転職エージェントは無料で利用できる転職支援サービスです。
そのサービス内容を見てみると、本当に無料で利用していいのか不安になることはありませんか?
転職エージェントは、企業からのインセンティブによって経営が成り立っていますが実際のところ、どんなインセンティブを獲得しているのかわからない人も多いはず。
そこで今回は、転職エージェントが企業から受け取っているインセンティブの仕組みや、金額について紹介していきます。
目次
転職エージェントの基本をおさらい
転職エージェントのインセンティブについて確認する前に、転職エージェントの基本情報について確認しておきましょう。
転職エージェントは無料で利用できる、転職支援サービスです。
転職支援の内容は主に以下の5つです。
- ヒアリングをもとにした求人紹介
- 書類選考の添削
- 面接対策
- 面接日程の調整
- 内定後の日程調整
転職活動は通常、働きながら並行して行います。
上記のようなサポートがあることで、自分で求人を検索したい日程調整をする手間が省けます。
そのため転職者からは人気を集めています。
一般的に書類選考通過率と内定率は3割程度といわれています。
転職エージェントが企業からインセンティブを受け取る仕組み
転職エージェントは利用者側には利用料をもらわないのは、みなさんご存じの通りだと思います。
ですがそれだけでは転職エージェントは経営が成り立ちません。
実は求人を掲載している企業へ利用者の内定が決まって、転職が成功した際に「紹介料」としてインセンティブを獲得できるのです。
以下では、転職エージェントがインセンティブを獲得できる流れを、順を追って解説していきます。
①人手が欲しい企業から求人を預かる
転職エージェントは、人材を募集している企業から求人を受け取ります。
利用者に提示する求人情報を作成するために、企業から以下のような内容を聞き出します。
- 求めている人材のイメージ
- 求めている人材の能力
- 求めている人材の属性
- 入社後の待遇やキャリア
これらをもとに、企業の求人情報を作成していきます。
求人を掲載する段階では、料金は発生しません。
②エージェント利用者に求人を提示してサポート
転職エージェントのコンサルタントは、完成している求人情報の中から利用者に合った求人を探し出します。
利用者の能力や希望条件に合わせて求人を紹介するため、複数の企業の求人を同時に紹介することがほとんどです。
③内定獲得後に成功報酬を受け取る
利用者が応募する求人が決まったら、コンサルタントは書類選考や面接対策などのサポートを行います。
サポートの末に、自社の紹介している求人で利用者が内定を獲得したら、どの企業で内定を承諾するかを利用者が判断します。
内定を獲得して時点ではまだインセンティブは発生しません。
内定を承諾してもらえた企業だけが、転職エージェントにインセンティブを支払います。
転職エージェント側がもらっているインセンティブの金額は?
では、企業はいったいどれだけの金額を転職エージェント側に支払っているのか気になりますよね。
企業が転職エージェント側に支払っている紹介料は、一般的に「転職者の転職後の企業での年収の3割程度」といわれています。
例:年収400万円なら120万
年収800万円なら240万
正直、高いですよね。
しかし転職にかかる期間は平均で3か月。この期間を転職エージェントは利用者に内定を獲得させて、企業とマッチングさせるためにサポートしますから、仕方がないといえるでしょう。
「利用者が転職エージェントの求人から応募し、内定を承諾し転職が決まった」段階でしか支払われません。
企業によっては、転職エージェントに大人数の採用を依頼することもあります。
その場合は内定を承諾し、転職が決まった人数に応じて報酬を支払うことが一般的です。
また、転職エージェントは企業が採用に意欲的な時期に多くの報酬を得られますので、景気の高低によって営業利益が変わります。
年収の高い案件ほどインセンティブも高くなる
転職エージェントでは、上記の通り転職者の年収の3割程度を、紹介料として企業から受け取ります。
そのため、高年収の案件ほどもらえるインセンティブが高くなります。
もちろん転職エージェントも企業が運営していますから、高い利益が得られるほうを優先して紹介しようとします。
利用者が早期退職するとインセンティブを何割か返還する必要あり
紹介料の額面だけ見ると、転職エージェントはなんて得をしているんだ!と思う方もいるかもしれません。
しかし高い割合で紹介料をもらえる裏には、やはり制約があります。
一般的に転職エージェントと企業では、サービスをを利用して転職した利用者が一定期間で退職してしまった場合、企業に紹介料の一部を返還するという取り決めを結んでいます。
もしも転職エージェントを利用して転職が決まった利用者が、転職後短期間でやめてしまった場合、企業側は数百万円の採用費用をドブに捨てたことになってしまいます。
これでは企業側にデメリットが大きく、求人を紹介させてもらえません。
そこで転職エージェントでは、紹介した転職者が辞めてしまった場合、紹介料の何割かを返還すると約束して双方のメリット・デメリットのバランスを保っているのです。
企業が高いインセンティブを払ってまで求人を掲載する理由
転職エージェントを利用して採用活動を行うのは、1人につき数百万の金額を支払う必要があります。
何故企業は高い紹介料を払ってまで求人を転職エージェントに掲載して、採用活動を行うのでしょうか。
その理由は以下の3つです。
- 求人サイトに求人を乗せるほうが高くつくから
- 少人数だけ採用したいから
- 紹介してもらう人材の質が高いから
以下で詳しく解説します。
求人サイトに求人を乗せるほうが高くつくから
「紹介料が高いなら、転職サイトとかの求人サイトに掲載したほうが早くない?」と思った方もいるでしょう。
ですが、実は転職サイトに求人を掲載するほうが高くつく場合があるんです。
通常、転職サイトのような求人サイトでは、求人を掲載するために「掲載料」が発生します。
掲載料は、一般的に1週間ごとに発生しますので、掲載期間が長ければ長いほど多くの金額を払わなければなりません。
もし求人を募集している企業が、求人サイトに求人を長期間掲載して、全く採用できなかった場合企業は無駄にお金を支払ったことになります。
短期間の掲載だけでいい人材を集めることができるのが一番ですが、そうもいかないのが現実です。
転職エージェントに掲載すれば、入社が決まるまで料金が発生しませんから、デメリットが少ないのです。
少人数だけ採用したいから
企業内部では中途採用を行う際は、部署内の人員不足など少人数の補填を目的としている場合があります。
求人サイトに掲載してもいいのですが、大人数の募集があった際に、すべての応募者を審査しなければならなくなります。
企業内では掲載料の他にも、採用に割くための人件費がかかります。
もちろん企業ではできる限り低コストで人材を採用したいですから、応募が集中しないようにコンサルタントが、利用者の条件と照らし合わせてマッチングしてくれる転職エージェントに求人を掲載するのです。
また良い待遇で求人を出す際も、同じように求人サイトに掲載して応募が殺到しないように、転職エージェントに依頼することが多いです。
紹介してもらう人材の質が高いから
転職エージェントのシステム上、利用者の条件や能力に合わせて適切な求人を紹介します。
もちろん利用者の中には、スキルも能力も高い優秀な人材が登録していることもあります。
求人サイトに掲載すると、優秀な人材からそうでない人材まで幅広い能力値の人材が集まります。
企業側としては、優秀な人材を狙い撃ちできる可能性のある転職エージェントに、求人を出したほうがメリットが大きいですよね。
転職エージェント側も、いい人材を紹介すれば今後も取引を続けられますから、企業のニーズも考慮して求人紹介を行ってくれます。
転職エージェントのコンサルタントにはノルマがあるので注意
転職エージェントはこれまで紹介してきた通り、インセンティブを獲得することを目的として転職者の支援を行っています。
そのため、もちろん転職エージェントに所属するコンサルタントにはノルマが課せられています。
以下ではコンサルタントに課せられているノルマについて、紹介していきます。
自社の求人から内定を獲得させなければならない
大前提ですが、自社に求人を掲載してくれている企業に、利用者を内定させなければいけません。
割り当てられた利用者を全力でサポートし、企業の求める人物像に合った人材を利用者の条件も考慮しながら、マッチングさせる必要があります。
もちろん1人につき1人の利用者などではなく、常に複数の利用者を並行してサポートしなければなりませんから、非常に時間も手間もかかります。
インセンティブの金額も重視しなければなりませんから、高年収の案件でも内定を獲得する必要があります。
大手の転職エージェントは案件の数がノルマに
大手の転職エージェントのコンサルタントは、転職が成功した案件の数をノルマに設定していることが多いです。
大手の転職エージェントあれば、求人数も何万件とあり、高年収の求人も保有していますから、数をこなせばそれだけ利益を獲得できます。
しかしその分コンサルタントは、多くの利用者を並行してサポートして、内定を獲得していかなければなりません。
規模の小さい転職エージェントはインセンティブの金額重視
大手と比べて規模の小さい転職エージェントでは、獲得したインセンティブの金額をノルマに設定しています。
そのため、案件の数をこなしてもそれぞれの単価が低ければ、ノルマを達成できません。
数も質もこだわらなければいけないようですね。
インセンティブ目的の可能性があるコンサルタントの特徴
転職エージェントはこれまで紹介したとおり、インセンティブを獲得しなければなりませんし、個々のコンサルタントにノルマが設定されています。
そのため、中にはインセンティブを重視して、利用者の条件を無視してしまうコンサルタントもいるのです。
転職活動では、いかに自分の求める条件を実現できるかが重要になってきますから、インセンティブ目的のコンサルタントは出来る限り避けたいですよね。
そこで以下ではインセンティブ目的の可能性があるコンサルタントの特徴を紹介します。
希望条件と違う求人をごり押ししてくる
自分が面談で提示した条件とは全く違う求人を、ごり押ししてくるようなコンサルタントには注意が必要です。
もちろん中には、適性検査の結果適性がある可能性があるとして、条件が異なる求人を紹介されることもあります。
しかしあまりにも、条件が異なる求人をごり押ししてくる場合は、インセンティブを目的にしている可能性があるので注意しましょう。
1社だけの内定で必要以上に承諾させようとしてくる
転職エージェントでインセンティブを獲得するには、内定を獲得しなければ始まりません。
しかし利用者側としては、いくつか内定を獲得して、その中で自分に合った企業を見定めていきたいですよね。
利用者側の意識を無視してすぐに内定を承諾させようとしてくるコンサルタントは、自分のノルマや成績を強く意識している可能性が高いです。
内定辞退したら対応が変わる
転職エージェントで紹介してもらった求人で内定が決まっても、中には別の求人に応募したくなって内定を辞退する方もいるでしょう。
内定を辞退してから態度の変わるコンサルタントにも注意が必要です。
上で紹介してきたように、内定に強いこだわりを持っているコンサルタントである可能性が高いのです。
内定を辞退しても、態度が変わらずにサポートしてくれるようなコンサルタントと付き合っていきたいですね。
条件や能力を見てから対応を後回しにする
転職エージェントでは高収入の案件ほどインセンティブが高く設定されています。
高収入の求人はそれ相応に条件や能力が高く設定されていますから、優秀な人材を紹介しなければなりません。
しかしインセンティブを重視して利用者の条件を考慮しないコンサルタントの中には、条件や能力が低い利用者の対応を後回しにしてしまう人もいるのです。
それぞれに合った求人を紹介しなければならないのに、高収入な案件だけを優先しようとするコンサルタントには注意が必要です。
インセンティブを重視するコンサルタントにあたったら担当の変更を
転職エージェントのコンサルタントのノルマがあるのも理解できますが、やはりある程度は利用者の条件や要望を聞いてほしいですよね。
もしも今利用している転職エージェントのコンサルタントが、インセンティブ目的で自分の要望を聞いてくれない…と感じた場合は、担当者を変更するように運営側に伝えてみるのもいいかもしれません。
コンサルタントには申し訳ないですが、自分の希望通りの転職先を見つけるためにも、検討してみることをおすすめします。
転職エージェントのインセンティブの市国を理解して上手に付き合おう!
いかがでしたか?
転職エージェントは利用者に無料でサービスを提供する分、求人を掲載している企業から紹介料としてインセンティブを獲得しています。
紹介料は、一般的に転職者の転職後の年収の3割程度として設定されていますが、一定期間で退職してしまった場合、転職エージェントは紹介料の一部を返還する仕組みになっています。
また、インセンティブが発生する以上、コンサルタントに営業ノルマが課せられている場合もあります。
コンサルタントのノルマには、インセンティブの額や転職が成功した案件数が設定されていることがほとんどです。
中にはインセンティブを獲得してノルマを達成するために、利用者の条件や希望を無視してしまうコンサルタントもいる可能性があるので、注意が必要です。
転職エージェントとインセンティブや、コンサルタントのノルマを考慮したうえで、上手に転職エージェントを利用していきましょう。