高校生の皆さんは、高校2年生の2月頃になると、いよいよ進路を最終決断する時期に入ります。
将来進学するか、就職するか、将来何をしたいのか、どこに就職するかetc…わからないことだらけだと思います。
そんな高校生の皆さまの、特に女子に向けて、今回は後悔しないための就職活動の成功ポイントと、将来を具体的に描くヒントをお伝えしたいと思います。
男子と比較して女子にある傾向と、活かしたい強みについても詳しくまとめます。
就職するうえで一番大切なこと
まず、はじめに、皆さんは「何のために」就職するのでしょうか。
この質問をもし面接で聞かれたら、何と答えますか。この質問に対する多くの高校生からの回答は、「お金のため」。
たくさんお金を稼ぎたいから、アルバイトより安定した収入がほしいから、このような回答が大半を占めます。
確かに、労働の対価として収入を得ることは働く主たる目的だと思います。
ただし、安定した収入を得ることができれば、どんな仕事、どんな職場環境でも働けそうですか。
そもそも、労働って生きていくうえでどんな意味があるのでしょうか。
たとえば、将来、宝くじで1億円が当たったとします。
あなたは仕事を辞めて、一生働かないことを選択しますか?
世の中には、高収入を得ている人たちが一部にいらっしゃいますが、一生涯生活に困らないだけの収入を得ても、もっと仕事を続けようと考えるのだそうです。
その理由のほとんどは、「もっと世の中の役に立ちたい」という思いからなのだそう。
わたしたちは、誰かの役に立つことが生きていく喜びなのです。
世の中にある仕事のすべては、誰かの困りごとの手助けにつながっています。働くとは、そんな意味があるのです。
その視点をもって、世の中にある職業をいま一度見直してみてください。きっと見えてくるものが変わってくるはずです。
就職で成功するポイント
ポイント1:「友だちより少しでも早く将来をイメージする」
高卒新卒の就職では、最も成功しやすいポイントといってもよいくらい、1日でも早く将来へのイメージをもてることが成功するポイントになります。
たとえば、普通科と専門科の生徒さんで比較すると、専門課程を高校入学時に選んでいるところからすでに将来への意識の差があるため、精神的な成長スピードもどんどん差が開いていきます。
それは致しかたないことではあります。
ただし、これは女子の特徴ですが、一旦やると決心すると、目覚ましいスピードで成長していく傾向があります。
この頃の女子の成長は男子に比べて早いのです。
自分の将来のことですから、後ろ向きにならず、迷いながらでも、自分なりに将来の自分の居場所はどこにあるのかをじっくり探していきましょう。
注意したいのは、女子の場合、共感力が高いため、友人がまだ将来のことを考えていない場合、自分も流されてしまうことがあります。
将来への意思表明はしなくても、自分の心のなかでは、着実に将来へのビジョンを育てていってください。
そして、将来の方向性が定まらなくても、学校の勉強と出席だけは後から取り返せませんから、できれば1年生から、もう2年生という人は今日からでも、諦めずにがんばりましょう。
ポイント2:「やりたいことに縛られない」
就職活動をするときによく陥るのが、「やりたいこと探し」にばかり気持ちを向けてしまうことです。
やりたいことを探すことは悪いことではありませんが、残念ながら、やりたいことが自分にとってベストな職業であるかは別問題なのです。
好きな服と、自分に似合う服は違うことがあるのと一緒です。
もっというと、働きながら、できることや知識を増やしていき、その先に、本当にやりたいと思えることは見つかっていきます。
ですから、いま世の中の全容を見ることができない高校生の段階で、自分のやりたいことを1つに絞るなんてことは難解でしかないのです。
もちろん、絞り込める人はラッキーです。
ただ、それも絶対ではなく、前述した通り、後で気づくこともありますので、やりたいこと探しは柔軟に捉えてOKだと思います。
仕事選びは、「楽しい」「好き」を始めから主として考えると、「楽しくない」「嫌い」になったとき、すぐに辞めてしまいたくなります。
仕事は、楽しいことばかりではないし、嫌になることも時折あるのです。
それよりも、自分を活かすことのできる仕事、自分の伸ばしたい部分が成長するような仕事、すぐに一人前にならなくても少し努力してみようと思えそうな仕事を探してみてください。
ただし、どこかに少しだけ「楽しい」「好き」は盛り込めるとわくわくしますね。
ポイント3:「あなたの弱みを強み(売り)にする」
企業はどんな人材を求めているか。それはズバリ「即戦力」です。
しかし、高校生には社会経験がまだありません。では、面接で何をアピールする準備をするか。
実社会での経験がないのなら、高校生活までの経験から学んだことやエピソードを語り、面接してくださる企業の人事担当者に、「自分が働く姿をイメージしてもらう」しかないのです。
では、何を強みとして伝えるか。高校で就職ガイダンスをすると、皆さんは一様に「弱みはあるけれど、強みが見つからない」といいます。
弱みは強みと表裏一体です。弱みの数だけ強みが存在します。
では、強みの見つけ方を練習してみましょう。こんな弱みを自覚している女子がいたとします。
「わたしは、人前で話すのが苦手です」
この人の強みは何だと思いますか?
人前で話すのが苦手という人は、なぜ苦手なのかを考えてみます。
例えば、人前で何かを話すということは、言動に責任が伴うと思うと、誠実に伝えないといけないし、言葉選びを慎重に考えすぎて緊張してしまう、だから「苦手」という人もいると思います。
このなかで、強みになるポジティブな特徴は何でしょうか。
「責任感」「誠実」「言葉選びが慎重」という強みを見つけることができます。
このように、ゲーム感覚でよいので、自分や友人の強みを発見してみてください。
ポイントは「弱みをひっくり返す」だけです。必ず見つけることができます。
ポイント4:「女子の美意識を活かす」
女子は今も昔もかわいいものが大好き。飾ることが好き。
そんな美意識を就職活動にも是非活かしてみませんか。メイクやおしゃれに着飾るということではありません。
自分を鏡に映し、写真や動画を撮ることで、自分を正しく理解し、自分が他者にどのように見られているかを意識しましょう。
清潔感のある身だしなみ、笑顔、挨拶の仕方、お辞儀の仕方、座り方、話を聞く姿勢などの立ち居振る舞い、言葉遣いにおいて美意識スイッチを稼働させましょう。
模擬面談で女子によくみられるのが、座っているときの「足開き」です。
女性として心が成熟していくと、恥じらいが生まれます。
恥じらいが育っていない=稚拙(幼稚で未熟なさま)という印象を社会人は抱きます。
女性としての品格が身につくと、他者への配慮ができるようになり、立ち居振る舞いの形も変わっていきます。美意識であなたの印象評価を上げていきましょう。
ポイント5:「論理性を伸ばす」
女性(女子)は「感情の生き物」と表されることがありますが、それは、子を産み育てる性であるため、機微に敏感で、共感性が高い特徴をもってわたしたちは生まれてきているからです。
「感情的」の対義語は、「理性的」であると思いますが、一般的に、女性は感情が優位で、理性や論理性に乏しいという印象をもたれています。
これはあくまで一般論ですので、該当しない女性も世の中には大勢います。
この世論を逆手にとって、論理的に話をまとめる、伝える、説明できるスキルを磨くとどうなるか、想像してみてください。
もともと女性に対して、論理性はあまり期待されていないとすると、少し意識して論理性を伸ばすだけで、男性よりもよい評価をもらえる可能性が高まるというわけです。
そこに、美意識で高めた印象と、高い共感性を加えれば、これはもう敵なしです。
知っておきたい大切な言葉「キャリアパス」とは
「キャリアパス」という言葉をご存知でしょうか。
キャリア=職業上の経歴、パス=道、順序という意味で、企業での職業経験を積むなかで、どんな業務経験を積んでいくのか、それはどの順序か、いつ頃経験できるのか等、キャリアアップを見通すための道筋のことをいいます。
近年では、このキャリアパスを企業側が明確に社員に提示することが推奨されています。
ゴールのない道をただ走るのは辛いことですが、マイルストーンといわれる、要所要所に小さなゴールがあると人は楽しみつつ頑張ることができます。
皆さんがこれから検討する企業には、明確なキャリアパスがあるかをできれば確認してみてください。
会社ホームページや、インターンシップなどの先輩社員と触れ合うことのできる機会を活かしてみてください。
高卒新卒の女子へおすすめする仕事選びと就職先
採用人事の業界では、「7(しち)・5(ご)・3(さん)」といわれ、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割の人が入社3年以内に初めて就いた仕事を辞めてしまう傾向を表す言葉がありますが、現代では1年以内に変わってきているのだそうです。
これは、企業や職業とのミスマッチや、いわゆるブラック企業といわれるもの、就職活動時の自己分析不足や、企業研究、情報収集不足によるものが考えられますが、せっかく苦労して入社できた会社をすぐに辞めたい人はいませんし、辞めてほしい企業もありません。
よって、高卒女子の皆さまには、将来のビジョンを描きやすくなる、仕事選びや会社選びの基準となるヒントをご紹介します。
2年から3年は辞めないで続けられる仕事を選ぶ
「石のうえにも三年」といいますが、この「3年」というのは、仕事を覚えて一人前になるまでの一つの基準です。
そして、どんな職業でも、新卒で社会人になった場合は、3年で一つのキャリアとしてカウントされます。絶対に3年辞めるな、ということではありません。
過酷な労働条件や、体調不安などの理由は、この限りではありません。
ただ、次の転職活動をするうえで、安易に初めて就いた職を手放すことはマイナス評価になり得ます。
この事実は知っておく必要があります。
そもそも仕事選びや会社選びをする際に、2年から3年は辞めないで続けられるかどうかをじっくり検討することが重要です。
転職となると、同じ土俵で競う相手は、社会経験豊富な職種経験者です。
2年にも満たない社会経験と比べると、どちらが即戦力かは明白です。
20年後になくならない仕事を選ぶ
AIの進化により、これから先、早ければ10年以内の未来に淘汰される職業といわれている仕事があります。
いま志望している職業が、それらのリストに入っていないかどうか調べてみましょう。
例えば、専門知識やスキルを必要としない単純作業や、創造性やコミュニケーションスキルが不要な業務、AIの方がはるかに迅速で正確にこなせる仕事などが挙げられます。
なかには弁護士や税理士など、資格取得だけでも難関な職業までもランクインしています。
高卒女子に人気の職業の一つである「販売員」の仕事も、高卒に限らず女性人気のある「受付」や「ネイリスト」の仕事も、商業高校では定番の「一般事務職」も同様にランクインしています。
せっかく苦労して経験を身につけても、職業自体の将来がないのでは報われません。
ここでもう一度、前述した「やりたいことだけに縛られない」ことを再考してみてください。
高卒で就職して、年金受給する年齢を、例えば70歳として計算すると、約52年間働くわけです。
この間、ずっと一つの職業に就くことは、これからの時代ではあまりないかとは思いますが、それでも、今後のキャリアを形成するうえで、せめて20年後になくならないであろう仕事を選びたいですね。
キャリアップできる仕事を選ぶ
前述した「キャリアパス」にも関係しますが、業務経験だけでなく、昇進昇格などがあり、役職ごとにスキルアップのための社内研修がされているか、社内で資格取得させてもらえるか、もしいつか転職したいというときに、これまでの職歴を足掛かりにキャリアアップできる職業なのかどうか、それらを最初の仕事選び、会社選びの際に検討材料に入れることをおすすめします。
学び直しができる仕事を選ぶ
生涯賃金を上げるために大学に進学し直したい、キャリアアップするための学び直しをしたい、資格取得をしたいなど、働きながらできる学びと、一旦退職しなければならない選択肢と、学びには方法がいろいろあります。
もしそのときがきたら、できることから始めてみることをお勧めしますが、働きながら資格取得ができる、スクーリングできる、休職してキャリアアップのための学び直しができるなど、実は企業によって環境がさまざまです。
会社選びの段階で、そんな将来のことも加味して調べてみるのはいかがでしょうか。
※生涯賃金とは
一生でどのくらい稼ぐことができるか、その総額のことをいいます。同じような仕事でも、アルバイト、派遣社員、正社員などの雇用形態により賃金が異なり、高卒か大卒かなど最終学歴によっても異なります。
結婚、出産しても続けられる仕事を選ぶ
現代では、組織内での産休や育休取得はしやすい環境が整備されつつありますが、職業によっては、一度現場を離れると、同じポジションには戻れない仕事もあります。
からだ自体も、出産後すぐには元通りになりません。
また、子育ては自分一人でするものではないため、パートナーや家族の事情によっても左右されます。
どちらにせよ、からだの中に命を授かるということは、予想外のことがたくさん起こり得るわけです。
きっと10代の今は想像もつかないことでしょう。
しかしこれは知識として知っておいてください。最新の厚生労働省のデータでは、出産平均年齢は30歳、日本産科婦人科学会の報告では、妊娠する確立は40歳を過ぎると10%を下回ります。
キャリアのピークと、出産に適した年齢とが同時にやってきます。
女性にとって出産は、キャリアを考えるうえで大きなターニングポイントになり得ます。
このような女性特有の課題についても、将来の自分のために加味する必要があるかもしれません。
女性の特性を活かせる仕事を選ぶ
男女という職業的区別や賃金格差はなくなってきた現代において、男性らしさ、女性らしさという考え方はナンセンスとされる風潮にありますが、男女というくくりではなく、性別を超えて、それぞれの個々がもつ特性を活かせる働き方というものは存在すると思います。
例えば、女性の特徴として前述した「共感性」については、女性の「強み」でもあります。特性や強みを活かせる仕事に就くことも、仕事選びにおいて重要なポイントです。
パラレルキャリア、そしていつかはフリーランスや独立できる仕事を選ぶ
きっとまだまだずっと先にある未来の話をします。
現代では、正社員で働けば安心、ずっと安定という時代ではなくなりました。
これは、コロナ禍の影響により、アルバイトの解雇、派遣の契約解除から始まり、一部の企業では倒産する事態にまで発展していることからも理解できると思います。
高校生の皆さんが働く未来において、働き方はいままで通りではなくなっていく可能性が大です。
結婚すれば女性は旦那様にずっと養ってもらえる、就職すれば会社からずっと給料をもらい続けられる、こんなことも、もしかするととっくに当たり前ではなくなっているのかもしれません。
そんな皆さんの将来のために、頭の片隅に覚えておいてほしいこと。
それは、働きながらもつもう1つの職業「パラレルキャリア」です。パラレルキャリアとは、副業とは違って、本業を2つもつ働き方のことをいいます。
これが可能かどうかは、所属する企業の就業規則にもよります。
一昔前は、「二頭追う者は一頭も得ず」、「二足のわらじは履けぬ」などといわれてきましたが、できるなら、二足でも三足でも履いたほうがよいのが、これからの女性の働き方です。
もちろん、それだけのスキルやプロフェッショナルマインドが必要となりますので、簡単なことではないと思いますが、ITサービスの変化も加速し、今以上に将来は実現可能になってくると考えます。
そしていつか、もっと人生を豊かにするために、組織に所属する立場から、フリーランスとして独立、起業という選択肢もあるかもしれません。
高卒女子におすすめしたい働き方と就職先
キャリアコンサルタントとして、高卒女子におすすめしたい新卒での働き方は、「正社員雇用」です。
なぜなら、「新卒」という、未経験なのに企業から自分へ未来投資としてもらえる一生に一度しかない特別枠のカードを、ぜひ使ってほしいからです。
せっかくなので、企業のお金と時間をかけて育ててもらいましょう。
おすすめしないのは登録型派遣
高卒新卒でおすすめしない働き方は「登録型派遣」です。1番の理由は、上記で述べた通りです。
もう1つの理由としては、派遣会社に席を置くものの、組織には属さないため、所属意識が醸成しづらく、悩みやすく、孤独になりやすい傾向があります。
早期離職、転職を繰り返す可能性もあるためです。もちろんそれは人によりますが、最初に就いた仕事で「辞め癖」がつくと、ずっとその後の人生に影響を与えます。
派遣という働き方は、社会人としてのマインドがある程度出来上がってからであれば、有効な選択肢であると思います。
おすすめする職種は営業職
そして、これからの高卒女子におすすめする職種は、「営業職」です。
高卒新卒での営業職の募集は増加傾向にあります。高校生には、営業が女性の職業として認識はあまりないのではないでしょうか。
実は、女性は営業職に向いています。
営業とは、販売職でもあり、接客業でもあります。相手が何を求めているのかを察知し、話を聞き、寄り添い、共感し、関係づくりをし、満足のいく契約をしていただく仕事です。
いかがでしょうか。女性の強みが存分に活かせる仕事なのです。
ちなみに、営業職は、前述した「転職の足掛かりにキャリアアップできる職業」です。
もしかすると、成果によっては、学歴に関係なく、出来高による報酬アップが見込めます。
高卒新卒を積極的に採用している業界としては、「建設業」「IT業界」「介護福祉」「飲食業」「小売業」などがありますが、そのなかでも高卒女子におすすめなのは、「製造業」です。製造業や、ものづくり企業と聞くと、理系、技術系と連想されると思いますが、製造された製品を売る仕事(営業職)があるわけです。
男性のイメージがある業界で、女性の営業職がたくさん活躍する時代がくれば、世の中はまた新たな変革期に入ると思います。
イノベーション(変化を生み出すこと)を、高卒女子の皆さんが是非けん引していってください。
最後に
就職するのは、その企業の「未来」です。過去でもなく、今でもありません。
会社の規模や知名度がすべてではないのです。
あなたの将来に、その会社でいきいきと働く自分がイメージできるのであれば、いま凄くやりたいことでなくても、有名企業でなくても、そこは「あなたの居場所」になるかもしれません。
高卒女子の皆さまの輝かしい未来を応援します。