人材を育成する方法として「OJT」というビジネス用語を利用されるのですが、「どんな育成方法?」と疑問に感じている方は多いのではないでしょうか?
ビジネスマンとしてOJTは知っておきたいビジネス用語です。
この記事ではOJTの育成方法からメリット・デメリット、さらに間違われることが多い「OFF JT」との違いを解説します。
この記事を読むとビジネスマンとして、知っておきたい「OJT」について知ることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
OJTとは?
OJTとは人材を育成する方法のことで、「On the Job Training」の頭文字をとってできたビジネス用語です。
業務(Job)を通じて仕事を行う上で欠かせないスキルや知識を身につける育成方法です。
具体的な業務を通じて育成することで、スキルや知識以外にも知恵やコツも同時に身につけることができるでしょう。
もちろんデメリットもあるのですが、日本では多くの企業が取り入れています。
OJTは第一次世界大戦中にアメリカで生まれた育成方法で、「やってみせる」「説明する」「やらせてみる」「確認・指導」という「4段階職業指導法」が基盤となっています。
4段階職業指導法をイメージすると、理解しやすくなると思います。
OFF JTとは?
間違われることが多いビジネス用語が「OFF JT」です。
OFF JTも人材を育成する1つの方法で「Off-the-Job Training」の頭文字をとってできたビジネス用語です。
業務から離れた環境で特別に時間や場所を設けて育成する方法で、ビジネスの基本や専門知識をメインとして育成します。
そして導入している企業も多く、OJTと併用して導入している企業もあります。
OJTとOFF JTの違い
OJTとOFF JTは育成するということは同じなのですが、育成方法は全く異なります。
違いは大きく「環境」「時間」「内容」「形式」の4つで、下記の表の通りです。
OJT
環境 | 実務を通じた育成 |
---|---|
時間 | 通常業務の一貫とする |
内容 | 仕事をする上で欠かせないスキルや知識 |
形式 | 実践 |
OFF JT
環境 | 実務ではかけ離れた育成 |
---|---|
時間 | 特別な時間を用意する |
内容 | ビジネスマンとしてのマナーや専門的な知識 |
形式 | 座学・集合研修 |
さらにわかりやすい違いは「インプット」と「アウトプット」です。
OJTはアウトプットしながら成長して、OFF JTではインプットして成長します。
そして、企業の方針によって導入している育成方法は異なるでしょう。
OJTのメリット
OJTとはどのような育成方法なのか、理解していただけたと思います。
ビジネスマンとしてOJTを理解するためには、導入することでのメリットを把握しておくことも大切です。
メリットを把握しておくことでOJTの目的をより理解できるでしょう。
メリットは下記の通りです。
- 育成費用を削減できる
- それぞれの特性やスキルにあった育成が可能
- 育成する側も成長でき
- すぐにフェードバックを受けられる
- 育成終了後に即戦力で働ける
1つずつ解説していきます。
育成費用を削減できる
1つ目のメリットは「育成費用を削減できる」ということです。
OJTでは実務の通じて育成していくため、別途で費用がかかりません。
OJT手当てというものは支払われるのですが、OFF JTで育成する費用を考えると大幅カットできます。
さらに業務を通じて育成するため、育成されている側も戦力の1つになるでしょう。
育成しながらも利益を生み出せることで、費用を削減できています。
育成費用は必ずかかるため、少しでも削減できることはメリットになるでしょう。
それぞれの特徴やスキルにあった育成が可能
2つ目のメリットは「特徴やスキルにあった育成が可能」ということです。
OFF JTでは1:30など複数人を一気に育成するため、ペースや育成内容を変えることはできません。
しかしOJTでは1:1で育成することが多く、育成されている側に合わせることが可能です。
そのため育成されている側は不安や疑問を抱えることなく、成長できます。
育成する側も成長できる
3つ目のメリットは「育成する側も成長できる」ということです。
育成されている側が成長するのは当たり前なのですが、OJTでは育成している側も成長できます。
実務に慣れれば慣れるほど、おろそかになっていることはあると思います。
そのようなことも改めて育成することで、自分自身の気付きとして成長できます。
また、人を育成するということはビジネスマンとして能力値が高まります。
育成する側の能力値が高まれば、成長にも期待できるでしょう。
すぐにフェードバックを受けられる
4つ目のメリットは「すぐにフェードバックを受けられる」ということです。
業務を通じて育成するため、すぐにフェードバックを受けることが可能です。
間違っていることはその場で間違っていると注意された方が納得できますし、成長にもつながります。
さらにその場でフィードバックを受けられることで、成長スピードが速くなると考えられます。
上記でもお伝えしたようにOFF JTはインプットがメインになるため、フィードバックを受けることは少ないでしょう。
育成終了後に即戦力で働ける
5つ目のメリットは「即戦力で働ける」ということです。
実務を通して育成しているため、育成が終わった頃には即戦力の人材となっているでしょう。
さらに育成過程で人間関係も構築できているため、高い生産効率で業務をこなせます。
しかしOFF JTでは育成終了後に初めて実践形式の育成をするため、戦力として働けるまでは時間がかかるでしょう。
人手不足などで悩んでいる企業では大きなメリットになります。
OJTのデメリット
OJTのメリットをお伝えしましたが、デメリットもあります。
メリットだけではなくデメリットも比較して理解することをおすすめします。
デメリットは下記の通りです。
- 負担が大きくなる
- 育成する人にとって差が出る
- 実務に支障が出る可能性がある
1つずつ解説していきます。
負担が大きくなる
1つ目のデメリットは「負担が大きくなる」ということです。
業務を通じて育成するということは、育成する側の業務が増えます。
また育成することに特化している人材ではないため、業務と同様に注力する必要があります。
そのことを考えると、育成する側の負担は大きくなると考えることができるでしょう。
OFF JTでは育成に特化した人材がいるため、負担が大きくなることはありません。
手当てがあるとはいえ、負担に感じることは多いでしょう。
育成する人にとって差が出る
2つ目のデメリットは「育成する人によって差が出る」ということです。
上記でもお伝えしたように1:1で育成するため、育成する側の能力によって差が出てしまいます。
育成される側が同じでも、育成する側で成長具合が変わってしまいます。
それに比べてOFF JTは全員が同じ育成を受けるため、差が生まれることは考えにくいです。
期待よりも成長することはデメリットではありませんが、期待よりも成長できない場合はデメリットになるでしょう。
実務に支障が出る可能性がある
3つ目のデメリットは「業務に支障がでる可能性がある」ということです。
業務を通じて育成するため、育成に注力しすぎてしまうと業務がおろそかになってしまう可能性があります。
また育成過程でも業務をこなすため、生産効率が下がることも考えられます。
「即戦力で働ける」というメリットはありますが、育成過程では業務に支障が出る可能性があります。
本来の業務に支障が出ることは大きなデメリットでしょう。
OJTでうまく育成できない原因
OJTにはメリット・デメリットの両方があるため、期待していた通りに成長しないこともあります。
しかし、うまく育成できない場合はOJTという育成方法に問題があるのではなく、他の原因が考えられます。
うまく育成できない原因を2つご紹介します。
育成する側の能力不足
1つ目が「育成する側の能力不足」ということです。
期待通りに成長するか・しないかは育成する側の力量にかかっていて、能力が高ければ高いほど成長して、低ければ低いほど成長はしないでしょう。
そのため原因として考えられるのは育成する側の能力不足です。
さらに企業が求めている人材に育成するためには、どのような人材を求めているのか明確に伝達する必要があります。
育成する側の能力不足は伝達不足なのかもしれません。
育成する時間がない
2つ目が「育成する時間がない」ということです。
OJTの基盤が整っていない企業では、育成する側に全てを任せてしまいます。
任せることは悪いことではないのですが、育成しながら業務をこなすと考えると絶対的に時間が足りないです。
そのためある程度の基盤を作り上げて、育成する側の負担を軽減する必要があるでしょう。
うまく育成できない原因として考えられるのは、シンプルな時間不足です。
期待通りな人材に育成するためには、必ず時間がかかります。
その時間を設けることができているのか、確認することでうまく育成できるようになるかもしれません。
OJTを使って効率よく育成しよう
この記事ではOJTについて詳しくお伝えしましたが、いかがだったでしょうか?
OJTという言葉だけを聞くと「英語?」と戸惑うかもしれませんが、複雑な意味合いがあるわけではありません。
業務を通じて人材を育成する方法を指すビジネス用語です。
そしてOJTのメリット・デメリットまで把握できていれば、ビジネスマンとしては十分です。
OJTは効果的な育成方法になるので、期待通りの育成をできるようにしましょう。