簿記2級程度の資格
外資系企業でも、簿記2級以上の資格は転職に有利です。
求人票のなかには、資格は持っていなくても、「簿記2級程度の知識」「原価計算の実務経験」などの条件があります。
ある程度の実務経験を持っているのであれば、知識があることの証明にもなるため、転職する前に簿記2級の資格を取っておきたいところです。
他にも、外資系企業で活躍できる資格では、USCPAやBATICなどが挙げられます。
試験では英語力が必要なものもありますので、これから外資系企業でキャリアアップを望んでいる人は、挑戦してみてはいかがでしょうか?
語学力
本国と業務のやりとりすることも多いため、本国がアメリカであれば英語、中国であれば中国語などの語学力が必須です。
また上司や同僚が外国籍であることも多いので、日常会話レベル+ビジネスレベルの知識を身につけなくてはいけません。
経理の実務経験がなくても、語学力があるだけで採用されるケースもあります。
20代であればTOEIC750点以上のスコアを目標に、勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
マネージャークラスの求人では、英語を用いた実務経験が問われます。
外資系の経理へ転職するメリット
外資系と日系企業の違いを理解したら、次に外資系企業で働くメリットを見ていきましょう。
高収入が期待できる
「外資系=高収入」というイメージを持っている人も多いと思います。
日系企業のように「年功序列」ではなく「実力主義」である外資系は、若くても高収入を手にする人が多いのも特徴です。
経理部内の先輩に「仕事ができないのに自分より良い給料をもらっている!」と不満を持っている人は、外資系の実力主義文化に共感できるところも多いかもしれませんね。
理不尽なルールを排除できる
外資系というか、外国籍の人は日本人に比べてYES・NOがはっきりしています。
上司からの飲みの誘いやサービス残業など、日本では「イヤ」と言えない文化がありますが、外資系ではこのようなルールはありません。
有給の消化率や残業率も異なり、日系では「残業が多い=仕事を頑張っている」という認識でも、外資系では「残業が多い=仕事ができない」と捉えられることもしばしばです。
スピード感がある
日系から外資系企業に転職した人の多くが、「経営陣の意思決定のスピードが早い」と感じることが多いようです。
日系企業では結論を先延ばしにしやすい傾向があり、決定までに長いプロセスがあります。
一方で外資系企業では、プロジェクトの展開や事業拡大をフレキシブルに行い、採算が合わないと判断されればあっさりと撤退するスピード感が特徴です。
語学力があがる
職場環境に外国籍の人がいることや、本国への出張などで、英語などの外国語でコミュニケーションを交わすことが多くなります。
また「もっと色んな人となどに話せるようになりたい」という気持ちが自然と湧くので、語学の勉強にも力が入るようです。
語学力を活かして仕事がしたいという人にも、ピッタリの職場環境になっています。
異文化との交流
さまざまな国の人と交流することで、多様な文化に触れる機会も増えます。
ホームパーティーも頻繁に行われ、クリスマスパーティーやハロウィンなど、家族ぐるみの付き合いが増えてくるようです。
外資系の経理へ転職するデメリット
外資系企業はメリットばかりではありません。デメリットを見てみると、日系企業の良いところが見えてきます。
安定性がない
外資系企業のデメリットとして代表的なのが「安定性のなさ」です。
期待されたパフォーマンスができなければクビになったり、人の入れ替わりも激しかったりします。
日系企業で仕事ができない場合、部署の移動や降格はあっても、クビになるということはあまりありません。
外資系は日本企業のように終身雇用の文化がないため、長期的に働きたい人にとっては、常にプレッシャーを感じてしまうでしょう。
退職金がない
外資系の年収は一見高く見えますが、退職金がなかったり福利厚生が弱かったりします。
転職する場合は、退職金込みの年収を想定して、転職活動をするようにしましょう。
外資系から日経への転職が難しくなる
意外かもしれませんが、いったん外資系へ転職してしまうと、日系企業に戻りにくいケースがあります。
日系から外資系は募集条件にマッチしていれさえすれば、比較的簡単です。
しかし外資系を経験すると、文化の違いや「組織に馴染めるだろうか」という採用側の不安から、なかなか採用に至りません。
外資系への転職を考えているのであれば、よく考えてから行動に移したほうが良さそうです。
業務の幅を広げにくい
成果を求められる外資系では、新しいことにチャレンジする環境や教育が充実していないというデメリットがあります。
日系企業の場合、誰かが急に退職することになったら、業務を引き継いでメンバーで協力しながら業務を回せるようにしていくパターンが多いと思います。
外資系企業の場合は、「辞める人の代わりに出来る人を連れてくる」という発想です。
環境に甘えず自分でスキルを磨いていかなくては、キャリアアップが見込めません。
日本語しか使わない外資系企業もある
「外資系企業で語学力を活かしたい」という理由で転職したにも関わらず、転職先がほとんど日本人だったというケースもあります。
外資系企業で働く人にアンケートを取ったところ、30%の人が「まったく外国語を使わない」という結果でした。
毎日使うというのは21%程度で、なかにはメールのやり取りのみしか英語を使用しないという企業もあるようです。
語学スキルをあげたい人は、入社前に使用頻度がどのくらいなのかを調べておく必要があります。
参考:マイナビ転職(外資系企業で働いている全国の男女を対象にインターネット調査)
https://tenshoku.mynavi.jp/knowhow/caripedia/69
外資系企業へ転職するなら実務経験が必須!
外資系企業への転職は、思っている以上にシビアかもしれません。
しかし実力を正当に評価してくれるところや、評価が収入になって表れるのは、日系企業にない魅力です。
経理未経験で外資系企業への転職を切望しているのであれば、まずは日系企業で経理の実務経験を積むのがオススメです。
簿記の基礎知識を学びながら、プライベートの時間では語学力を磨いて、転職に挑戦してみましょう。
経験者は、国際的な会計スキルを身につけながら、TOEICなどで英語力の証明ができるとベストです。