知名度が低い中小企業から、大企業への転職は不利だと思っていませんか?
実はそんなことは全くありません!しかし大手へ転職することが、あなたにとってプラスに働くのかを事前に知っておく必要があります。
この記事では、大手で働くことのメリットや、中小と大手企業の違いを紹介しています。
大手への転職はデメリットも踏まえた上で決めることが重要です。
目次
中小企業から大企業の転職は難しい
中小企業から大企業へ転職するのは、不可能ではありませんが以下の理由から、難易度が高いことで知られています。
- 応募者数が多い割に採用枠が少ない
- 現場で即戦力になる人材が求められる
- 学歴主義が残っている企業が多い
- 高いスキルが求められる
以下で詳しく解説していきます。
応募者数が多い割に採用枠が少ない
大企業は福利厚生が良いことから、求人の採用枠に対して応募者数が多く、選考の難易度が高いです。
転職サイトで非公開求人として紹介されていても、同じサービスの利用者が集中して応募することもあります。
選考に参加している人数が多いほど、優秀な人材を絞るために選考が厳しくなっていきます。
競争率が高くなってしまいますので、内定をもらえる確率は低くなります。
現場で即戦力になる人材が求められる
大企業で求人を出す理由の多くが、現場で働いていた人が急にいなくなり、早急に人員補充したいことがあげられます。
現場で即戦力になる人材が求められるので、中小企業で働いていた時以上の能力を求められることもあります。
アピール出来るスキルを用意しておかないと、選考で他の選考参加者に埋もれてしまいます。
学歴主義が残っている企業が多い
新卒入社時の学歴傾向からもわかるように、大企業の中にはまだ学歴志向の考えが根付いているところが多いです。
旧帝大や有名私立に通っていないと、書類選考すらパスできないことも多々あります。
最終学歴が低いままだと、最初の関門すら突破できないことにもなりかねませんので、注意が必要です。
高いスキルが求められる
就職活動でもわかる通り、大企業は即戦力になる人材を常に求めています。
転職者となると、さらに求められるスキルのハードルが高くなります。
ビジネスの場での経験の豊富さはもちろんのこと、グローバル化に対応できる語学力も求められます。
またマネジメントなどの経験も求められることがあり、一般的な社会人よりも高い基準を求められます。
また大企業への転職では、前歴の会社の規模も見られることもあります。
前歴の会社規模があまりにも小さいと、他の転職者に埋もれてしまい書類選考で落とされてしまうこともあります。
中小から大手への転職は可能か?
井上和幸
中小企業から大手企業への転職は、人手不足の影響もありハードルが低くなっています。
少子化問題も原因のひとつですが、新入社員の離職率の高さも大きな要因です。
こちらは平成27年に厚生労働省が調査したデータで、新卒入社した人が3年以内に退職した離職率を表したものです。
事業規模 | 大卒の離職率 | 高卒の離職率 |
---|---|---|
1,000人〜 | 24.2% | 25.3% |
100〜499人 | 31.9% | 36.5% |
5〜29人 | 49.3% | 55.9% |
大卒全体では、入社して3年以内に辞める確率が31.8%と、約3割も早期退職していることが分かります。
とくに会社の規模が小さくなるほど辞める人の割合は高くなり、30人未満の会社では半数が辞めている結果です。
その穴埋めのために、第2新卒や20代の若手を採用したいという企業が増えています。
参考:厚生労働省【新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)】
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00001.html
転職するのに企業の規模は関係ない
人材が足りないからといって、どんな人でも大企業に採用されるわけではありません。
中途採用では、あなたの経歴やこれまでの経験をしっかりと吟味され、ジャッジされます。
しかし大企業の採用基準において、これまで働いてきた会社の規模はまったく関係ないということを覚えておきましょう。
面接でチェックされるのは、今までの実績、経験、専門的なスキルです。
また転職してどのように活躍していきたいかを強くアピールすることができれば、採用される確率がグンと上がります。
\条件のいい中小企業への転職を成功させたいなら/
中小企業から大企業への転職を成功させる4つのポイント
大企業への転職を確実に成功させるには、実際に転職に成功している人の事例を真似することが大切です。
以下では中小企業から大企業への転職を成功させるポイントを、4つ紹介していきます。
採用の時期の傾向を把握する
大企業中小企業と会社の規模にかかわらず、企業の中で中途採用を呼びかけるタイミングは基本的に決まっています。
企業の採用の時期の傾向を把握しておくことで、どのタイミングで転職活動を始めるかの計画を立てやすくなります。
基本的に第二新卒の求人が市場に出回るのは、4月と10月入社をめどにしていることが多いです。
基本的に転職活動は目標にしている入社月は2か月前ごろから準備を始める必要があります。
2月と8月ごろに準備を始めるようにしましょう。
企業の求める人物像に合わせる
大企業は企業理念とともに求める人物像を公開していることがあります。
企業の求めている人物像を分析して、何が求められているのかをしっかり判断していきましょう。
大企業がグローバル人材を求めているのなら、TOEICのスコアはもちろんのこと、海外と仕事をしたことがある経験を求められます。
また経験値だけではなく、積極性やスキルが求められることもあります。
企業の求める人物像を分析して、アピールできるポイントを探していきましょう。
採用枠の多い企業
採用枠の多い企業を積極的に選んでいくと、転職に成功できる可能性が高くなります、
大手の中には、職種を問わずに大量採用をしているところもあります。
採用枠が多い以上、自分も内定を勝ち取れる可能性が高くなります。
ただし積極的に人材を採用しようとしている企業の場合は、離職率も高い可能性がありますので、注意が必要です。
転職エージェントのサポートを借りる
大企業に転職するには求人を出来るだけ多く集める必要があります。
応募する求人が手元にない以上、応募もできませんから、転職先を見つけることはできません。
転職エージェントでは、これまでの転職支援実績から大企業とのパイプを持っているところも多くあります。
無料で利用できるほか、大企業の求人に絞って紹介してもらうこともできます。
応募時の履歴書や自己PRなどの添削や、面接の練習にも対応してくれるので、大企業転職を目指すのであれば、利用しておいて損はありません。
大企業を目指すならハイクラス転職エージェントもあり
大企業の中には重要ポストの求人をひそかに出しているところもありますが、一般の転職エージェントには紹介されていないこともあります。
大企業の重要ポストの求人は、競合他社にバレない対策も含めてハイクラスの転職エージェントに独占で出されていることもあります。
ハイクラスの転職エージェントは、現在の年収によって紹介される求人が変わります。
現在中小企業に勤めていても、キャリアや年収が平均以上の方は、求人の紹介を受けられる可能性がありますので一度検討してみてください。
\条件のいい中小企業への転職を成功させたいなら/
大企業で働く5つのメリット
中小企業で働いている人にとっては、大企業で働く友人が羨ましく感じることも多いでしょう。
大企業で働いているというだけで得られるメリットはたくさんありますので、その一部を紹介したいと思います。
ネームバリューがあり仕事がしやすい
中小企業やベンチャーに比べて、大企業は歴史もあり制度が整えられているため、従業員の働きやすさは保証されています。
また営業先ではお客様にどんな会社なのかを説明する必要もありませんし、すぐに信頼してもらえ契約までスムーズに持っていけるでしょう。
社会的にも個人的にも高いステータスが得られ、仕事以外でも尊敬されたり羨ましがられたりするようになります。
年収がいい
やはりお金の面では、中小企業より大企業の方が平均年収は高い傾向があります。
さまざまな手当があり、家賃補助がある、手厚い退職金がでるといった点も大企業ならではのメリットです。
ジョブローテーションがある
大企業の中にはジョブローテーションがあり、さまざまなセクションでまったく違う分野の仕事が楽しめます。
また嫌な上司がいても、2〜3年我慢すると異動になるというのも嬉しいポイントです。
社員数も圧倒的に多いため、ひとつの会社でさまざまな経験や人脈を築くことができます。
同期が大勢いて切磋琢磨できる
人気の高い企業は潤滑なリソースがあり、同期入社の仲間が多いのもひとつのメリットです。
中小企業では毎年募集を行わない企業もあるので、同期がいない、近い年代の社員がいないなど、寂しい思いをしているかもしれません。
同期がいると悩みを共感できたり、辛い時期には励まし合えたりして、長く仕事を続けられるキッカケにもなります。
2020年4月入社予定の新卒者が100人以上の企業は全国で280社ほどあり、ほとんどが名前の知れた大企業です。
転職するときに有利
大手での職務経験があるというだけで、大企業で採用されるほどの能力を持っているというのが履歴書だけで確認できます。
また大手は新入社員の教育にお金をかけているため、ビジネスマナーが身に付いており、研修に時間をかけなくていいところも優れている点です。
大企業へ転職したい人におすすめ転職サイト・エージェントランキング!
大企業が中小企業の転職者に期待すること
大企業が中小企業の出身者を採用したいと思うのには、次のような理由が挙げられます。
専門的なスキルや経験
大手が新規事業や新しいプロジェクトに取り組む際、その専門分野の経験者を募集することがあります。
あなたが専門的な知識やスキルを持っていれば、その経験を活かして大企業に入社することが可能です。
プロジェクトリーダーやマネジメント経験者
中小企業は一人一人の仕事の裁量が大きいため、若くてもマネージャーやプロジェクトリーダーなどに抜擢されることがあります。
一方、大企業ではプレイヤーとして活躍できる人材は多いですが、マネジメントをできる社員が少ないという課題を抱えています。
ITやインターネット業界などの若手社員が多い企業では、彼らと年齢が近い若手のマネジメント経験者は優遇されます。
井上和幸
大企業の子会社から本社勤務を目指すのもあり
大企業と呼ばれる企業では、子会社を多く抱えていて、社内で実力のある社員を本社へ引き上げることもあります。
大企業の子会社の中でも、自分に合った企業を選んで、子会社内で実力を積んでから本社勤務を目指すのも一つの手段です。
子会社の求人を検索してみて、コンサルタントに本社勤務の可能性はあるかなどを、確認してみることをおすすめします。
第2新卒は大企業への転職が有利?
第2新卒を採用するメリットは以下の3点です。
- ビジネスマナーが身に付いている
- 特定の企業色に染まっていない
- 研修が不要なので費用がかからない
大手から大手への転職であれば、この3つのメリットから第2新卒でも採用されることがあります。
しかし中小から大手となると、これだけでは難しいようです。
中小出身者は武器となるスキルを持っているかが肝心
第2新卒では、社会人としての経験もまだ2、3年であることがほとんど。
そのため大企業が欲しいと思うスキルが磨かれていない状態ではないでしょうか。
そうなってくると採用するメリットがポテンシャルのみになり、入社できる確率は低くなります。
あなたがまだ入社間もないのであれば、今の環境で経験を積み、スキルとキャリアを磨いてからの転職でも遅くないかもしれません。
第二新卒は大手企業に転職するチャンス!?大手へ転職する秘訣とは?
中小企業と大企業の異なるポイント
ここでは、中小企業から大手への転職を成功させた人が、大手企業のどんな点にびっくりしたのかを調査しました。
ポジティブな意見
- 手当がしっかりしている
- 外部から講師を呼ぶなど、教育制度の充実度がすごい
- 有給が取れるようになった
- 自分が休んでも代わりに仕事をしてくれる人がいる
- 営業車が高級車だった
ほかにも、勤怠がタイムカードじゃない、ペーパーレス化が進んでいるという意見も挙がっていました。
ネガティブな意見
- 人が多すぎて、周りが何をしているのか分からない
- 部門間の壁が高い
- 上司の考えが古い
- 優秀な人が多いので自分の評価が低い
- 決済に時間がかかる
大企業に入社すると周りのレベルの高さに驚く方も多いようです。
また会社が有名だとプライベートでも羽目をはずせないという声もありました。
大手への転職で注意しておくべきこと
大手にはメリットばかりではないというのが、実際の声で分かったと思います。
それでもやはり大企業への魅力を感じ、転職を希望している方に、転職で気をつけたいことを紹介します。
会社の歯車になってしまう
大企業はビジネスの規模も大きいため、どうしても自分が会社の歯車になったような気持ちを味わうことが多くあります。
個人の予算や仕事幅がすでに決まっていて、中小企業と比べると自由度が低いという点は否めません。
目標を達成したとしても、それが当たり前と捉えられてしまい、「自分が頑張らなくても会社はなくならない」など悲観してしまうこともあるでしょう。
そうならない為には、「自分の意見をいう」「アイデアをだす」「責任感を持つ」ことが大切になってきます。
どんなに大きな企業であっても、「私がこの会社を担っている」というような強い意志を持って、仕事に取り組むことが大切です。
大勢の中に埋もれ自分の存在が薄くなる
少数精鋭の中小企業と違い、大勢の社員がいる大企業では、自己アピール力が低いと存在感がなくなっていく恐れがあります。
出世争いも激しくなるため、結果を出し続けなければ、抜きんでた存在になることはできません。
保守的な社員が多い
大企業の場合は評価基準がきっちりと決められているため、新しいことにチャレンジする人や自分の損得に関係なく動いてくれる人は少ない傾向があります。
「利益がでるかは分からないけど、面白そうだからやってみよう」というような意見は、上にあげる前に消されることが多いです。
また自分の評価につながらないことは、出来るだけやらないという社風が根付いているのも大企業の特徴です。
マニュアル通りにやらなければ指摘されることもあるため、仕事の自由度は下がってしまうでしょう。
古い考えを持った会社も多い
大手とひとくちに言ってもさまざまで、若手の意見をどんどん取り入れてくれる企業もあれば、年功序列がまだまだ浸透している企業もあります。
大企業はどこも開放的でのびのびと働けると思っていると痛い目に合うかもしれません。
井上和幸
大手への転職で要注意するべき会社
大手への転職は、全てが華やかな道というわけではありません。
大手への転職で要注意するべき会社の特徴は、大きく分けて3つあります。
- 従業員数が多いのにも関わらず、継続的に求人を出している企業
- 求める条件と収入の高さのバランスが取れていない企業
- 20代後半から30代の社員が少ない企業
これらの特徴が当てはまる企業に転職を考えている場合は、注意が必要です。
一歩下がって考え、慎重に結論を出すようにしましょう。
従業員数が多いのにも関わらず、継続的に求人を出している企業
従業員が多いのにも関わらず、継続的に求人を出している企業には注意が必要です。
事業が軌道に乗っていて、増員が必要な時期の可能性もありますが、労働環境の悪さ故に離職率が高い可能性もあります。
離職率が高いと、従業員数が多いのにも関わらず、継続的に求人を出さなくてはならないのです。
このような企業は、仮に転職を成功させても長続きしない可能性が高いといえます。
求める条件と収入の高さのバランスが取れていない企業
応募条件のハードルが低いのにも関わらず、高収入を売りにしている企業は、転職をする前に注意が必要です。
条件が低くても給与を高くしなくてはならないのには、十中八九理由があります。
また、基本給自体は低く、歩合給の割合が高い可能性も考えられます。
ノルマが厳しいと高い歩合給を得ることは難しいため、転職後に痛い目を見ることになります。
そのため、業界のなかでも極端に条件が良すぎる場合には、一度周りに相談するなどして、考えることをおすすめします。
20代後半から30代の社員が少ない企業
20代後半から30代前半の、いわゆる中堅層が少ない会社は、入社して数年で辞める人が多い会社の可能性があります。
中堅層の人数は他の層と比べて少ない会社は、新人教育にまわせるリソースがないことが多いです。
そのため、新入社員を育成することができず、数年で辞めていくという負の連鎖が続くことになります。
このような負の連鎖は、社員の年齢比率を確認することで推測することができます。
そのため、中堅層が少ないと感じた企業への転職は要注意です。
中小から大手への転職には覚悟を持って挑む
大企業のデメリット的な要素も述べましたが、「大きな仕事がしたい」「この分野で世界に進出したい」などの高い目標には、大手の潤沢な資本は魅力的です。
しかし中小企業でしか得られないものもあるため、今の職場でしっかりと結果を残してから転職することをオススメします。
中小と大企業の双方を経験することで、さまざまな角度から物事を見ることができるようになり、大きな成長を果たすことができるでしょう。
記事監修
井上和幸さん
早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より現・リクルートエグゼクティブエージェントに転職、マネージングディレクターに就任。2010年2月に株式会社
経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。2万名超の経営人材と対面してきた経験から、経営人材の採用・転職支援など提供している。業界MVPを多数受賞。著書は『30代最後の転職を成功させる方法』他。「日本経済新聞」「プレジデント」「週刊ダイアモンド」他メディア出演多数。
株式会社経営者JP