SIer（システムインテグレーター）とは、システムを導入したいと考える企業に対して、そのシステムの開発や運用全般を請け負う企業のことですね。
IT業界の需要が高まるとともに、SIerの注目度も高まっています。
しかし一部では、「SIerはやめとけ」「SIerはオワコン」というような声もよく聞かれます。
このようにSIerが非難される理由とは一体何なのか。
またSIer経験者の体験談や、就職後に後悔しないための企業選びのポイントについても紹介していこうと思います。
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目次
SIer全てが「やめとけ」なわけではない
SIerにも企業によって様々な特徴があり、一概に非難されているわけではありません。
例えば「SIerは給料が安い」「残業が多い」という話もありますが、それはSIer全体に当てはまることではありません。
SIerでも年収が高いところもあればもちろんホワイト企業もありますからね。
ただしそういった企業の見極めができないと、入社後に辛い・辞めたいと感じる可能性も高くなるでしょう。
「やめとけ」と言われるSIerの特徴についてよく把握してから企業選びをすることが大切ですよ。
システムインテグレーター（SIer）とは？仕事内容やSEとの違いまでわかりやすく解説
こんなSIerはやめとけ
企業選びで避けるべきSIerの特徴は、主に下記の5つです。
- 受託開発以外に強みのないSIerはやめとけ
- 企業ポジションが3次請け以下のSIer はやめとけ
- 新しいことをしないSIer はやめとけ
- 若手社員が少ないSIerはやめとけ
- エンジニアの待遇が悪いSIerはやめとけ
受託開発以外に強みのないSIerはやめとけ
受託開発がSIerの基本ではありますが、しれだけしかできない会社は将来性という意味で厳しいです。
なぜなら、今は一般企業でもシステムを自社開発する会社が増えているからですね。
そもそもSIerに依頼するというのは日本特有のもので、海外ではシステムを内製化していることが多いです。
日本の一般企業も一部でシステムの内製化を始めていることから、受注開発の依頼数は減少傾向にあります。
今はまだまだ需要があるものの、受託開発だけを行い、自社サービスや独自の強みなどがないSIerはいずれ時代に取り残されてしまうでしょう。
企業ポジションが3次請け以下のSIer はやめとけ
SIerは、下記のような多重下請け構造からなっています。
- システムを発注したい企業が、元請け（1次請け）SIerに依頼
- 元請けSIerが2次請けSIerに仕事を卸す
- 2次請けSIerがまた3次請けSIerに仕事を卸す
これは中規模から大規模のシステム受託開発でよく見られる形態です。
下請けに仕事を発注する際は、自社の人員を使う単価よりも安く発注知りことになりますから、企業ポジションの低いSIerほど給料が安くなっていくのですね。
実際同じSIerでも、所属する企業の立ち位置によって年収は数百万円も変わってきます。
安定した給料が欲しい場合は、元請けか2次請けまでの企業を選ぶと良いでしょう。
新しいことをしないSIer はやめとけ
IT業界は需要が増えていますが、同時に競争も激しくなっています。
時代に合わせた新しいことに挑戦していくことは、IT業界の激しい競争を勝ち抜いていくためにも重要です。
新規事業に取り組んだり、最新ツールを取り入れたり等、チャレンジする姿勢が見えない企業は生き残ることは難しいでしょう。
またIT系の人材はどの企業も不足している状況なので、技術者や専門知識持つ人材は各企業で取り合いになります。
優秀な人材を確保し定着してもらうためにも、リモートワークの導入や福利厚生の強化等、働き方改革への取り組みにも注目したいですね。
若手社員が少ないSIerはやめとけ
SIerに限った話ではありませんが、20代や30代の若手が少ない会社は、労働条件や待遇に問題があることが多いです。
年功序列があからさまで若手が働きにくかったり、優秀な人材でも低い年収で働かなくてはいけない等の理由が考えられますね。
これから会社を担っていく若い世代が少ない・定着しない企業は将来性にも不安が残りますね。
エンジニアの待遇が悪いSIerはやめとけ
SIer業界にはエンジニアの存在が非常に重要で、エンジニアが働いてくれなければ売り上げもありません。
IT業界はどこもエンジニア不足ですから、その気になれば簡単に転職することができます。
エンジニアの待遇が悪い企業からは人がどんどんいなくなり、その中で残ったエンジニアはさらに仕事が増え待遇が悪化します。
企業に欠かすことのできないエンジニアを大切に扱っているかどうかも、会社選びの重要なポイントです。
こんな人はSIerをやめとけ
ここまではやめておいたほうが良い企業の特徴について解説しました。
ここからは、「SIerには合わない可能性の高い人」の特徴について紹介していきたいと思います。
- 開発に携わりたい人
- マネジメントに興味がない人
- 客先に常駐して働きたくない人
開発に携わりたい人
SIerの仕事は要件定義や設計といった作業で、基本的にプログラミングは行いません。
新人のうちは作業把握のためにプログラミングをすることもありますが、大企業ほどそういった開発の部分は下請け企業に依頼することが多いです。
実際にプログラミングをしてシステムの開発に携わりたいと考えている方は、入社後業務内容にギャップを感じてしまうでしょう。
黙々と仕事をしたい人
SIerの業務はクライアント企業との打ち合わせ、予算やスケジュールの調整、プロジェクト全体の進行管理等です。
中には大規模なプロジェクトもあり、周囲と連携して仕事を進めるコミュニケーション能力とマネジメント能力が必要となります。
1人PCに向かって黙々と仕事をしたいと考えている方には、SIerは合わないでしょう。
客先に常駐して働きたくない人
自分の会社から派遣されて別の会社で働くことを客先常駐、または出向と言ったりします。
中小のSIerでは基本的にこの客先常駐のスタイルで就業することになりますね。
また同じ企業にずっと常駐しているわけではなく、プロジェクトごとに職場が変わります。
職場ごとに人間関係の構築に苦労したり、仕事環境が何度も変わることにストレスを感じてしまう人もいるでしょう。
SIerをやめた・やめたい人の体験談
ここではSIer経験者の実際の体験談を紹介します。
大手のSIerに勤めましたが、確かに新人時代以外に自分でプログラミングをする機会はありません。
もちろんそのことは理解したうえで入社しましたが、仕事をするうちに、やはりプログラミング技術を活かして開発業務に関わりたい、という気持ちが強くなっていきました。
マネジメントのスキルを磨くことはできましたし、得るものは多かったと感じているので後悔はしていません。
ただ自分が本当にやりたいことは何か、将来的にどうなりたいのかの自己分析は少し足りなかったと感じています。
今はプログラミングの勉強を再開しながら、開発に関われる仕事へ転職を考えています。
大手の下請けSIerでしたが、残業が多すぎて体を壊してしまいました。
受けた依頼のスケジュールがタイトすぎて、ほとんど無茶ぶりに近い要求も多かったですね。
そういった無茶な仕事を引き受けると当然ながら残業が増え、仕事量と給料が見合わなくなります。
無理をして頑張ってもリターンが少ないため、できないものはできないと伝える勇気も大切だと学びました。
SIerの良いところ
SIerにマイナスイメージを抱く人も多いですが、SIerならではのメリットもあります。
SIerの良いところもしっかりと把握して就職や転職に活かしてください。
入社しやすい
近年、IT業界の需要がますます高まっていることもあり、多くの企業がIT人材の不足を課題としています。
プログラミングのスキルがない未経験で採用される可能性は高く、特に若い世代なら就職や転職がしやすいでしょう。
ただし、入社後業務についていけるかはまた違う話です。
ある程度自主学習やコミュニケーションスキルを磨く努力等、積極的な姿勢は不可欠となります。
企業に必要とされていて将来性もある
SIerの今後を心配する声もありますが、お伝えしているようにIT業界は需要が大きくなっているのに対して人材が不足しています。
そのためSIerの仕事が今後なくなるとは現状考えにくいです。
しかし、最近はシステム開発をより簡単に進められる低コストで便利なサービスが開発されています。
今後も長くSIerで活躍したいのであれば、企業にとって必要な人材であり続けられるよう、スキルアップする努力が必要です。
企業選びに気をつければ給料は安定している
SIerでの給料は元請けより2次請けが安く、2次請けより3次請けが安くなる傾向にあります。
特に3次請け以下のSIerになると労働条件も過酷になりがちです。
逆を言えば、元請けや2次請けであれば、年収は日本のサラリーマンの平均以上を狙うことが十分に可能ということですね。
SIerならどれも同じというわけではなく、企業選びのポイントをしっかりと抑えていれば、SIerで高収入を得ることもできるのです。
後悔しないためのSIer 選びのポイントまとめ
SIerに就職する際の企業選びのポイントをまとめました。
SIerの企業ポジションに注目して選ぶ
SIerには元請け（1次請け）、2次請け、3次請けのように、一つのプロジェクトに関わる際のポジションが企業ごとに異なります。
基本的に給与水準や労働条件などは下に行くほど厳しくなりますから、元請けか2次請けまでのSIerを選ぶのがおすすめですよ。
将来的にITにどう関わっていきたいのかを考える
将来的にはプログラミング技術を活かして開発に携わりたい、という方の場合、元請けのSIerではなく開発作業も受注する下請けSIerの方が向いているかもしれません。
元請けSIerでは打ち合わせやマネジメント業務ばかりで、プログラミング技術を磨く機会はかなり少ないですからね。
反対にマネジメント能力を磨いてコンサルの仕事をしたいと考えている方なら、元請けSIerの方が向いていると言えます。
このように自分が将来どのようにIT業界に関わっていきたいかを明確にすることで、企業の絞り込みに役立ちます。
SIer は企業選びが重要
SIerはやめとけと言われる理由や、SIer経験者の体験談、そして企業選びのポイントについて紹介しました。
SIerは企業によって様々な特徴がありますから、どれも同じだと思って選ぶとミスマッチの原因となります。
SIerを批判する声はありますが、実際のところは企業次第ですからね。
自分が重きを置くのは仕事内容なのか、収入なのか、働きやすさなのか。
まずはそれをはっきりさせて、条件に合ったSIerを探してみてください。
