サービス管理責任者には兼務が認められている職務がいくつかあります。
ただし認められているといっても無条件ではなく、一定の要件を満たしている必要があるのですね。
サービス管理責任者と兼務を考える際は、そういったルールも把握してから検討するとスムーズですよ。
この記事ではサービス管理責任者が兼務できる職務と、兼務をする際の注意点、兼務を経験したサービス管理責任者の体験談をまとめていますので、ぜひ目を通してみてください。
目次
サービス提供責任者とは
サービス提供責任者とは、訪問介護計画の作成や訪問介護員の指導・育成、他職種と連携する際の事業所の窓口役等を担う職種の事です。
略して「サ責」と呼ばれることもありますね。
訪問介護事務所とは、要介護者が在宅で介護を受けながら生活を続けられるよう、ご自宅へ介護訪問員を派遣しサービスを提供する事業所の事です。
ケアマネージャーと訪問介護員の間に立ち、スムーズのサービス提供が行われるよう調整するのがサービス提供責任者の仕事です。
サービス提供責任者(サ責)とは?仕事内容やなり方を分かりやすく解説
訪問介護事務所の人員配置基準
訪問介護事務所の人員配置基準は以下の通りです。
【訪問介護事務所の人員配置基準】
職種名 | 人員配置 |
---|---|
管理者 | 1人以上 |
サービス管理責任者 | 利用者の数が40、または端数を増すごとに1人以上 (~40人ならサ責1人、41~80人ならサ責2人、81~120人ならサ責3人…) |
訪問介護員(ヘルパー) | 常勤換算数で2.5人以上 |
サービス管理責任者は、訪問介護事務所に最低1人は配置しなければいけません。
規模の大きい事業所の場合は、利用者さんの人数に応じてサービス管理責任者も増やしていく必要があります。
サービス提供責任者が兼務できる職務
サービス提供責任者が兼務できる職務は主に下記の4つです。
- 管理者
- 訪問介護員(ホームヘルパー)
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
管理者
訪問介護事業所のサービス管理責任者は、「管理者」と兼務をすることが可能です。
管理者というのは、人事管理やサービスの質の向上といった、訪問介護事業所の運営状況を管理するポジションです。
人材の育成等サービス管理責任者の業務と重なる部分もあるため、管理者とサービス管理責任者を兼務するケースは多いです。
訪問介護員(ホームヘルパー)
訪問介護事業所のサービス管理責任者は、「訪問介護員(ホームヘルパー)」と兼務をすることもできます。
サービス提供責任者は訪問介護員に指示を出したり指導する立場ですが、自信も訪問介護員を兼任して現場で介護サービスを提供することもできるということですね。
ただし兼務することでサービス提供責任者としての業務がおろそかになってはいけませんので注意しましょう。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
サービス管理責任者は、同一事業者の運営かつ同一敷地内にある「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と兼務することも認められています。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、療養を支援しながら心身の機能の維持、回復を目指す、地域密着型の訪問介護サービスの事です。
利用者さんの居宅を定期巡回し、必要となったタイミングでも随時対応する等、24時間体制で介護サービスを提供します。
夜間対応型訪問介護
サービス管理責任者は、同一事業者の運営かつ同一敷地内にある「夜間対応型訪問介護」と兼務することも認められています。
夜間対応型訪問介護とはその名の通り、夜間帯の訪問介護を行う事業所の事ですね。
こちらも利用者さん宅を定期的に訪問する「定期巡回サービス」と必要時に連絡を受け随時対応する「随時対応サービス」があります。
サービス提供責任者が兼務できない職務
サービス提供責任者が兼務を認められていない職務は、主に下記の2つです。
- 有料老人ホーム
- 指定居宅介護事務所(例外あり)
有料老人ホーム
有料老人ホームには訪問介護事業所が併設されていることがよくあります。
しかし、たとえ同一施設内だとしてもサービス管理責任者と有料老人ホームの兼務は認められていません。
指定居宅介護事務所(例外あり)
訪問介護事業所のただし例外としてサービス管理責任者は、指定居宅介護事務所とも基本的に兼務することができません。
ただし、「指定居宅介護事務所と指定訪問介護事業所が同一事業所で一体的に事業を運営している」場合は、例外として兼務することができます。
サービス提供責任者が兼務するメリット
サービス提供責任者が兼務をすることによるメリットは、主に下記の2つです。
- 人件費の削減
- スキルアップ・キャリアアップにつながる
人件費の削減
すでに紹介していたように訪問介護事業所には配置基準が決まっていますが、サービス管理責任者が管理者かヘルパーを兼務すれば、その分人件費を抑えることができます。
サービス管理責任者の業務負担は大きくなりますが、施設運営の面ではメリットとなりますね。
スキルアップ・キャリアアップにつながる
兼務をすることによって知識経験共に成長することができ、評価が上がることで給与アップも目指しやすくなります。
また事業者内の各職務について理解があれがば、改善点すべき点や効率化の方法も提案しやすくなりますよ。
事業所の運営において、なくてはならない人材にステップアップできるでしょう。
サービス提供責任者の給料はどのくらい?収入をアップする方法と他職種との比較も紹介
サービス提供責任者が兼務するデメリット
サービス提供責任者が兼務をすることによるデメリットは、主に下記の2つです。
- 業務範囲が増える
- 非常勤扱いとなる場合もある
業務範囲が増える
当然ですが、兼務することになればサービス管理責任者としての業務と+αの業務を行う必要があります。
スキルアップや収入アップのためだとしても、自分にその+αをこなす余裕があるかどうかを、一度冷静に考えてから判断しましょう。
少なくとも、サービス管理責任者としての業務を安定してこなせるようになってから兼務を検討するのが安全です。
非常勤扱いとなる場合もある
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」や「夜間対応型訪問介護」等、併設施設の他職種と兼務をする場合には、両施設で非常勤扱いとなります。
またこの場合、訪問介護の勤務時間が半数以上である必要があります。
兼務しているサービス提供責任者の体験談
サービス管理責任者とヘルパーを兼任しています。
介護の仕事もしつつ、書類作成や他のヘルパーの報告を聞いたりと、毎日かなりの激務です。
残業時間は大体70時間ほど。
利用者さん、ヘルパー、ケアマネ等、多くの関係者と連絡を取り合い調整作業をするのにはとても時間がかかります。
体調を崩してしまうこともあり、兼務についてはもう少しよく考えてから決めればよかったと、少し後悔しています。
サービス提供責任者と訪問介護員を兼務しています。
訪問介護計画の作成や利用申し込みの調整といった事務的な仕事をしながら、訪問介護員としても約85時間勤務しています。
非常に忙しくはありますが、残業はそこまで多くありません。
兼務することで現場の声や業務の実態を把握しやすいこともあり、サービス提供責任者としての業務にも活かされているように思います。
サービス提供責任者が兼務をする際の注意点
サービス提供責任者が兼務をする際の注意点は下記の3つです。
- 兼務はサービス提供責任者の業務に支障が出ない範囲で
- 管理者・ヘルパーを両方兼務することはできない
- 兼務の条件は都道府県や自治体によって異なる
兼務はサービス提供責任者の業務に支障が出ない範囲で
サービス管理責任者の兼務は、指定訪問介護の提供に支障がない場合にのみ認められています。
これは、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」および「指定居宅サービス及び指定介護予防サービス等に関する基準について」に基づいています。
兼務することによって、サービス管理責任者としての業務がおろそかになってはいけないということですね。
管理者・ヘルパーを両方兼務することはできない
サービス提供責任者は「管理者」または「訪問介護員(ヘルパー)」と兼務することはできますが、その両方を兼務することはできません。
これは、直前に紹介した「サービス管理責任者の兼務は、指定訪問介護の提供に支障がない場合にのみ認められている」ということにも関係しています。
明らかな業務過多によって、サービス管理責任者としての業務がおろそかにならないようにという意図もあるのでしょう。
兼務の条件は都道府県や自治体によって異なる
サービス管理責任者が兼務をする際の条件は、都道府県や自治体によって異なる部分もあります。
より詳細なルールについては、各都道府県や自治体に問い合わせて確認するようにしましょう。
サービス提供責任者は条件付きで兼務が可能
サービス管理責任者が兼務できる職務と、兼務をする際の注意点、兼務を経験したサービス管理責任者の体験談等について紹介しました。
サービス提供責任者としての業務に支障をきたさないこと等、いくつかの条件を満たす場合において、サービス提供責任者は兼務が認められています。
しかし、兼務することによってスキルアップやキャリアアップを目指せるというメリットがある一方、予想以上に業務負担が増え辛くなってしまったという声も。
兼務をする際は、労働条件や業務範囲がどのように変化するかを、しっかりと把握してから決めましょう。
業務過多で体を壊してしまうことがないように気をつけてくださいね。