転職するか、独立するか。
誰もが一度は迷う選択肢の一つだと思います。
サラリーマンという安定した身分を捨てて、腕一本で生きていく職人さんや、自営業に憧れるサラリーマンは非常に多いです。
私もその一人です。
今はコンサルタント業をメインに仕事を受けており、サラリーマン時代よりも年収は高くなる見込みです。
私は20代は転職を繰り返しながら、人事としてスキルを高めてきました。その間、転職すべきか独立すべきか常に悩んできました。
そのため今現在、独立すべきか悩んでいる人の気持ちも痛いほど分かります。
そこで今回は、独立するかどうかを迷っている人に向けてアドバイスを送りたいと思います。これまでの会社で見てきた、実際に独立して上手くいっている人の特徴をお伝えします。
少し長くなりますが、参考にしていただければ幸いです。
目次
サラリーマン時代にミスの多い社員ほど独立したときに事業を成功させている
こんな人を見たことはありませんか?
書類を提出したと思えばミスだらけで、誤字脱字が多い。
上司への報連相もマメにしないので、自分勝手に仕事を進めてしまって怒られてばかり。
上司に怒られても次の日には平気そうな顔をして出勤してくる。
しかし仕事面ではお客さん受けも良いし、部署内でも一番の営業成績をしっかりと上げてきます。
部課長クラスからは嫌われているが、なぜか役員クラスからはその評判は非常に高く、将来を有望視されています。
実はこういう社員こそ、独立して一人でやっていても成功する可能性が高いんです!
私が以前働いていた職場にいたAさんも、まさにこういうタイプの営業マンでした。
ミスが多い人は経営者に向いている
ミスが多いというと、サラリーマンをしている人からするとマイナス点に感じますが、経営者から見るとミスが多い=仕事ができない、という考えにはなりません。
ミスが多いということは、それだけ率先して仕事を引き受けていると評価できるからです。
もちろん同じミスを何度も繰り返す人は評価されません。
しかし失敗を多くする人はその分だけ、仕事の改善の機会を与えられ成長をしていきます。
事業会社で役員まで出世するような社員の特徴は、ミスを全く恐れないという精神的にタフな点です。
普通、ミスをすればサラリーマンならば出世に響くと考えて出来るだけ平穏に仕事を進めようとします。
しかし、これは経営者から見て全く好ましくありません。
特に成果を問われる営業職は数字を出してナンボの世界です。
例えミスをしようと積極的に提案を行い、行動をして売り上げを立てることが必要なのが営業職です。
サラリーマン時代に大きなミスを何度もしている人ほど、独立したときに成功をしています。
そしてサラリーマン時代から、経営者クラスからの評価が高い人は、独立後も順調に事業を進めていく傾向にあります。
会社に貢献するいい社員≠独立に向いている社員
以前の職場にいたAさんは成功するために必要なポイントにだけ全力を注ぐ、スイッチのオンオフの切り替えが非常に上手な営業マンでした。
ある日、Aさんは突然会社を辞めます。
営業職としてのスキルを活かして、会社を立ち上げたのです。
営業代行を行う会社でしたが、見事に会社は成功しました。
年収としてはサラリーマン時代の2倍以上になったという話を本人からは聞きました。
彼は在職中からコンサルタントとして休みの日などに、他社の営業代行などを副業として行っていたのです。
そのため、彼には独立当初からお客さんがついており、独立する前から成功が約束されている状態でした。
会社からすると、社員時代から裏で顧客とやり取りしていたのは褒められることではありません。
しかし会社から見て優等生な社員は、独立しても成功しないことが多いのが現実です。
開業前からの営業努力が独立後の仕事を生み出す
ここで非常に参考になる点は、開業前に下地を作っているという点です。
彼は会社に在職中から平日の会社から帰ったあとの時間や、休日も休まず働き、お客さんを掴んでいました。
いきなり開業したように見えて、しっかりと独立後を見据えて準備ができていました。
これこそが彼が独立して成功した秘訣と言えます。
独立後からお客さんを掴もうとしても、成果が出なければ焦りから自分を見失ってしまいます。
その点、Aさんはサラリーマン自体から営業をしたことで、自分のスタイルを貫きながら顧客を捕まえれることができたのでした。
独立する前にお客さんを捕まえられているか?最も失敗するパターンはこれ!
サラリーマンとして仕事をしていく中で、十分なスキルを身に付けているかどうかも非常に大切です。
専門知識を持ったプロは確かに尊重されます。
しかし、それ以上に大切なことは、独立前にいかにお客さんを捕まえているかです。
結局は営業力に尽きます。
一番失敗するのが、国家資格取得後、その資格を活かしての独立というパターンです。
私の先輩であるBさんは、まさにこの典型的なパターンにハマってしまっていました。
Bさんは誰から見ても文句ないエリート社員だった
Bさんは東京六大学を卒業後、新卒で上場企業に入社。
入社して以来ずっと管理本部人事部に勤務していました。
50名いる同期の中で、人事の課長職まで最年少で出世した、人事畑一筋の方でした。
誰から見ても文句の付けようのないエリート社員で、人事の仕事を20年以上続けながら、社会保険労務士の資格を取得。
そして会社を惜しまれて退職をし、43歳で社会保険労務士として事務所を開業することになったのでした。
成功するだろうと思わたBさんだったが…
誰もが成功するだろうと思っていました。
本当に優秀な方でした。
しかしながら、独立するも、仕事がないという状態に陥り、会社を辞めてから1年後に、こんな連絡が会社にありました。
「給与計算を代行させてくれませんか?社会保険手続きもします。」
当時の人事部長と相談しましたが、給与計算も社会保険手続きも社内で出来る仕事なため、お断りしました。
結局は他の会社に人事部員として再就職をしたというお話を伺いましたが、ブランクが空いたことで年収は大きく減ってしまったと聞きます。
Bさんは能力だけで見れば本当に優秀な方でしたが、営業スキルが足りず、独立をしても顧客を獲得することができなかったのです。
人事のプロ中のプロの課長職の方だっただけに非常に残念でした。
国家資格型開業には要注意!
国家資格型の開業の話には、注意が必要です。
資格取得のために予備校などに行くと、社会保険労務士や税理士といった難関国家資格を取得すれば年収が1000万円を超える!などという触れ込みで受講を薦められますが、話半分で聞いておきましょう。
国家資格は足の裏の米粒
社会保険労務士も税理士も、弁護士の先生方からもこんな話を実際に聞いています。
「国家資格は足の裏の米粒。取らなければ気持ちが悪いが、取っても食えない」と口をそろえて言われます。
顧問先を数社持たれているような先生方でもこのようなレベルです。
現実には、国家資格最難関の弁護士でも年収360万円というのが国家資格取得者の現状です。
弁護士でもボーナスなしの月給30万円が関の山です。
私の友人でも弁護士が複数名いますが、サラリーマンよりも年収が低いというのが現状。
資格を取得していたとしても、お客さんを掴まなければ、国家資格の独立は失敗します。
大切なのは国家資格ではなく、あなたを信頼してくれるお客さんがいらっしゃるかどうかです。
もしも国家資格で開業されようとする場合には、休日の副業からでも良いので、月に2日程度、コンサルティング先を探すなどの営業努力をしておきましょう。
そこで十分な報酬を得られるようであれば、独立すれば良いですし、全くお客さんがいないようならばサラリーマンを続けながらチャンスを待つのが現実的です。
転職するか独立するかに迷ったときの最もよい判断タイミングとは?
これまで独立して上手くいった社員の方の話と、失敗した社員の方の話をしましたが、結局、独立の明暗を分けているのは営業力の差と在職中の準備期間の差だけです。
失敗した社員も成功した社員も両名共に、間違いなくその職種のプロでした。
どちらも実力は互角でした。
つまるところいくら実力があったとしてもお客さんがいないといけません。
しかしながら、実力がなくても食べてはいけません。
人事経験のない社労士などのコンサルタントの方もたくさんいらっしゃいますが、開業後に順調にいっているというお話を聞いたことがありません。
労働法関係などは社会保険労務士よりも、現役の人事部員のほうがよほど詳しいため、実務の経験がなければすぐに見抜かれて顧問契約を解除されてしまうためです。
まずはその職種についてプロとしての知識と経験があることは最低条件です。
国家資格ならば特に、相手よりも高い立場からアドバイスを求められるため、相手よりも実務に対して詳しくなければお話になりません。
何を聞かれても即座に答えられる、提案できるというのがプロです。
もしも、自分が独立したいと考えている職種のプロでないならば、独立ではなく転職して腕を磨くことをおススメします。
また、独立できるだけの知識と経験を保有しているという自信があるならば、在職中に平日の会社からの帰宅後の時間や、休日だけでも良いので副業から独立してからやってみたい仕事をやってみるというのが現実的です。
もしも知識と経験が他に必要とされるレベルに達していれば、営業をかければしっかりとお客さんを捕まえることができます。
在職中にお客さんを捕まえておくことを頭に入れておきましょう。
このまま転職して大丈夫?転職を考えたきっかけ10つと転職を成功させるタイミング
転職活動をする際は、転職サイトを積極的に活用しよう!
独立をするためにスキルを磨くためには、転職サイトで独立したい職種の経験を積める会社を探すようにしましょう。
独立のための転職では、転職サイトのメリットが最大限発揮されます。
独立するための職種を選ぶ際、転職エージェントやハローワークでは特定の職種の経験者しか採用されない傾向にあります。
もしも独立したい仕事に近い職種で仕事を探していたとしても、そもそも求人紹介をしてもらえないため、面接に至りません。紹介してもらえないからです。
その点、転職サイトであれば自ら提案して未経験の職種であっても、企業に対してアクションをかけることが可能です。
転職サイトを積極的に活用しましょう。新天地でのご活躍をお祈りしております。