転職活動をする上で、「知名度の高い大企業を目指したい」という人は少なくありません。
しかし勤めている会社が中小企業である場合、転職できる可能性があるのか気になるところです。
また大企業への転職があなたにとってベストな選択なのかも知る必要があります。
そこで今回は、「大企業への転職は難しいのか?」「どんな大企業を狙うと採用されやすいのか?」「あなたが大企業に向いているのか否か?」について、人材コンサルティングを手掛ける森本さんの監修をいただき、徹底解説していきます。
記事監修
森本千賀子さん
現リクルートキャリアにて、
目次
中小企業から大手企業へ転職するのは難しい!
中小企業からであっても、募集する人材のニーズに当てはまっていれば採用される可能性はあります。
しかし喜ぶのはまだ早いです。
大企業に転職したいと思っている人はあなただけではありません。
多くの求職者が少ない枠を狙って応募してくるわけですから、そこで勝ち残る必要があります。
森本千賀子
学歴の高い第二新卒と勝負することになる
大手企業への転職を狙っている人の中には、皆さんが狙っている企業と同じレベルの大企業に在籍していた人もいます。
新卒から大手に入社していた人材は、有名大学卒の人が多く、人事担当者からの評価も高いことがあります。
ネームバリューで勝負してる転職者もいるので、対策を練る必要があります。
経験豊富な優秀な人材が応募する
中小企業で若手時代からどんどん成績を上げてきて、経験豊富な人材がキャリアアップ先として、大手企業を選ぶこともあります。
採用担当者に対するアピールポイントが豊富なため、選考で目に留まりやすくなります。
企業側も即戦力になれる人材を求めていますから、勝ち抜くためにはそれを上回る実績を見せなければなりません。
応募殺到!書類選考で採用担当の目に留まりにくい
大手企業が採用求人を出したとなると、さまざまな人が応募を開始します。
企業側としても応募数の見通しは立っていますが、やはり選考に時間をかけたくはないですから、書類選考である程度の人数までふるいにかけます。
書類選考で目を引く経歴でないと、書類選考で落とされてしまい、その先の本選考まで進めません。
きちんと書類選考の対策まで取らないと、大企業で働く夢は叶えられません。
知名度の低い中小からでも転職は可能
中小企業の中にも、CMや広告を出している有名企業から、ぜんこくてきな知名度のない企業もありますよね。
知名度の低い中小企業から、大企業に転職することは現実的には可能です。
後述しますが、企業が中途採用をおこなうときに重視するのは、自社とどれだけマッチングするかです。
知名度の低い企業でも、アピールできる材料があれば問題なく転職活動を進められます。
ただし、上述したように大企業求人は人気が集まりやすいことで知られています。
選考時に大手企業出身者の方が目に留まりやすいのはよくあることです。
企業名を挽回できるような、スキルや実績のアドバンテージがあれば、充分戦い抜けます。
中小企業から大手企業への転職を成功させるポイント
中小企業から大企業へ転職を成功させるには、大手が中途採用で求めているものを見極め、そこをしっかりと狙っていくことが大切です。
森本千賀子
専門職としてのスキルを磨く
多くの大企業は専門性の高い人材を求めています。
新卒採用とは求めているものが違うということを理解して、対策を立てることが重要です。
現在の就業先で何かしらの専門的な仕事に携わっている場合、その分野のスペシャリストを募集したときに採用されるかもしれません。
しかし勤務歴が1年くらいでは経験が浅いと判断されます。
最低でも今の会社で3年は頑張る気持ちで、専門的なスキルを身につけることに専念しましょう。
マネージャーとしての経験を積む
専門的なスキルのほかにも、マネジメント経験は採用に大きく左右します。
課長職のようにチームや部署を取りまとめていた経験がある、プロジェクトチームのリーダーとして成功を収めた経験を持っていれば、面接で大いにアピールして下さい。
その際に、どのくらいのメンバーをまとめていたか具体的な人数を伝えるようにしましょう。
人数は多い方が「マネジメント力がある」と判断されますが、必ずしもそんな人を求めているとは限りません。
中途採用では基本的に「即戦力」を求める傾向が強いので、マネジメント経験の有無だけを確認したいケースもあります。
何らかの業務でリーダー経験を磨く必要があるのです。
経験を生かせる職種を優先的に選ぶ
これまでの仕事の経験を生かせる職種を優先的に選びましょう。
冒頭でも紹介した通り、大企業には様々なスキルを持った人材の応募が殺到するため、他の応募者に埋もれないスキルをアピールする必要があります。
一番手っ取り早いのが、経験を生かせる職種を優先的に選ぶことです。
経験を生かせる職業であれば、スキルと希望職種との関連付けも比較的簡単にできます。
なるべく大規模な仕事の経験を積む
面接においては、あなたのこれまでの経験や実績を聞いてから合否を判断します。
その際に仕事やプロジェクトの規模が大きいほど、「できる人」と見られる可能性が高いです。
同業種への転職であれば、面接官があなたの携わった仕事を知っているかもしれません。
その仕事が評価されていれば、採用される確率は非常に高くなります。
大企業でも成功しやすい関連企業を選ぶ
大手企業は「〇〇ホールディングス」と名前がついていることが多いですよね。
実はあの企業も関連会社!なんてことも、ざらにあります。
大企業でも成功しやすい関連企業を狙って、求人に応募してみることをおすすめします。
大企業の本社勤務だと、意外と学歴や前職の経歴を確認されてしまうこともあります。
中には学歴主義が残っているところもあるかもしれません。
関連企業であれば、本社を狙うよりも成功確率を上げられます。
関連企業で業績を上げれば本社栄転もあり得る
「関連企業の規模によっては中小企業と変わらないじゃん」って思う人もいますよね。
確かに関連企業は企業規模によっては、中小と変わりないところもあります。
しかし関連企業で実績を上げれば、本社の方に推薦してもらうことも夢ではありません。
大企業の本社に勤めるための足掛かりになりますので、規模感で選ばずに将来性を考慮して、転職先を選んでみてはいかがでしょうか。
自分が何をアピールできるかを確認する
大企業に転職を成功できるのは、学歴の高い人や実績を出している人だけだと思ってはいませんか?
大企業と言えど、現場で即戦力になる人材でなければ、雇おうとはしません。
企業内で起こす新プロジェクトを率先して引っ張ってくれる人、抜けた人と同じレベルの業務ができる人など、様々です。
自分が企業にアピールできる材料をよく確認して、整理してみましょう。
アピールポイントを洗い出したら、それに見合った大企業の求人があるかを探しましょう。
転職はマッチングですから、お互いの合意無くしては成功に導けません。
企業のニーズを把握して、自分の売り込めるポイントを探すのが、転職を成功させる近道です。
どんな大企業なら転職しやすい?
具体的に入りたい会社が決まっておらず、ただ「大企業に入社したい」という人もいますよね。
その場合は入社できる確率が高い大企業を狙って転職活動を行いましょう。
森本千賀子
同じ業界・職種をまずは狙う
先述しましたが、中途採用では即戦力が求められます。異業種や異職種を狙っていたのでは、経験者に負けてしまって採用は難しくなります。
狙うなら、あなたが現在勤めている会社と「同業界・同職種」に的を絞りましょう。
「今は営業をやっているけど、本当は人事で働きたい」
「経験はないけど広報に入りたい」
そんな希望もあると思います。しかしまずは「大企業へ入社すること」を第一条件にするべきです。
いきたい部署へは入社してからでも異動できますので、今は焦らず着実に入社できる道を選びましょう。
大量の中途採用求人を出す企業
「経験を積むまで待てない!今すぐ大手に入社したい!」という場合は、大量採用を行っている企業を狙いましょう。
ただし職種は限られてしまうので注意が必要です。
大量に採用するケースは営業職やエンジニアが最も多く、大手の保険会社や不動産会社、IT業界、製薬会社などで大量に募集しています。
しかし間口が広い反面、入社してからのノルマや競争が厳しいというデメリットがあります。
そこを理解した上で、「自分ならやれる」という自信と覚悟があれば、応募してみてもいいのではないでしょうか。
外資系の大企業は中途採用が当たり前
外資系企業の場合は、年間を通して採用していることが多く、新卒採用は一部の企業でしか行われていません。
仮に新卒採用をしたとしても、教育制度が整っておらず育てられないケースがほとんどではないでしょうか。
そのため外資系企業では中途採用をメインで行っています。
新規ビジネスを立ち上げるときや、事業拡大による増員、メンバー欠員の穴埋めなどが目的です。
外資系の大企業では欠員の補助が多く発生します。
その理由は外資系ならではの「会社都合による退職者」がいるためです。
また景気にも左右されますが、ある程度の英語力と経験があれば、日系企業よりも採用される可能性が高いでしょう。
採用氷河期世代は人材不足から中途採用が多い
30代半ばから40代後半の採用氷河期世代は、多くの企業で人材不足が生じています。
その世代を広く募集している大企業を狙うのもひとつの手かもしれません。
しかし単純に、氷河期世代だというだけでは採用に至りませんので注意して下さい。
これまでの経験や実力などをしっかりとみた上で判断されます。
大企業に転職するには、採用担当者に「若手よりも使える」「マネージャー候補として採用したい」と思わせる必要があります。
若手なら年齢層の低い企業もねらい目
最近ではメガベンチャーという言葉も生まれており、設立から新しい企業でも大企業に引けを取らない風格を持っていることも。
メガベンチャーの最大の特徴は、年齢層が低いことです。
中には社員の年齢が20代30代が大多数なんて企業もあります。
ベンチャー企業の最大のメリットは、年功序列制度のある企業が少ないことです。
若手でも実績を出している、今後の成長の見込みがあると判断されれば、せっきょくてきにさいようしてくれることもあるのです。
メガベンチャーの多くは、IT系の企業ですので、将来性も期待が持てます。
大企業で働くメリット・デメリット
大企業で働くためには、メリットとデメリットを理解しなくてはいけません。
とくにデメリットを考えずに転職してしまうと、中小企業の良さに目がいき転職が失敗に終わってしまう可能性があるからです。
まず大企業で働くメリットには、以下のような点が挙げられます。
- 大規模なプロジェクトに携われる
- 優秀な同期や先輩に囲まれて仕事ができる
- 教育制度が整っている
1. 大規模なプロジェクトに携われる
やはり大企業は資金力があるので、中小企業と比べるとプロジェクトの規模も大きいです。
取引先も大手であることが多く、やりがいや達成度も感じやすいでしょう。
2. 優秀な同期や先輩に囲まれて仕事ができる
一緒に働くメンバーが先鋭揃いというのも大企業のメリットです。
もちろんすべての人が優秀で仕事ができるというわけではありません。
しかし有名大学出身者や、ある分野で有名な先輩がいたりするのは、従業員規模が何千人、何万人単位の大企業ならではでしょう。
3. 教育制度が整っている
多くの大企業が人材育成の体制を整えて、新卒や中途採用者を迎えてくれます。
メーカー研修や社内研修も充実していますし、資格支援制度も用意されています。
一方で中小企業では人員に余裕がないため、教育に割くコストや時間がありません。
丁寧に教えてもらえるというより、「見て学べ」という会社も多いため、自分から積極的に動くことが求められます。
メリットがある一方で、デメリットも存在します。大企業のデメリットは以下の3点です。
- 会社の歯車になってしまう可能性がある
- 裁量権が少ない
- 積極的に動かなくては何も身に付かない
会社の歯車になってしまう可能性がある
仕事の規模が大きいため、入社したばかりの頃は仕事全体を把握することができません。
自分の仕事が会社の役に立っているのかも分からず、言われたことだけをこなすような社員になってしまう可能性があります。
自分が担当している仕事をしっかりと理解し、目的達成のために周りを巻き込みながら業務を進めていかなくては、大企業に入社できても満足感を得ることはできないでしょう。
裁量権が少ない
会社の人数が多く組織化されているため、与えられる裁量権は大きくありません。
大企業で裁量権を持つには、課長職や部長職などの役職についてからが多いでしょう。
一方で、中小企業では社員がそれほど多くないため経営陣との距離も近く、仕事ができれば20代でも裁量権が与えられます。
結果を出せれば昇進スピードも早く、若くして役職者になれる可能性もあるわけです。
積極的に動かなくては何も身に付かない
大企業では仕事が分業化されていて、自分の担当業務をこなせればOKとされています。
しかし活躍できる人を目指すのであれば、自分から積極的に動いて仕事を取る姿勢を見せることが重要です。
大企業で働く人たちがみんな出世しているわけではありません。
指示待ちやモチベーションが低い人は、大企業に勤務していても低い評価しか得られませんので注意しましょう。
周囲からの評価が今後の昇進につながっていきますので、少しでも吸収するために積極的にコミュニケーションを取るなど、努力が必要です。
あなたは大企業に向いている?向いてない?
大企業におけるメリット・デメリットが理解できたでしょうか?
大企業で働くことだけを考えて転職活動をしていたのでは、入社することがゴールになってしまいます。
そうならないよう、働く上で大切にしたいことやどこに喜びを感じるのかを考え、優先順位をつけてみましょう。
「世界規模の仕事がしたい」「友だちに自慢したい」「モテたい」、そんな理由でもいいと思いますが、実際に働くことをしっかりイメージして転職活動を行うことが大切です。
ちなみに大企業だから一生安泰という時代は終わりました。
企業に頼るのではなく、自分の仕事力を磨くことも忘れないで下さい。
大企業への転職でも離職率は要チェック!
大企業への転職は誰しもあこがれるものですが、ネームバリューだけに惑わされずに、企業で長期間継続して働けるかの持続性も重要です。
大企業は福利厚生が整っているところが多いので、満足度が高いところもあります。
しかし中には表に出ていないだけで、離職率が高いブラックなところもあります。
数年間の離職率を見て、多いと感じられる場合には、応募を見送りましょう。
転職で獲得すべきは企業のネームバリューではなく、この先自己実現できるかの将来性です。
新卒で入社するときと同様に、離職率には目を光らせておきましょう。
年中求人を出している企業は要注意!
年中求人募集をかけている企業は、ブラック企業の可能性があるので、注意が必要です。
年中募集をかけているということは、つまりは年中人が辞めてしまうような仕事内容や職場環境であることにつながります。
求人を定期的に確認して、頻繁に求人を出している企業は、応募リスト時から外しましょう。
注意!悪い評判ばかり鵜呑みにしない
企業の評判サイトを見てみると、どの企業も悪い評判ばかりで応募先が決まらないこともあります。
評判サイトには悪い口コミばかりが集まりがちです。
口コミを確認することも大切ですが、悪い口コミばかり鵜呑みにしすぎると、転職に後ろ向きな感情になってしまうかもしれません。
あくまで参考にする程度で、企業とのマッチ度を大切にしましょう。
大企業の求人を探したいなら転職エージェントを使ってみよう
大企業の求人を探したい!効率よく成功させたい!という方は、転職エージェントを使ってみることをすすめます。
転職エージェントでは、様々な企業の求人をニーズにあわせてコンサルタントが紹介してくれます。
みなさんの特性に合わせて求人を紹介してくれますので、よりマッチした求人に出会える可能性が高まります。
また市場に出回っていない非公開求人を手に入れることも可能です。
無料で利用できますので、是非利用を検討してみてください。
大企業へ就職がダメでも転職ならチャンスがある
大企業への転職を目指すのであれば、専門的なスキルを身につけるのが先決です。
しかし「若いうちに転職したい」という場合は、大量募集をしている大企業を狙うか、即戦力が活かせる転職活動を行うようにしましょう。
新卒採用で失敗した人も、挽回のチャンスは十分にありますよ。
諦めずに挑戦しなければ、希望の会社へ入社することはできません。
企業がどんな人材を求めているのか把握して、転職活動に励んで下さい。