就活や転職活動をするとき「既卒」という言葉を目にすることがありますよね。
文字通り、すでに卒業している人を指すのは何となく分かりますが、「中途採用の人もみんな既卒なの?」と困惑してしまいます。
ここでは既卒の定義について詳しく解説しながら、既卒が就活で気をつけるべきポイントや面接対策を紹介。
この記事を読むことで、既卒の就活についての注意点がすべて理解できます。
目次
既卒とは卒業して3年以内の職歴がない人
既卒とは「高校・大学・短大・専門学校などを卒業し、正社員として職歴がない人」を指します。
ただし既卒という言葉は、採用市場で新卒と差別化するために使われているだけで、法律で定義されている言葉ではありません。
学校を卒業してから10年20年が経過した人は既卒には該当せず、卒業してから3年以内を目処に考えておくといいでしょう。
卒業してからの経過年数に関しては、企業によって設けられている年数が異なりますので、後ほど詳しく紹介していきます。
既卒と第二新卒の違い
第二新卒とは、学校を卒業して就職はしたものの、3年以内に退職・転職した人をいいます。
大卒であれば22歳〜25歳くらいが対象になり、正社員としての就業経験があるところが既卒と異なるのです。
ただし第二新卒は既卒とは異なり、大学や大学院、専門学校など卒業した学校によって、年齢が異なりますので一概に何歳までが第二新卒と限定はできません。
既卒はフリーターと同じ?
フリーターとは、アルバイトやパートとして働く若者層を指しますが、既卒と同じで明確な定義はありません。
学校を卒業してから非正規社員として働いていると、自分が既卒になるかが判断しづらいと思いますが、結論をいうとフリーターも既卒に該当します。
卒業後に就職をせずに、アルバイトを主な収入源にしている場合には、既卒とフリーターを兼任していることになります。
しかし正社員として就職した後にフリーターになった場合、一度就職しているので既卒ではありません。
「一度も正社員として働いていない」というのが既卒の定義と覚えておきましょう。
既卒の就活は不利?
既卒になってしまった理由は人それぞれですが、在学中に真面目に就活に取り組まなかったというマイナスイメージが付いてしまうため、就活では不利な立場に置かれます。
しかし近年では既卒を積極的に採用しようとする企業も増えているため、「就職はむずかしい」と諦める必要もありません。
既卒の就職を国がバックアップ
平成22年に、厚生労働省が「3年以内の既卒者は新卒枠で応募受付を!」という通達を出しました。
これまで既卒者が応募できる求人は、中途採用枠の一択だったため、既卒者の就職内定率が上がるきっかけになったのです。
中途採用になると実務経験が問われます。
そこに正社員経験のない既卒が応募することは不利です。
しかし卒業して3年以内であれば新卒と同じように応募できるため、既卒にとっては就職しやすい環境に変化しました。
既卒を新卒枠で募集する企業は増えている
国からの働きかけで既卒を新卒枠で採用するようになった企業は増加しています。
2010年に応募可能だった企業は53%でしたが、2015年には70%にまで上がりました。
それでもまだ30%の企業は既卒の採用に消極的ですが、このような企業はこれから減少していくと予想されます。
既卒は就業経験がないので、中途採用枠での経験重視の就職活動は難しいですが、新卒枠で応募して事情を説明すれば採用してもらえる可能性はあります。
未経験OKの中途採用求人なら転職できる可能性がある
中途採用求人の中にも、未経験OKの求人も存在します。
中途採用を行う際に、企業側では経験を重視せずに人材を欲していることもあるためです。
気になる仕事が新卒枠でない場合には、未経験OKの中途採用求人を攻めてみるのもありでしょう。
新卒枠には期限がある
「既卒が新卒枠で応募できるのは卒業してから3年間」と言われることが多いのですが、その年数は企業によって異なります。
なかには1年以内と決めている企業もあるため、応募する際は確認しなくてはいけません。
厚生労働省の「労働経済動向調査」によると、2010年に「既卒は卒業して1年以内」と回答した企業は50%もありましたが、2015年には25%と減少しています。
反対に「既卒は卒業して2〜3年」と回答した企業は、2010年には12%しかありませんでしたが、2015年には52%と半数を上回りました。
既卒の就活内定率は53%
既卒を受け入れる企業が増えていく中、実際に採用に至ったケースはどのくらいあるのでしょうか?厚生労働省のデータをご覧ください。
調査した年 | 採用に至った | 採用に至らなかった |
---|---|---|
2010年 | 60% | 40% |
2011年 | 56% | 44% |
2012年 | 54% | 46% |
2013年 | 45% | 55% |
2014年 | 40% | 60% |
2015年 | 53% | 47% |
実際に採用に至ったのは半数ほどで、決して高い数字ではないことが分かります。2017年の新卒内定率は83.7%ですから、既卒の就職は難しいということです。
企業が既卒を採用する理由
企業の採用難が原因
少子化により、企業は新卒の採用に苦戦しています。
もともとの採用枠に応募人数が達成せず、若い人材を確保できません。
若手を採用できないと、社員の平均年齢が上がっていくため、年齢構成のバランスが崩れます。
安定した経営を目指す企業にとっては、毎年一定量の若手を確保することは重要なことなのです。
さらに新卒はどこの企業にも属した経験がないため、教育次第でその企業色に染めていくことができます。
これは中途採用ではできないことですので、同じように社会経験がない既卒がターゲットになるのです。
3年以内に退職する新卒入社の増加
厳しい就職活動を経て採用を勝ち取ったにも関わらず、3年以内で退職してしまう若者が後を経ちません。
大卒者の早期離職率は30%にも達します。
その空いた枠を埋めるために、既卒者を視野に入れる企業が増えているのです。
とくに人材不足の中小企業では、新卒枠でも思うように応募者が集まってくれないため、積極的に既卒の応募を受け付けています。
既卒の面接対策
「なぜ就職しなかったのか」というマイナスの先入観を持たれてしまう既卒は、事前の面接対策が非常に重要です。
既卒が面接をする上で抑えておきたいポイントを紹介します。
面接で絶対聞かれる質問はこれ!
以下の2点の質問は必ずされると言っても過言ではないため、しっかりと回答できるようにしておきましょう。
- 既卒に至った理由
- 卒業してからの活動
既卒に至った理由
既卒になる理由としては、「就活をしなかった」「内定をもらえなかった」「内定を辞退した」などが挙げられます。
ここでは嘘をつかずに、事実を正直に話しましょう。
しかし「どこからも内定がもらえなかった」というと、企業側もあなたを採用することに消極的になってしまいますよね。
そこで補足してもらいたいのが、どうして就活がうまくいかなかったかを自己分析することです。
「業界を絞っていた」「応募した企業が少なかった」と理由を述べた上で、その失敗を活かして今はどのような行動をしているかを伝えてください。
失敗は誰にでもあることで、その失敗をどう活かせるかが社会人になってからも重要なため、面接官が重視するポイントです。
卒業してからの活動
卒業してから今日まで何に取り組んでいたのか、これも必ずされる質問です。
「とくに何もしていませんでした」という人はいないと思いますが、絶対にNGですので注意しましょう。
アルバイトをしていた方であれば、アルバイトを通して学んだことやどんな実務経験を積んできたかについて詳しく説明するのもいいですね。
資格の勉強をしたこともアピールポイントになり、応募企業で役立つ分野であれば、さらに好印象を与えることができます。
ライバルは新卒と中途採用者
既卒の定義は企業によって異なると説明しましたが、新卒枠か中途採用枠のどちらで応募するかによってライバルも変わります。
新卒枠であれば、フレッシュ度は新卒者に負けてしまい、中途採用枠であれば、実務経験がない既卒は面接でも不利です。
ライバルに勝つためには「就職への意欲をアピールする」、これに尽きます。
というより意欲以外に勝てる要素がありません。
もちろん学生時代の実績も重要ですが、同じような人材が2人いる場合、新卒と既卒では新卒者に軍配が上がります。
数ある企業の中でどうして応募企業を選んだのか、より詳しく熱意を持って志望動機を述べましょう。
職歴なしの既卒が就活でアピールするべきポイント
職歴なしの既卒が就活でアピールするべきポイントは、以下の3つです。
- 卒業後の取り組み
- 入社意欲の高さ
- 学生時代に取り組んだこと
職歴を持たない既卒にとって、アピールできるのは学生時代のエピソードや、空白期間のエピソードです。
そのため、職歴がないことにこだわらず、自分がアピールできる材料を全面に押し出していくようにしましょう。
卒業後の取り組み
卒業後の取り組みは、なぜ既卒になったのかの理由にもなります。
そのため、企業は既卒を採用するにあたり、卒業後の取り組みを重点的に聞こうとします。
卒業後に何をしたかが、既卒の価値に比例します。
そのため、卒業後に何をしたのかをリストアップし、効果的にアピールできるようにすると良いでしょう。
入社意欲の高さ
入社意欲の高さも、既卒がアピールできるポイントです。
大前提として、入社意欲のない人に内定が出ることはありません。
既卒は企業から見て、「働くことに対する意欲が低い」と判断されがちです。
そのため、既卒が就活をする際には、いかに入社意欲の高さをアピールできるかがカギとなります。
徹底的に企業について調べ上げ、効果的アピールができるようにしましょう!
学生時代に取り組んだこと
学生時代に取り組んだことも、既卒がアピールできるポイントの一つです。
社会人であれば、仕事の経験などの職歴や実績をアピールすることができます。
しかし、職歴のない既卒はそうはいきませんよね。
そこで、既卒は学生時代に取り組んだことをアピールするべきなのです。
学生時代に取り組んだことを通じて自分の勝ちをアピールすることができれば、既卒でも内定ゲットは近いでしょう。
既卒が企業から内定を獲得するための3つのポイント
既卒が企業から内定を勝ちとるためには、以下の3つのポイントを心得ておきましょう。
- 既卒であるハンデを自覚する
- 既卒採用・未経験採用の求人を攻める
- 既卒向けの就職支援サイトを利用する
以下で詳しく解説していきます。
既卒であるハンデを自覚する
まずは既卒であるハンデを自覚して、行動計画を立てていきましょう。
新卒や第二新卒は学校卒業後のフレッシュさや、就労経験をアピールして採用活動に挑みます。
しかし既卒は卒業後に就労期間がないため、企業にアピールできるポイントが少ないです。
既卒であるハンデを自覚して、何をアピールすれば第二新卒や既卒に対抗できるかを把握していきましょう。
既卒採用・未経験採用の求人を攻める
既卒採用や未経験採用の求人を攻めて、採用確率をアップさせましょう。
既卒を積極採用している求人や、未経験OKの求人であれば、既卒でも内定をもらえる可能性が高いです。
大手の求人を獲得したい!と夢を持つ方も多いですが、まずは目の前のことから一つ一つ攻めていきましょう。
既卒向けの就職支援サイトを利用する
実は既卒向けの就職支援サイトがあるのをご存じでしょうか。
上述してきた通り、既卒は同年代の第二新卒や転職活動者よりも社会人経験が薄いため、ハンデを追っています。
既卒向けの就職支援サイトでは、企業でも役立つ研修を無料で受講できたり、既卒を積極採用している企業を紹介してくれることもあります。
研修に参加後、書類選考を飛ばしてすぐに採用面談に移れるサービスもあるので、効率よく既卒転職をすすめたい方にはおすすめです。
就職活動は長引かせるほど、メンタルも削られていきますので、早期に完了させるのが一番です。
既卒向けの就職支援サイトの中で、自分に合ったサイトを探してみてください。
既卒の就活は「既卒」に特化した転職エージェントを活用する
ライバルが多い就活においては、出来るだけ新卒枠や中途採用枠ではなく、既卒を対象にした求人に応募するのが吉です。
そのためには既卒に特化した転職エージェントを活用するのがいいでしょう。
DYM就職
DYM就職は既卒や第二新卒を対象としている転職エージェントです。
紹介する企業が「上場企業」や「トップベンチャー企業」など優良企業が多いのも特徴です。
採用する企業は「既卒者」を求めてDYMに依頼しているため、既卒ということを後ろめたく感じる必要はありません。
対面での相談はもちろんのこと、オンラインでの面談にも対応してくれるので、遠方からの転職でも安心して利用できます。
JAIC
既卒・フリーター・第二新卒の就職をトータルサポートしてくれるJAIC。
紹介される企業は「既卒者」を応募の対象にしているため、新卒者がライバルということもありません。
就職支援実績は2万人以上で、入社後の定着率も91%、多くの利用者がすぐに辞めることなく活躍できています。
JAICの最大の特徴は、専任の担当者がみっちりと個別サポートをしてくれること。
就職する上で大切なビジネスマナーを学べ、履歴書の書き方や面接対策をレクチャーしてくれます。
転職のプロと一緒に企業分析をしていくため、自分にあった就職先が見つかります。
ハタラクティブ
ハタラクティブは既卒に特化した転職エージェントです。
転職内定率も80%超えで、未経験者の転職を成功させた実績は15万人にも及びます。
ハタラクティブの特徴は、「実際に取材した企業のみを紹介する」という点で、求職者は安心して応募することができます。
既卒専門のアドバイザーがカウンセリングを行い、あなたの就活をすべてサポートしてくれるため、心強い見方になってくれるでしょう。
既卒でも意欲と戦略で内定を勝ち取れる!
日本の就職は売り手市場といわれていますが、どこにでも入社できればいいというわけではありませんよね。
既卒だからといって、引け目を感じる必要もありません。
戦略を立てて意欲を持って挑めば、働きたい企業への切符を掴み取ることができます。
「次こそは就活で成功したい!」という方は、転職エージェントを活用してプロによるアドバイスを受け、確実な方法で就職活動を行っていきましょう。
「既卒は卒業して3年まで」ということを頭に入れて、早めに行動をうつすことが大切です。