職場をいろんな条件から選びやすく、勤務地や仕事内容も決まっている派遣社員。
自由度の高い働き方が、男女問わず人気です。
しかし雇用の安定が保障されている正社員とは違い、いつ契約終了になるかに不安を覚える派遣社員も少なくありません。
そこで今回は、派遣社員という働き方のメリット・デメリット、正社員との比較をまとめました。
両者の違いを理解した上で、これからの働き方について考えてみましょう。
派遣社員とは?
派遣社員とは、人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣先となる企業で働く雇用形態を指します。
勤務するのは派遣先の企業ですが、お給料を支払ってくれるのも、社会保険に加入させてくれるのも、すべて派遣会社です。
そのため、派遣先で公開されるあなたの個人情報は「名前」や「職歴」くらいです。
個人情報の観点から、住所や年齢、家族構成などは派遣先に提供してはいけないことになっています。
派遣社員は働ける期間が決まっている
派遣社員は就業先と雇用期間の契約を結び、働き始めることになります。
3ヶ月更新や半年更新などがあり、1回の契約で終了することもあれば、契約更新をして2年、3年と長く働くケースもあります。
派遣社員の5つのメリット
派遣社員という働き方には、たくさんのメリットがあります。
いろんな職場を体験できる
正社員として入社するのは困難な人気企業やネームバリューのある企業など、さまざまな職場で働けるのが派遣社員の醍醐味です。
勤務先の中には、「社食が無料」「企業の商品を割引で購入できる」などのお得なメリットもあります。
アルバイトやパートよりも時給がいい
派遣社員はわりと時給がよく、残業代も通常時間の25%アップで支給される仕組みです。
派遣社員の平均時給は1,500円程度と言われていて、都内であれば1,600円〜1,800円くらいが期待できます。
一方でパートやアルバイトは時給1,000円程度のところが多く、派遣社員の方が安定して稼ぐことが可能です。
ライフスタイルに合わせて働き方が選べる
近ごろは「副業」として、派遣という働き方を選ぶ人が増えています。
また週に3回の扶養範囲内で働きたい人や、子育てや家庭と両立させたい人にも人気です。
勤務地や働く時間帯などの条件面も選べるため、自分がより働きやすい環境を自ら作っていけます。
これまでの経験が活かせる
結婚や出産を機に退職したあとの社会復帰に、派遣社員からスタートさせようという女性も多いようです。
簿記の資格を持っていて経理事務の経験がある、アパレルで販売スタッフとして働いていたなど、これまでの経験を活かして働くことができます。
職場環境が悪くても期間があるので我慢できる
正社員であれば、イヤな人間関係もやりたくない仕事も、基本的に続いていくことになります。
しかし派遣社員であれば契約期間があるため、職場の雰囲気に馴染めないと思ったら、次の更新のタイミングで契約を打ち切ることも可能です。
イヤな上司やお局さまがいても、「あと数ヶ月の付き合い」と思えば乗り切れますね。
派遣社員の5つのデメリット
自由な勤務スタイルが魅力の派遣社員ですが、当然デメリットもあります。
どんなマイナス面があるのか、詳しく紹介していきます。
安定性がない
派遣社員は生涯雇用ではありませんので、「いつ仕事がなくなるか分からない」という不安がまとわり付きます。
20代、30代は需要もありますが、40代、50代になると就業するのも難しく、時給も低くなることが多いようです。
ボーナスや退職金がない
派遣社員は正社員のように、賞与や退職金がありません。
基本的には派遣元の福利厚生を受けることになりますが、交通費も支給されず、家賃補助などはないのが一般的です。
実家暮らしであればゆとりのある生活ができるかもしれませんが、1人暮らしで家賃を払いながら生活するのは、よほど計画的な人でなければ貯蓄する余裕もないでしょう。
社会的信用が低い
クレジットカードはほとんど問題ありませんが、住宅ローンや車ローンなどの高額なローンは組めないケースもあります。
派遣社員はいつ仕事がなくなるか分からないため、無収入のリスクから逃れられません。
責任ある仕事を任されない
派遣社員は事務職などの募集が多いですが、事務の中でもさらにバックオフィス的な仕事を任されることになります。
具体的には、お客様とのやりとりは正社員がメインで対応し、派遣社員はデータ入力や社内の雑務がメイン業務になるでしょう。
会社の重要な部分には関与できないため、仕事の面白さや楽しさを味わうことは少ないかもしれません。
お盆やお正月のある月は収入が減る
派遣社員の場合、働いた分だけが時給換算されるため、長い休みがあった月は給料も少なくなってしまいます。
5月、8月、12月〜1月は、いつもの7割程度しか給料がもらえず、生活も苦しくなります。
一方で、正社員の場合は基本給が決まっているため、大型連休があっても給与が減るようなことはありません。
正社員の5つのデメリット
派遣社員として働きながら、「正社員になりたい」と考えるようになるケースもあります。
「安定」や「ボーナス」、「仕事のやりがい」といったメリットがある正社員は、派遣社員からみると羨ましいと感じるでしょう。
しかし正社員にもデメリットがあるので、こちらをチェックしてから検討することをオススメします。
異動や転勤がある
職種や契約にもよりますが、正社員の場合は転勤や異動があります。
「北海道に行け」と言われれば行かなくてはいけませんし、「中国に1年滞在しなさい」と言われれば断ることはできません。
よほどイヤであれば退職という道もありますが、そこが正社員の辛いところでもあります。
派遣社員の場合は、契約期間中に勤務地や仕事内容などが変わることはまずありません。
会社によっては残業が多くプライベートがない
正社員は会社の要求に応えなくてはならないため、仕事があれば残業や休日出勤も必要です。
最近は残業が規制されている会社も多くなってきて、サービス残業としてコッソリ働いている人も見かけます。
派遣社員は働いた分だけ、きちんと残業代として支払われるので安心です。
嫌なことがあっても会社を辞めづらい
正社員として採用されるには、派遣社員として採用されるよりもハードルが高いため、簡単に辞められないという心理が働きます。
またブラック企業などでは、辞めると伝えることが精神的に負担になり辞められない人もいます。
その点、派遣社員は期間をまっとうすると次の派遣先に移ることができるため、イヤなことがずっと続かないというのがメリットになります。
派遣社員から正社員になる方法
派遣社員として働きながら、「やっぱり正社員になりたい」「もっと仕事を任されたい」などの理由から、正社員になりたいと思い始める人も数多くいます。
派遣社員が正社員になるには、2通りの方法があります。
紹介予定派遣制度を利用する
紹介予定派遣とは、最長6カ月の派遣期間を終えて、派遣スタッフと派遣先の合意があれば正社員になれる働き方です。
派遣スタッフは、実際に職場で働くことで、仕事内容や人間関係を見極められます。
一方で派遣先企業も、本人の働きぶりや仕事への姿勢をみてから採用を決めることが可能です。
自分で転職活動をする
一般的な転職方法ですが、ハローワークや企業のホームページ、転職サイトなどを利用して自分自身で転職活動をする方法です。
これまでのスキルを活かして「実務経験有り」で探すのか、新しい職種にチャレンジするため「未経験歓迎」で探すのかを選択できます。
紹介予定派遣を利用するメリット
企業に直接応募するよりも、紹介予定派遣を活用するのがオススメの理由を説明します。
正社員になった人は50%もいる!
平成30年の厚生労働省の調査で、派遣社員から直接雇用になった従業員数が発表されました。
介予定派遣により派遣された労働者数 | 38,239人 |
---|---|
紹介予定派遣で直接雇用に結びついた労働者数 | 19,008人 |
計算すると、紹介予定派遣制度を利用して正社員や契約社員になった人の割合は49.7%にも及び、およそ半数が直接雇用されたことが分かりました。
厚生労働省「平成30年度労働者派遣事業報告書の集計結果」
https://www.mhlw.go.jp/content/11654000/000607913.pdf
実際に職場環境をみてから正社員になるかが決められる
一般的な就職では、求人票や面接で応募先の職場をイメージすることになります。
面接で聞けるのは仕事内容についてで、人間関係を聞くのはタブーです。
配属した先にイヤな上司がいるということだってあるワケですので、運に任せるしかありません。
紹介予定派遣では実際に働きながら、正社員としてずっと働いていきたいかを決めることができるため、ミスマッチが少なく正社員になってからのギャップを避けることができます。
就業先が合わないと思ったら辞退できる
派遣社員は、派遣先からのオファーがあっても、正社員への道を辞退することも可能です。
実際に、派遣先側が採用を見送るケースが30%あるのに対し、派遣スタッフ側が断るケースが70%もあります。
理由としては、「人間関係が合わなかった」「残業が多かった」「仕事が合わなかった」などがあるようです。
自分の将来を見据えて働き方を決めよう
派遣社員・正社員、どちらもそれぞれの働き方があり、メリット・デメリットも多様にあります。
自分がどんな仕事人生を送りたいか、将来どうな風になっていたいかを考えて、自分にあった働き方を選びましょう。
もちろん、途中で方向転換も可能です。
ただし、転職であなたの「ウリ」になる部分を極めておくと、派遣社員から正社員への転職もスムーズかもしれません。
派遣の仕事も豊富にありますので、まずは派遣会社に登録するところからスタートしてみてはいかがでしょうか?