文化財や古代遺跡などを調査し、歴史の謎に迫る職業が考古学者です。
考古学者として働くための国家資格などは存在しませんが、人類の貴重な遺産を扱う仕事となるだけに、相応の適性は求められます。
そこで今回は、考古学者への転職を考える際に必要となる資格をはじめ、気になる仕事内容や年収事情などについて詳しく分析し、合わせて考古学者に転職する際に利用したい、おすすめの転職サイトについても紹介していきたいと思います。
目次
考古学者に必要な資格
考古学者になるための国家資格などは存在しません。
ただ、貴重な文化財や遺跡を扱う仕事であるため、文化財の扱い方や遺跡の調査方法に関するノウハウを持っていることが求められます。
したがって考古学者の一員として働くためには、少なくとも四年制大学で考古学を修めておくことが大切です。
また、博物館や美術館で働く考古学者を目指すのであれば、学芸員の資格が必須となります。
国家資格などが設けられていないとはいえ、これらの資格がない人が調査に加わるのは、極めて難しい世界だということは認識しておきましょう。
必要な資格を取得する方法
考古学を修めるためには四年制大学の史学科や文学部などで学ぶ必要があります。
その中で専門的な知識やスキルを身につけ、修士号や博士号を取得することで、初めて研究者としての道が開けると言ってよいでしょう。
ただ、ひとくちに考古学といっても専門分野は幅広く分かれています。
したがって考古学者を目指すのであれば、在学中に自分が専門とする領域を見つけておくことも大切です。
学芸員の資格
学芸員の資格を取得するには在学中に博物館に関する科目を履修し、単位を取得しておくことが必要です。
学芸員の資格は四年制大学の史学科や文学部で取得するのが一般的ですが、美術大学や専門学校などでも取得することができます。
また、文部科学省が実施している、学芸員認定試験に合格して資格を取得することも可能です。
考古学者の仕事内容
考古学者の仕事は遺跡などの発掘や発掘によって見つかった遺構の保存や調査などを行うのが主な仕事です。
具体的な仕事内容としては、発掘プランを作成し、発掘チームを編成して遺跡の発掘を行います。
そこで発掘された出土品や遺構などを調査するのが大まかな仕事の流れです。
発掘状況や発掘による成果は、定期的にまとめて報告する必要があります。
そのような報告書の作成も考古学者の大切な仕事です。
また、考古学者は出土品の復元なども行います。
その際には復元の専門家や学芸員とも共同で仕事を行うことになるため、複数のプロジェクトをまとめながら、滞りなく業務を遂行するためのロードマップを作成することも考古学者の役割となります。
博物館などで働く場合には、来館者への展示品の説明や発掘品の保存などが主な業務となります。
出土品に関する深い知識が必要となるのはもちろんのこと、出土品の形式や年代などに分けて、細かく分類して調査するのも博物館に勤める考古学者の大切な仕事です。
以上が考古学者が行う主な仕事内容となっています。
高度な知識が求められるのはもちろんのこと、体力や忍耐力以外に、高いコミュニケーション能力やプラン作成能力も求められるなど、幅広い仕事をこなす必要があります。
考古学者の仕事はきつい?
考古学者の仕事はかなりハードです。
まず、発掘調査を行う場合は現地にまで出かける必要があります。
厳しい自然環境や天候と向き合いながらの仕事となるので、それに耐えられるだけの強靭な体力が求められます。
遺跡の場所がはっきりとしない場合は、膨大な時間をかけて調査を行っても、期待するような成果が得られず、発掘が全く進まなくなることも珍しくはありません。
そのような場合でも辛抱強く調査を継続する必要があるなど、忍耐力も求められます。
また、考古学者は膨大な発掘資料を文献にまとめて発表する必要があります。
研究者向けの資料だけではなく、時には一般に向けた資料作成も必要となるなど、デスクワークも相当な量をこなすことが必要です。
このように考古学者の仕事はかなりハードとなっており、楽な部分はほとんど見当たりません。
人を雇って力仕事を任せている間は、肉体的には楽かもしれません。
ハードな仕事の全ては考古学の魅力とも重なっているので、考古学者にとっては苦しくとも楽しい瞬間であるとも言えるでしょう。
考古学者の年収事情
研究機関で働く場合の収入
考古学者の年収は働く施設やスタイルによって大きく異なってきます。
例えば、大学などの研究機関で働く場合、50代や60代の教授であればおよそ1000万円前後が年収の目安です。
40代前後の准教授の場合は800万円、講師であれば700万円程度が収入の目安となります。
具体的な給与額・賞与・手当などは、勤め先が公立か私立かなどによっても大きく変わるため一概には言えませんが、基本的には大学職員の給与と同程度の収入を得ることができます。
教育委員会や博物館などで働く場合の年収
自治体が運営している教育委員会や博物館などに勤める場合も、地方公務員の給与水準とほぼ変わらない収入を得ることができます。
具体的には、40代で600万円前後の収入がひとつの目安になると言われています。
賞与額や手当なども、それぞれの地方自治体が定める給与体系に準拠していると考えてよいでしょう。
また、発掘を専門に行っている民間企業の給与額も地方自治体が定める給与基準に近いところがほとんどです。
これは発掘専門企業の多くが公益法人として活動していることに由来します。
非正規職員やフリーランスとして活動する場合
大学や博物館などの助手やフリーランスの考古学者として働く場合の年収は、およそ150万円程度だと言われています。
賞与や手当の支給は、ほとんど期待できません。
したがって助手として働く場合は、正規職員を目指すことが大切となりそうです。
また、フリーランスの考古学者の場合は、独自の営業活動などで有力なスポンサーを見つけることが収入アップの鍵となります。
転職を検討する場合は収入面のチェックも大切です
以上のように、同じ考古学者と言っても働く場所やスタイルによって年収や手当などは大きく違うというのが実情です。
考古学者として十分な環境と収入を得るためのハードルはかなり高く、大学や博物館などに所属することが出来なければ、考古学だけで生活を営むのは難しい環境であることが窺い知れます。
考古学者の年収事情はこのようにかなり厳しいものとなっているので、転職を検討する場合は、将来的な収入などもよく考えてから、決めることが大切となっています。
考古学者の主な勤務先
考古学者の勤務先は多岐にわたります。
まず、最も多い勤務先となるのは地方自治体が運営する教育委員会などです。
それぞれの地域にある文化財の研究・保護・調査のほか遺跡の発掘なども行います。
遺跡の調査結果などを取りまとめ、住民にわかりやすく公表するのも教育委員会に勤める考古学者の大切な仕事となります。
次の勤務先として多いのが大学などの研究機関です。
大学の研究者はそれぞれの大学の卒業生で占められることが多く、外部からの転職は非常に困難ですが、公益法人などが営んでいる研究機関や発掘調査会社などであれば、外部からの転職も可能となっています。
また、学芸員の資格があれば博物館や美術館などで働くことができます。
博物館や美術館であれば、民間が運営している施設も数多くあるので、遺跡から見つかった文化財の調査や研究に関わることが可能です。
以上が考古学者が働く主な勤務先となっています。
考古学者として働く先を探す場合は、このように視野を広く持って仕事を探すことが必要だと言えるでしょう。
考古学者への転職は難しい?
考古学者への転職は難しいのが実情です。
考古学に関する深い知識がなければ、その時点でほとんどチャンスはないと考えてよいでしょう。
ただ、学芸員の資格を持っていれば考古学者として働ける可能性はぐっと広がります。
もし、学芸員の資格を持っているのであれば、博物館や公益法人などが募集を行っていないかをチェックしてみるとよいでしょう。
不定期ではありますが、地方自治体の職員に空きができた場合は、急遽、募集が行われる場合があります。
また、広く視野を持って、建築関連の求人をチェックしておくことも大切です。
大規模な土木工事を行っている建築会社では、遺跡の出土などに備えて、考古学の知識を持つ人材を募集している場合があります。
詳しい研究や分析よりも、発掘に関心のある人は、このような求人もチェックしておきましょう。
以上のように、考古学関連の仕事では定期的な募集があるわけではありません。
それだけに、様々な業種をチェックして、求人が行われていないかをチェックしておくことが大切となります。
考古学者へ転職した人たちの口コミ・評判
学生時代は考古学者を夢見て史学科に在籍していました。しかし研究職の空きがなかったため、あきらめて建築会社で働いていたのです。転職サイトに登録したのは「このままでいいのかな」と不安になったことがきっかけだったと記憶しています。その時に見つけたのが、遺跡関連の発掘を中心に行っている現在の職場です。まさか転職サイトで考古学関連の仕事が見つかるとは思ってもいなかったため、本当に驚きました。
美大を卒業した後はグラフィックデザイナーをしていました。デザインの仕事を通じて、古代史への関心が高まったことが、転職のきっかけです。その時に登録していた転職サイトで見つけたのが、博物館の仕事です。学生時代に何となく取得していた学芸員の資格を役立てることができたので、とても満足しています。
以前は建築現場で測量の仕事をしていました。とくに仕事に不満はありませんでしたが、キャリアアップを考えて転職サイトへと登録することにしたのです。その時に紹介してもらった仕事が、現在、勤めている建築会社です。もともと学生時代に史学を専攻していたことをプッシュしてもらい、考古学関連の仕事を見つけることができました。
考古学者への転職におすすめの転職サイト
ビズリーチ
考古学関連の仕事を探している人におすすめの転職サイトがビズリーチです。
ビズリーチの特徴は求職者と企業の採用担当者をマッチングするサービスだという点です。
一般的な求職サイトのようにエージェントが求職者と採用担当者の間を取り持つのではなく、求職者が公開した情報を参考に採用担当者が直接アプローチするシステムを採用しています。
考古学関連の仕事はほとんど求人が行われないため、自分で仕事を探すのはかなり困難です。しかしビズリーチに登録しておけば、公開している経歴を参考に、採用担当者から連絡してもらうことができます。
また、ビズリーチでは利用プランも選ぶことができるので、気軽に登録できるのはもちろんのこと、一般には公開されていない、ハイレベルな求人を探すこともできます。