もうすぐ卒業を迎えようとしているのに、まだ1社からも内定がもらえていない人は、就職浪人になるか就職留年をするか悩ましいところです。
実際のところ、「就職浪人」と「就職留年」はどちらが就活に不利になるのでしょうか?
この記事では、就職浪人と就職留年はどちらが就職に有利なのか、また就職浪人のメリット・デメリットについても深く紹介しています。
後半は就職浪人に適した就活方法も掲載していますので、既卒者の方はチェックしてみて下さい。
目次
「就職浪人」と「就職留年」ってどう違う?
卒業間近になるとささやかれる「就職浪人する?就職留年する?」という話題。
双方の違いを簡単に説明すると下記になります。
- 就職浪人……学校を卒業して、既卒として就職活動を続けていくこと
- 就職留年……卒業をせず留年して、学生のまま就活を続けていくこと
それぞれについて詳しく説明します。
就職浪人とは
就職浪人とは、卒業までに内定をもらえなかった人が、留年せずに卒業して就活を続けていくことを指します。
つまり既卒で就活をするということです。既卒は企業が求める「新卒カード」を失うことになるため、就職活動が困難になると言われています。
既卒の中には、「内定はもらえたが希望にそぐわない就業条件だった」などの理由で、内定を辞退して就職浪人になる人もいます。
他にも「公務員試験を受けるため」「留学に行くため」といった理由で就職浪人をするケースも見られます。
就職留年とは
就職留年とは、卒業までに内定がもらえなかったため留年し、そのまま学生として就活を続けることを指します。
「既卒になると就活が大変」という理由で、わざと単位を落としたりして大学3年生に混じり就活を続ける人も多いようです。
ただし大学に残るということは、1年分の学費を払う必要があるため、経済的に負担がかかってしまいます。
家族にも迷惑をかけてしまう行為ですが、それでも学生として就活した方が有利という考えから、金銭的に余裕があれば留年を選択することができるのです。
「就職浪人」と「就職留年」はどちらが就職に有利?
実はどちらも不利です。しかしあえて言うなら、「新卒カード」が使えない就職浪人の方が不利になります。
就職留年の場合、留年しているという理由だけで不採用にする企業は稀で、新卒の学生には変わりないという風に見られます。
新卒を募集する多くの企業は、まっさらで履歴書がキレイな新卒を雇いたいと思っているからです。
就職浪人はデメリットだらけ?
就職で不利といわれる就職浪人は、どんなリスクやデメリットがあるのか見てみましょう。
新卒と比べると応募できる求人数が減る
既卒扱いになることで、「新卒」を重視している企業では応募ができなくなる可能性があります。
中には中途採用枠での応募に切り替わってしまい、スキルや経験のある転職組とひとつの椅子を競わなくてはなりません。
卒業して2〜3年間は、既卒が新卒枠で応募できる企業も数多くありますが、既卒というだけで偏見の目でみられてしまい採用に至らないケースがほとんどです。
常に孤独を感じてしまう
就職浪人になると、学生時代の友人たちと疎遠になったり、学校の就職サポートが受けられなくなったりして、孤独な環境下で就活をすることになります。
多くの同級生は新社会人として活躍しているという、無言のプレッシャーを感じてしまうこともあるでしょう。
既卒としての就活は初めてになるため、新卒と同じ方法で就活をしていいのか、このまま就活を続けていいのか疑問になる人も多いようです。
しかし相談する人が見つからず、孤独を感じたまま就職を諦め、アルバイトや派遣社員などの非正規社員として働き始める就職浪人もいます。
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就職浪人にもメリットはある
就職に不利といわれる就職浪人ですが、実はデメリットばかりではありません。
学校に通う必要がないため、就活に多くの時間が使えることで、以下のようなメリットが生まれます。
- 時間をかけて自己分析をし、やりたい仕事を探すことができる
- 前年度の経験を活かした就活ができる
- 友人からリアルなアドバイスがもらえる
既卒者の中には、自分の得意分野を見出し、在学中よりも多くの内定をもらえる人がいます。
また「卒業=就職」ということで、何となく就活していた人は自分を見直す時間ができ、本当にやりたい仕事を見るけるチャンスにもなります。
新卒として就活を経験していることは強みにもなり、「こんな志望動機が面接官の反応がいい」「この業界はこんな自己PRが効果的だった」など、前年で経験したことを活かすこともできるでしょう。
また一足先に社会人となった友人たちからも、就活のポイントが聞け、社会人になったからこそ分かる企業の選び方などのアドバイスがもらえるのも魅力です。
就職浪人に適した就活方法を探す
就職浪人をしていると、新卒と同じ就活方法では内定を勝ち取ることが難しいということに気付くはずです。
では既卒に適した就職活動とはどんな方法でしょうか?
皆さんがよく利用している就活ツールを、それぞれ分析してみました。
就職浪人に転職サイトが不向きなワケ
転職サイトを使って仕事を探している人は、自身の経歴をどう書いていいのか悩んでいませんか?
転職サイトには前職の「経歴」「年収」「就業期間」などを記載しなくてはならず、正社員として働いたことがない就職浪人には使いづらくなっています。
多くの求人があることで魅力的な転職サイトですが、あまりにも数が膨大で「何を基準に選んでいいのかが分からない」「ネットで調べてもピンとこない」という人も多いでしょう。
就職浪人には新卒用の就職サイトは役立たない
学生時代に活用していた就職サイトを、そのまま継続して使用する就職浪人も数多くいます。
しかし既卒である就職浪人が書類選考に通ることは困難で、面接までいけたとしても、面接官のネガティブな質問責めに合い不採用となるケースがほとんどです。
また「こういう職場では働きたくない」という気持ちがあっても、「就職浪人の身だから……」と、自分の気持ちに蓋をして就活をしてしまう人も少なくありません。
就職浪人はハローワークで仕事を探すと失敗する?
既卒の就活が分からない就職浪人は、まずハローワークに行こうと考える人が多いようです。
ハローワークでは、「新卒応援ハローワーク」というサービスがあり、個別で就職支援のサポートをしてもらうことができます。
応募書類の添削や面接対策もあり、就職セミナーやビジネスマナーの習得もできるなど、サービスが充実しているのも特徴です。
しかし「あなたの適性に合っている求人はこれです」というようなアドバイスは、公平性を保つため受けることができません。
さらにハローワークの求人は無料で出せるという企業にとってのメリットがあり、ブラック企業や助成金目当ての企業が含まれていることが多いので、十分な注意が必要です。
就職浪人は既卒に特化した転職エージェントを使うべし
多くの就職浪人経験者が口を揃えてオススメするのが、「転職エージェントを使った就職活動」です。
近年は若手の採用に苦戦する企業も多いことから、「既卒」に特化した転職エージェントも増えつつあります。
専任のキャリアアドバイザーがカウンセリングを通して、あなたに合った企業を見つけてくれるほか、セミナーやマナー講座が無料で受けられるのも魅力のひとつです。
転職のプロが全面的に就活をサポートしてくれるおかげで、1人で就活をするよりも最短で内定をもらうことができます。
転職エージェントごとに、優良ベンチャー企業に強い、大手の求人情報が豊富、書類選考が不要など、さまざまな特徴があります。
オススメは3社ほど登録して、たくさんの求人を紹介してもらうことです。
いい就職先に出会えるかは、キャリアアドバイザーの腕力にかかっているということも一理あるため、1社だけの選択肢では思うような結果が出ないこともあります。
就職浪人は空白期間に何をするかで今後の人生が決まる!
就職浪人の面接では、「学校を卒業してから今日まで何をしてきましたか?」と質問される確率がとても高いです。
きちんと受け答えできるように、どんな活動をしていくか、事前に計画を立てておきましょう。
アルバイトでも資格の勉強でも、世界旅行でもなんでもいいと思いますが、面接官になぜそれを選択したかについて納得させる必要があります。
たとえば、「今までの私は自分から積極的に話しかけていく方ではなかったので、アルバイトの接客業を通してコミュニケーションスキルを磨きたいと思いました」「学生時代から企業の財経に興味があったので、簿記1級とFASS検定の資格を取得しました」など、前向きに活動していたことを述べましょう。
就職浪人は就活期間でどれだけ成長できるかが重要
就職浪人になり「人生終わった……」と落ち込んでいる人は、もっと前向きになって自分磨きに時間をかけて下さい。
同級生よりも就職に時間をかけられるようになり、自分が本当は何をやりたかったのか、どんな仕事人生を送っていきたいかを振り返るきっかけにもなります。
就職浪人の期間を充実させることができれば、慌てて周りと足並みを並べる必要もありません。
自己分析に十分な時間を使えたことは、「あのとき方向転換してよかった」とプラスに働くこともあります。
そうなれば就職浪人という選択も悪くないのではないでしょうか。