新型コロナウイルスの影響が広がる中、在宅での勤務、リモートワークの導入を検討している企業も増えています。
しかしリモートワークを導入するためには、あらかじめ準備を進めておく必要があります。
またテストを実施して、問題なく営業できるか確かめておく必要があります。
この記事ではリモートワークを導入する際に必要なものや、実施するための流れを解説します。
目次
リモートワークを始めるために必要なもの
- PC
- ソフトフェア
- セキュリティツール
- チャットツール
- ネット回線
- 社用電話機
リモートワークを導入する際には、上記の設備は各社員が準備しておく必要があります。
実施する前に対象社員へアンケートを取り、不足しているものがあれば、経費で購入するなど対応しなければなりません。
PC
近年はスマホ一台ですべて済ませてしまう人が増えており、自宅にPCを持っていない人の割合も増えてます。
またここ数年まともにPCを開いていない…というケースも多く、会社のPCと比べて性能もかなり落ちるという人も多いです。
低スペックのPCは作業効率が落ちるだけでなく、最新のOSに対応しておらず、セキュリティ面でも大きなリスクを抱えることになります。
社員がPCを持っているか確認する際には、必ずスペックや使用しているOS等も合わせて確認しておきましょう。
特にWindows7は2020年1月14日で、すでにサポートが終了しており、今後も使用するとセキュリティ上かなり危険です。必ずWindows10の最新版にアップデートさせるようにしましょう。
ソフトフェア
PCだけでなく、普段オフィスで利用しているソフトウェアも、自宅のPCになければかなり不便です。
Officeソフトだけでなく、制作等の仕事ならAdobeソフトも一通り必要となるので、必要に応じて支給しておきましょう。
セキュリティツール
チャットツール等で、社員同士でつながるのであれば、最新のセキュリティツールは必須です。
Windows10であれば、Windows Defenderが搭載されているので、通常の業務であればウイルスによる脅威はほとんど取り除くことができます。
しかしWindows10以前のOSで、セキュリティソフトが入っていないPCは、ウイルス感染のリスクが高いので対処が必要です。
またMacOSは、Windowsを比べてウイルスの数が少ないため、比較的リスクは少ないと言われています。
しかし近年ではシェアが拡大してきことで、MacOS向けのウイルスの数も増えてきています。
技術担当者と相談して、必要があれば所定のセキュリティソフトをインストールさせておきましょう。
チャットツール
リモートワークでは円滑なコミュニケーションが肝となるので、あらかじめ共通のチャットツールを導入しておきましょう。
チャットツールには、機密情報が飛び通っているので、ログインできる端末の制限などルールの設定も重要です。
またリモートワークでは、ビデオ通話も必要となるので、機能や性能も確認しておきましょう。
ネット回線
円滑なリモートワークには、各家庭に安定したネット回線が敷かれていることが必須です。
最近ではWi-Fiで家の中の複数端末に対応している家庭が多いですが、できれば家庭用のネット回線と仕事用のネット回線は、分けることができるとベターです。
またセキュリティ上、フリーWi-Fiはリスクが高いので、自宅にネット回線のない社員には早急に対応してもらいましょう。
短期間のリモートワークであれば、会社からモバイルWi-Fiを支給することで対応も可能です。
会社用携帯電話
営業職など在宅でも取引先と頻繁に電話が必要な社員には、会社用の携帯電話を支給しておきましょう。
個人の携帯を使用すると、個人情報の漏洩はもちろん、通話料金だけで莫大な費用を負担させることになります。
仕事で電話を利用する必要があるなら、必ず社用の携帯電話を支給しましょう。
リモートワークを始めるために合ったほうがいいもの
次にリモートワークを導入する際に、できればあったほうがいい設備を紹介します。
- ヘッドセットマイク
- シュレッダー
- プリンター
- 長時間作業しやすい机と椅子
ヘッドセットマイク
チャットツール等でビデオ通話をするのであれば、ヘッドセットマイクはあったほうが便利です。
特に複数人でグループチャットをする際には、かなり声が聞き取りにくくなるので、PC備え付けのマイクではなく、専用のヘッドセットがあったほうがスムーズに会話できます。
また管理職など、メンバーとの通話が多い人は、ヘッドセットを装着しておいたほうが負担はかなり楽になります。
シュレッダー
機密情報を記載した書類など取り扱う機会が多い社員は、自宅に小型のシュレッダーを用意させておきましょう。
機密書類をそのまま家庭用ゴミで捨てるのは、情報を外部で漏らすのと一緒です。
シュレッダーを用意するのが難しいのであれば、書類の処理方法に関するルールを固めておきましょう。
長時間作業しやすい机と椅子
社員の仕事環境をチェックする際には、家庭内の環境もヒアリングしておきましょう。
作業用の机や椅子がなく、ローテーブルで長時間の作業が必要となると、首や腰を痛める原因となります。
また家族と同居していて、一人になれる空間がないのであれば、貸し個室など検討しなくてはいけません。
リモートワークを導入するためのステップ
それでは必要な環境が揃った上で、どのようにして企業はリモートワークを導入していくべきなのでしょうか。
以下は、リモートワークをスムーズに実施するための一例となります。
目的に合わせて導入するリモートワークの種類を決める
一言にリモートワークと言っても、様々な種類があります。
ハイブリッド・リモートワーク | 週に数日リモート、残りは内勤と組み合わせる |
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フルタイム・リモートワーク | すべての社員がすべての勤務時間を在宅勤務で行う |
リモート・アウトソース | 業務委託等、外部の契約者がリモートで働く |
テンポラリー・リモートワーク | 一時的な短い期間リモートワークで働く |
目的に合わせて、どの程度、どの対象者にリモートワークを実施するか決めておきましょう。
たとえばコロナウイルスなど、感染リスクの軽減のためリモートワークを実施するのであれば、一時的にフルタイム・リモートワークを実施し、状況が好転すれば内勤に戻すことをおすすめします。
一時的なリモート切り替えの場合には、なるべく投入コストが少なく済むよう、在宅勤務が難しい人には有給を適用したり、職務の範囲を制限したりするなど、臨機応変な対応が求められます。
まずは社内ルールを設定する
導入するリモートワークの種類が決まったあとは、細かいルールを設定していきます。
出退勤の管理方法や、休憩のルール、また各メンバーの作業状況の管理方法など、実際にリモートワークを実施した際を想定して、ルールを設定していきましょう。
実際にリモートワークを実施して、社員にルールを周知させるのは難しいので、必ず実施する前に基本ルールは設定しておきましょう。
少人数の導入からスタートする
ルールが設定できたあとは、比較的在宅でも影響の出にくい社員から、テスト運用を進めていきましょう。
実際に稼働してみると、チャットツールの変更が必要になったり、思わぬトラブルが起きたりして、ルール変更が必要になることは多いです。
少人数のテストから、困った点などヒアリングして、徐々に制度を固めていきましょう。
実施する前に取引先に連絡をしておく
全社員がリモートワークを適用する際には、取引先には早めに連絡をしておきましょう。
また必要であれば、会社の公式HPにも、リモートワークを導入した旨お知らせしておきましょう。
代表電話など、可能であれば転送ツール等で対応するのがベストですが、難しいようであればオフィスに数名の社員を残す等の対応が必要です。
実際に稼働してみてPDCAを回す
どれだけ準備をしてリモートワークを実施しても、必ずどこかで不具合は発生します。
制度の細かなところは、PDCAを回しながら改善していきましょう。
またリモートワーク制度の責任者を立て、判断に困ったときどこに質問すればいいのか、ガイドラインを作成しておきましょう。
リモートワークでは対応できない業務などは、一部内勤に戻すなど柔軟な対応も必要です。
リモートワークを導入するメリット・デメリット
それでは実際にリモートワークを導入することで、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
これまで内勤しかしてこなかった企業の経営陣の中には、リモートワークと聞いただけで拒否反応を示す人もいます。
また当然、リモートワークを導入することで、生じるデメリットもあります。
新しい制度を導入する際には、メリット・デメリットの根拠を集めて提示し、具体的な解決策を提案することが大切です。
メリット
- 災害時に対応しやすくなる
- 通勤時間など無駄な時間を削減できる
- オフィスの賃料など節約できる
- コミュニケーションが増えるケースも
コロナウイルスなどの感染症の流行や、災害による交通網の麻痺など、災害時にもリモートワークは対応しやすくなります。もちろん身に危険が及ぶ状況では、仕事どころではないですが、事態が落ち着いてくれば働かなくては生活していくことはできません。
あらかじめリモート対応の準備を進めておくことで、多少の災害時にも事業をストップせずに稼働させることができます。
また通勤時間がなくなるなど、労働者の利益だけでなく、設備や賃料もカットできるので、規模の小さい企業にもリモートワークはおすすめです。
デメリット
- 管理体制が整っていないと作業の把握ができない
- セキュリティ上のリスクがある
- 一部リモートでは対応できない業務が生じる可能性がある
企業にとってリモートワークで最も危惧するのが、「本当に自宅で仕事ができるのか」という点です。
そのため普段の仕事から社員の仕事量を明確にし、リモートでも変わりなく業務が行えることを証明しなければなりません。
また営業職など、一部在宅勤務では対応しづらい職種があるのも事実です。
リモートワークが難しい仕事では、フレックスタイム制や前述のハイブリッド・リモートワークなど、個々の状況に合わせて対応していきましょう。
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リモートワークの準備を進めておいて損はない
現時点でコロナウイルスがどこまで感染拡大し、またいつ頃、収束するかといった情報は確かではありません。
最悪の場合、中国のように一部地域では、オフィスの営業停止命令が出される可能性もあります。
そのような状況に陥ったとき、リモートワークの準備を進めておけば、会社の仕事だけでなく社員の生活も守ることができます。
また今回のコロナウイルスの件だけでなく、様々な災害時にリモートワークというオプションがあれば、社員の安全を守ることができます。
大げさな対応と思わずに、できるところからリモートワークの準備を進めておくことをおすすめします。