『期間工』とは、その名の通り期間に定めのある労働契約で働く方のことを指します。
主に自動車工場や家電工場、電子部品の製造工場などで勤務することが多く、部品の組み立てを含めて流れ作業を担当することが多いと言われています。
実はこの期間工、住居が提供されるほか給与額も高く、稼げるという評判もあります。しかしその一方で「キツイ仕事」と言われていることも確かです。
稼ぎがいいからと考えなしに飛び込んでしまうのではなく、まずはきちんと仕事内容や“キツさ”の実態を理解しておきましょう。
ということで今回は、期間工の仕事内容やキツイと思われる6つの理由、途中で辞めることのリスクなどについて解説していきます。
目次
期間工の仕事内容
まずは期間工の仕事内容について理解していきましょう。
「一定期間の間、車の組み立て工場で働くんでしょ?」というレベルの知識では、すぐに退職につながってしまいます。
良い面ばかりではなく、実態を理解することが大切です。
主に車の生産ラインを担当
期間工は、主に車の生産ラインでの業務を担当します。組み立て作業が中心で、ライン上で決められた部品を組んでいく作業が中心です。
自動車以外に家電や精密機械に関する仕事もありますが、基本的に期間工といえば車が多いと思っていただいて構いません。
部署配属は企業側が決定
配属される企業や工場は、すべて企業側が決定します。
例えば現在東京にいる方でも、まったく縁のない地方の工場に配属される可能性もあります。
3ヶ月~3年間の期間で契約する
契約期間は企業や仕事内容によっても異なりますが、おおよそ3ヶ月から3年のものが中心です。
仕事内容は単純作業が多い
仕事内容である組み立て作業は、基本的に全て単純作業のみです。
職人のように難しい能力や知識が必要なものはほとんどなく、決められた作業をこなしていきます。
簡単な作業ではありますが、あまりに単調な作業が続くため、精神的に疲れる方も多いようです。
ちなみに主な仕事内容は下記の4つに分類されます。
▼プレス
大きなプレス機を使って鋼板を成形していきます。車のボディやドアなど、強度が求められる部品はこのように作られていきます。
作業自体は自動化されているため、工程を管理したり、製品が不良なく作られているかをチェックしたりという業務が中心です。
▼溶接
成形済みの部品を溶接機で溶接していきます。
この工程もほとんどの作業が自動化されているので、成形済み部品をセットしたり、装置を動かしたりという作業が中心です。
▼塗装
ボディの溶接が終わったら、塗装を行っていきます。
塗装は基本的に3回で、塗装前の処理作業や塗装後の外観チェックなどが主な業務です。
▼車体組み立て
塗装が終わったボディに、エンジンや内装、足回りなど様々な部品を取り付けていきます。
期間工として業務に携わる場合、この業務を担当することが最も多いようです。
▼完成後検査の補助
自動車完成後は、1台ずつ検査機器を使って検査を行っていきます。
検査自体は正社員の仕事ですが、この補助業務を担当します。
期間工がきつい理由6選
そんな期間工の仕事ですが、特にキツイと言われる6つの理由をご紹介します。
①工程によっては重労働で筋力を使う
担当する作業によって体への負担は違いますが、大きな部品を組み立てるような工程を担当する場合は、かなり筋力を使う重労働です。
それが毎日のように続いていくため、腰や足、腕など体への負担は相当大きなものだといえます。
②新車発売など繁忙期は休日出勤がある
シフト制で休日もしっかり取得できますが、新車の発売時期などは繁忙期となり、休日出勤をしなければならないこともあります。
忙しい時期は「新車発売」「新生活開始時期」
特に忙しいのは、新車発売前と、新生活開始時期です。
新車発売前は注文に対応するため工場をフル稼働しなければなりませんし、新生活開始時期は自動車が売れやすいため注文が多くなります。
③夜勤で生活リズムの維持が難しい
期間工は3交代制で回していることが多く、深夜に仕事をしなければならないこともあります。
ずっと夜勤、ずっと日勤というワケではなく、定期的に日勤や夜勤が入れ替わったりもするため、生活リズムの維持が難しく、体調を壊してしまう方もいるようです。
④人間関係が面倒くさい
3ヶ月~3年の勤務期間は、同じ期間工の方々と仕事や寮での生活を共にします。
長い時間一緒にいて、しかもその環境がずっと変わらないということもあり、人間関係にストレスを感じたり、トラブルに巻き込まれてしまったりという方も少なくありません。
⑤寮のマナーが悪くて生活しづらい
基本的には寮に入って生活をしますが、隣接する部屋の住人の生活マナーが悪かったり、共有スペースの使い方が悪かったりと生活上のストレスを感じることも多いようです。
ハズレの寮に入ると生活しづらい
寮にはかなり当たり外れがあるようで、ハズレの寮に入ってしまうと、勤務期間中はずっと我慢しなければならないこともあります。
⑥体調を崩して休むと給料が減る
期間工は働いた分だけ給与が支払われます。
つまり、病気などで体調を壊して休んでしまうと、その分給与が減ってしまいます。
月給制であれば給与額が保証されている場合が多いですが、そうではないため休めないというプレッシャーもあります。
「組立工程」が一番きついとの口コミも
期間工の中で最もきついのは『組立工程』という口コミはよく目にします。
重労働であることや単調な作業が続くことなどもあり、体力的にも精神的にもキツい仕事です。
ちなみにキツさは部品の種類などにもより、大きくて重い部品を持ち続ける仕事などは腕の筋力や握力を使い続けるためかなり大変とのこと。
どの工程を担当するかは企業側が決めるため、基本的に希望を出すことはできません。
担当部署を変更することもできる
あまりに仕事がキツい場合は、企業側に申し出て担当部署や担当作業を変更してもらうこともできるようです。
ただしこれは企業によって異なり、中には異動希望を受け付けてもらえない企業も。入社時に確認しておくことをオススメします。
期間工で働くメリットは「給料の高さ」
期間工で働く最大のメリットは、やはり給与が高いことでしょう。
例えば自動車工場での期間工の仕事の場合、1年目から450万円程度の年収額が用意されていることも珍しくありません。
しかも入社特典として月給約1ヶ月分程度の祝い金が支給されたり、皆勤手当てや赴任手当、満了慰労金などが用意されていることもあります。
寮に入れば住居費は掛かりませんし、光熱費や水道代すら掛からないという場合も。収入が高い上に、使うお金も少なくなるので、貯金が貯まっていく人も多いようです。
※寮費が無料の企業もあれば、5000~10000円程度掛かる企業もあるようなので、面接時に確認しておきましょう。
期間工がきつくて途中で辞めたい…デメリットは?
きつくても稼げるなら…と期間工になったものの、中にはやっぱり途中で辞めていく方も…。
しかし途中で退職するとなると、いくつかのデメリットがあります。
デメリットについてもきちんと把握した上で期間工の仕事を選ぶようにしましょう。
家賃・光熱費がかかる
期間工として働いている間は寮で生活しているため、家賃や生活費が掛かりません。
しかし退職するとなると新たにアパート・マンションを探さなければならず、家賃や生活費の他、引っ越し代や敷金・礼金など様々なお金が掛かってしまいます。
ざっと見ても、引っ越しの初期費用に50万円近く、そして毎月の固定費で5~10万円程度が掛かってしまうこともあるでしょう。
満了金がもらえない
期間工の仕事を契約満了まで勤め上げると、『満了金』という退職金のようなものをもらえることが多いようです。
満了金は企業によってある場合と無い場合がありますので、入社時に確認しておきましょう。
大手自動車部品メーカーになると、3年ほど勤めた場合、約300万円近い満了金が支払われることもあるようです。
満了金はあくまで『満了』して初めてもらえるもの。もし途中で退職してしまうと、当然ながら支給されません。
かなり大きな金額ですので、途中で退職するのはかなり勿体ないのではないでしょうか。
退職後の生活が不安定になる
退職してしまうと、そこから新しい生活をはじめ、次の仕事を見つけるために転職活動もしなければなりません。
生活には当然お金が掛かりますし、次の仕事がすんなりと見つかるとも限りません。
となると、生活は不安定になってしまいがちです。
事前に仕事内容をチェックしてから応募しよう!
期間工の仕事には、たくさんの魅力があります。給与の高さ、手当や待遇の手厚さ、高い満了金など。しかしその反面、厳しい面もたくさんあります。
今回は『キツイ』と思われる代表的な6つのポイントについて解説してきました。
もちろんこれ以外にもキツいポイントはたくさんあると思いますし、それは企業や工場によっても違うでしょう。
大切なのは、ただ楽でメリットばかりの仕事と思うのではなく、大変な面を知って仕事を選ぶことです。