会社から突然の転勤命令が出されたら…。
どんなに会社からの命令だとわかっていても、家族の状況を考えたり、転勤命令に納得していなかったりすると「拒否したい」と考えることもあるかと思います。
転勤に関する正しい知識を身に付けながら、辞令を受けたあとの対応方法を考えていきましょう。
目次
転勤は一般的に拒否できない
いきなり転勤を言い渡されたとして、会社側に不満を伝えたとしても転勤を拒否することはできません。
企業では就業規則に基づいて細かくルールが設定されており、社員として守ることが求められます。
そのため急だとしても転勤の辞令を言い渡されたとしても、拒否することはできません。
嫌だから断ることが許されないため、不満があったとしても飲みこむことが大切です。
転勤を拒否してしまった場合、以下の処分が下る可能性があるので、注意が必要です。
就業規則違反で処分対象になる
一般的に、企業が提示する転勤命令は拒否することが難しいとされています。
多くの企業では、就業規則や雇用契約書に転勤の可能性が明記されており、これを拒否することは就業規則違反とみなされることがあります。
転勤命令の拒否が就業規則違反となる場合、懲戒処分の対象になる可能性があり、最悪の場合、解雇等の重大な処分が下される可能性もあります。
育児や結婚等の家庭の事情を理由としても、企業として認めることが難しいため、家庭内で話し合う必要があります。
したがって、転勤命令を受けた際には、就業規則の内容や契約条件を確認し、適切な対応を取ることが重要です。
必要性がない・不当な場合は拒否できることも
ただし、転勤命令が明らかに不当であったり、必要性が認められない場合には、拒否することが可能です。
例えば、転勤が労働者の健康を著しく害する可能性がある場合や、家族の事情など特別な理由がある場合には、転勤拒否の正当な理由となり得ます。
また、転勤命令が嫌がらせの一環として不当に行われている場合も、拒否することができます。
もし不当に転勤を命じられた場合、法的手段を取ることも検討してみましょう。
急な転勤でも会社に断れる条件4選
急な転勤を言い渡されたとしても、以下の条件に当てはまれば転勤を断れる可能性があります。
- 転勤の内示段階
- 雇用契約と異なる条件での転勤辞令
- 転勤で体調が悪化する可能性がある
- パワハラによる転勤辞令
以下で詳しく解説していきます。
転勤の内示段階
転勤の内示段階の場合、会社に希望を伝えることは可能です。
一般的に転勤が急に言い渡されることは少なく、事前に皆さんに対して共有があります。
内示段階であれば条件交渉は可能ですので、完全に転勤をなくすことはできませんが、少しでも有利な条件に近づけることは可能です。
この段階でどうしても転勤が難しい旨を伝えてみるのもいいでしょう。
雇用契約と異なる条件での転勤辞令
雇用契約と異なる条件での転勤辞令は、断れる可能性が高いです。
各地方に支社を持つ企業では、エリア限定社員と全国転勤可能な社員と、勤務地によって雇用条件を分けた採用を実施しています。
エリアを限定して採用されている社員であるにも関わらず、転勤を命じられた場合には、契約を理由に転勤を拒否できます。
ただし申し出る際には、事前に雇用契約をしっかりと確認したうえで挑みましょう。
転勤で体調が悪化する可能性がある
普段からかかりつけの病院で診察を受けないといけない病気や、長距離移動で耐えられないなど、転勤により病状が悪化する可能性の場合も考慮してもらえる可能性があります。
命にかかわるレベルのものであれば、人事担当や上司に伝えることで取り計らってもらえる可能性もあります。
やむを得ない事情の範囲は企業によって異なりますので、過去に認められた事例を聞いておくと良いでしょう。
パワハラによる転勤辞令
転勤の辞令自体が仲の悪い上司や意図的に思える等、パワハラに該当する事由で転勤の辞令が出されている場合、転勤を断れる可能性があります。
正当な理由がない状態で転勤を言い渡されると証明できる場合、一度人事担当や上に掛け合ってみることをおすすめします。
職場で嫌がらせを受けている場合、法的な対応は取れないか相談することも大切です。
会社が転勤命令を出す理由
会社が転勤命令を出すのにも、理由があります。
会社の命令を拒否できるのかを考える前に、まずは会社が社員に転勤を命じる理由を理解しておきましょう。
社員のスキルアップのため
長い間同じ部署で環境の変化も少ないと、専門的なスキルは身につきますが視野は狭くなってしまいがちです。
広い視野で物事をとらえられる力は、今後どこで働くとしても必要なスキルです。仕事の幅も広がります。
会社の成長のため
社員のスキルアップは会社の成長につながります。
定期的に人員の配置を変えることで、社員の刺激になるだけではなく、マンネリ化の解消にもなります。
人が入れ替わることで、新しい発想が生まれ、社員の行動力も変化します。
それは会社が成長していくには必要な変化です。
会社の事業方針
会社は全体のバランスを考えながら人員の配置場所を考えます。
事業の拡大や新規事業を立ち上げる際には、即戦力となる社員の存在が必要ですし、そういった社員を新しい部署へ移動させるとこれまでのバランスは崩れてしまいます。
会社の事業方針を考えると、いかに組織全体のバランスを崩さずに事業を拡大していくのかを考える必要があります。
人員の配置を調整することで、会社はバランスを保とうとしているのです。
転勤にはメリットもある
転勤と聞くと、
- 知らない土地へ行く…
- 仕事の内容が変わる…
- 家族はどうするのか…
などマイナス面ばかりを考えてしまいがちです。ですが、転勤にもメリットは沢山あります。
考え方によっては自身の成長のチャンスでもあり、世界が広がる良いきっかけにもなるでしょう。
自身のスキルアップ
これまでとは異なる場所で、異なる内容の仕事をすることは、これまでのスキルや経験を活かせるだけでなく、さらに新しいスキルを身に着けられるチャンスです。
環境が変わることに不安を感じることもありますが、変化は自分の視野を広げるきっかけになります。
自分で環境を変えるのは、思っている以上に労力が必要です。会社からの辞令は、見方を変えれば自分の環境を変える絶好のチャンスになるのです。
経験できることが増える
場所や仕事の内容が変われば、これまで経験してこなかったことにチャレンジできます。
仕事に限らず、新たな土地へ行けばそこでまた新たな出会いもあることでしょう。
家族にとっても、出会いのチャンスになるかもしれません。もちろん不安を抱えながらの生活になるので、悩むことも増えるかもしれません。
ですが、それが後々良い経験と思える可能性も十分に考えられます。
会社の目に留まっている
会社側が転勤を命ずるということは、新しい環境でのチャレンジを期待しているという可能性も大いに考えられます。
転勤は、会社にとっても大きな影響を与えます。お金をかけて人員を育てるということです。それは会社の成長にも大きく関わってきます。
これからの成長に期待して転勤を命じたのであれば、これから先会社にとっても欠かせない人材であると判断されたとも考えられます。
地方によっては各種手当がもらえることも
会社によっては転勤をすることで、各種手当を用意している企業もあります。
寒冷地であれば燃料費の手当てが出ることもありますし、交通費が出ることもあるでしょう。
各種手当と都心部よりも安い物価で、生活が楽になる可能性もあります。
どうしても転勤したくない場合の対処法
そういわれても、今の状況を考えると転勤はできない…という場合もあります。
そんな時に、なるべく円滑に解決策を考えるにはどんな方法があるのでしょうか。
退職を申し出る
どうしても転勤は難しいという場合、退職するという手段もあります。
この場合に気を付けておきたいのは、退職理由が「会社都合」ではなく「自己都合」になる場合もあるということです。
様々な状況を踏まえて判断されるので一概には言えませんが、そういった可能性もあるということは頭に入れておきましょう。
会社から何らかの辞令が出された場合、それは自分の人生やこれからのキャリアを考える良いきっかけになります。
転勤が自分にとって良い方向に向かうこともあれば、退職が新たな一歩を踏み出す前向きな原動力にもなります。
どちらを選んでも、選んだ先でベストを尽くすことには変わらないのです。
弁護士や労働基準監督署へ相談
専門家の知識が必要な場合もあります。
自分だけではどうしたらよいのか分からないという方は、弁護士や労働基準監督署へ相談してみましょう。
トラブルを避けることにもつながります。
転勤を拒否できるか調べて適切な対応を取ろう
転勤の命令を拒否するのは難しいということがお分かりいただけたかと思います。
いくら会社からの命令とはいえ、転勤は自分や家族の人生にも大きな影響を与えます。
会社からの辞令は、自身の今後を考える良いきっかけにもなります。
これからの自分にとってどんな判断をすることが自分の人生にプラスになるのかを考えて結論を出しましょう。