日本語教師になりたいと思っても、どうやったらなれるか知っている人はなかなかいません。
日本語を使うことができるだけでいいなら日本人全員がなることができますが、実際にはそんな簡単なものではありません。
この記事では、日本語教師になるのに必要な資格、仕事内容、難易度、給料事情、主な勤務先などについて紹介していきます。
実際に日本語教師として転職をした人の口コミについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
日本語教師に必要な資格
日本語教師になるのに必要な資格はありません。
特別な資格や教員免許を取得していなくても日本語教師になることはできます。
しかしながら、日本人なら誰でもなることができるわけではありません。
日本語の知識があることと、日本語を教える方法を習得していることが前提条件になります。
具体的には、「日本語教師養成講座420時間」を修了していること、「日本語教育能力検定試験」を合格していること、「大学日本語教育課程」を修了していることの3つのいずれかを満たしていることです。
必要な資格を取得する方法
日本語教師養成講座420時間修了
採用試験で求められるのは前述の3つの資格ですが、特に「日本語教師養成講座420時間修了」が取得しやすいです。
「日本語教師養成講座」というのは、日本語の知識をしっかりと習得できますし、日本語をどのように教えたらいいのかというノウハウについて学ぶことができる資格です。
多くの教育機関において応募条件になっていることが多いです。
受講するのに何も資格を必要とせず、希望する人は誰でも受けられます。受講料は50万円程度で、3ヶ月から1年程度の通学が必須になっています。
早く修了したい人は通いつめることをおすすめします。
ただし、通信講座を受けるなら420時間修了とみなされませんので、くれぐれも注意してください。
日本語教師の仕事内容
日本語教師の仕事内容は日本語を母語としない外国人に対して日本語を教えることです。
国内の外国人に対しても、国外の外国人に対しても日本語のリスニング、スピーキング、ライティング、リーディングの4技能を教えます。
具体的には、発音方法、文法、単語などです。
日本人に日本語を教えるときと違って、日本語について専門的な知識がないと外国人にわかりやすく教えることはできません。
また、日本文化、歴史、マナーといった知識も伝える必要がありますので、そうした知識も習得しておかないといけません。
それから、日本語を勉強する人の国籍、文化、言語はいろいろですし、年齢層もさまざまですし、勉強目的も人によって異なります。
そのような外国人の人たちに日本語をどのように教えるか、教育計画を立てることもその仕事内容に含まれます。
そのカリキュラムに基づいてテキストを作成しますし、授業の準備を行います。
ほとんどの教育機関ではテキストを作成するのは日本語教師自身です。
ちなみに、外国人がビジネスマンの場合にはビジネスシーンでよく用いられる日本語も授業に取り入れる必要がありますし、大学で働く場合には、論文の指導や添削もしないといけません。
このように、日本語教師の仕事は学習者ごとにフレキシブルに対応することが求められるのです。
日本語教師の仕事はきつい?
日本語教師の仕事できついことの1つは指導そのものです。
学校の教員や学習塾で講師をした経験がない人にとっては、生徒の前で授業をすることは非常に緊張するものです。
しかも、生徒が日本人ではなく外国人なので、余計に緊張が増してしまいます。
他の教師の授業を見学させてもらうことで、自分なりの指導方法を確立していく必要があります。
また、価値観や文化の違いから生じる苦労もあります。生徒は外国人なので、日本文化に慣れていないのが一般的です。
それぞれ自国文化の中で育ってきているので、考え方の食い違いはどうしてもあります。
たとえば、日本では約束や時間を守ることは当たり前のように思われていますが、外国によっては約束や時間を守ることは珍しいというところもあります。
そのため、授業が始まる前に生徒がきちんと集まらないということもしばしばあります。
このように文化の違いによるトラブルは、日本語教師をやっていて必ず直面する苦労の1つです。
一方、他の職種に比べて楽なこともあります。
たとえば、営業職のように数字に追われないことです。
生徒の日本語能力を高めることが目標ですが、ノルマが課せられるわけでもありませんし、ペナルティもありません。
学校の教師のようにクラブの顧問をするわけでもなく、保護者対応をすることもないです。
日本語教師の年収事情
年収と月収
日本語教師の年収事情についてですが、これは国内で勤務するか海外で勤務するかで大きく異なります。
国内で日本語教師として働く場合には、非常勤講師か常勤講師のいずれかの道があります。
非常勤講師なら1コマあたり2000円前後というのが相場になっていて、そのコマ数に応じて給料が変わってきます。
非常勤講師はフルタイムで働いている人は少なくて、「午前だけ」か「午後だけ」授業をする人が多くて、週3日前後を受け持つことが一般的です。
そのため、月収だと15万円前後、年収ベースで言うと200万円前後になる人が多いです。
ちなみに、大学の非常勤講師になったら、1コマで10000円と比較的高い時給をもらうことができます。
一方、常勤講師なら月給20万円程度、年収で300万円前後が相場ですが、日本ではあまり常勤講師として採用されることが多くありません。
日本語学校のほとんどが非常勤教師というのが実情です。
収入があまり高くありませんので、専業主婦の副業や他の仕事に就いている人の副業として働くのがいいかもしれません。
非常勤講師は健康保険、厚生年金といった社会保険がきちんと整備されていないことが一般的です。
ただし、常勤講師になったり、日本語教育の研究者になったら、給料と待遇は非常勤講師に比べると非常に恵まれた状態になります。
一方、海外で日本語教師として勤務する場合には、国内の常勤の日本語教師より給料が安い傾向があります。
それというのも、日本と比べて低所得のアジア諸国で採用されることが多いからです。
アジアにおいては、ネイティブの日本語教師の価値は非常に高いのですが、現地の平均所得より少し高いくらいの金額になることが多いのです。
ただし、アジア諸国は日本に比べて物価が安いため、給料が低いからといっても生活が苦しくなるというわけではありません。
贅沢な生活をしさえしなければ十分生活できるでしょう。
ただし、海外だと医療制度が日本と違って充実していませんので、その点は留意する必要があります。
賞与と手当て
常勤講師なら賞与が支給されます。勤続年数によっても違いはありますが、相場としては年間で60万円から80万円です。
また手当てについては日本語能力検定試験に合格したら毎月1万円の手当てがついたり、クラス担任になると5000円から10000円の手当てがつくことが多いです。
日本語教師の主な勤務先
日本語教師の主な勤務先は、日本国内であれば大学や語学学校になります。
大学の留学センターでは、留学生に対して日本語教師として指導しますし、日本語学校では日本語を勉強したいさまざまな生徒に授業を行います。
近年は外資系企業に勤める外国のビジネスマンやその家族が日本語学校に通うことが多くなっています。
これらの教育機関で常勤講師なり非常勤講師なりで働くのが一般的です。
授業経験がない人はアシスタントを選ぶというのも1つの手段です。
そして経験を積んでから講師になるのもいいでしょう。一方、海外であれば現地の小学校、中学校、高校や、大学の日本語学科や語学学校などがあります。
大学がもっとも給料や待遇が良いです。
それから、国際協力団体に所属して日本語教師として現地に派遣されるというケースもあります。
日本語教師の活躍の場は非常に多岐にわたっていますので、どこで働くか、どのように働くかによって大きく変わってきます。
日本語教師への転職は難しい?
日本語教師への転職ははっきりいうと難しいです。
日本を訪問する外国人の数は年とともに増加しています。
そのため日本語を学ぶ外国人もまた増えてきていて2015年にはその数が約370万人にも達しました。
特にアジアを中心として日本語を習得してそのまま日本に住んで就職をする人が多いのです。
そのため、日本語教師も需要が高くなっているのですが、日本語の知識とスキルが高いレベルで求められますので、未経験者にとってはいきなり授業をするのは難しいのが実情です。
したがって、いきなり日本語教師に転職をしたいと思っても、資格を取得するなり、日本語を勉強するなり、いろいろとハードルが高くて難しいです。
アシスタントやアルバイトなどで経験を積んでから1人前の教師になることが一般的で時間がとにかくかかります。
また、雇用形態も非常勤であることが多くて収入面で不安定になりやすくて、経済的によほど余裕のある立場にある人でないと難しいです。
ただし、常勤講師として勤務できる場合は例外です。
日本語教師へ転職した人たちの口コミ・評判
私は大学で日本文学を学んで大学院で日本語研究をしていました。半導体メーカーで長年営業をしていましたが、大学や大学院でせっかく学んだ知識を活かしたいと思ったことと、営業で海外にいくことも多くて外国人と接したいという気持ちが重なって日本語教師を目指しました。授業をしてみて驚いたことは生徒はいろいろなことに興味を持つということです。調理器具の名前を聞いてきたり、日本ではやっているアニメについて質問したりと、生徒は何事にも興味津々でこちらもきちんと答えるために新たに勉強することが多かったです。でもやりがいはとてもある仕事です。
海外からの留学生を多く受け入れている大学の職員をしていましたが、外国人に日本語を教えてみたいというちょっとしたきっかけで日本語教師になりました。驚いたのは生徒の日本語に対する興味です。授業中に「すっぱ抜いた」の「すっぱ」は何かと聞かれたときには思考が止まってしまいました。後で調べて「忍者」のことだとわかりましたが、これまで日本語ネイティブとして生きてきたのに何の疑問も持ちませんでした。
もともと学校の先生になりたかったのですが、大学時代は教員免許を取得できませんでした。日本語教師なら免許も要りませんし、日本語を教えるだけだからできるだろうと思って転職しました。ビジネスで来ている外国人は日本文化に詳しくてこちらが教えられることが多かったです。
日本語教師への転職におすすめの転職サイト
DODA
日本語教師への転職を目指すならDODAを利用することをおすすめします。
その理由は求人数が常時10万件ほどあって国内トップレベルの求人数を誇るからです。
自身の希望条件を設定して検索すると、それに合致した企業が多く表示されます。
また、そうした転職サイトとしての機能だけでなく、キャリアアドバイザーの手厚いサポートを受けられて転職エージェントとしても利用できるのも大きいです。
日本語教師としてどのように転職活動したらいいか、キャリアカウンセラーの人に相談することもできますし、面接対策についてもアドバイスをもらうことができます。
内定をもらった後は求職者がやりにくい年収交渉なども代わりにやってくれるというメリットもあります。