哲学者になって真理を探求したいという人にとって転職は難しいのでしょうか。
哲学者になるのに必要な資格や役立つ資格があるのかを知っておくと転職の際に参考になるでしょう。
イメージで哲学者になりたいと考えている人は仕事内容についても把握しておくことが欠かせません。
そして、転職したらどの程度の年収になるのが一般的なのかを理解し、どのような考え方で転職先を探すのがベストかを自分なりに考えられるようにしましょう。
目次
哲学者に必要な資格
まず哲学者を目指す上で理解しておきたいのが資格の必要性です。
哲学者になるだけなら資格は何も必要がありませんが、哲学の研究をするために必要な基礎を身につけ、学会や論文で発表できるような成果を上げられるようになることは必須でしょう。
そのためには学位の取得が重要であり、哲学の博士号を取得するのが賢明です。
また、哲学者であるというだけでは生計を立てられない可能性があるので、教員免許などを取得しておくと役に立ちます。
必要な資格を取得する方法
哲学の博士号を取得するには大学院の哲学科に入学し、カリキュラムに従って必要な単位を取得して修了する必要があり、通常は次のような流れを踏襲してます。
まず、大学院の入学試験を受けて合格し、希望する研究室に配属されてその研究室で行われている研究の大枠に沿ったテーマで独自に研究を行うのが基本です。
授業も受けて専門的な知識を身につけつつ、所属先の研究室の教員からの直接指導も受けながら研究を行います。
そして、修士号を取得した後、さらに後期課程に進学して研究を進め、博士論文として成果を取りまとめて学位審査を受けます。
学位審査を通過することができると博士号を与えられ、大学院を卒業できるというのが一般的な流れです。
哲学者の仕事内容
哲学者の仕事は哲学に関する研究を遂行することです。
世界を構成するあらゆるものに関わる真理や原理を探求するのが哲学であり、その方法として基本的には思考を使います。
世の中で起こっている基礎的な現象に対して疑問符を投げかけ、それがどのような原理に基づいて生じているのかを考えていき、論理的に説明できる原理を導き出すのが仕事です。
その内容を学会で発表したり、論文として取りまとめて投稿したり、招待講演を行ったりするのも業務のうちに入ります。
哲学者として知名度が高くなると学会の運営や雑誌の編集なども任されるようになるでしょう。
それによって人とのコミュニケーションの機会が増え、アイディアを吸収してさらに新しい原理を導き出せるようになっていきます。
このような形で思考によって真理を追求する研究者と考えることができるのが哲学者です。
しかし、ただそれだけで生計を立てることが難しいため、収入につながる業務も行うことになります。
大学などの教育機関で働いているときには学生の教育指導が仕事のメインになることがほとんどです。
企業で働きながら哲学者として活動している人もいますが、その場合には勤務先によって仕事は大きく異なります。
哲学者の仕事はきつい?
哲学者の仕事はきつい面と楽な面がありますが、その捉え方も個人によって大きく異なります。
本当に哲学の研究をしているときには思考に没頭することになるため、考えるのが好きな人にとっては楽な仕事です。
しかし、いくら考えても良いアイディアが出てこなくて本当に自分は哲学に向いているのかと悩むことも珍しくありません。
その苦境を乗り越えていくことでだんだんと哲学者としての力が身についていきます。
その壁を乗り越えていくのがきついと感じる人も多いのが実情です。
また、研究だけでは生計を立てられず、他の業務と両立させなければならないのがきつい場合もあります。
大学教育の仕事の量が多くてあまり哲学に没頭できず、やりたいことができずに嘆くというケースもあるのは確かです。
しかし、なかなか良いアイディアが浮かばないというときにはそのような仕事が息抜きになるという人もいます。
哲学を教えるのが基本なので、それ自体が面白いと考えることもできるからです。
哲学者の年収事情
哲学者の年収は働き方によって年収事情が異なっているので、個々に考えることが必須です。
大学教員の場合
大学教員として哲学科で働いているときにはポジションによって平均年収は異なります。
教授では1000万円程度、准教授では850万円程度、講師では650万円程度、助教では500万円程度というのが一般的な平均年収です。
月収ではそれぞれ60万円、50万円、40万円弱、30万円が典型的になっています。
賞与は比較的多く支給されていて、年間で2ヶ月から4ヶ月分程度が出ている傾向があります。
手当について特徴的なのが残業手当や休日出勤手当がつかない場合が多いことです。
裁量労働制がほとんどになっていて、実際にはかなりの長時間労働をして土日も返上して働いていても特に手当はない現場が多くなっています。
家族手当や通勤手当などの一般的な手当はよく支給されているので、それ以外の部分で変わっている点はあまりありません。
一般的には国公立大学よりも私立大学の方が給与水準が高くなっています。
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ポスドクや研究員などの場合
ポスドクや研究員、研究助手などとして大学などで雇ってもらっている場合には、年収は200万円から600万円程度でかなり幅が広くなっています。
自分で人件費を競争的資金から手に入れなければならない場合もあり、通常は年俸制で賞与がありません。
勤め先によって手当の状況にはかなりの差がありますが、海外の場合には一切手当がないこともあるのが実情です。
企業で働いている場合
企業で働きながら自分なりに哲学の研究活動をしているというときには働き方によるので年収は一概に言うことができません。
比較的、哲学者が行っていることが多い仕事として中学校教師や高校教師、専門学校の講師や塾講師です。
この場合の年収は400万円から700万円程度が平均的になっています。
手当も充実している現場が多いですが、中学校や高校で働いていると部活動の指導のために休日出勤手当が多くなりがちです。
哲学者の主な勤務先
哲学者は主に大学などの研究機関で働いています。
哲学の研究は企業での生産活動に直結することは極めて少ないため、民間の研究所で働けることはあまりありません。
哲学者として仕事をする場合には大学や短期大学が主な勤務先になっています。
一方、教育の担い手として類似した科目を教えるという立場で仕事をしている人も大勢います。
この場合には中学校や高校の教師となって国語や社会、倫理などを教えている場合が大半です。
また、哲学以外にも特技がある人の場合には専門学校で哲学とは異なる講座を持っていることもあります。
予備校や塾での国語や社会の講師として働くことも可能です。
家庭教師として働くこともできるので、哲学者になるために培った学歴を生かせる仕事には比較的従事しやすくなっています。
この他にも哲学とは直接は関係のない仕事を手に入れて企業で働いているケースもあり、メディア系の企業やコンサルタント会社がよく選ばれています。
哲学者への転職は難しい?
哲学者として研究を行えるように転職したいという意味では哲学者への転職は難しくありません。
一度退職して大学院に通い、博士号を取得してから哲学研究に十分に時間を割ける勤務条件の企業で働ければ良いと考えられるからです。
しかし、大学教員になって哲学を専門として働きながら研究をしていこうと考えるとかなり転職は難しくなります。
大学院で学位のための研究をしている間に十分に優秀な人材だと認められないと、学術界でポストを探すのは難しいからです。
哲学科を持っている大学や短期大学の数はあまり多くないため、ポストの数が限られてしまっています。
その入れ替わりのタイミングで、哲学界で知られている優秀な人材が抜擢されてポストを手に入れるというのが一般的です。
そのため、ただ優秀なだけなく、運の要素も転職の可否に影響します。
ポスドクなどのポジションについても優秀さが求められるので、実力がある人でないと仕事を手に入れるのは難しいのが実情です。
哲学者へ転職した人たちの口コミ・評判