就職や転職を考える際、その仕事の年収や給料相場は重要なポイントです。
長く安定して続けていけるかどうかや、その後のライフプランを考えるうえでも大切なことですからね。
この記事では生活支援員の収入について条件別に詳しく比較して紹介していきます。
生活支援員が収入をアップするための方法についてもまとめていますので、ぜひ目を通してみてください。
目次
生活支援員とは
生活支援員とは、高齢者施設や障害者支援施設等で利用者さんの生活のサポートをする人のことです。
身体機能や生活能力の向上を目指し、利用者さんそれぞれに必要な支援判断し提供します。
具体的には食事介助や服薬・受診管理、利用者さんの悩みの傾聴や記録の作成等の業務を行います。
生活支援員が就業する職場にはグループホームや就労移行支援事業所等施設等があり、施設によって求められる支援も変わってきますよ。
介護や障害、そして福祉制度に関する理解が求められます。
生活支援員になる方法は?無資格でも大丈夫?仕事内容や給料についても紹介
生活支援員の平均年収・平均時給(雇用形態別)
下記は生活支援員の収入を雇用形態別に表示したものです。
正社員 | 平均年収 313万円 |
---|---|
派遣社員 | 平均時給 1,297円 |
パート・アルバイト | 平均時給 996円 |
国税庁より発表された「令和2年分 民間給与実態調査統計」によると、日本の平均給与は430万円です。
生活支援員の正社員の平均給与が324万円ですから、生活支援員の収入は日本の平均より低いということが分かります。
生活支援員の平均年収・平均時給(地域別)
下記は生活支援員の収入を地域別に表示したものです。
生活支援員の収入が最も高いのは関東で、次いで東海、最下位が北海道・東北となっています。
正社員(年収) | 派遣社員(時給) | パート・アルバイト(時給) | |
---|---|---|---|
関東(1位) | 321万円 | 1,460円 | 991円 |
東海(2位) | 317万円 | 1,350円 | 964円 |
北海道・東北(最下位) | 261万円 | 1,176円 | 869円 |
ちなみに生活支援員の給与水準が高い都道府県は東京都で、平均年収は343万円。
次いで神奈川県が338万円、千葉県が332万円となります。
人口の集中している都心に近い地域の方が、給与水準が高い傾向にあるようですね。
生活支援員の平均年収・平均時給(条件別)
下記は生活支援員の収入を条件別に表示したものです。
「障害者支援施設勤務」「シニア」という条件を加えた際の年収についてまとめています。
正社員(年収) | 派遣社員(時給) | パート・アルバイト(時給) | |
---|---|---|---|
生活支援員の平均 | 313万 | 1,297円 | 996円 |
障害者支援施設勤務の場合 | 308万円 | 1,223円 | 999円 |
シニアの場合 | 330万円 | 1,298円 | 996円 |
障害者支援施設勤務の場合、パート・アルバイトは若干高いですが、その他の雇用形態では平均よりも給与は低いという結果になっています。
一方シニアの場合は、平均と同じか平均以上の給与水準となっていますね。
シニアの人材には経験豊富なベテランスタッフが多く、高いスキルを持っていることが評価され、給与に反映されている可能性が高いです。
また勤続手当によって給料がアップしていることも考えられますね。
生活支援員の平均年収・平均時給(施設規模別)
下記は厚生労働省の調査「福祉・介護職員処遇改善加算等の状況について」から読み取った、入所施設の規模別の平均給与です。
入所施設の従業員の数 | 平均給与 |
---|---|
40人以下 | 33万7,256円 |
41~60人 | 33万8,911円 |
61~80人 | 33万4,530円 |
81人以上 | 35万330円 |
必ずというわけではありませんが、施設規模の大きい方が平均給与も高い傾向にあります。
就職や転職の際は、施設の規模感にも注目しながら転職先を絞り込んでいくと良いでしょう。
福祉業界の職業別年収
下記は厚生労働省の「令和2年度障害福祉サービス従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果の概要」に見る、介護施設で働く職員の仕事別の平均給与です。
平均月給(令和2年2月) | |
---|---|
福祉・介護職員(生活支援員を含む) | 29万7,910円 |
サービス管理責任者 | 37万3,440円 |
看護職員 | 40万4,370円 |
理学療法士・作業療法士 | 39万円 |
技能訓練担当職員 | 36万8,570円 |
心理指導担当職員 | 39万7,960円 |
管理栄養士・栄養士 | 34万5,840円 |
調理員 | 27万9,620円 |
事務員 | 34万3,380円 |
生活支援員を含む「福祉・介護職員」の項目は、調理員に次いで給与が低いという結果となっています。
「福祉・介護職員」の項目には児童指導員や職業指導員なども含まれて、大まかな分類となっています。
ただ、生活支援員の給与水準は医療・福祉業界の中では低い方である、ということは読み取ることができますね。
生活支援員の給与は上昇傾向
下記は厚生労働省の「令和2年度障害福祉サービス従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果の概要」に見る、平成31年2月~令和2年2月にかけての、福祉・介護職員(生活支援員を含む)の月給の変化を表した表です。
福祉・介護職員(生活支援員を含む)の月給 | |
---|---|
平均月給(令和2年2月) | 29万7,910円 |
平均月給(平成31年2月) | 28万5,710円 |
差額 | 1万2,200円 |
平成31年2月~令和2年2月までに、月給が1万2,200円増加していますね。
現在、医療や福祉関連職種の給与は全体的に上昇傾向にあります。
そのため生活支援員の給与も、今後増加していくことが期待できますよ。
生活支援員の給与事情
生活支援員の初任給・手取りについても紹介していきます。
生活支援員の初任給
生活支援員の初任給の相場はおよそ19万円です。
その後資格を取ったり役職をもらうなどして徐々に収入を上げていくのが、一般的な給料アップのルートですね。
生活支援員の手取り
生活支援員の給与は、正社員の場合月給約26万円です。
ただしこれはあくまで総支給額であって、実際には全額が手元に入ってくるわけではありません。
社会保険や税金を天引きした後の金額が、実際の手取りとなります。
手取りは給料の7~8割になるのが一般的ですから、転職や就職を考える際には給与だけでなく手取り額を考慮するようにしましょう。
生活支援員が年収を上げる方法
ここまで、生活支援員の条件ごとの年収や時給の詳細について解説してきました。
生活支援員の給与は決して高いとは言えず、実際日本の平均給与を下回っています。
では生活支援員が収入をアップするためにはどんな方法があるのか。
5つのポイントに分けて紹介したいと思います。
資格手当をもらう
生活支援員が給料をアップするための1つ目の方法は資格手当をもらうことです。
職場によっては、特定の資格の取得によって数千~数万の手当てを支給してくれることがあります。
どんな資格に手当がつくかは職場によって違いますので、事前に資格手当についてよく確認してから、目指す資格を決めるようにしましょう。
役職手当をもらう
経験を積んでリーダーや管理職になれば、役職手当がつき収入をアップにつながります。
そのためには他職種との連携や施設全体の運営等、自分一人の業務だけでなく、広い視野を持って全体を見渡す力が必要となります。
実務経験の浅いうちは難しいですが、職場のリーダーや役職者の動きをよく見て、必要な技術やスキルを学んでいきましょう。
生活支援員に向いている人とは?仕事内容ややりがいについても紹介
夜勤手当をもらう
利用者さんが入居しているタイプの施設では、夜でも職員が常駐していなくてはいけないため夜勤が発生します。
夜勤には大抵7,000円前後の手当てが発生しますので、夜勤の割合を増やすことで収入をアップさせることができますよ。
ただし夜勤は勤務時間が長いので、体力に自信のない方にはつらく感じるかもしれません。
また生活リズムも不規則になるので、そういった条件が気になってしまう方には難しいでしょう。
勤続手当をもらう
職場によっては勤続年数によって給与がアップする制度を取り入れていることがあります。
その場合、同じ施設に長く勤めることで少しずつ給料も上がっていきます。
ただ勤続年数による昇給には、特定の技能の取得や一定のスキルレベルに達していることが条件に設定されていることも。
ただ長く勤めるだけでは手当をもらえない可能性もあるということを覚えておきましょう。
給料が良い職場へ転職する
勤続手当が望めない、役職のポストがなかなか空きそうにない等、同じ職場で給料アップが難しい場合は、思い切って転職するという方法もあります。
施設の規模や種類等も考慮して、より良い条件で雇用してくれる職場を探しましょう。
その際に福祉関連の資格を持っていれば、採用時に給与の交渉もしやすくなりますよ。
仮に元の職場では手当がつかない資格でも、転職先では手当の対象になっている可能性もありますからね。
生活支援員が年収を上げるための注意点
生活支援員が年収を上げる主な方法は、手当てをもらうことと転職をすることです。
ただ、焦って転職先を決めたりすぐに今の仕事をやめてしまうと、気づかないうちの給料アップのチャンスを逃してしまうことも。
まずは本当に今の職場で収入をアップさせる方法がないのかを、しっかりと確認しましょう。
手当の種類と条件を確認し、自分が達成できそうなものはないかをチェックしてくださいね。
また現職の昇給制度についてよく把握しておくことは、他の企業と条件を比較する際にも役に立ちます。
転職活動をしてみたら、意外と元の職場の方が昇給制度が充実していた、なんてこともあり得ます。
焦って退職を早まってしまうことなく、まずは情報を集めるところから始めましょう。
自分に合った給料アップの方法を見つけよう
生活支援員の条件別の収入や、給料をアップするための方法について紹介しました。
生活支援員の収入は決して高くありませんが、給与を上げるための方法はたくさんあります。
まだ実務経験が少ない方は資格の取得、実務経験が豊富人はキャリアアップや転職等、自分の状況に合った方法で給料アップを目指していきましょう。