公認会計士の転職は未経験も歓迎されるのでしょうか?
公認会計士が未経験の職種へ転職する場合、スキルはもちろん社会人としての総合力が求められます。
未経験分野へ転職を考えている公認会計士向けに、成功のポイントをまとめました。
目次
公認会計士の転職で未経験は歓迎される?
公認会計士は転職市場で一定の需要がありますが、未経験の職種に挑戦する場合も歓迎されるのでしょうか。
公認会計士の転職について、企業から人材はどれくらい求められるのか確認しましょう。
公認会計士は転職で売り手市場
公認会計士は減少傾向にあり、転職で売り手市場が続いています。
採用ニーズとしては、公認会計士としての知識やスキルだけでなく経験やコミュニケーション能力が重視される傾向です。
財務にかかわる知識以外に、社会人として必要なスキルも磨いておくことで、転職しやすくなるでしょう。
監査法人以外からも需要があり、一般事業会社やコンサルティングファームなどでは会計、税務、コンサルティングのスキルが重宝されます。
公認会計士の転職で未経験も歓迎されやすい仕事は?
公認会計士が転職をする場合、未経験でも歓迎されやすい仕事は以下のものがあります。
- コンサルティングファーム
- 会計事務所
- 一般事業会社
- 監査法人
仕事内容に加え、未経験者に求められることも解説するので、確認してください。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームの仕事は、企業の抱える課題や目標に対してアドバイスを行い、解決までサポートすることです。
事業内容は人材開発戦略策定、社員の能力開発、給与制度の改善など経営に関わる幅広い分野をカバーします。
コンサルティングファームには、社員育成に課題を感じる企業に向けて研修プログラムの企画や開発提供を行っている会社もあります。
実力主義の傾向が強く、給料もインセンティブとしての意味があるためスキルによっては年収アップが期待できるでしょう。
公認会計士の転職で未経験者に求められること
公認会計士がコンサルティングファームに転職する場合は、財務会計や税理士法人に特化した会社がおすすめです。
面接では、なぜその会社で働きたいのか、自分の実績や具体的なエピソードを含めて伝えましょう。
コンサルティングファームでは専門知識の他にコミュニケーション能力が重視され、30代以降を対象とした即戦力となるキャリア採用が多く見られます。
会計事務所
会計事務所は個人や法人の財務相談、財務申告業務記帳代理といった税務や会計に関するサービスを行います。
中小企業で経理部が確立されていない会社の、会計代行業務や経営分析を行う場合もあり、顧客とのコミュニケーションが多いことが特徴です。
場合によっては、税務調査の立ち会いや税務当局との折衝を行うこともあります。
公認会計士が監査法人から会計事務所に転職をする場合は、大きな年収アップが望めない可能性に注意してください。
公認会計士の転職で未経験者に求められること
会計事務所は企業への経理支援と税務に加えて、財務に関わるコンサルティングやファイナンシャルアドバイザリーを担当します。
公認会計士の資格があれば働きやすい職場ですが、財務や会計に関する知識は再確認しておきましょう。
担当企業と円滑に話を進めるため、コミュニケーション能力も育ててください。
一般事業会社
一般事業会社はライフワークバランスが取りやすく、柔軟な働き方に対応しているため、女性の会計士も比較的働きやすい職場といえるでしょう。
頂上企業の経理や財務、経営企画部や内部監査のほか、IPO(新規上場)を目指すベンチャー企業の管理部門や経営企画、CFO候補といったポジションも目指せます。
M&Aにおいて財務状況を的確に判断するため、会計知識がある公認会計士の採用を進める企業もあります。
公認会計士の転職で未経験者に求められること
公認会計士が未経験で一般事業会社へ転職する場合、経理の実務経験が求められます。
30代前半までは未経験でもポテンシャル採用の可能性がありますが、40代以降は経理の実務経験がないと不利になってしまうでしょう。
一般事業会社では他の部署と連携した仕事も多くあるため、協調性と人柄が重要視される傾向です。
監査法人
監査法人は公認会計士法をもとに、企業の財務諸表を公正な立場でチェックし、粉飾がないことを保証する監査業務が主な仕事です。
くわえて、クライアントに対して財務的な問題解決のためのアドバイスサポートを行う、コンサル業務もあります。
ただし、監査法人は繁忙期がある仕事のため、一般事業会社よりもライフワークバランスが取りにくいことに注意しましょう。
法人の規模は大手や準大手、中小などさまざまで、監査法人のポジションによっても年収が大きく変わります。
公認会計士の転職で未経験者に求められること
監査法人は公認会計士としてスキルを評価してもらいやすいため、未経験者の転職におすすめです。
財務に関する知識のほか、経営コンサルについてもあらかじめ確認しておきましょう。
BIG4などの大手監査法人への転職は、未経験の場合は30代前半までを目標に始めることをおすすめします。
中小監査法人への転職は40代でもチャンスがあるため、面接ではこれまで培った知識とスキルをPRしましょう。
公認会計士の転職で未経験者が注意したい4つのこと
公認会計士の転職は、業務未経験者が注意したいことがいくつかあります。
転職先によっては働き方がこれまでと大きく異なり、ギャップが生まれてしまう場合があるので気をつけてください。
1.ピジネスパーソンとして総合力が求められる
一般企業法人を例にすると、簿記のスキルの他にビジネスパーソンとしての総合力が求められます。
公認会計士として経験を積んだ人でも、仕事に必要な基礎力がなければ出世争いに負けてしまう可能性が考えられるでしょう。
業務で使う技術だけに重きを置かずに、急なトラブルの対応や対人スキルを育てておいてください。
2.小規模集団に適応できない場合がある
大規模な監査法人から転職をする場合、転職先が小規模になると適用できずにストレスを感じる公認会計士もいるようです。
フレックス制で働けなかったり、直帰できなかったり、勤務体制での悩みや、経営者のカラーが色濃く出ている勤務先に馴染めないなど、理由はさまざまです。
また小規模な転職先では社員のうち公認会計士がひとりだけで異動は不可、といった場合も珍しくなく、うまく適応できないと再び転職しなくてはならない可能性があります。
3.年収が下がるおそれがある
公認会計士が監査法人から未経験の分野に転職する場合、年収が下がってしまうおそれがあります。
転職先や条件によっては年収が上がる場合がありますが、一般事業会社を希望する場合は注意してください。
公認会計士でも一般職と同じ給与体系と考えられるため、場合によっては大幅な年収ダウンにつながってしまう可能性があります。
4.キャリアパスが計画通りにいかない可能性がある
未経験から監査法人に転職する場合は、キャリアパスに気をつけましょう。
監査法人は勤務年数ごとにポジションが上がるシステムのため、高い役職を目指すためには早く働き始めることが重要です。
未経験で30代から監査法人への転職を考えている公認会計士は、思うようにキャリアが積めない危険性を理解してください。
公認会計士の転職を未経験の年代ごとに解説
公認会計士の転職で未経験者が気をつけたいポイントを、年代ごとに解説します。
求人応募者の年代によって転職先が求めるスキルや適応力が異なるため、チェックしましょう。
公認会計士で転職先が未経験の20代
20代の公認会計士のうち、会社員としての安定を求める人には一般事業法人への転職をおすすめします。
将来的に独立を目指す公認会計士には、実務経験が積めて人脈が作れるコンサルティングファームへの転職も有利です。
20代はチャレンジしやすく体力もある世代なので、転職によって今後のキャリアプランが幅広く考えられる可能性があります。
公認会計士で転職先が未経験の30代
公認会計士で転職先が未経験の仕事の場合は、30代前半なら比較的有利に転職が進むと考えられます。
30代後半になると一般事業法人への就職が難しくなる傾向にあり、社会人として活躍できる総合力も求められるでしょう。
コンサルティングファームへの転職は、コンサルタントとしての財務知識や経験のほかに、コミュニケーション能力が鍵となります。
公認会計士で転職先が未経験の40代
公認会計士で転職先の業務が未経験の40代の場合は、採用条件の細かい設定をチェックしましょう。
ポジションが決まっているキャリア採用が考えられるので、自分がどんな風に貢献できるか具体的にまとめてください。
海外赴任や財務コンサルタントの実績など、幅広い経験がある人は転職に有利です。
公認会計士の転職で未経験分野に勤めるメリット
公認会計士の転職で、未経験者が新しい分野の企業に勤めるメリットは以下の通りです。
- 担当できる業務の幅が広がる
- 専門知識を生かしてアドバイスができる
- 実績によっては経営にかかわるポジションも望める
担当できる業務の幅が広がることで、公認会計士として活躍できるジャンルが増えるでしょう。
財務の専門知識を活かしてアドバイスができると、転職先で頼りにされる存在になるかもしれません。
公認会計士の転職は未経験者も需要がある
公認会計士は一定の需要があり、30代からの転職も有利に進みやすい仕事です。
ただしBIG4や大規模な監査法人に入りたい場合は、20代のうちから転職活動を進めましょう。
40代から未経験分野への転職を考えている公認会計士は、求められるポジションに見合ったスキルを持っているか、自分と照らし合わせてください。