転職エージェントは企業が支払う紹介料も高いと聞くし、転職で不利になるのだろうか。
自力で転職エージェントを使用せずに転職した方が得なのだろうか。
その不安な気持ち、よく分かります。
でも、大丈夫です。
今回は転職エージェント経由での内定率と、自力転職の内定率の差を解説していきます。
少し長くなりますが、最後までお付き合いくださいね。
目次
転職エージェント経由の内定率はどれくらい?
転職エージェント経由の内定率を紹介いたします。
企業規模別に見ていくと、中途採用者の内定確立と媒体経由の割合は大きく変動しますので、会社規模を分けてそれぞれで見ていきたいと思います。
会社の規模と、経営者の考え方で比率は大きく変化します。
人気企業・上場企業は約60%が転職エージェント経由
有名企業の場合には60%以上が転職エージェントを経由しての転職になります。
よく大企業や有名企業は求人をかけていないから滅多に入社できないという風評がありますが、非公開求人で転職希望者を取っていますし、希望の条件に合致しない人には求人紹介をしないように人事担当者がお願いしているためこのようになります。
大企業でも経営者に気概のある人や、人事のことをよく理解している経営者の場合には比率は20%に下がることもあります。
「人事の仕事は汗をかいて頭と足を使って優秀な人材を獲得する事。それを怠っているようなものは人事失格であり、人事をしてもらう必要はない。転職エージェントに頼るなど言語道断!」というような考え方をしている経営者もいるので、経営者次第というところもあります。
但し、昨今では間接部門(総務人事経理法務といった管理部門)の人員を削減して、直接利益を取れる営業職などを増加させている背景もあり、大企業の人事部門は慢性的なマンパワー不足です。
特に人気企業や上場企業は間接部門の人員を削減し人件費を抑制して、売上が高くなるように見せかけるのが主な風潮となっており、その影響もあって転職エージェントの活用比率を上げざるを得ないのが実情です。
私にも経験がありますが、人気企業や上場企業には何万人もの従業員がおり、彼らの給与計算や教育をしながら採用活動を行うという状況では、転職サイトを活用する余裕がなかったのも事実です。
有名な企業になると転職サイトで求人をかけると何千人と転職希望者がエントリーをしてきます。
すでに普段の業務でパンク寸前の大企業の人事部は転職エージェントに頼らざるを得ないので、転職エージェントに採用候補者を探してくる役割を果たしてもらう為、お願いしています。
中小企業・ベンチャー企業は20%が転職エージェント経由
中小企業・ベンチャー企業になると転職エージェントの活用比率は20%にまでダウンします。
基本的に中小企業とベンチャー企業は、お金に余裕はない代わりに、社員数が少ないため事務処理に割く工数が少ないのでマンパワー不足に陥りません。
時間はあるけれどお金がない。
採用活動に時間を割くことができるので、中小企業とベンチャー企業の社員はとにかく転職希望者に出会うために専門学校や職業訓練校に足を運んだり、転職サイトの1回の求人で出来るだけ多くの人材獲得を目指します。
中小企業やベンチャー企業で仕事をしたいと考えている場合には自力での転職活動の方が成功確率は格段に上がります。
自力で転職活動した場合の内定率は?
この場合も企業規模によって内定獲得率が変動しますので、企業規模ごとに説明いたします。
人気企業・上場企業・大企業の場合
大企業への自力での転職成功確率は40%です。
自力で転職活動をしても大企業から内定を獲得することは可能です。
大企業は中小企業よりもそもそも中途採用者の枠が大きいのです。
大企業の場合は中途採用者を枠より少し多めに設定できます。
仮に採用に失敗したとしてもお金に余裕があるのでまた転職サイトで求人をかけることが可能ですし、そもそも中途採用者の枠を同じ職種で複数名用意できるのは大企業くらいなものです。
中途採用者が合わないといって会社を退職しても困らないように定数以上に人員を確保するのが大企業の中途採用の特徴です。
中小企業が事務職を募集しても募集上限が1名なのに対して大企業では退職者が出ることを予測して5名ほど採用枠を設定することが出来ます。
また大企業の場合にはマンパワー不足の時期が多いですが、一時的に暇になる時期があります。
大企業の人事の閑散期は、8月です。
この月であれば人事担当者には時間の余裕ができます。
理由としてはこの時期は新卒社員の研修も終わっていますし、事務処理も給与計算くらいしかありません。
この時期を狙えば大企業に転職サイトなどを活用して自力で転職活動をしても内定を獲得できる可能性があります。
中小企業・ベンチャー企業の場合、自力での転職活動の成功確率は?
中小企業・ベンチャー企業の場合には自力での転職成功確率は80%です。
そもそも転職サイトをメインに採用活動を行っていますし、ある意味、人気のない中小企業やベンチャー企業では通年採用状態です。
人手不足の昨今も昔も、中小企業やベンチャー企業はいつも人手不足なのが当たり前です。
いい転職希望者がいればすぐにでも採用したいという状態が以前から当たり前のようになっています。
Uターン転職などで地元密着の企業に帰りたい場合などは転職エージェント経由で転職活動を行うよりは、転職サイトを活用した方が採用されやすいです。
転職エージェントを利用した方が転職しやすいのか
どうしても大企業で全国転勤のあるような一流大企業に転職したい場合には、転職エージェントを活用した方が内定確立は上がります。
転職エージェント経由での転職成功確率が60%で、転職サイト等の自力での転職成功確率が40%なので、実際には両方使った方が得策ということです。
僅か20%しか内定成功確率は変動しません。
裏を返せば転職サイトと転職エージェント両方を活用すれば100%に近づくということです。
どちらも活用することを強くおススメいたします。
中小企業・ベンチャー企業は資金力が弱いから転職しにくくなる
中小企業・ベンチャー企業ではそもそも資金力の面で難があるので、採用成功に至る可能性は下がります。
そもそも中小企業・ベンチャー企業の場合には、同じ求人を行うのに、転職エージェントと転職サイトとハローワークを並行して使っている事が多いです。
なぜこのようなことが出来るのかと言えば、転職サイトと転職エージェントの仕組みの違いから起こります。
転職エージェントは採用に関して成功報酬型の料金体系を採用しています。
転職エージェントは紹介した人に、紹介先企業から内定が出なければお金が出ません。
反対に、転職サイトは採用成功しようがしまいがお金がかかります。
併用できてしまうということです。
大企業であれば守秘義務や非正規従業員に正社員の給料を知られたくないとして、転職エージェント一本で採用に勝負をかけるのに対して、中小企業は特にそんな秘密はないし、そもそも中小企業やベンチャー企業には人事部がない会社もたくさんあります。
そのような場合には、少しでも負担が少ない採用方法を選ぶ可能性が高いです。
転職エージェントを利用することで不利になる点とは
転職エージェントを利用する事で不利になる点とは、転職希望者本人以外の転職候補者(ライバル)の能力水準が単純に高くなってしまうという点につきます。
転職サイト経由やハローワーク経由の応募者は玉石混交という表現がふさわしいです。
ベテランが応募してくるかも知れないし、未経験者が応募してくるかも知れない。
反対に募集職種に精通したスペシャリストが応募してくる可能性もあります。
一方で、転職エージェントを経由すると殆ど応募者の質にバラつきがありません。
転職エージェント経由では紹介料が高いから採用されにくいと言いますが、採用のハードルが高くなるのは実は、そこではありません。
特に大企業に限って言えば、売上高800億円以上で従業員が数千人いるような企業では採用経費などそもそも問題ではありません。
転職エージェント経由で本当に大変な部分は、お金の問題ではなく相対的な転職候補者同士のレベル感の問題があります。
転職エージェント経由で来る人材は転職エージェントがある程度の選考を行ってしっかりした人を選んできます。
学歴要件でいえば早慶上智(早稲田、慶応、上智)MARCH(明治青山立教中央法政)までで、職務経歴としては一貫して管理部門経験最低5年以上で31歳までという風に決められた枠の中で候補者を転職エージェントが紹介してくれます。
採用側の実感としては、ハイレベルな候補者が何人も来ると正直、内定できるかどうかが運だけの要素が強くなる感覚を持ちます。
経歴も同じ、学歴も似たようなレベル、こうなると意外性は少なくなり、当日の面接の際の転職希望者のコンディション次第で合格にも不合格にも揺れてしまいます。
実力に自信のある転職希望者にとっては有利な状況にはなっても、少しでも自信のない経歴の方はかなり不利になります。
例えば同じ経験5年という要件でも、若くしてすでに管理職の経験をしているハイスペックな若手社員も混じっています。
こうなってくると管理職経験のない人は不利ですし、どうせ紹介料を払うならば出来るだけいい人にしておこうという心理にもなります。
ライバルの水準が向上してしまうと面接選考の際、とても不利になってしまいます。
転職エージェントを経由して面接選考に挑むとハイレベルな争いに巻き込まれやすいということです。
自力で転職活動をした方が実は自分のフィールドで戦うことが出来る!
転職サイトなどで自力で転職活動をした方が実は、転職希望者が工夫できる余地が多いのです。
特に仕事実績に自信のない人ほど転職サイトなどを活用して自分より能力水準の低い候補者が混じっている中で勝負する方が内定する確率は高くなります。
反対に、これまでの職務内容や学歴に自信を持てる人は転職エージェントを活用した方が内定確立は高くなります。
このように一概に転職エージェントが有利か転職サイトが有利かどうかは転職希望者自身の能力によって考えるのが最も良いです。
実力に自信のある方は、転職エージェントを積極的に活用しての転職活動を行いましょう。
実力に不安のある方は、転職サイトを積極的に活用するようにしましょう。
ご健闘をお祈り申し上げます!